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十四話 突然の襲撃
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久しぶりに街へと降りたラナは、ユージーンの誕生日プレゼントを買おうと雑貨屋を見て回っていた。
ユージーンほどの人物であれば大抵の物はすぐに手に入ってしまうので、今回は、街に降りて珍しい物を見つけるぞと意気込んでいたラナであったが、雑貨屋を見て回れば回るほどに、何がいいのだろうかと悩み始めていた。
「はぁ、困ったわね。」
ラナがそう呟くと、一緒に来ていた侍女のミミーはクスリと笑い声を漏らした。
「ラナ様がお選びになった物であれば、きっとご主人様は何でも喜びますよ?」
「心から喜んでほしいのよ?」
「きっと心からお喜びになられますよ。」
ミミーは心からそう思っていた。何故ならば、たかだか買い物一つに護衛を数人着け、本当に行くのかと最後まで心配そうにしていたユージーンの姿が思い浮かんだからだ。
他人に興味のない様子だったユージーンが心を開いた相手が、ラナのような女性でよかったとミミーは心から思っていた。
詳しくは教えられていないが、ミミーもラナがユージーンの家に来た経緯は簡単には聞いていた。だからこそユージーンとラナが幸せになって欲しいと、心から願っている。
「ラナ様。あちらにも、品物があるようですよ。」
「あら。本当ね。」
ラナは、奥の方にあるオルゴールへと手を伸ばした時であった。外で何やら騒ぎが起きたらしく雑貨屋の中がざわつき始めた。
「何かしら。ミミー。見て来てくれる?」
「え?いえ、お傍を離れるわけには参りませんので。」
「そう?」
何があったのだろうかと思った時であった。雑貨屋の中へと馬車が突っ込み、窓ガラスが割れた。
「ラナ様!」
ミミーはラナを庇うように、ラナに覆いかぶさった。だが次の瞬間思いがけない事が起こり、ミミーは悲鳴を上げた。
「離しなさい!ラナ様!逃げて下さい!」
雑貨屋の奥から怪しげな男が現れ、ミミーとラナを引き離そうとしているのである。ラナは何が起こっているのか分からず、だが男の顔を見て血の気が引いた。
「ふふふ・・・迎えに来たぞ。」
「・・い・・・いや・・・」
ミミーは護身用の懐から小刀を出すと、男とラナの間に入ったのだが、男は容赦なくミミーを殴り、蹴り飛ばした。
「ら・・・ラナ様・・・逃げて・・」
頭を打ち、血を流しながらミミーは薄れゆく意識の中でそう声を上げた。
ラナは男に腹部を殴られ、気絶すると、担がれて雑貨屋の奥へと運ばれていく。
ミミーは瞳いっぱいに涙をためながら、声を上げた。
「ラナ様・・・らなさまぁっぁ・・」
ミミーは懐に手を伸ばすと、主人から預かっていた魔法の護符を指で割いた。
緊急用にと持たされたとても高価な護符。そして、護符を指で割き、発動した瞬間、ミミーの意識は途切れた。
ユージーンほどの人物であれば大抵の物はすぐに手に入ってしまうので、今回は、街に降りて珍しい物を見つけるぞと意気込んでいたラナであったが、雑貨屋を見て回れば回るほどに、何がいいのだろうかと悩み始めていた。
「はぁ、困ったわね。」
ラナがそう呟くと、一緒に来ていた侍女のミミーはクスリと笑い声を漏らした。
「ラナ様がお選びになった物であれば、きっとご主人様は何でも喜びますよ?」
「心から喜んでほしいのよ?」
「きっと心からお喜びになられますよ。」
ミミーは心からそう思っていた。何故ならば、たかだか買い物一つに護衛を数人着け、本当に行くのかと最後まで心配そうにしていたユージーンの姿が思い浮かんだからだ。
他人に興味のない様子だったユージーンが心を開いた相手が、ラナのような女性でよかったとミミーは心から思っていた。
詳しくは教えられていないが、ミミーもラナがユージーンの家に来た経緯は簡単には聞いていた。だからこそユージーンとラナが幸せになって欲しいと、心から願っている。
「ラナ様。あちらにも、品物があるようですよ。」
「あら。本当ね。」
ラナは、奥の方にあるオルゴールへと手を伸ばした時であった。外で何やら騒ぎが起きたらしく雑貨屋の中がざわつき始めた。
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「え?いえ、お傍を離れるわけには参りませんので。」
「そう?」
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「ラナ様!」
ミミーはラナを庇うように、ラナに覆いかぶさった。だが次の瞬間思いがけない事が起こり、ミミーは悲鳴を上げた。
「離しなさい!ラナ様!逃げて下さい!」
雑貨屋の奥から怪しげな男が現れ、ミミーとラナを引き離そうとしているのである。ラナは何が起こっているのか分からず、だが男の顔を見て血の気が引いた。
「ふふふ・・・迎えに来たぞ。」
「・・い・・・いや・・・」
ミミーは護身用の懐から小刀を出すと、男とラナの間に入ったのだが、男は容赦なくミミーを殴り、蹴り飛ばした。
「ら・・・ラナ様・・・逃げて・・」
頭を打ち、血を流しながらミミーは薄れゆく意識の中でそう声を上げた。
ラナは男に腹部を殴られ、気絶すると、担がれて雑貨屋の奥へと運ばれていく。
ミミーは瞳いっぱいに涙をためながら、声を上げた。
「ラナ様・・・らなさまぁっぁ・・」
ミミーは懐に手を伸ばすと、主人から預かっていた魔法の護符を指で割いた。
緊急用にと持たされたとても高価な護符。そして、護符を指で割き、発動した瞬間、ミミーの意識は途切れた。
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