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記録十九:平原にて
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いっそ殺してしまい、粉微塵に潰して埋めようか。
さもなくば竜をけしかけて喰わそうか。
キノクニは2人を睨み、そんな事を考えていました。
「てか本気なん?火竜の、それも主をしとめるて、普通の人間からしたら一個師団あっても足らへんよ?」
「…」
「そもそも、剣も斧も無いのに挑もうっちゅうのが無謀やったんや。行くならせめて斧が仕上がってから…」
「うるさい。」
「むっ……はぁ。……こいつらどないすんねん?ここに置いていくんか?一応どちらもSSS級冒険者やさかい、役に立つとは思うで?」
「…何が言いたい。」
「いや…せやからな。あの竜狩るならせめてコイツら連れてったらなんかの役に立つんとちゃう?お前が嫌がっても付いて来たんやし、来るやろ?多分。」
「ならん。お前も見ただろう。コイツらはあの竜を前にして耐えることしかできなかった。そんな事ではアレは狩れん。吹き飛ばされて喰われるのが関の山だ。役立たずだ。」
「…まあ、今回ばかりはお前に一理あるなぁ…でも囮ぐらいにはなるんちゃうか?」
「むぅ…」
マリアンは放心状態でしたが、キノクニの放った"役立たず"という言葉に反応し、我に返りました。
「ちょっ…ちょっと待ってくださいませ!!なんですの?!黙って聞いていれば役立たずですって?!」
「そう言ったが。」
「わっ…わたくしはそもそもが魔導師です!!後方から支援・追撃するのが役割なんですわ!あんなドラゴンに真正面から来られて…攻撃できるわけないじゃありませんか!!」
マリアンの叫び声を聞き、ルークも独り言から覚め、こちらに来ます。
「そうだよ。マリアンの言う通りだ。僕も狙撃手なんだ。そもそもが後衛なんだよ。だから役立たずとは言わないでほしいな。役割が違うんだ。」
「…ではもし仮に、貴様らの前方の味方が倒れた場合どうする?」
「それは…」
「逃げるに決まっているじゃないか。」
「倒れた味方を置いてか?」
「えっ…」
「そっ…それは…彼らだってプロだ!少なくとも僕の仲間は…だから、自分達でなんとかするさ!」
「自分達でなんとかできないほどの致命傷を負った場合はどうする?」
「…」
「そっ……それは……そんな事にはならないさ!!今まで1度だってなったことないんだから!」
「そうか…ではやはり貴様は役立たずだな。」
「えっ?!なんでだい…?!僕はSSS級…」
キノクニは、ブツブツと言い訳を続けるルークを睨み、マリアンに問いかけます。
「貴様はどうだ。」
「わ…わたくし…?」
「そうだ。そちらの男と同じ意見か。」
「わたくしは…見捨てて逃げる事などできませんわ。たとえ死んででも、仲間を救います。」
マリアンはキノクニを睨んで答えました。
「そうか。では貴様も役立たずだな。」
「…えっ?!なっ…なんでですの?!今のが貴方が欲した答えなのでは…」
「私ならば事前にどの様な敵がいるかを調べ、その敵が己が手に余るようならば近づかぬ。仲間がいるなら尚のこと。冒険者ならば言うまでもなくだ。」
「そんな!理不尽ですわ!そのような選択肢は用意されていませんでしたわ!」
「私は最初からどのような選択肢も用意していない。ただ"どうする"と聞いただけだ。」
「…では、見せてくださいませ…!」
「何…?」
「貴方のやり方を!もし仲間が…わたくしと言う役立たずがパーティーにいた場合、貴方ならどうするのか!わたくしは貴方から…そう!貴方から何か学ばなければ、自分が許せませんわ!貴方に負けた自分が!だから貴方を追いかけて来ましたの!!」
キノクニは明らかに不機嫌になり、マリアンににじり寄ります。
「…」
「わ…わたくしは譲りませんわよ…」
「…私に役立たずの荷物は必要ない。貴様が私を追って来た理由も、私には関係ない。よって貴様を私が守る理由も、何かを学ばせる理由も無い。」
「…!」
ルークがこの言葉を聞いて眉間にしわを寄せ怒鳴ります。
「そんな…!そんな言い方はないだろう!彼女は女性…」
「性別など関係ない。」
「…」
マリアンは目を見開き、ジッとキノクニを見つめています。
「…ふん。勝手について来て、勝手に野垂れ死にたくば、好きにしろ。いずれにしろ、私には関係の無いことだ。」
「…分かりましたわ。」
「マリアン?!何を言ってるんだい?!正気かい?!」
「わたくしは至って正常ですわ…旅の荷物も、マジックバックに常備してあります…」
「でも危険だよ!ロクな防具も付けてないし、武器もその杖だけじゃないか!」
「かまいませんわ…ルーク様はギルドに戻ってくださいませ。」
「…はぁ。そんな訳にはいかないだろう…君と他の男のを、2人きりにできる訳ないじゃないか…僕も行くよ。」
「…はぁ」
キノクニの溜息はますます重くなるばかり。
もう深く考えることはやめて、前に進む事にしたキノクニでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ギギャアアア!!」
「5体目だ…」
「豊作やなー!」
「凄まじいですわ…」
「き、きっとあの戦鎚が高性能なんだよ…後でギルドへの寄贈を提案してみよう…」
あれから3時間程経ちます。あたりは夕暮れ、なだらかな下り坂で、地面も平らで歩きやすい環境です。
しかし、この3時間の間に、様々な種類のドラゴンが襲って来ました。
よほどの事がない限り、襲ってこないはずのドラゴンがです。
「こら明らかに主の差し金やな…」
グリモアの言った通り、平原の主が送り込んできた刺客達でした。
しかし、キノクニはそれらを全て難なく屠り、全ての竜を回収していました。
「なあ。これもう素材足りとるんとちゃう?戻ろうや。なあ。」
「今から戻れば背をやられる。ああいう主と呼ばれるような手合いは臆病だ。一度自分の脅威となる存在を見つけると、是が非でも殺そうとしてくる。お前の空白だらけの行間にでも記録しておけ。」
「空白だらけちゃうわ!!余裕や余裕!…でも一応覚えとくわ。それ。」
「…あの…」
ずっと黙ってついて来ていたマリアンが、キノクニに話しかけました。
「最初から気になっていたのですが、キノクニ様は、どなたかとお話しになられているのですか?」
「…貴様には関係無かろう。」
「でも…気になるんですもの…」
マリアンは目を伏せ、居心地の悪い様子です。
「……おい。」
「ん?なんや?」
「お前と喋りたいそうだ。」
「えー?嫌や面倒くさい。一度話したら聞こえんくするのにものごっつい魔力消費するんやで?大体オレ貴族は嫌いやねん。」
「旅人くん!マリアンが悲しそうじゃないか!教えてあげなよ!僕も気になってたんだ!」
「…」
「…あーもう!わかったわかったて!しゃーないなもぅ……んガオー!!」
「「うわぁっ?!?!」」
「はいどうもー。オレの声が聞こえるか?オレはグリモア。コイツと旅する偉大な魔本や。ま、以後よしなに。」
「…すごい…その腰の本ですの…?」
「せや。かっこええやろ?」
グリモアはマリアンのすごいという言葉に、満更でもありませんでした。
「まさか知性を持った魔道具かい…?!すごいね旅人くん!それ君が持っているにはもったいないよ!是非ギルドに寄贈すべきだ!!というかそんな乱雑に扱っていい訳ない!僕に貸しなよ!丁寧に包んで持っていてあげるから!」
「…だそうだが?」
「はぁ…これやから貴族は嫌いなんや…」
「僕は貴族じゃないよ?庶民の出さ!さあ!グリモアくん!こっちへおいでよ!」
「…庶民も嫌いになりそうや…」
グリモアはうんざりして黙り込んでしまいました。
「あれ?グリモアくん??おーい!グリモアくん!」
「…」
グリモアはもう返事をすることを放棄しました。
よほどルークのことが嫌いなのでしょうね。
「ねえ!旅人…キノクニ君だっけ?!その本僕に貸してくれよ!今だけ!今だけでも良いからさ!頼むよ!ねえ!」
「…」
キノクニも呆れを通り越して無の境地です。
ルークを見もしません。
「ねえ!ねえってば!…マリアン!君もこの本は僕に相応しいと思うだろ?!」
「え…いや…わたくしはその…」
「思うよね?!なんたって同じSSS級冒険者なんだから!さあ!キノクニ君!その本を寄越しなよ!!」
ゴシャンッ!!!!
次の瞬間、ルークは地面にめり込んでいました。
マリアンとの決闘と、同じ要領です。
地面が土だったため、死なずには済んでいますが、もう喋らなくなってしまいました。
「何をしていますの?!」
「黙らせただけだ。下は土。死にはしていまい。」
「だとしても…!」
「貴様も再び埋めるか?」
「…同じ轍は踏みませんわよ……!!」
「…ふん。」
キノクニはそれ以上取り合わず、周囲を見回して適当に開けた場所を見つけると、ポーチからテントを取り出して設置し始めました。
「…もう野営の準備をしますの?」
「もうすぐ日が沈む。夜になって隠れる場所も無いこの平原で、動き回るのはあまりに危険だ。拠点を作り腰を据えた方が夜は戦いやすい。」
「夜はって…まだ戦う気ですの?」
「ドラゴンは夜行性だ。昼間より追撃が激しくなるだろう。」
「そんな…そんな中での野営なんて…」
「あー、大丈夫やてお嬢ちゃん。こいつ寝んくても2、3日は大丈夫やから。せやからお嬢ちゃんはそこのアホ掘り起こしてとっとと都帰り。あの杖に跨って飛ぶ術ならすぐ着くやろ。」
「か…帰りませんわ!意地でも居ますわ!!」
マリアンはルークを引っ張りだしつつ、冷たいグリモアに反発することしかできませんでした。
続きは次回のお楽しみです。
さもなくば竜をけしかけて喰わそうか。
キノクニは2人を睨み、そんな事を考えていました。
「てか本気なん?火竜の、それも主をしとめるて、普通の人間からしたら一個師団あっても足らへんよ?」
「…」
「そもそも、剣も斧も無いのに挑もうっちゅうのが無謀やったんや。行くならせめて斧が仕上がってから…」
「うるさい。」
「むっ……はぁ。……こいつらどないすんねん?ここに置いていくんか?一応どちらもSSS級冒険者やさかい、役に立つとは思うで?」
「…何が言いたい。」
「いや…せやからな。あの竜狩るならせめてコイツら連れてったらなんかの役に立つんとちゃう?お前が嫌がっても付いて来たんやし、来るやろ?多分。」
「ならん。お前も見ただろう。コイツらはあの竜を前にして耐えることしかできなかった。そんな事ではアレは狩れん。吹き飛ばされて喰われるのが関の山だ。役立たずだ。」
「…まあ、今回ばかりはお前に一理あるなぁ…でも囮ぐらいにはなるんちゃうか?」
「むぅ…」
マリアンは放心状態でしたが、キノクニの放った"役立たず"という言葉に反応し、我に返りました。
「ちょっ…ちょっと待ってくださいませ!!なんですの?!黙って聞いていれば役立たずですって?!」
「そう言ったが。」
「わっ…わたくしはそもそもが魔導師です!!後方から支援・追撃するのが役割なんですわ!あんなドラゴンに真正面から来られて…攻撃できるわけないじゃありませんか!!」
マリアンの叫び声を聞き、ルークも独り言から覚め、こちらに来ます。
「そうだよ。マリアンの言う通りだ。僕も狙撃手なんだ。そもそもが後衛なんだよ。だから役立たずとは言わないでほしいな。役割が違うんだ。」
「…ではもし仮に、貴様らの前方の味方が倒れた場合どうする?」
「それは…」
「逃げるに決まっているじゃないか。」
「倒れた味方を置いてか?」
「えっ…」
「そっ…それは…彼らだってプロだ!少なくとも僕の仲間は…だから、自分達でなんとかするさ!」
「自分達でなんとかできないほどの致命傷を負った場合はどうする?」
「…」
「そっ……それは……そんな事にはならないさ!!今まで1度だってなったことないんだから!」
「そうか…ではやはり貴様は役立たずだな。」
「えっ?!なんでだい…?!僕はSSS級…」
キノクニは、ブツブツと言い訳を続けるルークを睨み、マリアンに問いかけます。
「貴様はどうだ。」
「わ…わたくし…?」
「そうだ。そちらの男と同じ意見か。」
「わたくしは…見捨てて逃げる事などできませんわ。たとえ死んででも、仲間を救います。」
マリアンはキノクニを睨んで答えました。
「そうか。では貴様も役立たずだな。」
「…えっ?!なっ…なんでですの?!今のが貴方が欲した答えなのでは…」
「私ならば事前にどの様な敵がいるかを調べ、その敵が己が手に余るようならば近づかぬ。仲間がいるなら尚のこと。冒険者ならば言うまでもなくだ。」
「そんな!理不尽ですわ!そのような選択肢は用意されていませんでしたわ!」
「私は最初からどのような選択肢も用意していない。ただ"どうする"と聞いただけだ。」
「…では、見せてくださいませ…!」
「何…?」
「貴方のやり方を!もし仲間が…わたくしと言う役立たずがパーティーにいた場合、貴方ならどうするのか!わたくしは貴方から…そう!貴方から何か学ばなければ、自分が許せませんわ!貴方に負けた自分が!だから貴方を追いかけて来ましたの!!」
キノクニは明らかに不機嫌になり、マリアンににじり寄ります。
「…」
「わ…わたくしは譲りませんわよ…」
「…私に役立たずの荷物は必要ない。貴様が私を追って来た理由も、私には関係ない。よって貴様を私が守る理由も、何かを学ばせる理由も無い。」
「…!」
ルークがこの言葉を聞いて眉間にしわを寄せ怒鳴ります。
「そんな…!そんな言い方はないだろう!彼女は女性…」
「性別など関係ない。」
「…」
マリアンは目を見開き、ジッとキノクニを見つめています。
「…ふん。勝手について来て、勝手に野垂れ死にたくば、好きにしろ。いずれにしろ、私には関係の無いことだ。」
「…分かりましたわ。」
「マリアン?!何を言ってるんだい?!正気かい?!」
「わたくしは至って正常ですわ…旅の荷物も、マジックバックに常備してあります…」
「でも危険だよ!ロクな防具も付けてないし、武器もその杖だけじゃないか!」
「かまいませんわ…ルーク様はギルドに戻ってくださいませ。」
「…はぁ。そんな訳にはいかないだろう…君と他の男のを、2人きりにできる訳ないじゃないか…僕も行くよ。」
「…はぁ」
キノクニの溜息はますます重くなるばかり。
もう深く考えることはやめて、前に進む事にしたキノクニでした。
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「ギギャアアア!!」
「5体目だ…」
「豊作やなー!」
「凄まじいですわ…」
「き、きっとあの戦鎚が高性能なんだよ…後でギルドへの寄贈を提案してみよう…」
あれから3時間程経ちます。あたりは夕暮れ、なだらかな下り坂で、地面も平らで歩きやすい環境です。
しかし、この3時間の間に、様々な種類のドラゴンが襲って来ました。
よほどの事がない限り、襲ってこないはずのドラゴンがです。
「こら明らかに主の差し金やな…」
グリモアの言った通り、平原の主が送り込んできた刺客達でした。
しかし、キノクニはそれらを全て難なく屠り、全ての竜を回収していました。
「なあ。これもう素材足りとるんとちゃう?戻ろうや。なあ。」
「今から戻れば背をやられる。ああいう主と呼ばれるような手合いは臆病だ。一度自分の脅威となる存在を見つけると、是が非でも殺そうとしてくる。お前の空白だらけの行間にでも記録しておけ。」
「空白だらけちゃうわ!!余裕や余裕!…でも一応覚えとくわ。それ。」
「…あの…」
ずっと黙ってついて来ていたマリアンが、キノクニに話しかけました。
「最初から気になっていたのですが、キノクニ様は、どなたかとお話しになられているのですか?」
「…貴様には関係無かろう。」
「でも…気になるんですもの…」
マリアンは目を伏せ、居心地の悪い様子です。
「……おい。」
「ん?なんや?」
「お前と喋りたいそうだ。」
「えー?嫌や面倒くさい。一度話したら聞こえんくするのにものごっつい魔力消費するんやで?大体オレ貴族は嫌いやねん。」
「旅人くん!マリアンが悲しそうじゃないか!教えてあげなよ!僕も気になってたんだ!」
「…」
「…あーもう!わかったわかったて!しゃーないなもぅ……んガオー!!」
「「うわぁっ?!?!」」
「はいどうもー。オレの声が聞こえるか?オレはグリモア。コイツと旅する偉大な魔本や。ま、以後よしなに。」
「…すごい…その腰の本ですの…?」
「せや。かっこええやろ?」
グリモアはマリアンのすごいという言葉に、満更でもありませんでした。
「まさか知性を持った魔道具かい…?!すごいね旅人くん!それ君が持っているにはもったいないよ!是非ギルドに寄贈すべきだ!!というかそんな乱雑に扱っていい訳ない!僕に貸しなよ!丁寧に包んで持っていてあげるから!」
「…だそうだが?」
「はぁ…これやから貴族は嫌いなんや…」
「僕は貴族じゃないよ?庶民の出さ!さあ!グリモアくん!こっちへおいでよ!」
「…庶民も嫌いになりそうや…」
グリモアはうんざりして黙り込んでしまいました。
「あれ?グリモアくん??おーい!グリモアくん!」
「…」
グリモアはもう返事をすることを放棄しました。
よほどルークのことが嫌いなのでしょうね。
「ねえ!旅人…キノクニ君だっけ?!その本僕に貸してくれよ!今だけ!今だけでも良いからさ!頼むよ!ねえ!」
「…」
キノクニも呆れを通り越して無の境地です。
ルークを見もしません。
「ねえ!ねえってば!…マリアン!君もこの本は僕に相応しいと思うだろ?!」
「え…いや…わたくしはその…」
「思うよね?!なんたって同じSSS級冒険者なんだから!さあ!キノクニ君!その本を寄越しなよ!!」
ゴシャンッ!!!!
次の瞬間、ルークは地面にめり込んでいました。
マリアンとの決闘と、同じ要領です。
地面が土だったため、死なずには済んでいますが、もう喋らなくなってしまいました。
「何をしていますの?!」
「黙らせただけだ。下は土。死にはしていまい。」
「だとしても…!」
「貴様も再び埋めるか?」
「…同じ轍は踏みませんわよ……!!」
「…ふん。」
キノクニはそれ以上取り合わず、周囲を見回して適当に開けた場所を見つけると、ポーチからテントを取り出して設置し始めました。
「…もう野営の準備をしますの?」
「もうすぐ日が沈む。夜になって隠れる場所も無いこの平原で、動き回るのはあまりに危険だ。拠点を作り腰を据えた方が夜は戦いやすい。」
「夜はって…まだ戦う気ですの?」
「ドラゴンは夜行性だ。昼間より追撃が激しくなるだろう。」
「そんな…そんな中での野営なんて…」
「あー、大丈夫やてお嬢ちゃん。こいつ寝んくても2、3日は大丈夫やから。せやからお嬢ちゃんはそこのアホ掘り起こしてとっとと都帰り。あの杖に跨って飛ぶ術ならすぐ着くやろ。」
「か…帰りませんわ!意地でも居ますわ!!」
マリアンはルークを引っ張りだしつつ、冷たいグリモアに反発することしかできませんでした。
続きは次回のお楽しみです。
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