魔法使いアルル

かのん

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6話

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 手を振り分かれながらも、先ほどのぞわりとした感覚が気になる。

「アルル。氷の王国に生えている植物ってなんなんだろうね」

 レオの言葉に私は顔をあげるとうなずく。

「そうだね。どうやって生えたんだろう」

「うーん。緑の植物が生えない場所に、どうやって緑の植物が生えたんだろう」

「そうだねぇ」

 私とレオも頭がこんがらがってしまう。

「とにかく街の様子をもう少し見て回ろう」

「そうだね。レオ、寒いから体動かしながら行こう」

「うん! 賛成!」

 吐く息が真っ白だ。

 鼻も指先も寒さでピリピリといて痛い。

 家に帰ったら、ココアの中にマシュマロを落として食べたいな。

 そう思いながら私たちは路地の角を曲がり、次の通りに出ようとしていた。

「きゃー!」

「な、なんだあれは!」

「嘘! 緑色の植物!?」

「逃げろ!」

 人々の声が聞こえてきて、私とレオは顔を見合わせると杖を取り出しほうきを出すと、それにまたがり声のする方へと飛んだ。

 人々の合間をすり抜けて飛んでいくと、予想もしていなかった光景が広がっていた。

「うそ!」

「なんだあれ! 実際に見ると気持ち悪いな!」

「本当だね! なんだか……うねうねしている」

 巨大な緑の植物のツルが、鞭のように地面に打ち付け、うねっていた。

 それはまるで蛇のようで、私もレオも目を見開く。

「すごい」

「予想外!」

 そこにいた人々は、植物から一生懸命に逃げているけれど、何人かは植物に捕まり、ツルにからめとられて身動きが取れないようになっている。

 まずはあの人たちを助けなければ。

 私とレオは杖を構えて魔法を放つ。

「塵とかして消えよ!」

「吹き飛べ!」

 けれど、そんな魔法をツルはひょいと避けると、こちらに向かって無数のツルを伸ばして攻撃をし始めた。

「うわぁっ! 近くにいる人! 逃げてください!」

「僕たちが引き付けていますから! 早く!」

 私とレオの登場に、人々はうなずくと慌てた様子で逃げていく。

「アルル! 僕が攻撃を引き付ける! その間に、捕まっている人たちをお願い!」

「わかった!」

 レオが攻撃を仕掛けてくるツルを一手に引き受けて飛び回る。

 その間に私はツルの合間をすり抜けて、捕まっている人の傍までいくと、体に巻き付いているツルを外し、逃がしていく。

 そして全員逃がし終わると、私はレオに合図を送る。

 レオはうなずくと、魔法を放った。

「炎よ! ツルを燃やせ!」

 次の瞬間、ツルは炎に包まれていく。

 私はレオの横へと飛んでいくと、同じように炎を放ってツルを燃やしていく。

 すると、ツルが地面をダンっと勢いよく打って炎を消そうとする。

「アルルだめだ! 根元をやらなきゃ」

「うん! レオ! あそこだ!」

 たくさん生えるツルの根元は一つであり、私とレオはツルのすきまをかいくぐってそこを目指して飛ぶ。

 それから狙いを定めるとその根元に杖を向けて叫んだ。

「「吹き飛べ!」」

 杖から放たれた魔法によって、根元が吹き飛ぶ。

 根を断ち切られたツルは、黒い灰のようになると風に飛ばされて消えていった。

 私とレオは息をついて地面に降りると、先ほどまで根元があった場所を見つめる。

 そこにはぽっかりと洞窟のように穴が開いている。

「アルル……どう思う?」

 じっと穴の中を覗き込むレオの言葉に、私は言葉を返した。

「穴の中へ潜った方がいいと思う」

 レオはうなずく。

「そうだよね。うん……アロン先生に報告をしてから、調査へ向かおう」

「それまでは、ここを立ち入り禁止にして、誰も入れないように封印の魔法もかけていた方がいいかもしれないね」

「うん」

 私とレオは、間違えて人がここへ入らないように、封印の魔法をかけると、ツルが消えたことで様子を見に来た人たちに声をかけた。

「私たちは偉大なる大魔法使いアロンの弟子です」

「調査のため、ここはしばらく立ち入り禁止とさせていただきます」

 氷の王国の騎士たちも集まり始め、私は状況を説明すると、お父さんの元へと一度帰ろうとした。

 その時、数人の人々の声が聞こえた。

「……恐ろしい」

「緑が……氷の大地に! この王国は大丈夫なの?」

「大丈夫さ。女王陛下がどうにかしてくださる。それを信じよう」

「そうね。女王陛下ならきっとどうにかしてくださるわ」

 カルト様は皆に信頼されているんだな。

 そう思いながらも、先ほどの見た過去にあった出来事を思い出すと胸が苦しくなる。

「アルル、帰ろう」

「うん……」

 お父さんに急いで報告をしないと。

 私とレオはほうきにまたがり空を飛び、急いで氷の王国の王城へと戻った。

 すると、お父さんとカルト様に私たちは出迎えられる。

「お父さん! カルト様」

「アルル、レオ、一体なにがあったんじゃ」

 その言葉に、私はさっき起こったことを伝えると、お父さんは驚き、カルト様は顔色を悪くした。

「なんという……国民に、知られてしまったのか。大事になる前に根本的に解決をしなければ……アロン殿、アルル、レオよ、どうか、どうかよろしく頼む……」

 こちらに頭をさげてくるカルト様は、きっと心から王国のことを想っているのだと思う。

 カルト様がどんな人かはまだよくわからないけれど、王国の皆のために頑張っているのは伝わって来たから、私はうなずいた。

「頑張ります」

 お父さんは私とレオの背中に手を添えると言った。

「よく、頑張ってくれた。さすがは自慢の弟子じゃ。さてさて、作戦を練らなければなるまい。場所を移そう」

「「はい!」」

 私たちはうなずきあうと、カルト様とはわかれて別室で一度話しあう。

 机の上に地図を乗せ、また襲ってきたツルは一体何なのか話をする。

「ふーむ。正体は分からんが、聞く限りは明らかに普通の植物ではなさそうじゃの」

「うん。そうなの」

「よし。では支度を整えてから地下へと潜ってみるかの」

「「はい!」」

 私たちは洞窟の探検へ行くために服装を魔法で変えた。

 準備はばっちりだ。

「よーし、行くとするか」

「「しゅっぱーつ!」」

 ほうきにのって私たちは先程のツルが現れた場所へと向かう。

 そこには人だかりができていたけれど、騎士たちが穴へは近づかないようにと声をかけてくれている。

「偉大なる魔法使い、アロン殿だ」

「さっき、ツルから助けてくれた小さな魔法使いたちもいるわ」

「偉大なる大魔法使いの弟子か……」

 そんな声が聞こえてくる中、私たちは騎士に挨拶をすると穴の調査へ向かうと伝えた。

 そして一瞬魔法を解くと、中へと入り、もう一度人が入って来れないように魔法をかけておく。

「さてさて、行くか」

 ツルが出てきていた穴は大きく、人が並んで歩いても大丈夫そうだ。

「明るく照らせ!」

 お父さんが魔法をかけると、穴の中に光の玉のようなものが浮かび上がる。

 それを頼りに、私たちは暗い穴を進んでいったのであった。


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