40 / 43
記録四十:山頂〜死の灰谷
しおりを挟む
キノクニは斧を構え、周囲を見回します。
すると、散らばっていた全ての骨の残骸が、渦巻き始めました。
シュオオオオオオオ…
そして、それはやがて海賊船に向かって飛んで行きました。
そちらに目を向けると、青服のリーダーや、メガネくん、元アル中の戦士や、他のクルー達が大きな紫色の壺を抱えてこちらへ向かって来ていました。
巨大な大腿骨や、骨片、フックは、その壺に吸い込まれ、綺麗に…いえ、フックや大腿骨は飛び出ていますが…収まりました。
キノクニは斧を構え、応戦しようとします。
しかし…
『おーーーい!オッサン!見てたぜ!
凄え儀式だったなぁ!
ケタケタケタケタ!!!
…そんな怖え顔すんなよ。悪気は無かったんだ…
まぁ、殺そうとしたけどな!』
リーダーは近づいてくると、キノクニの肩を叩き大笑いしました。
キノクニは思わず斧を落としそうになりますが、斧が吸い付き、それを回避します。
「…私は奴を殺したのだぞ…
…何故笑っている…」
『ギャハハハハハハハ!!
そりゃオメェ、死んでねえからだよ!
そうですよねぇ!キャプテン!!』
リーダーが壺に話しかけると、壺がカタカタと揺れます。
そして、声さえ出しました。
『イキテルヨ。シンデルケドネ。』
「何…だと…」
「マジかいな!!ビビるわほんま!!
あんだけ粉々にされて、核砕かれて、まだ冗談言うとる!」
『ワー。ビックリシタ。ソノホンカ。
ボクノグリモアトイッショダネ。』
『ギャハハハハハハハ!
いい声じゃねえか!本なのになぁ!?
ケタケタケタケタ!!』
グリモアはつい、全員に聞こえるように喋ってしまいました。
キノクニはもう怒りませんでした。
今回の一件の、全てに呆れていたからです。
「…はぁ…それで、なんだ?」
『……キャプテン、頼みがあります。
やはりこのオッサンを、俺らの仲間にしていただけやせんでしょうか?』
「なんだと…!!!?」
「わしゃしゃしゃしゃ!!」
リーダーはとんでもない事を言い出しました。
しかし、返答は意外にも、拒否でした。
『ナラン…
ギシキハシッパイニオワッタ…ニクガアルモノハ、カイゾクニハナレナイ…』
『やはりダメですかい…』
『……デモ…』
『お?』
『トモダチナライイヨ。』
『キャプテン!』
「なんだそれは…」
「わしゃしゃしゃしゃ!!
良かったなキノクニ!!
初のお互い公認のダチやないかい!」
「私はそんなもの…」
『アレアゲチャッテ!』
『ケタケタ…へい!キャプテン!
おい、オッサン!良かったなぁ!
これ持ってんのは、今の時代はオッサンだけだ!』
そう言うと、リーダーは懐から頭蓋骨を模した筒状の物を手渡して来ました。
「なんだこれは…」
『まぁ聞け。
そいつは"亡者の汽笛"っつう縦笛だ。
それをピューイと鳴らせば、俺らはどんな場所にも現れる。
極端に過酷な場所や、犬を売る店とかじゃなけりゃあな!
オッサンが俺たちの力を欲した時に吹いてくれ!
まぁ、"ダチの証"って奴だな!』
「…」
「ええやん、ええやん!貰っとき!
困った時はお互い様や!」
「おい、余計な事を…」
『おぉ!いい言葉だな!
ケタケタケタ!
俺らも困ったらオッサンを頼らせて貰うぜ!!』
「わしゃしゃしゃしゃ!
ええってこっちゃ!
なあ?キノクニ!」
「…もういい。」
「わしゃしゃしゃしゃ!
差し当たってリーダーさん?俺ら魔族領に行きたいんやけど、運んでくれへんかいな。」
『なんだと…そりゃ本当か?
オッサン。』
「…そうだ。」
『そうか…メガネ!
どうだ?船の調子は?』
『はい!リーダー!
オジサンがくれた助言で作った、魔導ジェットエンジンはすこぶる好調だよ!
キャプテンのグリモアが無くなって、魔力の流れが良くなったみたい!』
『ギャハハハハハハハ!
おいおい運が良いなオッサン!!
オッサンがやったことで、オッサンの道が拓けたぜ!ケタケタケタケタ!』
「そうか…」
「なんでエンジンの調子なんぞ聞くんや?」
『ん?ああ。
ま、そりゃおいおい話そう。
キャプテン、号令、俺がかけても?』
『イイヨ。』
『野郎どもおおおおおお!!!
航空用おおおお意!!』
『『『ウィーーーーー!!!』』』
さっきまでの賑やかさとは違った賑やかさを醸し出し、全員が船で準備を始めます。
キノクニも、最初とは良い方向へ変わった印象を心に抱き、船に乗り込んで行きました。
柔らかな朝日が、みんなを包んでいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
__________________
名前:"終"のグリモア
分類:魔法書 Lv.3
数値:攻 100
:守 50
:魔 5000
:運 5
特性:永久記録
:発語
:全方位視覚
:夜目
:言語理解
:所持者選定(キノクニ)
技能:万物鑑定 Lv.3
:突っ込み Lv.7
説明
言わずと知れた最後のグリモア。黒い
外装は永久の印か無力の烙印か…
所有者にあらゆる物の知識を与えると
され、グリモアの中でも一際饒舌。
__________________
「どや!これがオレやで!」
「無力の烙印か…」
「そこだけに引っ掛かんなや!
役に立つやんけ!時々!!」
「…それよりお前のレベルが3ということは…」
「せや!
ブックカバーの力を使えんねん!
とくと見よ!
空飛ぶ本の摩訶不思議な様を!!」
『『『なんだなんだ!?』』』
現在、海賊とキノクニ一行は空の上です。天気は快晴。航路は順調です。
「はあああああああ…!」
『『『お、お、お~!?』』』
「…」
グリモアの自己鑑定の結果、レベルが上がっていたため、空を浮かべるか挑戦しているところです。
海賊達の注目が集まりますが、キノクニはどこか嘲笑気味です。
「ああああああああああああっ!!」
『『『お~~~~~!!!!』』』
ふわっ…ポスン。
『『『しょべぇ。』』』
「嘘~~~~~ん!?」
「無力の烙印か…」
「やめて!キノクニ!
捨てないで~!!!」
グリモアは涙ちょろちょろです。
キノクニはグリモアを掴み、何かを見ています。
「…ふむ。
魔力操作がまるでなっていない。
そこら辺の子供よりひどい。」
「…魔力操作…?…なにそれ…」
「魔力の循環を感じ、魔力の理を無の中で意識し、魔力を手足と同様に使う…
魔法の基礎中の基礎だ。
…魔法書であるお前が知らんのか。」
「…知らへん。」
「…」
「なんやその感じは!!絶対憐れんどるやろ!!知らんもんは知らんねん!!教えろや!」
「…ふん。私は厳しいぞ…」
「…お、おう。
メールちゃんやマリアンちゃんの時によう見とるわ…」
「では魔力が切れるまでひたすら浮遊しろ。使う感覚を覚えることからだ。」
「よっしゃあああああああ!!」
ふわっ…ポスン。
ふわっ…ポスン。
『ギャハハハハハハハ!!ったく、本当に面白いオッサン達だぜ!
なぁ、本当に魔族領なんかに行くのか?
あそこはおっかねぇ奴しかいねぇんだぜ?』
「…他のグリモアを探しに行く。
…私の記録を知るためにな。」
『どういうこった?』
キノクニは記憶が無い事をリーダーに話しました。
キノクニなりに心を許している証拠ですね。
『ほ~…なるほどなぁ。
しかしそんなに記憶や過去が大事か?
俺は俺だし、オッサンはオッサンだと思うんだがなあ…』
「ふん…大事か小事かなど、人それぞれだろう…」
『まぁ…そうだなあ。』
『オジサン。イッコイイ?』
そこへ、後ろにある壺から、キャプテンが話しかけてきました。
『ソロソロ"シノハイコク"ニツク。
ボクタチハソコニハハイレナイ。
ソコマデシカオクッテアゲレナクテゴメンネ。』
「どういうことだ。」
『ああ。"死の灰谷"っつってな。
生命力の弱い奴が近付くと、谷に命を吸われて死んじまうんだ。
俺らは死なねえが、死んで生き返ってを繰り返しちまうから、着地できねぇ。
魔族領には入れるが、魔王の目が光っている内は違法入国できねぇんだ。』
「構わん。そこまでで良い。」
『良し…そろそろだな。
準備しとけよ!オッサン!』
「わかった…」
地上に目を向けると、海賊達の言う通り、灰色の谷が見えました。
「ふん!ふん!ふん!」
「グリモアよ。到着だ。」
「ふん!…あ?ああ!早かったな!
魔族領か!
よっしゃ!やったるでー!」
「…」
『野郎どもおお!
錨をおろせええ!!』
『『『ウィーーーーー!!!』』』
ガラガラガラガラガラガコン!
錨を下ろして船が止まります。
いよいよ海賊達と別れの時です。
「さらばだ。」
「ほな、ありがとさん!」
『またなオッサン!
なんかあったら呼べよ!!』
『オジサンありがとう!
また会おうね!』
『オッサン…
道を示してくれて感謝するぜ…
またな…』
『寂しいわん。オッサン…
次来た時はチュウしてねん!』
『またイカタコを狩ってタコパするでごわす!
今度はみんなで狩るでごわすよ!』
『オジサン。マタネ。』
『総員!敬礼!』
ザッ!!
リーダーの号令で、海賊達が敬礼します。
キノクニとグリモアは、それを見ながら錨を降りて行きます。
太陽が高く昇り、キノクニ達の出発を祝福しているようです。
死の灰谷では、一体何が
「キャンキャンキャン!」
『『『ぎゃあああああ!!
オッサン助けてええええ!!』』』
『オッサン!行ったぞおおおお!』
「あ。」
「む。」
ぽむん!
キノクニの頭に、白い塊が着地しました。
勢いづいたキノクニは、そのままスルスルと滑り落ちて行きました。
『『『じゃーなーーーー!!
オッサーーーーーーーン!!!』』』
海賊達の声を聞きながら、キノクニは灰色の谷に落ちて行きます。
前途多難とは、このことでしょう。
こうして、勘違いから開幕した海賊騒動は、奇妙な絆を生み、騒がしく幕を閉じたのでした。
海賊達のその後は…?
キノクニはこの後、どうなるのでしょうか…?
続きは次回のお楽しみです。
すると、散らばっていた全ての骨の残骸が、渦巻き始めました。
シュオオオオオオオ…
そして、それはやがて海賊船に向かって飛んで行きました。
そちらに目を向けると、青服のリーダーや、メガネくん、元アル中の戦士や、他のクルー達が大きな紫色の壺を抱えてこちらへ向かって来ていました。
巨大な大腿骨や、骨片、フックは、その壺に吸い込まれ、綺麗に…いえ、フックや大腿骨は飛び出ていますが…収まりました。
キノクニは斧を構え、応戦しようとします。
しかし…
『おーーーい!オッサン!見てたぜ!
凄え儀式だったなぁ!
ケタケタケタケタ!!!
…そんな怖え顔すんなよ。悪気は無かったんだ…
まぁ、殺そうとしたけどな!』
リーダーは近づいてくると、キノクニの肩を叩き大笑いしました。
キノクニは思わず斧を落としそうになりますが、斧が吸い付き、それを回避します。
「…私は奴を殺したのだぞ…
…何故笑っている…」
『ギャハハハハハハハ!!
そりゃオメェ、死んでねえからだよ!
そうですよねぇ!キャプテン!!』
リーダーが壺に話しかけると、壺がカタカタと揺れます。
そして、声さえ出しました。
『イキテルヨ。シンデルケドネ。』
「何…だと…」
「マジかいな!!ビビるわほんま!!
あんだけ粉々にされて、核砕かれて、まだ冗談言うとる!」
『ワー。ビックリシタ。ソノホンカ。
ボクノグリモアトイッショダネ。』
『ギャハハハハハハハ!
いい声じゃねえか!本なのになぁ!?
ケタケタケタケタ!!』
グリモアはつい、全員に聞こえるように喋ってしまいました。
キノクニはもう怒りませんでした。
今回の一件の、全てに呆れていたからです。
「…はぁ…それで、なんだ?」
『……キャプテン、頼みがあります。
やはりこのオッサンを、俺らの仲間にしていただけやせんでしょうか?』
「なんだと…!!!?」
「わしゃしゃしゃしゃ!!」
リーダーはとんでもない事を言い出しました。
しかし、返答は意外にも、拒否でした。
『ナラン…
ギシキハシッパイニオワッタ…ニクガアルモノハ、カイゾクニハナレナイ…』
『やはりダメですかい…』
『……デモ…』
『お?』
『トモダチナライイヨ。』
『キャプテン!』
「なんだそれは…」
「わしゃしゃしゃしゃ!!
良かったなキノクニ!!
初のお互い公認のダチやないかい!」
「私はそんなもの…」
『アレアゲチャッテ!』
『ケタケタ…へい!キャプテン!
おい、オッサン!良かったなぁ!
これ持ってんのは、今の時代はオッサンだけだ!』
そう言うと、リーダーは懐から頭蓋骨を模した筒状の物を手渡して来ました。
「なんだこれは…」
『まぁ聞け。
そいつは"亡者の汽笛"っつう縦笛だ。
それをピューイと鳴らせば、俺らはどんな場所にも現れる。
極端に過酷な場所や、犬を売る店とかじゃなけりゃあな!
オッサンが俺たちの力を欲した時に吹いてくれ!
まぁ、"ダチの証"って奴だな!』
「…」
「ええやん、ええやん!貰っとき!
困った時はお互い様や!」
「おい、余計な事を…」
『おぉ!いい言葉だな!
ケタケタケタ!
俺らも困ったらオッサンを頼らせて貰うぜ!!』
「わしゃしゃしゃしゃ!
ええってこっちゃ!
なあ?キノクニ!」
「…もういい。」
「わしゃしゃしゃしゃ!
差し当たってリーダーさん?俺ら魔族領に行きたいんやけど、運んでくれへんかいな。」
『なんだと…そりゃ本当か?
オッサン。』
「…そうだ。」
『そうか…メガネ!
どうだ?船の調子は?』
『はい!リーダー!
オジサンがくれた助言で作った、魔導ジェットエンジンはすこぶる好調だよ!
キャプテンのグリモアが無くなって、魔力の流れが良くなったみたい!』
『ギャハハハハハハハ!
おいおい運が良いなオッサン!!
オッサンがやったことで、オッサンの道が拓けたぜ!ケタケタケタケタ!』
「そうか…」
「なんでエンジンの調子なんぞ聞くんや?」
『ん?ああ。
ま、そりゃおいおい話そう。
キャプテン、号令、俺がかけても?』
『イイヨ。』
『野郎どもおおおおおお!!!
航空用おおおお意!!』
『『『ウィーーーーー!!!』』』
さっきまでの賑やかさとは違った賑やかさを醸し出し、全員が船で準備を始めます。
キノクニも、最初とは良い方向へ変わった印象を心に抱き、船に乗り込んで行きました。
柔らかな朝日が、みんなを包んでいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
__________________
名前:"終"のグリモア
分類:魔法書 Lv.3
数値:攻 100
:守 50
:魔 5000
:運 5
特性:永久記録
:発語
:全方位視覚
:夜目
:言語理解
:所持者選定(キノクニ)
技能:万物鑑定 Lv.3
:突っ込み Lv.7
説明
言わずと知れた最後のグリモア。黒い
外装は永久の印か無力の烙印か…
所有者にあらゆる物の知識を与えると
され、グリモアの中でも一際饒舌。
__________________
「どや!これがオレやで!」
「無力の烙印か…」
「そこだけに引っ掛かんなや!
役に立つやんけ!時々!!」
「…それよりお前のレベルが3ということは…」
「せや!
ブックカバーの力を使えんねん!
とくと見よ!
空飛ぶ本の摩訶不思議な様を!!」
『『『なんだなんだ!?』』』
現在、海賊とキノクニ一行は空の上です。天気は快晴。航路は順調です。
「はあああああああ…!」
『『『お、お、お~!?』』』
「…」
グリモアの自己鑑定の結果、レベルが上がっていたため、空を浮かべるか挑戦しているところです。
海賊達の注目が集まりますが、キノクニはどこか嘲笑気味です。
「ああああああああああああっ!!」
『『『お~~~~~!!!!』』』
ふわっ…ポスン。
『『『しょべぇ。』』』
「嘘~~~~~ん!?」
「無力の烙印か…」
「やめて!キノクニ!
捨てないで~!!!」
グリモアは涙ちょろちょろです。
キノクニはグリモアを掴み、何かを見ています。
「…ふむ。
魔力操作がまるでなっていない。
そこら辺の子供よりひどい。」
「…魔力操作…?…なにそれ…」
「魔力の循環を感じ、魔力の理を無の中で意識し、魔力を手足と同様に使う…
魔法の基礎中の基礎だ。
…魔法書であるお前が知らんのか。」
「…知らへん。」
「…」
「なんやその感じは!!絶対憐れんどるやろ!!知らんもんは知らんねん!!教えろや!」
「…ふん。私は厳しいぞ…」
「…お、おう。
メールちゃんやマリアンちゃんの時によう見とるわ…」
「では魔力が切れるまでひたすら浮遊しろ。使う感覚を覚えることからだ。」
「よっしゃあああああああ!!」
ふわっ…ポスン。
ふわっ…ポスン。
『ギャハハハハハハハ!!ったく、本当に面白いオッサン達だぜ!
なぁ、本当に魔族領なんかに行くのか?
あそこはおっかねぇ奴しかいねぇんだぜ?』
「…他のグリモアを探しに行く。
…私の記録を知るためにな。」
『どういうこった?』
キノクニは記憶が無い事をリーダーに話しました。
キノクニなりに心を許している証拠ですね。
『ほ~…なるほどなぁ。
しかしそんなに記憶や過去が大事か?
俺は俺だし、オッサンはオッサンだと思うんだがなあ…』
「ふん…大事か小事かなど、人それぞれだろう…」
『まぁ…そうだなあ。』
『オジサン。イッコイイ?』
そこへ、後ろにある壺から、キャプテンが話しかけてきました。
『ソロソロ"シノハイコク"ニツク。
ボクタチハソコニハハイレナイ。
ソコマデシカオクッテアゲレナクテゴメンネ。』
「どういうことだ。」
『ああ。"死の灰谷"っつってな。
生命力の弱い奴が近付くと、谷に命を吸われて死んじまうんだ。
俺らは死なねえが、死んで生き返ってを繰り返しちまうから、着地できねぇ。
魔族領には入れるが、魔王の目が光っている内は違法入国できねぇんだ。』
「構わん。そこまでで良い。」
『良し…そろそろだな。
準備しとけよ!オッサン!』
「わかった…」
地上に目を向けると、海賊達の言う通り、灰色の谷が見えました。
「ふん!ふん!ふん!」
「グリモアよ。到着だ。」
「ふん!…あ?ああ!早かったな!
魔族領か!
よっしゃ!やったるでー!」
「…」
『野郎どもおお!
錨をおろせええ!!』
『『『ウィーーーーー!!!』』』
ガラガラガラガラガラガコン!
錨を下ろして船が止まります。
いよいよ海賊達と別れの時です。
「さらばだ。」
「ほな、ありがとさん!」
『またなオッサン!
なんかあったら呼べよ!!』
『オジサンありがとう!
また会おうね!』
『オッサン…
道を示してくれて感謝するぜ…
またな…』
『寂しいわん。オッサン…
次来た時はチュウしてねん!』
『またイカタコを狩ってタコパするでごわす!
今度はみんなで狩るでごわすよ!』
『オジサン。マタネ。』
『総員!敬礼!』
ザッ!!
リーダーの号令で、海賊達が敬礼します。
キノクニとグリモアは、それを見ながら錨を降りて行きます。
太陽が高く昇り、キノクニ達の出発を祝福しているようです。
死の灰谷では、一体何が
「キャンキャンキャン!」
『『『ぎゃあああああ!!
オッサン助けてええええ!!』』』
『オッサン!行ったぞおおおお!』
「あ。」
「む。」
ぽむん!
キノクニの頭に、白い塊が着地しました。
勢いづいたキノクニは、そのままスルスルと滑り落ちて行きました。
『『『じゃーなーーーー!!
オッサーーーーーーーン!!!』』』
海賊達の声を聞きながら、キノクニは灰色の谷に落ちて行きます。
前途多難とは、このことでしょう。
こうして、勘違いから開幕した海賊騒動は、奇妙な絆を生み、騒がしく幕を閉じたのでした。
海賊達のその後は…?
キノクニはこの後、どうなるのでしょうか…?
続きは次回のお楽しみです。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる