のっぺら無双

やあ

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記録三十九:舞闘決着〜グリモア吸収

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 キャプテンはケタケタギャハハと舞い浮かび、キノクニをレイピアで刺し腐らせようとしたり、大砲で仕留めようとしたり、銃で撃ち抜こうとしてくる。

 キノクニはひたすら光魔法で避け、灰色のグリモアを探すが見つからない。

 「このまんまやとジリ貧やぁ…」

 グリモアの言う通り、避け続けるのにも限度がある。

 キノクニの服は所々が茶色く腐り、穴だらけだった。

 「ぬぅ…宙を舞うのが鬱陶しい。加えてこの騒ぎ…」

 『『『ウィー!ウィー!
 ウィーーーーーー!!!!』』』

 キノクニは周りの観衆の喚き声で、レイピアの刺突音や銃の発砲音を度々聞き逃していた。

 「…そこからだ。」

 キノクニはそう呟くと、双剣をしまい、腰の手斧を抜いた。

 ガンマから受け取って以来、初の純白の手斧の出番だ。

 「ぬううううう…」

 「な、何する気や?」

 「この会場ごと叩き斬る。」

 「はぁ!?あ!まさかその斧…」

 キノクニは両腕を輝かせ、斧に念じる。

 ___強大なれ。斧よ。この山を斬り裂ける程に。質量とともに、強大に…!!!___

 すると、一瞬斧がプルプルッと振動したかと思うと、次の一瞬には、キャプテンよりも船よりも巨大な斧が、そびえ立っていた。

 『なぁああああ!!!?』

 『『『ぎゃあああああ!!!』』』

 『『『なんじゃこらぁ!!?』』』

 『『『白い骨かぁ!!?』』』

 キャプテンも観衆も顎が外れるほどにカタカタと驚いている。

 「ぬうううううううううう
      あああああああああっ…」

 キノクニの腕は今までで一番輝き、上腕も前腕も大黒柱のように太く膨張していた。

 そのまま斧の柄を抱きかかえるように掴むと、キノクニは一気に腰を落とし…

 「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 メシャバキゴキドガバリュドガラシャアアアアン!!!!!

 そのまま横薙ぎ一閃。

 半ば倒れるように奮われた斧は、コロシアムを斬り抉り、観衆を吹き飛ばし、キャプテンをバラけさせた。

 凄まじい風と轟音が、コロシアムを襲い、全てを薙ぎ払った。

 海賊船は、少し下段にあったため、マストを少し削るに留めていた。

 「……マジか…お前腕力だけでアレを振り回したな…ほとほとバケモンめ…」

 「ふー…ふー…ふぅっ!!!
 そんなことはどうでも良い。
 鑑定を。」

 「え?でもジャミングが…」

 「いいからやれ。」

 「ほ、ほい!」

__________________
 名前:"キャプテン"モロク・ザ・ギュ
       ースタス

 種族:不死族 Lv.10

 職業:海賊頭 Lv.10

 数値:攻 8000
   :守 9800
   :魔 25000
   :運 3
   :???(鑑定Lv.10)

 特性:巨大化
   :再生
   :瞬間移動
   :身体自由操作
   :装備巨大化
   :常時愉快
   :増殖
   :???(鑑定Lv.10)

 技能:海賊剣術 Lv.7
   :海賊銃術 Lv.5
   :統率者 Lv.8
   :小粋なジョーク Lv.1
   :???

 説明
 命無き海賊達の頭。その呪われた体と
 存在は、いかにすり潰そうと消し去る
 ことはできない。ゆっくり低い声で話
 そうとするが、苦手である。
__________________

__________________
 名前:根腐レ荊ノ道連レイピア

 分類:剣 Lv.5

 数値:攻 1500
   :魔 8000
   :運 0

 特性:腐蝕(超)
   
 説明
 根腐れを起こした魔界荊の棘を刃に用
 いたレイピア。鍔には荊の花びらをあ
 しらっている。攻撃力はそこまでない
 が、凄まじい腐蝕効果を持ち、敵を一
 瞬で腐らせ、骨だけにしてしまう。
 ちなみに銘は、ダジャレ好きな製作者
 の魔女がつけたもの。
__________________

__________________
 名前:大砲

 分類:銃 Lv.4

 数値:攻 5000

 説明
 何の特徴も無い普通の大砲。それ以上
 でも、以下でも無い。
__________________

__________________
 名前:永久弾倉搭載型魔銃"長丸ノ三"

 分類:魔銃 Lv.8

 数値:攻 2300
   :守 800
   :魔 6000
   :運 0
   :???

 特性:永久弾倉
   :魔付与可
   :追尾弾
   :???

 説明
 永久に撃ち続けることができる魔銃。
 元はとある島国で使われていた、筒の
 長い猟銃。筒内には、弾の威力を増大
 させるための溝が彫られており、威力
 が増大するだけでなく、落ちない。
__________________
 
 「あっ!途切れた!まだまだ鑑定できそうなのあったんやけど!?
 てか、なんで急に鑑定できたんや?」

 「お前は…ふん!…ストレスや…
 ぬりゃあ!…衝撃に弱いからな。」

 「…あー、それで他のグリモアもそうちゃうかと思ったんや…
 じゃかあしい!オレは繊細なんや!」

 キノクニはグリモアと話しつつ、斧の一撃で目を回しているキャプテンの腕から、銃とレイピアを奪った。

 「見込んだ通り、この2つは使えそうだ。」

 そう言うとどちらもポーチにしまいこむ。

 「ほんまに海賊から強奪しおったで…」

 残るはグリモアだ。

 探し始めたその時だった。

 『『『ケタケタケタケタ…ギャハハハハハハハ…
 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ…』』』

 観衆達がゆらりと起き上がり、笑い始めたのだ。

 そればかりでは無い。

 『ケタケタケタケタケタケタ…』

 キャプテンもブワリと浮かび上がり、笑い出した。

 「不死とは、伊達ではないようだ。」

 キャプテンはヒビだらけでボロボロになっており、今にも崩れ落ちそうになっていた。

 『ケタケタケタケタ…
 サア、ヤロウドモ。サイコウノヨルモジキアケル。
 ナゴリオシイカ?ワガハイモダ…』

 『『『ウィ!ウィ!ウィ!ウィ!
 ウィ!ウィ!ウィ!ウィ!』』』

 『ギャハハハハハハハ…
 ダガナニゴトニモオワリトハジマリガアル……
 アツマレヤロウドモォ!!!!』

 『『『ウィーーーーー!!!!』』』

 ガラガラガラガラガラガラガラガラ!

 全ての骨が舞い上がり、全ての声が集まっていく。

 それはやがて、やおら形を織り成して、キノクニの前に立ち上がる。

 巨大な、山をも跨ぐ骸骨が、キノクニを見下ろしていた。

 『サア!シュウマクダ!!!
 ケタケタケタケタケタケタ!!!』

 「あ…が…!」

 「…」

 グリモアは気絶し、キノクニは先程手に入れた銃を構え、骨巨人を見据えていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 『ガアアアアアアアアアアア!!!』

 大量の骨が巨人の口から吐瀉される。

 それは重力に引っ張られ、キノクニを襲い肉を削ぐ。

 腕にはおびただしい数の歯片が刺さり、胸は血びたしに抉れ、太腿は目に見えて細くなっていた。

 しかし、キノクニは銃を降ろさなかった。

 キノクニにも分かっていたのだ。

 これで終幕だと。

 キノクニの目に、一瞬光るものが映る。

 キノクニはそこを確と見る。



 パァ……………ン………!!

 

 大量の骨が降り注ぐ音に紛れ、一発の銃声が鳴り響く。

 キノクニは一発しか撃たなかった。

 何故なら、それで全て終わりだと分かっていたからだ。

 『ア…カ……ガ…バハッ…………』

 ピキッ


 ビキビキビキッ…


 バキィィィィィィィィンッ…!

 骨巨人の胸から、ガラスの割れるような音が響き、巨人は崩れ落ちた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ガラガラガラ…

 骨が降り注ぐ中、それでもキノクニは殺気を消さなかった。

 目の前に海賊帽を被り、服を着た、片手がフックの骸骨…キャプテンが、立っていたからだ。

 『…ケタケタケタケタ…オマエヲ…
 カナラズ…ワレラガナカマニ…』

 キャプテンはフックを振りかぶってキノクニに襲いかかる。

 しかし、キノクニはそれをかがんで避け…

 カコオオオオオンッ…

 顎を拳で打ち抜き、キャプテンを沈めた。

 「…もし、私の生き方が違えばあるいは…貴様らと共に在ったかもしれん…」

 「……最後まで、それこそ顔無しやと分かっても、お前を仲間にしようとしてたな…まぁ、曲がりなりにもやけど…」

 「…目覚めたか。」

 「えっ、いや、気絶してへんよ?ほほほほほ、ほんまやで?なあ。」

 「…こいつの首に掛かっているのはなんだ。」

 「…ああっ!」

 そこには灰色の本が、大切そうに首からかけられていた。
 紛れも無く、グリモアだった。

 「ああ…やっと1冊目や……」

 「…ふざけるなよ…」

 「…なんだ。」

 グリモアが喜んでいると、別の声が聞こえてきた。

 「なんでこんな強い人間がいるんだ…
 聞いてない。卑怯だぞお前…」

 「これが灰色のグリモアや。どや?
 陰気な奴やろ?」

 「うるさい…大体顔の無い所持者なんかダサいんだよ…」

 「はは!負け惜しみか!おい、お前!昔、散々オレの陰口叩いてくれたよな!
 役立たずやら、穀潰しやら!
 どや?そのオレにやられる気持ちは!」

 「ちくしょう…こんなはずじゃなかった…この島で、こいつら操って、誰にも見つからずに暮らすはずだったのに…
 こいつら操れないし、馬鹿なんだもん…」

 「そらちゃうぞ!灰色!
 所有物は所持者の為に在るもんや!
 所有者を罵ってる時点で、信じてへん時点で、お前の負けや!」

 「ちくしょう…」

 「キノクニ!オレの表紙を、こいつにくっつけてくれ!」

 「…こうか。」

 キノクニはグリモアを灰色グリモアに押し付ける。

 「よっしゃ!いただきまーす!!」
  
 「…僕もお前のように、生ある奴に仕えたかった……。
 今いくよ。ママ…」

 チュルンッ!
 
 グリモアは、灰色グリモアをゼリーでもすするかの如く吸収した。

 「…~~~よっしゃあ!!
 一冊目、ゲットやぜえええ!!
 わしゃしゃしゃしゃ!!
 おおきにな、キノクニ!全部お前のお陰や!!後で本邦初公開!オレ自身の鑑定結果を教えたるからなぁ!!」

 「…何かくる。……ふんっ!」

 グリモアが歓喜に打ち震える中、キノクニが周囲を見回し警戒する。

 一体何が来るのだろうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 そして、グリモアはどのように進化したのでしょうか?

 次回は口調が元の通りです。

 少し遅いですが、

 "K.O.Winner,Kinokuni!"

 続きは次回のお楽しみです。

 


 
 
 



 
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