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第一章
カインとクロエラ 90
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カインは、クロエラを誘いかけ、休みを利用して馬で遠乗りに出かけていた。
クロエラは流石であり、緑の牧草地を颯爽と馬を操る。
その姿を見ながら、カインはにっこりと笑った。
「クロエラは流石だな!」
クロエラはカインを見つめ、首を横に振った。
「凄くなんてないです。」
二人は泉の辺りで馬を繋ぎ、森の中を歩いていく。
「俺はクロエラは凄いと思うけどな。」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、私は出来るなら、もっと可愛げのある女になりたいです。」
森に咲く花を摘みながら、クロエラはそう言った。
その言葉にカインは首を傾げる。
「可愛げのある女?」
「はい。」
「その可愛げがある女ってのはどんなのだ?」
カインの問いかけに、クロエラは小さな声で答えた。
「なんか、、、守ってあげたくなるような、儚げな感じです。」
確かに、クロエラはハキハキと物を言うタイプであるし、守られるより、守るような性格だ。
「え、、、俺はそんな女は嫌だな。だってなんだかそれ、他力本願じゃないか?」
クロエラはその言葉に驚きの表情を浮かべた。
「殿方は、そのような女が好ましいのではないのですか?」
「え?いや、世間一般は分からないが、俺はそんな頼りない女より、肩を並べて立てるクロエラが好きだ。」
はっきりとそう言われ、クロエラは顔を真っ赤にした。
「か、、、カイン様。本当ですか?」
クロエラの動揺する姿に、カインはむしろ驚いた。
「当たり前だろ?じゃなきゃ一緒に出掛けたりなどするもんか。」
カインは、そう言ってから、クロエラを見て、思わず唸り声を上げた。
「もしや、クロエラは婚約者が俺では不服なのか?」
どこからその考えが出てきたのか、クロエラは慌てて首を横に振った。
「そんな事ありえません!私は、、、私はカイン様でなければ、嫌です。」
カインはその言葉にほっとした。
「良かった。俺もクロエラが良い。」
クロエラはその言葉に瞳を輝かせた。
「あ、、あの、カイン様。その、、もう一度聞かせては、、頂けませんか?」
「ん?何をだ?」
「先程はいきなり過ぎて、聞き間違いだったら恥ずかしいのですが、私の事をどう思っているのか、、聞かせて頂きたいのです。」
カインは、クロエラの言葉に、自分が先程言った言葉を思い出し、そして、ゆっくりと顔を赤らめた。
「そ、、それは、、その。」
「私の事をどう思っておいでですか?」
カインは、大きく息を吐くとクロエラを抱き寄せた。
「何度も言わないからな。俺は、お前が好きだ。だから、俺の横にこれからもずっといてくれ。」
クロエラはそっとカインの背中に手を回し抱きしめ返すと頷いた。
「はい。私も好きです。ずっと一緒にいて下さい。」
お互いの心臓の音が聞こえるくらいに近い。
二人はしばらくの間、しっかりと抱き合っていた。
「はぁ。泉のデートスポットを教えて差し上げてから即行動するカイン様の素直さに感謝ですわ。はうう。クロエラ様可愛い。はぁ。」
泉の反対側から、こっそりと二人を応援するフィリアは、さりげなくグリードの腕を取りぎゅっと抱きついている。
ニフエルからの、「近い!」という注意を、無視するフィリアであった。
クロエラは流石であり、緑の牧草地を颯爽と馬を操る。
その姿を見ながら、カインはにっこりと笑った。
「クロエラは流石だな!」
クロエラはカインを見つめ、首を横に振った。
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「可愛げのある女?」
「はい。」
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確かに、クロエラはハキハキと物を言うタイプであるし、守られるより、守るような性格だ。
「え、、、俺はそんな女は嫌だな。だってなんだかそれ、他力本願じゃないか?」
クロエラはその言葉に驚きの表情を浮かべた。
「殿方は、そのような女が好ましいのではないのですか?」
「え?いや、世間一般は分からないが、俺はそんな頼りない女より、肩を並べて立てるクロエラが好きだ。」
はっきりとそう言われ、クロエラは顔を真っ赤にした。
「か、、、カイン様。本当ですか?」
クロエラの動揺する姿に、カインはむしろ驚いた。
「当たり前だろ?じゃなきゃ一緒に出掛けたりなどするもんか。」
カインは、そう言ってから、クロエラを見て、思わず唸り声を上げた。
「もしや、クロエラは婚約者が俺では不服なのか?」
どこからその考えが出てきたのか、クロエラは慌てて首を横に振った。
「そんな事ありえません!私は、、、私はカイン様でなければ、嫌です。」
カインはその言葉にほっとした。
「良かった。俺もクロエラが良い。」
クロエラはその言葉に瞳を輝かせた。
「あ、、あの、カイン様。その、、もう一度聞かせては、、頂けませんか?」
「ん?何をだ?」
「先程はいきなり過ぎて、聞き間違いだったら恥ずかしいのですが、私の事をどう思っているのか、、聞かせて頂きたいのです。」
カインは、クロエラの言葉に、自分が先程言った言葉を思い出し、そして、ゆっくりと顔を赤らめた。
「そ、、それは、、その。」
「私の事をどう思っておいでですか?」
カインは、大きく息を吐くとクロエラを抱き寄せた。
「何度も言わないからな。俺は、お前が好きだ。だから、俺の横にこれからもずっといてくれ。」
クロエラはそっとカインの背中に手を回し抱きしめ返すと頷いた。
「はい。私も好きです。ずっと一緒にいて下さい。」
お互いの心臓の音が聞こえるくらいに近い。
二人はしばらくの間、しっかりと抱き合っていた。
「はぁ。泉のデートスポットを教えて差し上げてから即行動するカイン様の素直さに感謝ですわ。はうう。クロエラ様可愛い。はぁ。」
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ニフエルからの、「近い!」という注意を、無視するフィリアであった。
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