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第三話 呪いを受けた日
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侯爵令嬢マデリーン・ヘリアンは魔女令嬢と言われるほどに、魔法を極めた令嬢である。
そんな彼女と出会ったのは、エイデンが呪いを受けた茶会であった。
「っく・・体が・・痛い。」
呪いを受けた影響なのか、全身に痛みが走る。
だが、王子二人は守りきることが出来た。
「お、お怪我はありませんか?」
王子に思わず手を伸ばすと、バッと避けられ、青ざめた王子が小さな声で言った。
「化け物。」
次の瞬間、体から突然、いつもは感じることのできる精霊の気配が抜け落ちる。
「え?」
「お・・まえ、その髪・・。」
悲鳴や、息を飲む声が聞こえる。
「髪?」
ひとつに結んでいた自分の髪を見て、僕は絶望を感じた。
それと同時に理解もする。
精霊は穢れを嫌う。
呪いを身に受けたのだから、精霊の守護を失うのも必然であろう。
痛みから膝をつくと、回りの人間が忙しなく動き始める。
まずは王子らを避難させる姿が目に入った。
自分に対する嫌悪や恐怖の目が映り、これから自分はどうなるのだろうという不安が胸を占めていく。
怖い。
誰も自分に手を差しのべるものはおらず、まるで自分と他人の間に見えない境界線が引かれたかのようであった。
その時だ。
ふわりと風が舞ったかと思うと、黒髪に紫色の瞳をした小柄な令嬢が、僕の額の傷を濡れたハンカチで拭いてくれた。
どうやら急いでハンカチを濡らしてきてくれたのか、少し息が上がっていた。
「大丈夫ですか?気分は?怪我は他にありませんか?」
他のもの達が、僕に近寄るのも、触るのも躊躇う中で、その令嬢は僕に優しく触れて手当てをし始めた。
「だい・・じょうぶ。その、僕に触れていいの?穢れが移ってしまうかも・・・」
思わず訪ねると、少女は少し悲しそうな表情を浮かべてから僕をぎゅっと抱き締めてくれた。
「大きな怪我がなくて良かったです。そんな事を言わないで。貴方だけが、ただ一人、王子らを救うことが出来た勇敢な人なのだから。」
先ほどの自分を避ける人々を見た瞬間、心が黒く塗りつぶされたような気持ちだった。
それが、この少女の一言で晴れていく。
そうだ。
何を不安がる必要があるのであろうか。
自分は王子ら二人を救うという勇敢な行為をしたのだ。誰に恥じるでもない。
この呪いは、勲章のようなものなのだ。
少女は少し顔を赤らめると身を放し、そしてはにかんだ笑みを見せると言った。
「ごめんなさい。勝手に抱きしめて。」
「ふふ。キミになら、いいよ。ねぇ、キミの名前を教えて?」
この時、僕は決めたんだ。
この少女を絶対に手放さないって。
僕はそれから両親にお願いをしてキミとの婚約を結ばせてもらった。早くしないとキミみたいに素敵な人はきっとすぐに婚約者が決まってしまうから。
婚約が決まった日、キミは戸惑ったような表情を浮かべながらも、僕に言ったね。
『私が絶対にその呪いを解いてみせるから。』
僕は別にこの呪いを左程不便にも感じていなかったから解かなくてもいいかと思っていたけれど、キミが頑張って魔法を練習し、呪いを僕の為に解こうとしてくれているのが嬉しくってそれは言わないでおいた。
だけど最近少しばかり後悔をする。
魔法を極め過ぎたキミは、色々なところから目をつけられ始めている。
ダメだよ。
キミは僕の物だ。
大丈夫だよ。キミは僕が守るから。
そんな彼女と出会ったのは、エイデンが呪いを受けた茶会であった。
「っく・・体が・・痛い。」
呪いを受けた影響なのか、全身に痛みが走る。
だが、王子二人は守りきることが出来た。
「お、お怪我はありませんか?」
王子に思わず手を伸ばすと、バッと避けられ、青ざめた王子が小さな声で言った。
「化け物。」
次の瞬間、体から突然、いつもは感じることのできる精霊の気配が抜け落ちる。
「え?」
「お・・まえ、その髪・・。」
悲鳴や、息を飲む声が聞こえる。
「髪?」
ひとつに結んでいた自分の髪を見て、僕は絶望を感じた。
それと同時に理解もする。
精霊は穢れを嫌う。
呪いを身に受けたのだから、精霊の守護を失うのも必然であろう。
痛みから膝をつくと、回りの人間が忙しなく動き始める。
まずは王子らを避難させる姿が目に入った。
自分に対する嫌悪や恐怖の目が映り、これから自分はどうなるのだろうという不安が胸を占めていく。
怖い。
誰も自分に手を差しのべるものはおらず、まるで自分と他人の間に見えない境界線が引かれたかのようであった。
その時だ。
ふわりと風が舞ったかと思うと、黒髪に紫色の瞳をした小柄な令嬢が、僕の額の傷を濡れたハンカチで拭いてくれた。
どうやら急いでハンカチを濡らしてきてくれたのか、少し息が上がっていた。
「大丈夫ですか?気分は?怪我は他にありませんか?」
他のもの達が、僕に近寄るのも、触るのも躊躇う中で、その令嬢は僕に優しく触れて手当てをし始めた。
「だい・・じょうぶ。その、僕に触れていいの?穢れが移ってしまうかも・・・」
思わず訪ねると、少女は少し悲しそうな表情を浮かべてから僕をぎゅっと抱き締めてくれた。
「大きな怪我がなくて良かったです。そんな事を言わないで。貴方だけが、ただ一人、王子らを救うことが出来た勇敢な人なのだから。」
先ほどの自分を避ける人々を見た瞬間、心が黒く塗りつぶされたような気持ちだった。
それが、この少女の一言で晴れていく。
そうだ。
何を不安がる必要があるのであろうか。
自分は王子ら二人を救うという勇敢な行為をしたのだ。誰に恥じるでもない。
この呪いは、勲章のようなものなのだ。
少女は少し顔を赤らめると身を放し、そしてはにかんだ笑みを見せると言った。
「ごめんなさい。勝手に抱きしめて。」
「ふふ。キミになら、いいよ。ねぇ、キミの名前を教えて?」
この時、僕は決めたんだ。
この少女を絶対に手放さないって。
僕はそれから両親にお願いをしてキミとの婚約を結ばせてもらった。早くしないとキミみたいに素敵な人はきっとすぐに婚約者が決まってしまうから。
婚約が決まった日、キミは戸惑ったような表情を浮かべながらも、僕に言ったね。
『私が絶対にその呪いを解いてみせるから。』
僕は別にこの呪いを左程不便にも感じていなかったから解かなくてもいいかと思っていたけれど、キミが頑張って魔法を練習し、呪いを僕の為に解こうとしてくれているのが嬉しくってそれは言わないでおいた。
だけど最近少しばかり後悔をする。
魔法を極め過ぎたキミは、色々なところから目をつけられ始めている。
ダメだよ。
キミは僕の物だ。
大丈夫だよ。キミは僕が守るから。
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