大嫌いなアイツに...

ほしの きらな

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浴衣の着付け

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「お邪魔します!華ー?」
中から華のお母さんが出てきた。
「あら、雪君。来てくれてありがとう。ちょっと困ってたのよぅ。」
「えっと、何に困ってたんですか?」
すると、お母さんがオロオロしながら言った。
「実は、この家、誰も浴衣の着付けができなくて...。」
「あぁ。なるほど。」
「雪君。浴衣、とっても似合ってるわよ。雪君なら華を任せてもいいわぁ。ふふっ。」
微かに俺の顔が熱くなった。
そういえば、華の家ってお手伝いさんいたよな?
その人たちでも出来ないとかどんな浴衣なの...。
「華?俺だけど。入るよ?」
「あ、うん。」
そして、入った。
「は??」
見ると、華は、下着のままだった。
「あ、この格好は気にしないでっ!き、着物の着付けの仕方が分かんなくて...。雪なら分かるかな?って思って...。」
俺の家が着物屋って教えた事無いんだけど。
知ってんのかな。
ってゆーか、下着のままは、ちょっと困る...。
なんていうか、心臓の音が急上昇して何喋ってるか分からなくなるからだ。
「分かった。着物ってこれ?」
側にあったピンク色の花柄の浴衣が置いてあった。
あれ?これってどっかで見た事あるような...。
「これ...。着物屋“佐倉”で買った?」
俺の家の店だ。俺の家は、喫茶店を営業してる中、裏で着物屋も経営しているのだ。
夏は、浴衣も売っているうちの店は、昔からのお客様がよく来ていたものだ。
確かこの浴衣って15万するんじゃ...。
「え!どうして知ってるの!?あっ。雪って頭いいからこんな事も知ってるのかな...。いや。雪が着物買った場所とか?」
と、独り言をブツブツと呟いていた。
「違うよ。俺ん家なんだよ。この店。」
そう言うと、華は、目を丸めて、
「嘘!私、着物ずーっとそこで買ってるんだよ。毎年!」
確かに、何故か毎年来る女の子のお客さんがいたけど、気にした事が無かった。
「あっ。そう言ってる間に早く着ないと夜店周りきれない!」
本題を忘れてた...。
「あ、そっか...。ってゆーか、毎年どーやって着てたの?うちの浴衣は、全部着方一緒なはずなんだけど。」
と、言いながら浴衣の着付けに入る。
「毎年、琉羽と行ってたんだけど、その時に琉羽のお母さんにやってもらってて...。」
あぁ。なるほど。そーゆー事か。

「はい。完成。」
「凄い凄い!雪凄いよ!もう秒だったよー!」 
「じゃあ行こっか。」
「うん!」
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