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四話 退職そして新天地へ
おじさんは私が働いていた宿屋の店主とも昔馴染みなようで、早々に話をつけてくれた。
「急にやめるなんて、こっちだって困るんだ」
「何、お前が真面目に働けば問題ないだろう? お前、ティナに仕事をかなり押し付けていたよなぁ?」
「は? あー。いや、そんなことは」
「先代に話をしにいってやってもいいんだぞ?」
その言葉に店主は顔をひきつらせて、私のことを恨めしい瞳で睨みつけると大きく息をついた。
「わかったよ……しかたねーなぁ」
最初はこれまで働いていた分の給料も、急にやめるんだからと支払う気のなかった店主と、おじさんは笑顔で話し合ってちゃんと支払うように手助けをしてくれた。
そればかりか、結構な退職金ももらえて、私は自分一人だったら絶対に一銭も支払われなかっただろうなとおじさんが一緒に来てくれたことに感謝した。
「お前は人が良すぎるんだ。はぁ、本当になぁ。だがこれでまとまった金も出来ただろう? 家が売れたらすぐに知らせてやるから、善は急げだ。その退職金で一張羅を買って屋敷へと行ってみな」
「え!? えっと……そう、ですね。おじさん。何から何までありがとうございます」
「いいんだよ。……むしろな、こんなことしか出来なくてすまなかったな」
おじさんはそういうと口元をポリポリと掻いてから小さな声で言った。
「幸せになれよ……大丈夫。人生はまだ長い」
その一言が、心にしみて、私はただ小さくこくりとうなずいた。おじさんは選別だと言って私にその後食事をごちそうしてくれた。
とても気さくで優しい人で、この町でこのおじさんと出会えて私は幸せだった。
おじさんと別れてから私は洋服店に一張羅を買いに行き、紺色のワンピースを買いそれに着替えると気合をいれてチラシを握り締めたまま町はずれにある大きな屋敷へと向かった。
その屋敷には数年前から若い男性が住んでおり、使用人は男性が引き連れてきていたので私の住む町とはあまり関係を持つことがなかった。
越してきた時には、様々な噂がたったが、人の噂も七十五日ともたずに町の中で屋敷に興味を持つ人はいなくなっていった。
町の人々は基本的に自分たちの暮らしが脅かされるような事態さえなければ、興味すら失っていく。
私自身、こまれでその屋敷に興味をもったことはなかったが、働くとなれば話は別である。
緊張しながらも、門の前に立ち改めて屋敷を見つめる。
手入れはされているのに、化け物でも住んでいそうな雰囲気を醸し出すその屋敷に、本当にここで働けるのだろうかと不安に思う。
それでも、後には引けない。
自分にはもう居場所はないのだ。
私は意を決すると、門の扉をたたいたのであった。
「急にやめるなんて、こっちだって困るんだ」
「何、お前が真面目に働けば問題ないだろう? お前、ティナに仕事をかなり押し付けていたよなぁ?」
「は? あー。いや、そんなことは」
「先代に話をしにいってやってもいいんだぞ?」
その言葉に店主は顔をひきつらせて、私のことを恨めしい瞳で睨みつけると大きく息をついた。
「わかったよ……しかたねーなぁ」
最初はこれまで働いていた分の給料も、急にやめるんだからと支払う気のなかった店主と、おじさんは笑顔で話し合ってちゃんと支払うように手助けをしてくれた。
そればかりか、結構な退職金ももらえて、私は自分一人だったら絶対に一銭も支払われなかっただろうなとおじさんが一緒に来てくれたことに感謝した。
「お前は人が良すぎるんだ。はぁ、本当になぁ。だがこれでまとまった金も出来ただろう? 家が売れたらすぐに知らせてやるから、善は急げだ。その退職金で一張羅を買って屋敷へと行ってみな」
「え!? えっと……そう、ですね。おじさん。何から何までありがとうございます」
「いいんだよ。……むしろな、こんなことしか出来なくてすまなかったな」
おじさんはそういうと口元をポリポリと掻いてから小さな声で言った。
「幸せになれよ……大丈夫。人生はまだ長い」
その一言が、心にしみて、私はただ小さくこくりとうなずいた。おじさんは選別だと言って私にその後食事をごちそうしてくれた。
とても気さくで優しい人で、この町でこのおじさんと出会えて私は幸せだった。
おじさんと別れてから私は洋服店に一張羅を買いに行き、紺色のワンピースを買いそれに着替えると気合をいれてチラシを握り締めたまま町はずれにある大きな屋敷へと向かった。
その屋敷には数年前から若い男性が住んでおり、使用人は男性が引き連れてきていたので私の住む町とはあまり関係を持つことがなかった。
越してきた時には、様々な噂がたったが、人の噂も七十五日ともたずに町の中で屋敷に興味を持つ人はいなくなっていった。
町の人々は基本的に自分たちの暮らしが脅かされるような事態さえなければ、興味すら失っていく。
私自身、こまれでその屋敷に興味をもったことはなかったが、働くとなれば話は別である。
緊張しながらも、門の前に立ち改めて屋敷を見つめる。
手入れはされているのに、化け物でも住んでいそうな雰囲気を醸し出すその屋敷に、本当にここで働けるのだろうかと不安に思う。
それでも、後には引けない。
自分にはもう居場所はないのだ。
私は意を決すると、門の扉をたたいたのであった。
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