深い森の彼方に

とも茶

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第九章 深まる疑問

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長身の娘に昨日の事実をすべて話して、自分と彼女が同じ状況にあるということがわかり少しほっとした。なぜこういう状態になっているかということは全く分からなかったが、少なくとも自分ひとりではないといことでかなり気分は楽になった。
でも、彼女に告白していないことが一つあった。リーダーに会うたびに、リーダーの姿、仕草、言葉、すべてに気持ちが行ってしまうということだ。リーダーに会うたびに心がときめいた。いや、ときめくなんて生易しい状況じゃなかった。リーダー以外のことはすべて脳内から遠のき、自分のすべてがリーダーに覆われてしまっていくようだった。体はすべてがリーダーに反応した。目も耳もそして股間の女の大事なところもリーダーに反応した。私は女になったんじゃないのか? 女になって、女のリーダーにこんな反応を示すのか。自分でも理解できなかった。
確かに私を女にしてくれたのは(性的な意味ではなくて)リーダーだった。いきなり切断されたのも、女になる手術をされたのも、だからリーダーに惹かれるのか?
リーダーの、体型を強調するようなダークスーツ、スーツの下に隠れた大きいわけではないが形の整ったバスト、丸いふくよかでかつ引き締まったヒップを包むスカートの裾からすらりと伸びた形のよい脚、そんなに濃いわけではないけど決して他人に素肌を見せることを拒絶したようなメイクを施した顔、すべてが私のとりこだった。
私はリーダーに抱かれたかった。でもリーダーも私も女。

私は、何をしていいかわからなくなっていた。
どうもこの世界のすべては私たち(私と長身の娘とリーダーとその他何人か・・・)が存在するための単なる背景でしかないということがわかった。何も具体的な「名称」が存在しないということも、元々具体的に存在しないものだからないのではないか、ということもおぼろげながらわかってきた。じゃあ、私たちは何でここにいるの? なぜここに来たの? 疑問だらけだった。
することもなくなっていた。学校での掃除婦、地下街のトイレ清掃、あの悲惨な宿舎、意地悪女だらけのオフィス、すべてが私たちの背景らしいということが分かった。そしてそういうことがおぼろげながら分かり始めた。
長身の彼女と例のコーヒーショップでおしゃべりをする以外することがなくなった。本来であれば生活するための経済基盤がしっかりしていなくてはならないはずだが、今のところ食べるのにこまるようなことはなかった。あのOLからいじめられていた不可解な会社から、あの程度の仕事にもかかわらずきちんと給与として支給されて、まだ財布の中に残っていたからだ。しかし、あの会社が消滅してしまえば、さすがに給与もなくなるだろう。自由にしていられるのもほんのわずかな期間だけだ。
原点に戻ってみようと思った。あの城郭に行ってみるのだ。長身の彼女も言っていた。深い森を通り抜けてから、城郭のようなところからこの世界に入ったと。その前に長身の娘が会ったという元男の女性も森のようなところを通ってこの世界にきたらしい。ということは、単なる背景ではないようだった。無限に続くように思われる森はともかくとして、「城郭」だったらこの世界の一部だし何かつかめるのではないかと思った。
今までは兵士に担ぎ込まれたり、突き落とされたり、監禁されていたりしていて、どんな施設なのかもよく見ていなかった。
自分ひとりでもいいから、明日は城郭をじっくり調べてみようと思った。

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