【完結】お嬢様は今日も優雅にお茶を飲む

かのん

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第八話 殺人犯

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 女はお茶を飲むと、顔に笑顔を貼り付けて言った。

「あの、なんの事です?」

 学はこの時に、携帯を取り出すとメールを打ち送信をした。
 そして、女と向き直る。

「すみません。とりあえず名前を伺っても?」

「え?本田典子よ。」

「はい。では本田さん。いくつか質問をさせてくい。」

 学は、桜子の発言を無視して本田にアリバイなどを細かく聞いていく。

 その日は家にいたが、アリバイはない。

 鈴木由美など知らない。

 自分とはかかわりのない人だ。

 淡々と話を進めていく学は笑顔で頷く。

 そして、携帯がなり、ちらりと確認すると本田に尋ねた。

「車はどうして新しい物に?」

「、、、、飽きたからよ。もういいでしょう。帰って頂戴。」

 その時であった。

 キッチンの方から、グラスの割れる音が響く。

 本田は目を丸くしてそちらを見つめた、

「鈴木由美さんが、怒っていますよ。」

 桜子の言葉に、本田が桜子をまじまじと見る。

「鈴木由美さん、貴方に怒っていますよ。ほら、あなたの後ろで睨んでいる。」

 本田は慌てて振り返った瞬間に、食器棚の食器達が全て落ちた。

「ひぃぃ!」

 青ざめる本田に、学は言った。

「地震ですかね?本田さん?殺してないなら、怖がる必要はないでしょ?」

「え?えぇ。」

 次の瞬間、飾ってあった絵は落ち、観葉植物が倒れていく。

「きゃあ!」

「貴方の背中に、ほら、鈴木由美さんが。肩重いでしょう?」

 本田は肩を何度も振り払う様に動くと、壁にもたれかかってその場に座り込んだ。

「なによ、、何よ。何よ!あんたが悪いんじゃない!男といちゃついて、ゴミだしは適当で!毎日毎日きれいに着飾って出かけて!あんたの部屋から聞こえてくるあんたの笑い声が、耳障りだったのよ!」

『そんな事で、、、私、、、殺されたの?』

 小さな声でそう聞こえて、学は桜子を見た。

 そんな事で、殺されて、、、鈴木由美は悔しいに決まっている。

 学は、携帯がなり、電話に出た。そして、何度か頷く、電話を切り、本田に目を向けた。

「貴方の売った車から大量の血液反応が検出されたそうです。今からこちらに警察官が来ます。ご同行、お願いします。」

「いやよ。いや!私は悪くない!」

 その瞬間、桜子が笑った。

「悪くない?本当に?」

「そうよ!私は悪くな、、、。」

 本田の顔が一瞬で血の気が引き、真っ白に変わる。

「ひ、、ひぃぃぃぃぃ!」

「これから、毎日安らかに眠れると、思わないほうがいいわ。」

 にぃっと、桜子が笑う。

「ほら、あなたにも見えるでしょう?大丈夫。これからはずっと、、、、彼女が一緒よ。」

「い、、、いやぁぃぉぁ!来ないで!ごめんなさい!ごめんなさい!来ないでぇぇぇぇ!」

 本田は丸まって悲鳴を上げ続け、しばらくして来た警察官らに連れて行かれた。




 西園寺家の庭につくと、良がお茶の準備をして、桜子は優雅にお茶を飲む。

 その目の前には空席とお茶が一杯置かれている。

「え?あの、、、本田に鈴木由美さんは憑いたんじゃあないんですか?」

 桜子は鼻で笑うと言った。

「あんな最低な女に憑きたいわけ無いでしょう。そこに座っているわ。」

「え?なら、何で?あの時?」

「さぁ、、幻覚でも見たのではないかしら。」

 桜子は笑った。そして、優雅にお茶を飲みながら学には伝える。

「貴方に、ありがとうと、鈴木由美さんが言っているわ。」

「え?いえ、自分は何も。」

「お礼は受け取っておくものよ。」

「え?あ、はい?では、どういたしまして?」

 どこからか、クスリと笑う声が聞こえた気がした。

「心配しないで。ちゃんと、貴方のご家族にも、貴方の言葉、伝えておくわ。」

「え?」

「さようなら。」

 その時であった。

 空気がふわりと浮いたような感覚がしたかと思うと肩が軽くなった。

「え?」

「逝ったわ。ご苦労さま。」

「そう、、ですか。ちゃんと、天国にいけましたかね?」

「さぁ?先の事は死んでみないと分からないわ。」

 学は青空を見上げ、そして桜子に視線を向けた。

「桜子お嬢様はどうして鈴木由美さんを助けてあげたんですか?もしや、お嬢様の所には困った幽霊が集まるとか?」

 桜子はお茶を一口飲むと、ふぅと息をついた。

「死体の出た山って不吉でしょ?きっと安く売りに出されるわ。」

「え?」

「お嬢様。旦那様から山が安く買えた。さすがは桜子だとお褒めの言葉の連絡を受けております。」

「まぁ、そう。なら、今度おねだりしてみましょう。ふふ。」

「え?え?それって、、、」

 西園寺桜子は今日も優雅にお茶を飲む。

「あぁ。仕事の後のお茶はいつもにも増して美味しいですわ!」

「えぇぇぇ。」



 鈴木由美の為に入れられたお茶は空になっていた。


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