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第一章 冒険の始まり
1日目 異国の地
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「おい、ここどこだ…」
今にでも霊が出そうな暗い雰囲気に思わず身震いしそうになる。誰かいますかーと言いたくなったが、は~いと霊が答えるのではと思い、声が出なくなってしまう。急に知らないところに連れ去られ、更には頼れる人もいないということでとても不安になっていた。
その時、
「おーい、誰かいるのか?」
と暗闇の中から声がした。
思わず、声がした方へ走っていくと、かごを背負い、手には明かりを持っているおじいさんがいた。
「すいません!なんかいろんなことがあって、迷子になっちゃったんですけど、ここってどこですか?」
「お前さん、迷子なのか。それにしてもこんなところになんで一人で?」
人がいることが確認できて少しホッとした。
この人だったら大丈夫なのではと思い、ここに来た経緯を話すことにした。
「信じてもらえないかもしれないんですけど…」
「ほぉ~~で、気づいたらここにおったと。」
「はい…」
「はっはっは。面白い話だな。」
「そういうことならあんた、わしについてこい。家に入れたげるで。」
「あ、ありがとうございます!」
しばらく歩いてくと明るくなっていき、周りもよく見えるようになっていった。
「あ!ここって森だったんですね。暗くて見えなかったけど。」
「ここは暗黒の森と言われてて、日中でも陽がほとんど当たらなくてな、もっと奥の方だと、魔物がうろちょろいるんだぞ。」
「わしは森の木の周りに生える、マシュルンを取って、市場で売ってるんじゃよ。」
「マシュルン?」
「あぁ、こいつだよ」
と言っておじいさんは木に生えた植物を見せてくれた。見た目はキノコに似ていて、傘はオレンジ色をしていた。
「スープにいれると美味しんだぞ~」
「ついた。ここがわしの家だ。」
見ると、レンガの家があった。屋根には煙突がついている。自分がいた時代にはないものだ。
「今から薪を取ってくるから中にはいって待っててな。」
「薪?なんでいるんですか?」
「ははは。釜を煮るのに使うんだよ。」
「なるほど。」
文明はあまりすすんでいないことから昔の時代なのではと考えられる。やはり時間移動してしまったのか。
「そこ、座ってええよ。」
「ありがとうございます。」
家の中に入ると、真ん中にテーブル、奥に暖炉があり、右の方に大きな棚があり、瓶や食器などいろいろなものがおいてあった。1番上の段に小さな額縁に入った、写真があることに気がついた。写真には若い男の人と隣に並んだ若い女の人が写っていた。
「おじいさん。これは、おじいさんの写真ですよね?隣にいるのはもしかして、お嫁さんですか?」
「あぁ、そうだよ。懐かしいな。新婚のときに取ったやつだから、40年以上前の写真だな。」
「妻は、病気で20年前に他界してな。ここで一人で暮らしてるんじゃよ。」
「そうなんですか…それは失礼しました…」
「あんたが謝ることじゃないよ。一人でもやっていけてるし。」
テーブルの左右に椅子が1つずつ置いてあり、向かい合うように座った。
「そういえば言ってなかったが、わしの名はゴントじゃ。」
「僕は凪って言います。」
「ナギか、いい名だな。」
「わしは昔、魔物討伐をやっててな、英雄ゴントと呼ばれてたんだが、今はすっかり老いぼれてしまってな。はっはっは。」
「いえ、そんなことないです。」
「さっきだって、僕を救ってくれましたから。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「てかあんた、これからどうするんだい?」
「どうするって?」
「元の世界に帰りたいんだろ?」
「…はい。」
「じゃあ、ちょっとまっててな。」
といい、奥の方に何かを探しに行った。
「これ、ここの地図だ。」
「ダンドス…?」
「あぁ、さっき来た道を更に進んでいくと、街があってな、そこがダンドスだ。」
「街に入ってから真っすぐ行くと、大きな赤い屋根の宿屋がある。」
「そこで面倒見てもらいな。ゴントの名を出せば良くしてもらえると思うから。」
「ありがとうございます!」
「こんなに良くしてもらって…マジで感謝です!」
「人としてやるべきことをしただけだから。」
「さあ、今日はもう寝な。」
「はい!」
ひとくちコラム 「マシュルン」
この世界で言うキノコのようなもので育つ場所で大きさや風味が異なるぞ!種類もたくさんあって、薬の効果があるものもあるらしい…裏世界に行ったときには、ぜひ食べてみて。
今にでも霊が出そうな暗い雰囲気に思わず身震いしそうになる。誰かいますかーと言いたくなったが、は~いと霊が答えるのではと思い、声が出なくなってしまう。急に知らないところに連れ去られ、更には頼れる人もいないということでとても不安になっていた。
その時、
「おーい、誰かいるのか?」
と暗闇の中から声がした。
思わず、声がした方へ走っていくと、かごを背負い、手には明かりを持っているおじいさんがいた。
「すいません!なんかいろんなことがあって、迷子になっちゃったんですけど、ここってどこですか?」
「お前さん、迷子なのか。それにしてもこんなところになんで一人で?」
人がいることが確認できて少しホッとした。
この人だったら大丈夫なのではと思い、ここに来た経緯を話すことにした。
「信じてもらえないかもしれないんですけど…」
「ほぉ~~で、気づいたらここにおったと。」
「はい…」
「はっはっは。面白い話だな。」
「そういうことならあんた、わしについてこい。家に入れたげるで。」
「あ、ありがとうございます!」
しばらく歩いてくと明るくなっていき、周りもよく見えるようになっていった。
「あ!ここって森だったんですね。暗くて見えなかったけど。」
「ここは暗黒の森と言われてて、日中でも陽がほとんど当たらなくてな、もっと奥の方だと、魔物がうろちょろいるんだぞ。」
「わしは森の木の周りに生える、マシュルンを取って、市場で売ってるんじゃよ。」
「マシュルン?」
「あぁ、こいつだよ」
と言っておじいさんは木に生えた植物を見せてくれた。見た目はキノコに似ていて、傘はオレンジ色をしていた。
「スープにいれると美味しんだぞ~」
「ついた。ここがわしの家だ。」
見ると、レンガの家があった。屋根には煙突がついている。自分がいた時代にはないものだ。
「今から薪を取ってくるから中にはいって待っててな。」
「薪?なんでいるんですか?」
「ははは。釜を煮るのに使うんだよ。」
「なるほど。」
文明はあまりすすんでいないことから昔の時代なのではと考えられる。やはり時間移動してしまったのか。
「そこ、座ってええよ。」
「ありがとうございます。」
家の中に入ると、真ん中にテーブル、奥に暖炉があり、右の方に大きな棚があり、瓶や食器などいろいろなものがおいてあった。1番上の段に小さな額縁に入った、写真があることに気がついた。写真には若い男の人と隣に並んだ若い女の人が写っていた。
「おじいさん。これは、おじいさんの写真ですよね?隣にいるのはもしかして、お嫁さんですか?」
「あぁ、そうだよ。懐かしいな。新婚のときに取ったやつだから、40年以上前の写真だな。」
「妻は、病気で20年前に他界してな。ここで一人で暮らしてるんじゃよ。」
「そうなんですか…それは失礼しました…」
「あんたが謝ることじゃないよ。一人でもやっていけてるし。」
テーブルの左右に椅子が1つずつ置いてあり、向かい合うように座った。
「そういえば言ってなかったが、わしの名はゴントじゃ。」
「僕は凪って言います。」
「ナギか、いい名だな。」
「わしは昔、魔物討伐をやっててな、英雄ゴントと呼ばれてたんだが、今はすっかり老いぼれてしまってな。はっはっは。」
「いえ、そんなことないです。」
「さっきだって、僕を救ってくれましたから。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「てかあんた、これからどうするんだい?」
「どうするって?」
「元の世界に帰りたいんだろ?」
「…はい。」
「じゃあ、ちょっとまっててな。」
といい、奥の方に何かを探しに行った。
「これ、ここの地図だ。」
「ダンドス…?」
「あぁ、さっき来た道を更に進んでいくと、街があってな、そこがダンドスだ。」
「街に入ってから真っすぐ行くと、大きな赤い屋根の宿屋がある。」
「そこで面倒見てもらいな。ゴントの名を出せば良くしてもらえると思うから。」
「ありがとうございます!」
「こんなに良くしてもらって…マジで感謝です!」
「人としてやるべきことをしただけだから。」
「さあ、今日はもう寝な。」
「はい!」
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