前世が勇者!?~巡る命と、記憶を~

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1章

勇者エレシュキガル

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「剣を想像しなさい!!」

それは聞いたことのない声だが、どこから、だれから発せられたのかはすぐに分かった。

「エレル!!」

「いいから!早く!!」

言われた通りに剣を想像する。
俺が見たことのある剣、日本人なら誰でも知っている日本刀、のような形をしているものを。

「それで炎をかき消すのよ!」

は!?そんなことできるのか!?いや、ここでできなきゃ死ぬだけだ。
この剣ならできる。
あいつを倒せる。
ストウを助けるんだ!!

「おおおらああああああああああ!!!!」

そして炎の渦が消えた。
その先にはストウがいる。

「なんだぁ、その剣は!!そんなんで俺が倒せるとでも思ってんのかぁ?ハハハァ!」

「お前はストウじゃないな!俺はシキヤ・ヨシキ!お前は何者だ!!」

「あぁ?俺はヴェルディアだぁ!!うるせぇ、うるせぇやつだ。ぶっ殺してやるよぉ!!」

ストウの姿が変わる。
それは人間の姿をしているがストウではない。
強面で、身長は2mを超えている。

「まって!その剣で斬ってしまったらそのストウ君の命も奪ってしまうわ!!」

エレルが止める。

「じゃあどうするんだ!?」

「うるせぇなぁ。ひとりでなにしゃべってんだぁてめぇ。」

どうやらエレルの声は聞こえていないようだ。

「ヴェルディアの魂だけを斬る剣を想像するの!あなたならできるわ!」

「あいつを斬るだけじゃだめなのか!?」

「命は巡るわ。けど絶対数は変わらないの。魂は増え続けるのだけれど!」

よくわからないがやるしかなさそうだ。

「出てこい!ヴェルディアを倒せる、ストウを救える剣!!」

「ハハハァ!うるせぇ!死ねやぁ!!」

迫り来るは、炎の燃え盛る巨大な拳。
俺はそれを想像した剣で受け止める。

「くっ…!」

「小僧ぉ!非力だなぁ!!力のない自分を恨めや!」

見た目通り、力が強いそのヴェルディアと名乗った大男は、剣ごと俺を吹っ飛ばした。

「どうすれば…」

「あなたの剣で、あいつを突き刺すのよ」

エレルの声が聞こえた。

「そんなこと言ったってな…!」

「私の力は最強よ!信じなさい、自分を!」

このまま、グズグズしてても負けるだけだ。
信じてみるしかない。
エレルを。自分を。この剣を!!

「これでもくらえやぁ!!」

ヴェルディアはさっきよりも増した勢いで自分に迫ってくる。
次の瞬間には、あいつの拳は俺の眼前に現れるだろう。

「突き刺されええええええええ!!!」

剣など握ったこともないから、刃先をヴェルディアの拳に向け、構えなど何もなく突っ込む。

「そんな細い剣なんざぁ、折ってやるぜぇ!」

そして、俺の剣と、ヴェルディアの拳は交ざりあった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「なんだぁ……てめぇその剣はよぉ……」

そうしてヴェルディアは消え、ストウの姿が見える。
どうやら、エレルが言ったように、命は助かり、ヴェルディアの魂だけ無くなったようだ。

「おい!ストウ!大丈夫か!」

「ありがとう…ヨシキ……。見てたよ……。俺は……ストウ・カケルだ…。」

よかった。一件落着だ。安心したら眠くなってきたな……。

「こらっ!寝たらダメよっ!」

「エレル!!」

「私は、エレルじゃないわ!」

「私はエレシュキガル、勇者エレシュキガルよ!」

エレシュキガル、それは冥界の女王と呼ばれる者の名前であった。
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