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二話 ヒロイン リリー
しおりを挟むどうしてこうなったのであろう。
リリーは壇上の下で必死に悪役令嬢に謝り続けるレイモンド王子を見て顔を青ざめさせている。
計画は完璧だったはずなのだ。
乙女ゲームにそって物語を進めていたが途中、あまりにレイモンドが悪役令嬢のシルビアを好きすぎて戸惑った。だが、どうにかなるだろうとこの断罪シーンを演出したのにもかかわらず、この顛末である。
摘んだ。
リリーはどうにかこうにか頭を働かせて苦笑を浮かべると、頭を恭しげに下げて言った。
「わ、私はレイモンド殿下とシルビア様の恋路を邪魔する悪役を演じたまでにすぎません。」
シルビアの視線が痛い。
ここで自分があわよくばレイモンドの婚約者になろうなんてことを考えていたことがばれればどうなるかなど分からない。
すると、シルビアの冷たい声が響き渡った。
「あら、そうなの?」
「は、はい。そもそも私ごときが、シルビア様に敵うわけがございません。」
これは本当の事である。王家の力でもない限り、公爵家のシルビアに敵うわけなどない。
ゲームの本筋から逸脱した現状、もうここは乙女ゲームの世界だなんて思えなかった。リリーは必死に頭を働かせて自分の生き残る道を探す。
こんなことならば、王子の婚約者になれるなどと夢など見なければよかった。
冷や汗が全身から吹き出ている気がする。
シルビアの視線が痛い。
じっと動かないでいると、冷ややかな声が響き渡った。
「リリーさんにはご迷惑をかけましたね。まぁ、もう二度とお会いすることはないでしょう?だから、許し下差し上げるわ。」
その言葉はつまり、社交界にはもうお前の居場所はないということである。
リリーは顔を一瞬で青ざめさせると、壇上から降りてシルビアの前に跪いた。
「ど、どうかご容赦ください!どうか、どうか!」
社交界からつまはじきにされた男爵家の令嬢など、誰も結婚などしてくれるわけがない。
必死にリリーは笑みを浮かべると言った。
「わ、私は、お二人の仲を取り持とうとしただけにございます!ですよね、レオナルド殿下!」
その言葉に、レオナルドはリリーを見ると、こてんと小首を傾げた。
「ん?でもリリーが俺を利用しようとしたことや、あわよくばとか思っていたのは事実でしょう?」
「え?」
「俺を愛してるって言っていたのも、事実でしょう?」
リリーは唖然とした。
そうである。確かにレオナルドはリリーにとっての推しであり、愛していた。だがだからといって今この場でそれを言う必要があるだろうか。
がくがくと震えるリリーに、シルビアは大きくため息をついた。
「貴方、馬鹿ねぇ・・・この人、誰にでも優しい人っていうわけでも、本物の阿呆でもないのよ?」
シルビアの言葉に、リリーは目を見開いた。
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