生まれ変わった魔法使い 

かのん

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十四話 彼女は何者か

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 セオは森の中を駆け抜けていく。霧など関係ない。ただ、この恐ろしいまでの魔力の中心を目指していくのみである。

 体が凍るように冷たい。

 広がった魔力が体温を奪い、頬には氷が結晶となり張り付く。

 吐く息は白く、地面は凍り、踏む度に氷が砕ける音が響く。

「これは・・一体・・・」

 ルティシア・フィーガンという伯爵令嬢について調べて分かった事は、いたって普通の令嬢であるという事。少しお転婆な所はあるようだが、それ以外は本当に普通の、何の問題もない少女であった。

 もし、彼女が大量の魔力を有する者だとしたら、そうはならない。

 何故ならば大量の魔力を持って生まれた場合、すぐにその片鱗が見えるはずだからである。

 幼い体と心は、魔力を制御することは出来ない。だからこそ、物が壊れたり、誰かに怪我をさせたり、そうしたことが必ず起こる。

 だが、ルティシアは違う。

 赤子の時から普通の子どもとして、何の問題もなく育っている。

 化物と蔑まれる事も、人から恐れられると言う経験もしていない。それはつまり、人並み程度の魔力かそれ以下ということである。

 今日の魔力の測定でも、平均値よりはるか下であったことからハンスとペアになったと報告を受けている。

 なのに。

「一体何がどうなって、この現象が起こっているのか。」

 何者かの仕業なのか。はたまた魔獣の再来か。・・・もしくは。

 そう考えていた時、凍えそうな寒さが、突然消えうせ、温かな空気に包まれる。

「何だ?」

 中心地にあと一歩というところで、足を止め、そして目を丸くする。

 木々がなぎ倒されたために、青空が良く見える。

 ぽっかりとその場だけが木々は消え去り、美しい色とりどりの花々がその場を埋め尽くしている。

 春の木漏れ日の中、優しい風に花弁は舞い、まるで絵物語のような光景が広がる。

 そこに、フードをかぶった一人の少年に抱きかかえられたルティシアの姿があった。

 セオは隠し刀を取り出すと、気配を絶ったまま一気に距離を詰めて少年へと駆け寄ると、飛び、上空から少年へと刀を振りかざした。

 キーン。と、鋼がぶつかる音がした。

 赤い瞳と、目が合った。

 セオは少年を睨みつけると後ろへと飛び、次の瞬間地面を蹴って下から少年を蹴りあげる。少年はルティシアを抱きかかえたまま意図も容易く後ろへと回転しながら飛び、地面に着地すると、ルティシアをゆっくりとその場におろし、寝かせた。

「・・その少女に何をした?」

 セオの言葉に少年は静かに答えた。

「何も。」

「・・お前は何者だ。」

 赤い瞳がわずかに揺れ、そして小さく気だるげに息を吐くと小首をかしげて言った。

「はぁ・・何で言わなくちゃいけない?」

 その仕草にセオは動きを瞳を見開く。

 気に入らない男の姿が、頭をよぎる。まさかと、思う。だが、地面に寝かせられた少女と目の前の少年。

 セオは顔を引きつらせながら笑みを浮かべた。

「まさか・・な・・・神様のいたずらとか・・・勘弁してほしい。」

「?」

 何を言っているのか分からないといった少年の様子に舌打ちしたくなりながら、どうやって少年を連れて行こうかと思った時であった。少年の腕に着けていた腕輪が突然砕け散り、ルティシアと少年が同時にうめき声を上げた。

「っく・・・」

 少年は脇腹を押さえてセオに背を向けて森の中へと駆けだした。すぐに追おうとしたセオであったが、地面で呻き声を上げるルティシアを放って行くわけにはいかず、舌打ちをすると、ルティシアを抱きかかえた。

 小さな体が、震え、右目を痛そうに抑える。

「仕方ない。少し、我慢しろ。」

「うぅ・・・」

 意識はないのだろう。痛みに呻くルティシアを見てセオは顔を歪ませた。

「・・・・・・・・ルティ・・」

 頭を振り、セオは来た道を駆け戻る事となった。
 

 
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感想 11

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みんなの感想(11件)

korosuke
2025.10.29 korosuke

すごく面白いです。一気に読みました。
この続きを楽しみに待ってます。
更新をどうぞよろしくお願いします!!!
あ~気になる〜!!

解除
にゃあ
2021.05.31 にゃあ

続き楽しみに待ってます

解除
藤
2021.03.17

どうしても続きが読みたいです

2021.03.18 かのん

が、がんばります

解除

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