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第三十九話
しおりを挟むオランドは静かにその場に膝を着き、意気消沈した面持ちで項垂れた。
アルバスはその光景から視線をレスターとオーレリアへと移した。
戦わずして、帝王を追い詰めることができたのはレスターと、そしてリリアーナ王女の功績が大きい。
実のところ、アルバスは自分がへまをして牢に入れられてしまいオーレリアに会わす顔がなかった。
だが、レスターがリリアーナ王女に面会し、そして自分を牢から出すために手を尽くしてくれたからこそ今、ここに自分は立っていられる。
牢にいた数日前の自分は死人のような顔をしていたであろう。
その時の事と、リリアーナの様子を思いだしてアルバスは笑みを浮かべた。
※※※※※※※※※※※
レスターは馬を走らせオフィリア帝国につくと、王の名代としてリリアーナへの面会を願った。
オランド帝王はこちらに構う気がないのか、リリアーナとの面会は思いがけずすぐに行うことが出来た。
だが部屋に通されたレスターは眉間にシワを寄せた。
通されたはいいものの、あまりの警備の薄さに驚いてしまう。
リリアーナは簡素なワンピースを着ており、少し顔色の悪い様子ではあったが、無事であることにレスターは安堵した。
「誰が来たかと思えば、レスター様ですの?」
挨拶もせず、少し落胆した様子のリリアーナにレスターは苦笑を浮かべると言った。
「私で申し訳ありません。リリアーナ王女殿下、ご無事で何よりです。」
「無事は無事よ。それで、何が起こっているのか教えてちょうだい。」
レスターは頷き、簡単に説明をすると手紙をリリアーナに渡した。
リリアーナは父親からの手紙を読むと眉間にシワをよせ、すぐに畳んでしまうと、もう一つの手紙を読み出し、そして、ハンカチで目を押さえた。
レスターはその様子を見守り、じっとリリアーナの言葉を待っていた。
リリアーナは大きく息をはくと顔をあげてレスターに言った。
「それで、私に何をしてほしいのかしら?」
その言葉にレスターは笑みを浮かべた。
「良かった。帰りたいと泣き言を言い始めるのかと思いましたよ。」
「あらレスター。私の性格を分かっていてそんな意地悪を言うのね。」
「申し訳ありません。ですが、貴方が頑張っておられることは、分かっているつもりです。」
「ふふ。まぁ良いわ。それで?」
「牢にアルバス殿が捉えられていると聞きました。その方と面会したいのです。」
「あらそれなら簡単よ。」
「え?」
「この城、今は警備がざらなの。」
リリアーナはにこりと可愛らしく微笑んだ。
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