【完結】一緒にいてくれますか?

かのん

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第三話

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 蓮と一緒に暮らし始めて変わったことといえば、食卓の彩りが増えたことと、休みの日が、以前よりも充実して過ごせるようになったこと。

 それに、仕事以外の会話が増えたことだろう。

「蓮。今日は仕事早く上がれるか?」

「うん。だって花金だからねー。皆、花金の日は早く帰るか飲みに行くかだからね。」

 なるほどなと思っていると、朝飯の皿を片付けながら首を傾げられた。

「何?どっか飲みにでもいく?」

 その言葉に首を横に振った。

 外に飲みに行くのもいいが、家でじっくりゆっくりと飲むほうが好きだ。

「いや、早いなら一緒に買い物にいって、家で映画見ながらのんびり飲もう。」

「いいね!それ。よっしゃ!仕事頑張れる!」

 蓮の笑顔を見ると、なんだか元気になれるから不思議である。

 昔は友達と集まっては飲んでいたが、最近はめっきりで、家で誰かと飲むのは久しぶりだ。

「じゃあ仕事終わったら連絡をくれ。」

「了解!」

 つまみは何にするかな、鮭でも炙るか、それともイカでも焼くか。

 朝飯を食べたばかりなのに、夜のことを考えると喉がなってしまう。

 その姿をじっと見詰められ、ん?と目線をやるとにやりと笑われた。

「一緒にいるって、幸せだな。」

 しみじみとした様子で、自分よりも7つも年下の相手にそう言われ、苦笑がもれる。

「じじくさいぞ。」

 すると、蓮は笑みを深めた。

「兄ちゃんとこうやって過ごせるの、夢だったんだ。今までは本当に夢だったのに、ほら、今は夢じゃない。」

 髪をそっと指ですかれ、思わずドキリとしてしまう。

 だが、スマホのアラームで現実に引き戻された。

「やべ!電車に間に合わなくなる。先にでるな。」

 そういうと蓮は慌ただしく荷物を持ち、玄関から出ていってしまった。

 かすかに触れた頬に熱を感じ、首を傾げてしまう。

 とにかく、自分も早く準備をしなければ。

 蓮よりも職場が近くなのでまだ時間はあるが、食器の片付けまでしてから行きたい。家に帰ってきた時に食器が溜まっていると、料理がしたくなくなってしまう。

 片付けついでに、冷蔵庫の中身を確認し買い物する物も確かめておく。

 ただ家で飲むだけだというのに、誰かがいるだけで楽しみになるのだから面白いものだ。

 今日はビールの後は日本酒にしようなどと考えているとあっという間に時間がたってしまう。

「さ、仕事頑張るかなー。」

 いつもよりやる気が出た気がした。
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