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1章
俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。
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「なんか変な感じだ……」
自分の中に、誰かがいる。
ということではなく、もうひとりの自分のような感覚。
しかし、自分が自分ということは分かる。
「俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。」
そう言いながら自分を確かめる。
本当の母ではないが、母にもらった名前だ。大切にしている。
だから声に出してまで名前を確かめた。
「エレル……ねぇ」
自分の中にある可憐な女勇者の呼ばれていた名前。
彼女の断片的な記憶ははっきりと分かるが全部が分かるわけではなかった。
そんなことを考えながら、いつものように遅刻ギリギリで学校に着いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「よお!ヨシキ!宿題見せてくれよ!」
「俺もやってねえ!」
「まじかよぉ、まあ分かってたけどな!」
「お前なぁ…」
学校に着くと同時に行われるこのクラスメイト、ストウ・カケルとのやりとり。
ストウ・カケルは俺の親友だ。
この馬鹿なやりとりはもはや日常茶飯事である。
あと数分で授業が始まるというのに、呑気なものだ。
しかし、ストウが宿題をやってこないなんて珍しい。
いつもは適当だが最後まで終わらすぐらいのことはしていたはずだ。
そうして授業が始まり、日常が流れ4限目までが終わった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「なぁ、ヨシキ。」
「どうした?」
「前世って信じるか?」
「っっ!突然どうしたんだよ?」
ストウの突然の質問に驚いた。
それもそうだ、今自分が悩んでるのはそれが原因だし。
「実は…な。結構前からなんだけどさ。自分じゃないなにかが自分の中にいて、自分がわからなくなる時があるんだ。」
「自分がわからなくなる?」
それは自分にはわからなかった。
俺は自分が自分だってことが分かる。
自分じゃない何かがあるのは分かるけど。
「なぁ…」
ストウの顔色が悪い、今まで見たことないような表情だ。
ストウは明るいやつだが、昔はそうでもなかったらしい。
「ど、どうしたんだよ。」
「俺の…………俺の…名前を、教えてくれ。」
「は!?」
やばい、鳥肌が止まらない。
前世の記憶に飲み込まれたとでも言うのか。
そんなことは聞いたことがない。
突発性記憶創造症については調べ尽くしたがそんな情報は見なかった。
「自分の名前は分かるけど、それは自分じゃないんだ…。自分の本当の名前は…」
「な、何言ってんだよ。ストウだよ。ストウ・カケル。お前はストウ・カケルだ。」
「…………帰り、俺を見張ってくれ。何をするかわからない。」
そんな他人から見たら恥ずかしいやりとりをして、そして、6限目が終わった。
あとは掃除して帰るだけだが……
「一応ついて行くかな。」
いつもならまっすぐにミナモト・ムツキ、ムツキの家に行くのだが、今日はストウ・カケルについて行くことにした。
「たしかストウの家はこっちじゃなかったと思うけど……」
悪い予感がする。
しかし、シキヤ・ヨシキは止まらない。
まだ日常の中の出来事だと、そう思っているから。
「しまった。見失ったぞ……!?」
目を離さなかったのに、見失った。
そして後ろから、
「おい、てめぇ誰だよ。やっと身体を動かせるようになったってのに、もうバレたか?」
ストウの声だ。
しかし、気配は全く違う。
「お前、ストウじゃないな…。誰だよ。」
「うるせぇ、死ねや。」
そして現れたのは、視界を覆い尽くす巨大な炎の渦だった。
自分の中に、誰かがいる。
ということではなく、もうひとりの自分のような感覚。
しかし、自分が自分ということは分かる。
「俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。」
そう言いながら自分を確かめる。
本当の母ではないが、母にもらった名前だ。大切にしている。
だから声に出してまで名前を確かめた。
「エレル……ねぇ」
自分の中にある可憐な女勇者の呼ばれていた名前。
彼女の断片的な記憶ははっきりと分かるが全部が分かるわけではなかった。
そんなことを考えながら、いつものように遅刻ギリギリで学校に着いた。
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「よお!ヨシキ!宿題見せてくれよ!」
「俺もやってねえ!」
「まじかよぉ、まあ分かってたけどな!」
「お前なぁ…」
学校に着くと同時に行われるこのクラスメイト、ストウ・カケルとのやりとり。
ストウ・カケルは俺の親友だ。
この馬鹿なやりとりはもはや日常茶飯事である。
あと数分で授業が始まるというのに、呑気なものだ。
しかし、ストウが宿題をやってこないなんて珍しい。
いつもは適当だが最後まで終わらすぐらいのことはしていたはずだ。
そうして授業が始まり、日常が流れ4限目までが終わった。
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「なぁ、ヨシキ。」
「どうした?」
「前世って信じるか?」
「っっ!突然どうしたんだよ?」
ストウの突然の質問に驚いた。
それもそうだ、今自分が悩んでるのはそれが原因だし。
「実は…な。結構前からなんだけどさ。自分じゃないなにかが自分の中にいて、自分がわからなくなる時があるんだ。」
「自分がわからなくなる?」
それは自分にはわからなかった。
俺は自分が自分だってことが分かる。
自分じゃない何かがあるのは分かるけど。
「なぁ…」
ストウの顔色が悪い、今まで見たことないような表情だ。
ストウは明るいやつだが、昔はそうでもなかったらしい。
「ど、どうしたんだよ。」
「俺の…………俺の…名前を、教えてくれ。」
「は!?」
やばい、鳥肌が止まらない。
前世の記憶に飲み込まれたとでも言うのか。
そんなことは聞いたことがない。
突発性記憶創造症については調べ尽くしたがそんな情報は見なかった。
「自分の名前は分かるけど、それは自分じゃないんだ…。自分の本当の名前は…」
「な、何言ってんだよ。ストウだよ。ストウ・カケル。お前はストウ・カケルだ。」
「…………帰り、俺を見張ってくれ。何をするかわからない。」
そんな他人から見たら恥ずかしいやりとりをして、そして、6限目が終わった。
あとは掃除して帰るだけだが……
「一応ついて行くかな。」
いつもならまっすぐにミナモト・ムツキ、ムツキの家に行くのだが、今日はストウ・カケルについて行くことにした。
「たしかストウの家はこっちじゃなかったと思うけど……」
悪い予感がする。
しかし、シキヤ・ヨシキは止まらない。
まだ日常の中の出来事だと、そう思っているから。
「しまった。見失ったぞ……!?」
目を離さなかったのに、見失った。
そして後ろから、
「おい、てめぇ誰だよ。やっと身体を動かせるようになったってのに、もうバレたか?」
ストウの声だ。
しかし、気配は全く違う。
「お前、ストウじゃないな…。誰だよ。」
「うるせぇ、死ねや。」
そして現れたのは、視界を覆い尽くす巨大な炎の渦だった。
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