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第二百二十一話
しおりを挟む魔術の国についての事件については、詳しくはアロンが今後も謎の男について調べていくこととなり執着となった。
悪魔と魔術の国の人々の事については、国王のヴィンセントが今後少しずつ歩み寄りをしていくこととなる。キースはもちろん父親の事を支えながら、悪魔とかかわっていく予定だと話していた。
アルル、レオ、アロンらは、ルビーやサリーと共に屋敷に帰ると久しぶりの我が家をのんびりと堪能していたのだが、そこに毎週のようにキースが遊びに来るようになったことでさらに賑やかとなった。
そんなある日の事であった。
アルルは朝、自分の部屋でどの洋服を着ようか悩み、今日は若草色のワンピースを選んで着てクルリとまわって笑みを浮かべた。
髪の毛はサリーに結ってもらい、ハーフアップにしており髪留めには黄色のリボンを選んだ。
鏡の前に立つ自分を見て、アルルは笑みを深めた。
「洋服、とっても可愛い。」
レオやルビーと遊ぶのはとても楽しいが、こうした可愛い物を共有できないと言うのが最近のアルルの思いであった。
ここに女の子の友達がいれば、きっときゃっきゃと笑いあいながら、洋服を着て遊べるのになとアルルは思った。
鏡に映る自分は、以前の自分とは違い、まるでお姫様のようだなとアルルは思う。
毎日食べるものがあって、毎日綺麗な洋服が着られて、毎日幸せな気持ちで眠ることが出来る。
以前の自分にはもっていなかった物がここにはたくさんあって、アルルはそれを毎日幸福に思う。
その時、部屋をノックする音が聞こえるとサリーが部屋に手紙を持ってきてくれた。
手紙の差出人は、魔法学園に通う友達のミーガンからであり、アルルは瞳を輝かせて手紙を開けた。
すると、手紙の文字が部屋いっぱいに浮き上がり、ミーガンの書いた文字がミーガンの姿に変わるとアルルの方を見て少し怒った様子でしゃべりだす。
『ごきげんよう!アルル!貴方いつになったら学園に来るの?そっちも忙しいのは分かるけれど、友人として一言言わせてもらうわ。私は今、とってもとっても大変なの。友達の貴方が居ないとやっていられないほどに、大変なの。だから、来れるなら、早く学園に来なさい!いい!貴方の友達のピンチよ!来なければ怒りますよ!それでは、会えることを心待ちに学園で待っています!ミーガンより!』
次の瞬間、ミーガンの姿は消え、元の手紙に戻っていた。
アルルは勢いのあるミーガンの声に圧倒されながらも、瞳を輝かせるとすぐにアロンの所へと行き、学園に行く許可をもらうと箒に跨って空を飛んだのであった。
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