【完結】ヒロインは暗黒龍と共に、悪役令嬢の恋を応援します!

かのん

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第一章

 王城でのお茶会 15

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 フィリアが第一王子に促され、移動しようとした時であった。



 突然辺りが暗くなったかと思い顔を上げるとそこにはグリードがいた。



「グリード!、、え?、、あれ?みんなどうしたの?」



 周りの皆が静止している。

 それはマネキンのようで、恐ろしく感じる。



「一時的に魔法で時を止めた。フィリア。このままではまずい。このままいげは、池のあれは処分され、お前は国王に囲われる。」



 その言葉にフィリアは目を丸くした。



「え?、、なんで?」

「魔法を使ったのだろう。下手をすればお前の魔力の多さ、そして聖魔法を使えるとバレるかもしれない。」



 フィリアは固まり、顔色を悪くする。

 それを見て、グリードは言った。



「一部の記憶を魔法で変換してはどうだろうか。フィリアは溺れ、助けられた事にするのはどうだろう。」



 フィリアは頷いた。



「そうね、、、でもネックレスが。」



 記憶を変換させるにしても、ネックレスがあっては辻褄があわなくなる。



 フィリアは動きを止めている第二王子を見た。



 第二王子はネックレスを大事そうに抱えている。



「第二王子だけを、グリード動かせる?」



「得策ではないぞ?」



「だって。仕方ないわ。」



 グリードは諦めたかのようにため息をつくと、指をパチンと鳴らした。



「ぅお、、、え?」



 フィリアは第二王子ハロルドと向き合った。



「殿下。もし、殿下がそのネックレスを持っていたいと思うのであれば、私に協力していただけませんか?」



 ハロルドは周りの時が止まっているのに気づき、顔を強張らせた。



 フィリアはこのまま国王に話し大事にしたくないと言った上で、記憶を変換する事を伝え、自分の事を内密にしてほしいこと、事情は聞かないことを約束させた。



 ハロルドも、ネックレスを手放したくはないし、あの池にすむ者を処分されては困ると判断し受け入れた。



 フィリアはにっこりと微笑み、手を差し出した。



「交渉成立ですわね。」



 ハロルドもおずおずと手を握り返した。



「あぁ。」



「それでは、記憶を変え、時間を戻しますよ?」



 グリードの声にフィリアは頷いた。

 ハロルドは、慌ててフィリアに言った。



「このネックレスのこと、本当にありがとう。時間が戻ればもう話すことは出来ないだろうから今言っておく。これから先、君が困った事があれば力になると誓おう。ありがとうフィリア嬢。」



 フィリアはにっこりと微笑んだ瞬間、時間が戻る。



 時間のずれが一瞬おこるが、第一王子がハロルドに話しかける。



「ご令嬢も無事でよかった。ハロルド、お茶会へもどろう。」



 ハロルドはネックレスをポケットの中で握りしめ、一度フィリアに目線を向けて頷いた。



「はい。兄上。」



 その後フィリアは医師の診断を受け、着替えを済ませると王城を後にした。



 フィリア初めてのお茶会はこうして幕を閉じたのであった。
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