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第一章
ルーナの刺繍
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ルーナは、白いハンカチをじっと見つめ、小さくため息を漏らした。
ハロルドに、ハンカチに刺繍をしてプレゼントしようと思ったのだが何を刺繍するかが決まらない。
ハロルドのイメージは何だろうかと考えるのだが思いつかないのである。
「何にしようかしら。」
鷹や馬、獅子などでもいいが、ハロルドにぴったりと言うものが思いつかない。
「少し散歩でもして考えてみようかしら。」
ルーナは今、花嫁修業として王宮に見を置いている。
何か庭でヒントがないかと歩いていると、庭の先に池を見つけた。
そう言えばと思い出す。
昔ハロルドが池に落ちて、その中に何かを見たらしいと噂になった事があった。
ルーナは周りに誰もいないかなと確かめると、池のフチにしゃがんで中を覗き込んだ。
何も見えない。
小さな声で話しかけてみる。
「あの、いらっしゃいますか?私、ハロルド殿下の婚約者になりました、ルーナです。」
すると、池の中から水疱がぷくぷくと出て来て、ルーナは目を丸くする。
そして、笑みを浮かべた。
池には何もいないと、ハロルドを嘘つき呼ばわりした者もいたので、ルーナは嬉しくなった。
ほら、やはりハロルドは嘘などついていないのだ。
「あなたが居てよかった。」
そういった時であった、池から大きな蛇のようなその人が現れ、ルーナは目を丸くする。
にっこりと笑い、そして、水中に咲くという白い花をルーナに手渡してきた。
「え?もしかして、婚約おめでとうということかしら?」
頷かれ、ルーナは笑ってお礼を言った。
その人はすぐに池の中に消えてしまったが、ルーナの悩みは晴れた。
ルーナは、部屋に帰るとすぐに刺繍を始めた。
「ハロルド様。あの、良かったら使ってくださいませ。」
二人でお茶会をしている時に、ルーナは刺繍を入れたハンカチをハロルドに手渡した。
ハロルドは目を丸くし、優しく微笑んだ。
「ありがとう。」
ハンカチを開き、刺繍を見た瞬間にハロルドが固まったのが分かった。
「この、、、、刺繍は?」
「気に入っていただけましたか?池の人と、その人にもらった花をモチーフにして見ましたの。」
その言葉にハロルドは笑い声を上げた。
「嬉しいよ!いや、これはかっこいいね!私専用のエンブレムにしたいくらいだ!」
ルーナはその喜ぶ姿にほっとした。
気に入ってもらえなかったらどうしようかと思っていたので、その姿に嬉しくなる。
「良かったです。」
ハロルドはニッコリ笑うと言った。
「良かったら、また、作ってくれるかい?」
「はい。喜んで。」
二人は笑いあい、穏やかな日を過ごした。
ハロルドに、ハンカチに刺繍をしてプレゼントしようと思ったのだが何を刺繍するかが決まらない。
ハロルドのイメージは何だろうかと考えるのだが思いつかないのである。
「何にしようかしら。」
鷹や馬、獅子などでもいいが、ハロルドにぴったりと言うものが思いつかない。
「少し散歩でもして考えてみようかしら。」
ルーナは今、花嫁修業として王宮に見を置いている。
何か庭でヒントがないかと歩いていると、庭の先に池を見つけた。
そう言えばと思い出す。
昔ハロルドが池に落ちて、その中に何かを見たらしいと噂になった事があった。
ルーナは周りに誰もいないかなと確かめると、池のフチにしゃがんで中を覗き込んだ。
何も見えない。
小さな声で話しかけてみる。
「あの、いらっしゃいますか?私、ハロルド殿下の婚約者になりました、ルーナです。」
すると、池の中から水疱がぷくぷくと出て来て、ルーナは目を丸くする。
そして、笑みを浮かべた。
池には何もいないと、ハロルドを嘘つき呼ばわりした者もいたので、ルーナは嬉しくなった。
ほら、やはりハロルドは嘘などついていないのだ。
「あなたが居てよかった。」
そういった時であった、池から大きな蛇のようなその人が現れ、ルーナは目を丸くする。
にっこりと笑い、そして、水中に咲くという白い花をルーナに手渡してきた。
「え?もしかして、婚約おめでとうということかしら?」
頷かれ、ルーナは笑ってお礼を言った。
その人はすぐに池の中に消えてしまったが、ルーナの悩みは晴れた。
ルーナは、部屋に帰るとすぐに刺繍を始めた。
「ハロルド様。あの、良かったら使ってくださいませ。」
二人でお茶会をしている時に、ルーナは刺繍を入れたハンカチをハロルドに手渡した。
ハロルドは目を丸くし、優しく微笑んだ。
「ありがとう。」
ハンカチを開き、刺繍を見た瞬間にハロルドが固まったのが分かった。
「この、、、、刺繍は?」
「気に入っていただけましたか?池の人と、その人にもらった花をモチーフにして見ましたの。」
その言葉にハロルドは笑い声を上げた。
「嬉しいよ!いや、これはかっこいいね!私専用のエンブレムにしたいくらいだ!」
ルーナはその喜ぶ姿にほっとした。
気に入ってもらえなかったらどうしようかと思っていたので、その姿に嬉しくなる。
「良かったです。」
ハロルドはニッコリ笑うと言った。
「良かったら、また、作ってくれるかい?」
「はい。喜んで。」
二人は笑いあい、穏やかな日を過ごした。
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