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第一章
アイデール王国 104
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アリアが突然現れたことで、フィリアは呆然としたが、このままではアリアが危ない。
「レクスさん!目を冷まして!」
レクスは笑い声を上げながら、アリアに切りかかった。
「危ない!」
「アリア!」
すると、アリアを取り囲むようにして第二王子、第三王子、そして、何故か聖剣を手に持つウィリアム王子が現れた。
ウィリアムは、レクスの剣を受けると押し返した。
フィリアはその光景を見ながら、さすがは攻略キャラだな、と内心思った。
だが、やはり付け焼き刃。
聖剣は、選ばれもしないのに振り回せる品物ではない。
ウィリアムは、何度かレクスの剣を受け止め、アリアを守るが、押され、そして、聖剣を弾き飛ばされた。
「レクスさん!私よ!アリアよ!目を冷まして!」
そんな声かけだけで目を冷ますなんて安上がりすぎるだろう。
ここをクリアするにはレベル上げに徹し、聖剣を手に入れ、またレベル上げをしなければ無理だ。
フィリアは思わずため息をついた。
おい、ヒロイン。
その軟弱な腕はなんだ!
せめて魔法を使おうよ!
なんで守られるのが当たり前みたいな顔をしているんだ!
アリアに迫る剣に、王子らはアリアを守ろうと剣を構える。
剣を弾き飛ばされたウィリアムは、魔法で防御壁を作り、アリアを守る。
アリアは潤んだ瞳で、レクスを見つめるだけ。
だが、いくら魔法で守ろうと、長くは続かない。
刃が魔法を砕いた時、弾かれた聖剣を手にしたハロルドがレクスの剣に打ち込み、声を上げた。
「お前ら邪魔だ!下がれ!!」
こんなハロルドの口調は初めて聞いた。
だが、怒るのも無理はない。
尊敬していた兄が変な感じで勇ましく乙女を守るのだから、それはそれは腹立たしいだろう。
それにしても、ハロルドは聖剣が様になるな。
何故だ。
すると、ニフエルがにこにことそれを見て微笑ましげに笑っている。
お前かニフエル。
いつの間にハロルドに剣を教えた。
確かにいつの間にか仲良くなっていたな。
まぁ、聖龍に鍛えられれば、聖剣の扱いはお手の物になるだろう。
ハロルドは、一体何を目指しているんだろう。
そんな、事を考えていると、ハロルドがレクスと剣を合わせつつ、フィリアを睨みつけてきた。
はい。
ごめんなさい。
今行きます!
フィリアは地面を蹴ると、レクスに切りかかった。
グリードも、フィリアを援護しながらレクスに攻撃を仕掛けた。
アリアは、それでもなお引こうとはせず、王子らがわたわたとしている。
ルーナはそれを見ると地面を蹴りアリアの元へと向かった。
「アリア様!ここは危険です。」
その言葉に、アリアは顔をむっと歪ませる。
「ルーナ様は私に嫉妬しているだけよ!レクスさんは私を思い出してくれるわ!」
「いえ、言葉だけでは届きません!一度下がって!」
「ルーナ様邪魔よ!」
ルーナは、アリアに突き飛ばされ、倒れた。
王子らはそれを抱き起こそうともしない。
「ルーナ孃。アリアは我らが守るから大丈夫だ。」
ウィリアムのその言葉に、ルーナは立ち上がると声を荒げた。
「ここにいては邪魔だと何故分からないのですか!?」
「五月蝿い。ルーナ子爵令嬢。私に口答えするつもりか。」
「危ない!!」
レクスが魔法で黒い炎を放ち、それがルーナ達めがけて飛ぶ。
ルーナはウィリアムの前に立つと、魔法で防御壁を作り上げた。
「っく、、、、。」
だが、熱が防御壁越しにも伝わり、押されるのが分かる。
ルーナは声を上げた。
「下がって!!!」
ここでやっとウィリアムらはアリアを担ぎ上げて避難するべく走り出した。
その光景を見たハロルドはレクスの剣を弾くと怒鳴り超えを上げた。
「令嬢を残して逃げるとはどういう事だ!!」
そして、ルーナの元へと走るとルーナの前に立ち、炎を弾き飛ばした。
その場でルーナをハロルドは担ぎ上げた。
「きゃっ!止めて下さいませ!」
「貴方はバカか!!安全な場所まで下がれと言っただろう!」
「っな!それは、ウィリアム様達が危なかったのだから仕方ないでしょう!」
「そんなわけはあるか!!大人しく下がっておけ!」
ハロルドはそう言うと、ニフエルの所にルーナを下ろした。
「頼みます。」
「あぁ。」
ニフエルは頷くとニコリと笑った。
ハロルドはすぐに戦いに戻っていく。
「ちょっと!!」
ルーナは、むっとした表情を浮かべているとニフエルが笑い声を上げた。
「何がおかしいのかしら!?」
「いや、あそこまでムキになる姿を始めてみた。」
「何なのですか!それに、貴方は戦わないの?!」
ニフエルは首を横に振った。
「私はあの男を助けたいとは思わないのでね。でも、友から任されれば、貴方は助けよう。」
ルーナは戦うフィリア達を見つめた。
レクスは次第に押され始めている。
アリア達もやっと姿が見えなくなり、ルーナはホッとした。
「勇敢なお嬢さんだな。」
そう言われたルーナは、苦笑を浮かべた。
「何もできないからこそ、できる事はしたいの。」
その姿に、ニフエルは笑った。
「見事、王子らと令嬢を救ったな。」
「いえ、あれはハロルド殿下がいたから。」
「いやいや、貴方のおかげだろう。」
「、、、ありがとう。」
「まぁ、もうすぐ決着は着く。あれを見なさい。」
四大貴族の四人と婚約者達は、四方を囲むと、地面に魔法陣を出現させた。
フィリア、グリード、ハロルドはそれに気づくと、レクスを戦いながら魔法陣の中央へと誘導する。
そして、レクスが魔法陣の中央に立った瞬間、魔法陣は光を上げ、レクスを光の柱に縛り上げた。
「レクスさん!目を冷まして!」
レクスは笑い声を上げながら、アリアに切りかかった。
「危ない!」
「アリア!」
すると、アリアを取り囲むようにして第二王子、第三王子、そして、何故か聖剣を手に持つウィリアム王子が現れた。
ウィリアムは、レクスの剣を受けると押し返した。
フィリアはその光景を見ながら、さすがは攻略キャラだな、と内心思った。
だが、やはり付け焼き刃。
聖剣は、選ばれもしないのに振り回せる品物ではない。
ウィリアムは、何度かレクスの剣を受け止め、アリアを守るが、押され、そして、聖剣を弾き飛ばされた。
「レクスさん!私よ!アリアよ!目を冷まして!」
そんな声かけだけで目を冷ますなんて安上がりすぎるだろう。
ここをクリアするにはレベル上げに徹し、聖剣を手に入れ、またレベル上げをしなければ無理だ。
フィリアは思わずため息をついた。
おい、ヒロイン。
その軟弱な腕はなんだ!
せめて魔法を使おうよ!
なんで守られるのが当たり前みたいな顔をしているんだ!
アリアに迫る剣に、王子らはアリアを守ろうと剣を構える。
剣を弾き飛ばされたウィリアムは、魔法で防御壁を作り、アリアを守る。
アリアは潤んだ瞳で、レクスを見つめるだけ。
だが、いくら魔法で守ろうと、長くは続かない。
刃が魔法を砕いた時、弾かれた聖剣を手にしたハロルドがレクスの剣に打ち込み、声を上げた。
「お前ら邪魔だ!下がれ!!」
こんなハロルドの口調は初めて聞いた。
だが、怒るのも無理はない。
尊敬していた兄が変な感じで勇ましく乙女を守るのだから、それはそれは腹立たしいだろう。
それにしても、ハロルドは聖剣が様になるな。
何故だ。
すると、ニフエルがにこにことそれを見て微笑ましげに笑っている。
お前かニフエル。
いつの間にハロルドに剣を教えた。
確かにいつの間にか仲良くなっていたな。
まぁ、聖龍に鍛えられれば、聖剣の扱いはお手の物になるだろう。
ハロルドは、一体何を目指しているんだろう。
そんな、事を考えていると、ハロルドがレクスと剣を合わせつつ、フィリアを睨みつけてきた。
はい。
ごめんなさい。
今行きます!
フィリアは地面を蹴ると、レクスに切りかかった。
グリードも、フィリアを援護しながらレクスに攻撃を仕掛けた。
アリアは、それでもなお引こうとはせず、王子らがわたわたとしている。
ルーナはそれを見ると地面を蹴りアリアの元へと向かった。
「アリア様!ここは危険です。」
その言葉に、アリアは顔をむっと歪ませる。
「ルーナ様は私に嫉妬しているだけよ!レクスさんは私を思い出してくれるわ!」
「いえ、言葉だけでは届きません!一度下がって!」
「ルーナ様邪魔よ!」
ルーナは、アリアに突き飛ばされ、倒れた。
王子らはそれを抱き起こそうともしない。
「ルーナ孃。アリアは我らが守るから大丈夫だ。」
ウィリアムのその言葉に、ルーナは立ち上がると声を荒げた。
「ここにいては邪魔だと何故分からないのですか!?」
「五月蝿い。ルーナ子爵令嬢。私に口答えするつもりか。」
「危ない!!」
レクスが魔法で黒い炎を放ち、それがルーナ達めがけて飛ぶ。
ルーナはウィリアムの前に立つと、魔法で防御壁を作り上げた。
「っく、、、、。」
だが、熱が防御壁越しにも伝わり、押されるのが分かる。
ルーナは声を上げた。
「下がって!!!」
ここでやっとウィリアムらはアリアを担ぎ上げて避難するべく走り出した。
その光景を見たハロルドはレクスの剣を弾くと怒鳴り超えを上げた。
「令嬢を残して逃げるとはどういう事だ!!」
そして、ルーナの元へと走るとルーナの前に立ち、炎を弾き飛ばした。
その場でルーナをハロルドは担ぎ上げた。
「きゃっ!止めて下さいませ!」
「貴方はバカか!!安全な場所まで下がれと言っただろう!」
「っな!それは、ウィリアム様達が危なかったのだから仕方ないでしょう!」
「そんなわけはあるか!!大人しく下がっておけ!」
ハロルドはそう言うと、ニフエルの所にルーナを下ろした。
「頼みます。」
「あぁ。」
ニフエルは頷くとニコリと笑った。
ハロルドはすぐに戦いに戻っていく。
「ちょっと!!」
ルーナは、むっとした表情を浮かべているとニフエルが笑い声を上げた。
「何がおかしいのかしら!?」
「いや、あそこまでムキになる姿を始めてみた。」
「何なのですか!それに、貴方は戦わないの?!」
ニフエルは首を横に振った。
「私はあの男を助けたいとは思わないのでね。でも、友から任されれば、貴方は助けよう。」
ルーナは戦うフィリア達を見つめた。
レクスは次第に押され始めている。
アリア達もやっと姿が見えなくなり、ルーナはホッとした。
「勇敢なお嬢さんだな。」
そう言われたルーナは、苦笑を浮かべた。
「何もできないからこそ、できる事はしたいの。」
その姿に、ニフエルは笑った。
「見事、王子らと令嬢を救ったな。」
「いえ、あれはハロルド殿下がいたから。」
「いやいや、貴方のおかげだろう。」
「、、、ありがとう。」
「まぁ、もうすぐ決着は着く。あれを見なさい。」
四大貴族の四人と婚約者達は、四方を囲むと、地面に魔法陣を出現させた。
フィリア、グリード、ハロルドはそれに気づくと、レクスを戦いながら魔法陣の中央へと誘導する。
そして、レクスが魔法陣の中央に立った瞬間、魔法陣は光を上げ、レクスを光の柱に縛り上げた。
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