魔法使いアルル

かのん

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10話

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 そこからかなりの時間を使って、すべてを元に戻し終えると、私もレオも疲れてしまいその場にごろりと横になった。

「疲れたー」

「もう、動きたくないね……あ、アルル! 見て!」

「え?」

 レオが指さしたのは天井であり、何だろうかと思っていると、天井に連なっていた氷柱が、キラキラと光を反射し、虹色に輝いていた。

「うわぁぁぁ。きれいー!」

 お父さんも、私とレオとの間にごろりと寝転がる。

「たしかに、きれいじゃの」

「うん……はぁー。疲れたけど、癒される」

 私の言葉に、お父さんが笑い声を立てた。

「たしかに、癒される。だが、残念なことに問題は山積じゃ……さて、どうしたものかの」

「うーん。まず、地中にどれだけのツルがあるのか、調べなきゃだよね」

「でも、アルル……どうやって? 先生、何か方法はありますか?」

 レオがそういうとお父さんは少し考えてから答える。

「あるが、そうなると、王国全体に魔法をかけねばならんからの。まぁ、どちらにしても一度、カルト殿に話しをしてみなければな……」

 王国全部に魔法をかけるということを許してくれるだろうか。

 大人になるといろいろと国同士のことも考えないといけないと言うから、お父さんが悩ましく思っているのはそうしたところなのだろうなと思う。

 お父さんは起き上がると大きく背伸びをした。

「さて、行くかの」

「はーい!」

「……頑張らないとだね」

 私とレオも立ちあがると、お父さんに習って背伸びをした。

 まだまだ今回の件は解決していない。気合を入れて頑張らなければ!

 とにかく一度元の場所へと戻るかと、私たちはほうきを魔法で出すと、来た穴を飛んで戻ったのであった。

 行きはあんなに長く感じたというのに、帰りはとても早く感じた。

 外に出てみると人だかりができており、たくさんの人がこちらの様子を伺っている。

「お父さん、念のために守護魔法と、防御壁と結界魔法をかけておくよ」

「あぁ。わしは周辺に異変がないか一度確かめておくかの。レオはアルルと共に魔法をかけておいてくれ」

「はい! 先生」

 お父さんは歩いていき、私とレオとで魔法をかけ直し始めたのだけど、こちらの様子をうかがっている人たちの声が聞こえてきた。

「あれが、偉大なる大魔法使いアロン殿の弟子か……」

「ただの……子どもじゃないか」

「あんな子どもが、魔法なんて……本当に使えるのか?」

 ちらりと視線をレオと交わす。

 こちらに向かっていろいろと言われているけれど、気にしない方がいいだろう。

「アルル、順番に魔法をかけて行こう」

「うん。念入りにした方がよさそうだね」

 私たちは丁寧に魔法をかけていくと、しばらくしてからお父さんが帰って来た。

 街の人々は、こちらに向けて不審そうな視線を向けてくるけれど、私たちは気にせずに、その後は王城へと戻ったのであった。

 ただ、その日はカルト様も忙しく、話し会いをすることが出来ず、翌日に場が設けられることになった。

 ツルの魔法は大丈夫かなとお父さんに尋ねると、一月ほどは凍らせたツルの魔法が溶けることはないらしくてほっとした。

 私たちは別々の隣同士の個室で部屋を用意され、私は夜の支度を整えると一人ベッドにもぐりこんだ。

 今回、黒い魔法使いたちが関わっている。

 ロドロ先生が、オロチだったことには驚いたし……悲しくも思った。

 それにもしかしたら今後、もっと大変なことにつながるかもしれない。

「……王様……か……」

 ずっとこれまでも、私やレオに、王様になってほしいと言ってきた黒い魔法使いたち。

 さまざまな理由で、闇に捕らわれてしまった彼らのことを思うと胸が痛くなる。

 ただ、だからといって私は王様にはなれない。

 それはレオもだろう。

 私とレオが王様になるなんてことは、絶対にない。

 そんなことを考えながら、眠りに着こうとした時であった。

 突然扉が開けられると騎士たちが部屋へとなだれ込んできたのである。

 突然なに!?

 私はベッド横に置いていた魔法の杖を取るとそれを構える。

 騎士たちはこちらに剣を向けて構えている。

「……夜更けに女の子の部屋に入って来るなんて失礼よ」

「国王陛下より、魔法使いたちを捕らえるようにとの指示が出されています。ご同行願います」

 お父さんたちはどうなっているのだろう。

 本当は不安でしかたないけれど、私は深呼吸をすると、杖を仕舞い、両手をあげた。

「一体何があったのか分からないけれど、きっと誤解よ」

「それは我々が判断することではありません」

 私は騎士に腕を掴まれると縄で縛られ、魔法の杖も奪われた。

「ねぇ、少しでも状況を教えてよ」

 騎士の一人に私は背中を押されて歩かされる。

 長い廊下は、静かで、足音だけが響いて聞こえる。

「我々からは何も言えません」

 ぶっきらぼうにそう言われ、私は小さくため息をつくと歩く。

 途中から薄暗い階段を降り始め、ついたのは地下牢であった。

「アルル!」

「アルル、怪我はないかの」

 牢屋の中にレオとお父さんがいれられている。

「お父さん! レオ! 無事でよかった」

 私も牢屋の中に入れられる。

 お父さんとレオとぎゅっと抱きしめあうと、騎士が口を開いた。

「明朝、国王陛下が裁きを言い渡すそうです。では失礼」

 そういうと騎士は立ち去り、私はそんな騎士の背中にべーっと舌を突き出した。

「ちょっとくらい説明してくれたらいいのに」

 私がつぶやくと、お父さんが言った。

「さてさて、困ったことになったぞ」

「お父さん、一体何があったの? 二人は何か知っているの?」

 レオは首を横に振ると言った。

「多分、状況は一緒だと思う。突然部屋に騎士がきて、ここに連れてこられたのさ。アロン先生も僕も、争えば状況はさらに悪くなると判断して、無抵抗でここまできたよ」

「あぁ。そうなんだ。じゃあ一緒だね……はぁ。一体何があったのかな」

 お父さんは、静かにため息をつく。

「とにかく、明日を待つしかないのぉ。さぁ、今日はもう遅い。眠るとしよう」

「「はーい」」

 私たちは大きくあくびをする。

 これまでいろいろと旅をして回ってきているからこそ、どんな状況であっても、休むことは大事だと知っている。

 簡単な魔法であれば杖がなくても使えるので、お父さんはふかふかのクッションをだしてくれた。

 私たちはそれをまくらにして横になる。

「ふわぁ。おやすみなさい」

「おやすみなさい」

 お父さんは私とレオの頭を優しく撫でると自らも横になった。

 明日一体何が待ち構えているのだろう。

 私はそんなことを思いながら眠りについたのであった。

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