【完結】婚約破棄なんて、絶対にさせないんだからね!

かのん

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第七話

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 中庭の温室へと移動すると、人払いをし、そしてエメラルダを椅子に座らせると、ビショップはその瞳を覗き込んだ。

 目元が赤くなっているが、涙は止まった様子であった。

「エメラルダ嬢。俺は、ずっと実はあなたが怖かったんだ。」

「え?」

「何だか・・・いつも狙われている気がして。第二王子という肩書を欲している気がして。でも違ったんだな。それがとても、とても嬉しかった。」

 エメラルダは顔を真っ赤にして、そしておずおずとした様子でビショップを見上げた。

「あの・・・私は、ビショップ様の婚約者でいても・・・いいですか?」

 潤んだ瞳で言われ、ビショップは自身の顔を両手で覆うとその場に座り込んだ。

「まいったな・・・・」

「お、お嫌ですか?」

「違うんだ。違う。その・・・可愛くて。」

「え?」

 ビショップは、大きく息をつくと、エメラルダの手を取って言った。

「俺はまだまだ未熟で・・・貴方にそれほど愛される価値のある男ではないぞ。それでも、いいだろうか?」

「私にとってはビショップ様が一番です。」

「そうか。・・・なら、これから改めてよろしくエメラルダ。」

「ビショップ様。」

 エメラルダは顔を真っ赤に染め上げて、そしてにっこりと笑った。

 いつもは美しいと評されるエメラルダの笑顔は可愛らしくて、ビショップは胸がどきどきとしてこれから自分はこれに耐えられるだろうかと違う心配がうまれるのであった。

 それから国王、ラシッドは共にエメラルダに内々での謝罪を行い、エメラルダはビショップの婚約者のままでいる。


 そして、エメラルダは今もビショップの横に。

「エメラルダ。その・・・最近距離が近くないか?」

「ダメ・・・ですか?」

 潤んだ瞳で見上げると、ビショップは悶えるような表情をした後に、ダメとは言わない事をエメラルダは学んでしまった。

 乙女ゲームは始まったばかり。

 まぁヒロインオレットはレオナードに夢中であり、他の攻略対象もそれぞれ恋愛を楽しんでいる様子である。

 きっと何事もなく、終わるはずだ。

「ビショップ様。絶対に婚約破棄何てさせませんからね?」

「はぁ・・・そうだね。絶対に出来ないだろうね。」

 こんなに可愛らしい婚約者と、もう婚約破棄をしたいとはビショップはたとえ一人であろうとも口にはしないだろうと思った。



 ★★★★★★★

今回は短めのお話でした。
少しでも楽しんで読んでいただけたら幸いです。
おつきあい、ありがとうございました。



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感想 4

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みんなの感想(4件)

みろく
2021.09.13 みろく

エメラルド、メチャクチャ可愛くてよかったです。
素敵なお話ありがとうございます、

解除
kazu
2021.01.02 kazu

かわいい話で、読後感が良いですね。

2021.01.02 かのん

ありがとうございます。

解除
松竹梅
2019.11.30 松竹梅

エメラルダいいですね、好きなキャラです。ビショップの捕食される…にも笑いましたー。…からの涙❗️ギャップ萌えでしょうか、私もハート持っていかれました。更新楽しみに待っています。頑張って下さい。

2019.11.30 かのん

ありがとうございます。
そう言っていただけて感謝です!!✨
短めのお話なんですが、思い付いて書きたくなって一気に書き上げた物語でした。
楽しんでいただけたら幸いです!

解除

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