3 / 8
1章
俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。
しおりを挟む
「なんか変な感じだ……」
自分の中に、誰かがいる。
ということではなく、もうひとりの自分のような感覚。
しかし、自分が自分ということは分かる。
「俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。」
そう言いながら自分を確かめる。
本当の母ではないが、母にもらった名前だ。大切にしている。
だから声に出してまで名前を確かめた。
「エレル……ねぇ」
自分の中にある可憐な女勇者の呼ばれていた名前。
彼女の断片的な記憶ははっきりと分かるが全部が分かるわけではなかった。
そんなことを考えながら、いつものように遅刻ギリギリで学校に着いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「よお!ヨシキ!宿題見せてくれよ!」
「俺もやってねえ!」
「まじかよぉ、まあ分かってたけどな!」
「お前なぁ…」
学校に着くと同時に行われるこのクラスメイト、ストウ・カケルとのやりとり。
ストウ・カケルは俺の親友だ。
この馬鹿なやりとりはもはや日常茶飯事である。
あと数分で授業が始まるというのに、呑気なものだ。
しかし、ストウが宿題をやってこないなんて珍しい。
いつもは適当だが最後まで終わらすぐらいのことはしていたはずだ。
そうして授業が始まり、日常が流れ4限目までが終わった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「なぁ、ヨシキ。」
「どうした?」
「前世って信じるか?」
「っっ!突然どうしたんだよ?」
ストウの突然の質問に驚いた。
それもそうだ、今自分が悩んでるのはそれが原因だし。
「実は…な。結構前からなんだけどさ。自分じゃないなにかが自分の中にいて、自分がわからなくなる時があるんだ。」
「自分がわからなくなる?」
それは自分にはわからなかった。
俺は自分が自分だってことが分かる。
自分じゃない何かがあるのは分かるけど。
「なぁ…」
ストウの顔色が悪い、今まで見たことないような表情だ。
ストウは明るいやつだが、昔はそうでもなかったらしい。
「ど、どうしたんだよ。」
「俺の…………俺の…名前を、教えてくれ。」
「は!?」
やばい、鳥肌が止まらない。
前世の記憶に飲み込まれたとでも言うのか。
そんなことは聞いたことがない。
突発性記憶創造症については調べ尽くしたがそんな情報は見なかった。
「自分の名前は分かるけど、それは自分じゃないんだ…。自分の本当の名前は…」
「な、何言ってんだよ。ストウだよ。ストウ・カケル。お前はストウ・カケルだ。」
「…………帰り、俺を見張ってくれ。何をするかわからない。」
そんな他人から見たら恥ずかしいやりとりをして、そして、6限目が終わった。
あとは掃除して帰るだけだが……
「一応ついて行くかな。」
いつもならまっすぐにミナモト・ムツキ、ムツキの家に行くのだが、今日はストウ・カケルについて行くことにした。
「たしかストウの家はこっちじゃなかったと思うけど……」
悪い予感がする。
しかし、シキヤ・ヨシキは止まらない。
まだ日常の中の出来事だと、そう思っているから。
「しまった。見失ったぞ……!?」
目を離さなかったのに、見失った。
そして後ろから、
「おい、てめぇ誰だよ。やっと身体を動かせるようになったってのに、もうバレたか?」
ストウの声だ。
しかし、気配は全く違う。
「お前、ストウじゃないな…。誰だよ。」
「うるせぇ、死ねや。」
そして現れたのは、視界を覆い尽くす巨大な炎の渦だった。
自分の中に、誰かがいる。
ということではなく、もうひとりの自分のような感覚。
しかし、自分が自分ということは分かる。
「俺は俺だ。シキヤ・ヨシキだ。」
そう言いながら自分を確かめる。
本当の母ではないが、母にもらった名前だ。大切にしている。
だから声に出してまで名前を確かめた。
「エレル……ねぇ」
自分の中にある可憐な女勇者の呼ばれていた名前。
彼女の断片的な記憶ははっきりと分かるが全部が分かるわけではなかった。
そんなことを考えながら、いつものように遅刻ギリギリで学校に着いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「よお!ヨシキ!宿題見せてくれよ!」
「俺もやってねえ!」
「まじかよぉ、まあ分かってたけどな!」
「お前なぁ…」
学校に着くと同時に行われるこのクラスメイト、ストウ・カケルとのやりとり。
ストウ・カケルは俺の親友だ。
この馬鹿なやりとりはもはや日常茶飯事である。
あと数分で授業が始まるというのに、呑気なものだ。
しかし、ストウが宿題をやってこないなんて珍しい。
いつもは適当だが最後まで終わらすぐらいのことはしていたはずだ。
そうして授業が始まり、日常が流れ4限目までが終わった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「なぁ、ヨシキ。」
「どうした?」
「前世って信じるか?」
「っっ!突然どうしたんだよ?」
ストウの突然の質問に驚いた。
それもそうだ、今自分が悩んでるのはそれが原因だし。
「実は…な。結構前からなんだけどさ。自分じゃないなにかが自分の中にいて、自分がわからなくなる時があるんだ。」
「自分がわからなくなる?」
それは自分にはわからなかった。
俺は自分が自分だってことが分かる。
自分じゃない何かがあるのは分かるけど。
「なぁ…」
ストウの顔色が悪い、今まで見たことないような表情だ。
ストウは明るいやつだが、昔はそうでもなかったらしい。
「ど、どうしたんだよ。」
「俺の…………俺の…名前を、教えてくれ。」
「は!?」
やばい、鳥肌が止まらない。
前世の記憶に飲み込まれたとでも言うのか。
そんなことは聞いたことがない。
突発性記憶創造症については調べ尽くしたがそんな情報は見なかった。
「自分の名前は分かるけど、それは自分じゃないんだ…。自分の本当の名前は…」
「な、何言ってんだよ。ストウだよ。ストウ・カケル。お前はストウ・カケルだ。」
「…………帰り、俺を見張ってくれ。何をするかわからない。」
そんな他人から見たら恥ずかしいやりとりをして、そして、6限目が終わった。
あとは掃除して帰るだけだが……
「一応ついて行くかな。」
いつもならまっすぐにミナモト・ムツキ、ムツキの家に行くのだが、今日はストウ・カケルについて行くことにした。
「たしかストウの家はこっちじゃなかったと思うけど……」
悪い予感がする。
しかし、シキヤ・ヨシキは止まらない。
まだ日常の中の出来事だと、そう思っているから。
「しまった。見失ったぞ……!?」
目を離さなかったのに、見失った。
そして後ろから、
「おい、てめぇ誰だよ。やっと身体を動かせるようになったってのに、もうバレたか?」
ストウの声だ。
しかし、気配は全く違う。
「お前、ストウじゃないな…。誰だよ。」
「うるせぇ、死ねや。」
そして現れたのは、視界を覆い尽くす巨大な炎の渦だった。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる