13 / 15
十三話
しおりを挟む
魔王がアルベルトに変身した。
その光景を見た瞬間、フィオーナは叫んでいた。
意味が分からなかった。
獣が人型になれるなど想像もした事が無かった。
だからこそ、フィオーナは叫んでいたが、次の瞬間に息のむ。
アナスタシアをアルベルトはいとも簡単に拘束すると、次の瞬間自分の元へと獣の姿で飛んできたのである。
人々は空間を開け、フィオーナとアルベルトは向かい合っていた。
「カラシュめ・・・すまない。辛い思いをさせたな。」
アルベルトが人型へと姿を変え、指をぱちんと鳴らした瞬間にフィオーナの拘束は解かれ、その代りにフィオーナの後ろで呆然としていたカラシュが頭を押さえて悲鳴を上げた。
「ぐっふ!・・・ひぇぇぇ。魔王様、酷いですよ!」
「近くに来れば、すぐにフィオーナだと気づくだろうに。お前それでも俺の側近か。」
カラシュは面目ないと言うように眉を八の字にすると、振り返るフィオーナに頭を下げた。
「申し訳ございません。まさか・・・本当に・・・入れ替わるなんて事が出来るなんて思わなくて。」
「え?・・・あ・・・いえ、いいんです。ですが・・その・・・魔王様。あの、魔王様は気づかれたんですか?」
フィオーナが疑うようにアルベルトを見ると、アルベルトは小さくため息をついて言った。
「キミの姿を見てもしやと思い、君の部屋へと行ったらあの女がいた。だからお披露目の時間よりも早くあの場に立ち、早く事をすませようと思ったのだ。」
「では、すぐに分かったと?」
「当たり前だろう。君は君だけだ。分からないわけがないだろう。」
その言葉にフィオーナは頬が緩み、にやけそうになるのをぐっと堪えると、無理やりに頬を膨らませて言った。
「で、ですが。どうしてアルベルト様が魔王様だと教えてくれなかったのです?」
フィオーナのその言葉にカラシュもアルベルトも苦笑を浮かべた。
「常識過ぎて・・・君が知らないと思わなかった。」
「人間ですものね。すみません。事前に話をするべきでした。」
二人の言葉に、フィオーナは意図して教えられていなかったわけではなかったのだとほっとするとアルベルトに一歩歩み寄り、そして、そっとアルベルトの手を握った。
「・・・わざとではないなら良かったです。それに、良かったです。本当に。」
自分は浮気性ではないのだとフィオーナは心から安堵していた。
「ん?どういう事だ?」
アルベルトは首を傾げたのだが、カラシュがとにかくアナスタシアとフィオーナの体を元に戻すことが先決だと話をしたためにその話は途中で途切れた。
民衆には先ほどの説明を魔王自ら行い、結婚式は明日へと延期されることが決まったのであった。
その光景を見た瞬間、フィオーナは叫んでいた。
意味が分からなかった。
獣が人型になれるなど想像もした事が無かった。
だからこそ、フィオーナは叫んでいたが、次の瞬間に息のむ。
アナスタシアをアルベルトはいとも簡単に拘束すると、次の瞬間自分の元へと獣の姿で飛んできたのである。
人々は空間を開け、フィオーナとアルベルトは向かい合っていた。
「カラシュめ・・・すまない。辛い思いをさせたな。」
アルベルトが人型へと姿を変え、指をぱちんと鳴らした瞬間にフィオーナの拘束は解かれ、その代りにフィオーナの後ろで呆然としていたカラシュが頭を押さえて悲鳴を上げた。
「ぐっふ!・・・ひぇぇぇ。魔王様、酷いですよ!」
「近くに来れば、すぐにフィオーナだと気づくだろうに。お前それでも俺の側近か。」
カラシュは面目ないと言うように眉を八の字にすると、振り返るフィオーナに頭を下げた。
「申し訳ございません。まさか・・・本当に・・・入れ替わるなんて事が出来るなんて思わなくて。」
「え?・・・あ・・・いえ、いいんです。ですが・・その・・・魔王様。あの、魔王様は気づかれたんですか?」
フィオーナが疑うようにアルベルトを見ると、アルベルトは小さくため息をついて言った。
「キミの姿を見てもしやと思い、君の部屋へと行ったらあの女がいた。だからお披露目の時間よりも早くあの場に立ち、早く事をすませようと思ったのだ。」
「では、すぐに分かったと?」
「当たり前だろう。君は君だけだ。分からないわけがないだろう。」
その言葉にフィオーナは頬が緩み、にやけそうになるのをぐっと堪えると、無理やりに頬を膨らませて言った。
「で、ですが。どうしてアルベルト様が魔王様だと教えてくれなかったのです?」
フィオーナのその言葉にカラシュもアルベルトも苦笑を浮かべた。
「常識過ぎて・・・君が知らないと思わなかった。」
「人間ですものね。すみません。事前に話をするべきでした。」
二人の言葉に、フィオーナは意図して教えられていなかったわけではなかったのだとほっとするとアルベルトに一歩歩み寄り、そして、そっとアルベルトの手を握った。
「・・・わざとではないなら良かったです。それに、良かったです。本当に。」
自分は浮気性ではないのだとフィオーナは心から安堵していた。
「ん?どういう事だ?」
アルベルトは首を傾げたのだが、カラシュがとにかくアナスタシアとフィオーナの体を元に戻すことが先決だと話をしたためにその話は途中で途切れた。
民衆には先ほどの説明を魔王自ら行い、結婚式は明日へと延期されることが決まったのであった。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。
青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。
婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。
王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆
白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』
女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。
それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、
愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ!
彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます!
異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆
《完結しました》
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる