95 / 95
第九十五話 最終話
しおりを挟む
結婚式の日、アマリーは朝起きて、家族にあいさつをし、そして湯あみを済ませて準備を始めていく。
この日に向けて、招待状を出したり、座席表を確かめたり、結婚式で奏でてもらう演奏家たちと打ち合わせをしたりと、ばたばたと日は過ぎていった。
けれど、その一つ一つが楽しくて、そしてついに結婚式当日を迎えた。
自分はけして美しい娘ではなかった。
ポッチャリしていて、令嬢や令息らから冷たい言葉や視線を受けることの多い娘だった。
そんな自分が恥ずかしかった。
どうして私は皆と違うの?
どうして太っているの?
どうして、こんなに醜いの?
「どうやったらあんなに太るのかしら?」
「教育が悪いのではなくて?」
「まぁまぁまるで豚のようね。」
自分に対する悪口を聞くたびに、胸が痛くなり、そして、ひそひそと喋る声が全て自分を否定している声に聞こえた事もあった。
けれど。
ルルドに出会い、ハンス、テイラー、アメリア、シェザンヌ、たくさんの人々に出会って私は少しずつ気づいた。
アマリーは前を向き、鏡に映る花嫁衣装に身を包んだ自分を見つめた。
美しさとは、何だろう。
外見だけのものなのだろうか。
いや、違う。
アマリーは、どれだけ着飾っても自分を悪くいう人たちをきれいだとは一回も思った事が無かった。
何故なのか、今は分かる気がする。
ルルドは自分に寄り添い、話を聞いてくれた。
笑い、励ましてくれた。
自分を好きになってもいいのだと、会うたびに肯定されているようだった。
自分をまるっと全て受け止めてくれるルルドに出会えた事が、自分の人生の中での一番の幸福だろうとアマリーは思った。
ルルドに愛される自分ならばと、自分の事が好きになったような気がする。
立ち上がり、そして会場へと足を向ける。
花嫁衣装を身に纏い、両親が涙ながらに自分の頬にキスをしてくれた。
「愛しているよ。アマリー。」
「綺麗になったわ。心も体も。あぁ、愛しいアマリー。幸せになって。」
結婚式の準備をしていくと、両親に自分は愛されて育ったのだなとアマリーは自分のこれまでの人生を振り返りながら思えた。
私が産まれて、喜んでくれた両親。
一緒に遊び、この世界の楽しさや喜びを教えてくれた。
怖い夢を見た時には、たくさん抱きしめてくれた。
人から嫌な事を言われた時は、励まし、貴方は可愛い、愛おしいと何度も言ってくれた。
たくさん守られ、両親がいたからこそ、私は真っ直ぐに生きてこれた。
「お父様、お母様、これまでありがとうございました。」
心よりの感謝。
貴方達の子どもで、本当に幸せでした。
会場には皆がいた。
温かな眼差しで祝福してくれているのが分かる。
お父様と一緒にヴァージンロードを歩き、そして、お父様からルルド様へと私の手は移る。
「娘を頼んだぞ。」
「はい。」
真剣なまなざし。
お父様の瞳にも涙が見え、私の心も震える。
「アマリー。」
小さな声で名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
誓いを行い、ベールが捲られる。
ルルド様はにっこりとほほ笑んでいた。
優しいその眼差しに包まれれば、あぁ、自分はここにいていいのだと分かる。
私は、ここにいていいのだ。
どんな私であろうと、私は私。
ポチャッ娘だろうと、なんだろうと、私を真っ直ぐに見つめてくれるこの人がいてくれれば、私はこれからどんなことでも立ち向かうことが出来る。
自分を信じることが出来る。
本当の美しさとは外見のことではないのだろう。
「愛しているよ。アマリー。」
「私も、愛していますわ。ルルド様。」
ゆっくりと唇が重なり、会場にいた人々から祝福の声が聞こえた。
あぁ、私は幸せです。
これから私と幸せな家庭を築いて下さいませ。
アマリーとルルドの結婚式は盛大に行われた。
皆が祝福し、そして幸せに包まれていた。
これをもちまして、ポチャッ娘令嬢の恋愛事情完結となります。
たくさんの読者様に見守られて完結することができました。
応援、ありがとうございました。
今後も執筆活動は続けていきますので、よろしければ他の作品も読んでいただけたらなと思います。
この日に向けて、招待状を出したり、座席表を確かめたり、結婚式で奏でてもらう演奏家たちと打ち合わせをしたりと、ばたばたと日は過ぎていった。
けれど、その一つ一つが楽しくて、そしてついに結婚式当日を迎えた。
自分はけして美しい娘ではなかった。
ポッチャリしていて、令嬢や令息らから冷たい言葉や視線を受けることの多い娘だった。
そんな自分が恥ずかしかった。
どうして私は皆と違うの?
どうして太っているの?
どうして、こんなに醜いの?
「どうやったらあんなに太るのかしら?」
「教育が悪いのではなくて?」
「まぁまぁまるで豚のようね。」
自分に対する悪口を聞くたびに、胸が痛くなり、そして、ひそひそと喋る声が全て自分を否定している声に聞こえた事もあった。
けれど。
ルルドに出会い、ハンス、テイラー、アメリア、シェザンヌ、たくさんの人々に出会って私は少しずつ気づいた。
アマリーは前を向き、鏡に映る花嫁衣装に身を包んだ自分を見つめた。
美しさとは、何だろう。
外見だけのものなのだろうか。
いや、違う。
アマリーは、どれだけ着飾っても自分を悪くいう人たちをきれいだとは一回も思った事が無かった。
何故なのか、今は分かる気がする。
ルルドは自分に寄り添い、話を聞いてくれた。
笑い、励ましてくれた。
自分を好きになってもいいのだと、会うたびに肯定されているようだった。
自分をまるっと全て受け止めてくれるルルドに出会えた事が、自分の人生の中での一番の幸福だろうとアマリーは思った。
ルルドに愛される自分ならばと、自分の事が好きになったような気がする。
立ち上がり、そして会場へと足を向ける。
花嫁衣装を身に纏い、両親が涙ながらに自分の頬にキスをしてくれた。
「愛しているよ。アマリー。」
「綺麗になったわ。心も体も。あぁ、愛しいアマリー。幸せになって。」
結婚式の準備をしていくと、両親に自分は愛されて育ったのだなとアマリーは自分のこれまでの人生を振り返りながら思えた。
私が産まれて、喜んでくれた両親。
一緒に遊び、この世界の楽しさや喜びを教えてくれた。
怖い夢を見た時には、たくさん抱きしめてくれた。
人から嫌な事を言われた時は、励まし、貴方は可愛い、愛おしいと何度も言ってくれた。
たくさん守られ、両親がいたからこそ、私は真っ直ぐに生きてこれた。
「お父様、お母様、これまでありがとうございました。」
心よりの感謝。
貴方達の子どもで、本当に幸せでした。
会場には皆がいた。
温かな眼差しで祝福してくれているのが分かる。
お父様と一緒にヴァージンロードを歩き、そして、お父様からルルド様へと私の手は移る。
「娘を頼んだぞ。」
「はい。」
真剣なまなざし。
お父様の瞳にも涙が見え、私の心も震える。
「アマリー。」
小さな声で名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
誓いを行い、ベールが捲られる。
ルルド様はにっこりとほほ笑んでいた。
優しいその眼差しに包まれれば、あぁ、自分はここにいていいのだと分かる。
私は、ここにいていいのだ。
どんな私であろうと、私は私。
ポチャッ娘だろうと、なんだろうと、私を真っ直ぐに見つめてくれるこの人がいてくれれば、私はこれからどんなことでも立ち向かうことが出来る。
自分を信じることが出来る。
本当の美しさとは外見のことではないのだろう。
「愛しているよ。アマリー。」
「私も、愛していますわ。ルルド様。」
ゆっくりと唇が重なり、会場にいた人々から祝福の声が聞こえた。
あぁ、私は幸せです。
これから私と幸せな家庭を築いて下さいませ。
アマリーとルルドの結婚式は盛大に行われた。
皆が祝福し、そして幸せに包まれていた。
これをもちまして、ポチャッ娘令嬢の恋愛事情完結となります。
たくさんの読者様に見守られて完結することができました。
応援、ありがとうございました。
今後も執筆活動は続けていきますので、よろしければ他の作品も読んでいただけたらなと思います。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,088
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(147件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
六十話の次が六十二話になっています。
こんばんは、
2人の物語とても良かったです。
ぽっちゃりってなかなか、好きになってもらえない中ルルドは、しっかりと内面を見てたのだな!!!と思いながら読んでました。
男前で、性格もいいなんて、、、
素敵です。
ありがとうございます!
本当の自分を愛してくれる人に出会えて、アマリーちゃんも幸せになれたと思います。
感想ありがとうございました!
(*≧∀≦*)ついについに☆☆☆アマリーちゃんとルルド様の結婚式♪♪おめでとうございます(*≧∀≦*)ノ∠※。.:*:・'°☆
以前からアマリーちゃんってイイコだと思ってましたが、良い子故に悩んでいた時に「素敵な御言葉」を神父様から頂いていたのですね(*^^*)
どんなに辛くても頑張っている人には『助けてくれる(安心する言葉を授けて下さる)』方がいらっしゃいますね(*^^*)
『情けは人の為ならず』って格言通りですね( v^-゜)♪お幸せに…(*´∀`)♪♪♪
追記:ルルド夫妻の「お子様」ネタ、また他のカップル達の結婚式も拝読してみたいです(ノ´∀`*)
ここまで読んでくださってありがとうございます。かみつれパンさんは何度も感想をくださいましたね。
この度に励まされておりました!
ここまでこれたのも、読んでくださる皆様がいたからこそです。
読んでくださってありがとうございます。
はい!
生まれた頃に更新しますね!!ww