怪獣は馬鹿でかい何かではない

横山剛衛門

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朝起きると、自分が怪獣になっていることに気付いた。まさかそんな、でも、見るからに昨日までと同じじゃない。何もかも。
自分の部屋のベッドで寝ていたはずなのに、今はどこだかも分からない荒れ果てた土地で体を横たえている。
虫かと思った飛び回る小さなものは鳥のようで、じゃあ自分は一体どれだけ大きいというのか。手を見れば爪が鋭く、腕は太く、肌は黒くてガサガサしている。
そう、怪獣だから。

顔を上げれば、遠くに街が見える。困ったなと思いながらそちらを目指して歩いて行くと、なんだか不穏な感じのけたたましい音が聞こえてくる。
突然虫みたいなものーー今度はヘリコプターだーーが飛んできて、次いで顔にピシピシと砂つぶが当たったようなくすぐったさを覚える。
思わす手を振って扇いだらヘリに当たって吹き飛ばしてしまい、悪いことをしたなと思ったけれど、よく考えたら今のはきっと銃弾だった。撃たれたんだ。

いよいよどうしていいか分からなくなり、それでも街に近づいて行く。
もう少し、もう少しと一歩ずつ進むと、今度は花火を向けられたような熱を顔に感じ、それが砲弾やミサイルやなんやかやだと気付いたところで、急に怒りが湧いてきた。
人に向かってなんてことするんだ怪我したらどうする、いや、人じゃない怪獣だからか。なんだか吐き気を覚え、我慢できず為すがままに任せたら、口から出てきたのは真っ赤な光で驚いた。
光線じゃないか。これってまさに怪獣そのものだ。街の一部が吹っ飛んでる。

そのうち街にたどり着いたところでできることはなく、向こうへ逃げ出して行く小さな人間たちの姿が悲しい。
待ってほしい、そりゃ怪獣に見えるだろうけど、本当は人間だ。少なくとも昨日までは。
怪獣は馬鹿でかい何かではない。恐れることなんてない。でもそんなのあの人たちには分かりっこない。何か言おうとしたって言葉にならない大音量の吠え声だし、だから逃げていく。自分が同じ立場でもやっぱりそうするだろう。
街の手前で途方に暮れていたら、遠くから呼ばれている気がした。気になる匂いも嗅いだ気がする。他にあてもないので、そちらを目指すことにした。どうか、何か、救いがありますように。

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