【完結】ヒロインは暗黒龍と共に、悪役令嬢の恋を応援します！

第二章

第十八話

　宝珠はイヤリングをヴィオレッタが身に着けることに決まり、ほっと息を吐いたフィリアだったが一つの思いが頭をよぎる。

「私は、これからどうしたらいいのかしら。」

　黒い紋様が浮かび上がる手を見つめていると、紋様がまるで蛇のようにぐねぐねと動き始めてみるのが見てわかり、フィリアは目を丸くした。

「な、、何これ、、、ぐ、グリード！怖い。グリード！」

　思わずそう名前を叫ぶ呼び、フィリアはグリードに抱き着き、その胸に顔をうずめると言った。

「紋様が！生き物みたいに動いたの。何これ！気持ち悪いわ！」

「お、落ち着いて。見せて。」

　グリードはフィリアのその腕を取り紋様を見た。

　そして、眉間にしわを寄せると言った。

「これは、、、」

　二フエルも歩み寄るとフィリアの腕をしげしげと見つめた。

「あぁ、これは、なるほど。」

　グリードは悲しげに目を細めると言った。

「これ、時限式の時空間移動の魔法式だ。宝珠とイヤリングへと導き、そして解決されたら戻るように仕組まれている。」

　二フエルは感心するように言った。

「ほほう。なるほど。しかもこれ、その時間軸に影響が出ないように記憶操作の魔法までかけられていますね。なるほど、ここでかかわったものらから記憶を消すのか。面白い。」

　その言葉に、フィリアはグリードを見つめて言った。

「残念、、この姿のグリードとはさよならなのね？」

「フィリア。」

「ふふ。なら、最後だし、いいかしら。」

　フィリアはにっこりと笑みを浮かべるとグリードの腕を引き体を引き寄せるとその唇にキスをした。
　
　その光景にヴィオレッタは目を丸くし、二フエルは苦笑を漏らした。

　そして、グリードは顔を真っ赤に染め上げると声にならない声を口をパクパクさせながら漏らしている。

「ふふふ！グリード！未来で待っているわね。二フエル。ヴィオレッタの事をお願いね。」

「フィリア！」

　グリードがそう声を上げた時であった。

　フィリアの体はふわりと持ち上がり、光に包まれると虹色の輪を超えていく。

　見えていたはずのグリードの姿は消え、そして眩しさに目を閉じ開いた時、眼前に心配そうに顔を覗き込んでくるグリードの顔が見えた。

「フィリア！」

「あら？大人な、、グリード？」

　ぎゅっと抱きしめられ、フィリアが驚いていると、その横にいた二フエルが言った。

「お帰りなさい。ちゃんと上手くいったようですね。」

「え？えぇ。えっと、、、ごめんなさい。さっきまでの事は覚えているんだけれど、こちらで何があって私が過去に行ったのかが記憶が曖昧なの。」

　フィリアがそういうと、グリードは心配げにフィリアの頭を撫で、そして噛みつくようなキスをした。

　人前でのその行動にフィリアは顔を真っ赤に染めるとグリードの胸をどんどんとたたいた。

　やっと離してもらえた時には息も絶え絶えであり、恨みがましい目でグリードを見つめると、グリードは捨てられた子犬のような表情を浮かべ、フィリアはうっと声を詰まらせた。

「はい。仲良きことは良いことだけれど、私から説明をしよう。」

　二フエルはため息をつきながらこれまであったことを話し始めた。