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第九話 西園寺桜子
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小さな頃から、人ではない人をよく見かけた。それらは悲しそうだったり、苦しそうだったり、辛そうだったり。
何故なのかしらと思った。
「ねぇ、あなた、どうしていつも女の人を連れて歩いているの?」
それは屋敷で開いたお茶会であった。
皆が綺麗にめかし込み、ある大人は人との繋がりを、ある大人はお金の匂いを嗅ぎ分けて、それぞれの思惑を抱えているのがわたくしには分かった。
ただ、そんな中で、分からなかったのだ。
綺麗に着飾ってもいない陰湿そうな女を連れ回している意味が分からなかった。
だが、そういった瞬間に周りから奇異の目で見られているのを感じた。
良が慌てて私の横にやってくると、そんな大人達から遠ざけるようにしてわたくしを別室へと案内した。
良はお茶を入れ、そしてわたくしの前に、跪くと尋ねてきた。
「以前から思っておりましたが、もしや桜子お嬢様には何かが見えているのでしょうか?」
その言葉で、わたくしには良や他の人には見えていないのだと言うことを悟った。
「良。さっきの男性の後ろには誰かいなかった?」
良は首を横に振ると言った。
「だれもおりませんでした。」
「そう。わたくしには、陰湿そうな女の人が見えたわ。彼女は誰なのかしら。」
良はその言葉に、一瞬驚いたような顔をした後に、静かに言った。
「その男性を連れてきましょうか?」
「えぇ。そうね。連れてきて頂戴。」
「かしこまりました。」
良はすぐにその男性を連れてくると、ソファに座らせた。
そして、その前にはお茶を2つ置く。
その瞬間、男性の後ろにいた女性が目を丸くして桜子を見た。
その瞳には希望が宿っており、桜子は少し怖くなった。
男性は、何故自分の前に2つの茶が出されたのか分からない様子であったが然程考えなかったのか一口飲むと桜子に嫌らしい笑みを浮かべた。
「桜子お嬢様。僕と二人きりになりたいだなんておませさんだね。」
桜子は、男の下世話な考えに気づき、なんと程度の低い男だろうかと幻滅した。本来ならすぐにでも屋敷から追い出したい所だが、今は尋ねたい事があると思いとどまった。
桜子は、後ろの女の人に目を向けた。
「貴方、お名前は何と言うの?」
「山北直也です。山北産業の副社長をしております。」
「そう。山北様は少し静かにしてくださいな。わたくしが尋ねたのは貴方よ。山北様の後ろの方。」
女性の目が見る見るうちに丸く大きくなり、口をわなわなと震わせながら答えた。
『一ノ瀬緑と言います。』
「そう。一ノ瀬様と言うのね。」
一ノ瀬は、涙を流しながら何度も頷き、嗚咽を漏らしている。
だが、一ノ瀬と名前を聞いた瞬間に山北は顔を青ざめさせると立ち上がり怒鳴り声を上げた。
「な、、、何がしたい!気味の悪いことはやめてくれ!」
「煩いですわ。お静かに。それで、一ノ瀬様は何故山北様の後ろにいますの?」
一ノ瀬は怨みのこもった瞳で山北を見つめると苦しそうに答えた。
『その男に殺されて、、、部屋に箱詰めされているの。お願い、、、もし本当に私の声が聞こえるなら、、私を家族の元へ返して。』
桜子は、その言葉に衝撃を受け、思わず震える手でお茶に手を伸ばすと一口口に含んだ。その瞬間、少しだけ平静を取り戻せる。
「良、警察の叔父様に連絡をして山北様の、お部屋を拝見してくださいな。一ノ瀬緑様が部屋の中に、閉じ込められているそうですわ。」
一ノ瀬は嬉しそうに笑みを浮かべ、それとは対象的に山北は青ざめた。
「そ、、そんな事が出来ると、、、」
「わたくしを誰だと思っているのです?」
「え?」
「わたくしは西園寺桜子でございます!山北産業には西園寺家も出資しておりますわ。まさか西園寺家に逆らうと?」
「え、、、いや、、、」
「良。急ぎ行動を起こして頂戴。」
「かしこまりました。」
その後、山北の部屋からコンクリートに詰められた一ノ瀬緑の死体が見つかる。
一ノ瀬緑は、嬉しそうに微笑み、光のもとへと進んでいった。
それから桜子は、自分にしか見えない者達について様々な検証を行ってきた。
その中でままならなかったのが、取り憑き先を変えるということだ。
迷える子羊(幽霊)は、一度取り憑いてしまうとずっとそれに取り憑いたままになってしまい自分の意思ではどうにもならないらしい。しかも、取り憑く瞬間はランダムらしく、殺されたの直後、殺された人に取り憑くこともあれば、しばらくしてから関係のない土地や無機物に憑くこともある。
だからこそ、桜子は奇跡だと思った。
学さえいれば、取り憑き変え放題である。
「あ、桜子お嬢様。そう言えば今日はどのようなご用事だったんですか?」
桜子の前で美味しそうにケーキを食べる学に、桜子は優雅にお茶を飲みながら答えた。
「迷える子羊を迎えに行こうと思いまして。付いてきて下さる?」
西園寺桜子は今日も優雅にお茶を飲む。
何故なのかしらと思った。
「ねぇ、あなた、どうしていつも女の人を連れて歩いているの?」
それは屋敷で開いたお茶会であった。
皆が綺麗にめかし込み、ある大人は人との繋がりを、ある大人はお金の匂いを嗅ぎ分けて、それぞれの思惑を抱えているのがわたくしには分かった。
ただ、そんな中で、分からなかったのだ。
綺麗に着飾ってもいない陰湿そうな女を連れ回している意味が分からなかった。
だが、そういった瞬間に周りから奇異の目で見られているのを感じた。
良が慌てて私の横にやってくると、そんな大人達から遠ざけるようにしてわたくしを別室へと案内した。
良はお茶を入れ、そしてわたくしの前に、跪くと尋ねてきた。
「以前から思っておりましたが、もしや桜子お嬢様には何かが見えているのでしょうか?」
その言葉で、わたくしには良や他の人には見えていないのだと言うことを悟った。
「良。さっきの男性の後ろには誰かいなかった?」
良は首を横に振ると言った。
「だれもおりませんでした。」
「そう。わたくしには、陰湿そうな女の人が見えたわ。彼女は誰なのかしら。」
良はその言葉に、一瞬驚いたような顔をした後に、静かに言った。
「その男性を連れてきましょうか?」
「えぇ。そうね。連れてきて頂戴。」
「かしこまりました。」
良はすぐにその男性を連れてくると、ソファに座らせた。
そして、その前にはお茶を2つ置く。
その瞬間、男性の後ろにいた女性が目を丸くして桜子を見た。
その瞳には希望が宿っており、桜子は少し怖くなった。
男性は、何故自分の前に2つの茶が出されたのか分からない様子であったが然程考えなかったのか一口飲むと桜子に嫌らしい笑みを浮かべた。
「桜子お嬢様。僕と二人きりになりたいだなんておませさんだね。」
桜子は、男の下世話な考えに気づき、なんと程度の低い男だろうかと幻滅した。本来ならすぐにでも屋敷から追い出したい所だが、今は尋ねたい事があると思いとどまった。
桜子は、後ろの女の人に目を向けた。
「貴方、お名前は何と言うの?」
「山北直也です。山北産業の副社長をしております。」
「そう。山北様は少し静かにしてくださいな。わたくしが尋ねたのは貴方よ。山北様の後ろの方。」
女性の目が見る見るうちに丸く大きくなり、口をわなわなと震わせながら答えた。
『一ノ瀬緑と言います。』
「そう。一ノ瀬様と言うのね。」
一ノ瀬は、涙を流しながら何度も頷き、嗚咽を漏らしている。
だが、一ノ瀬と名前を聞いた瞬間に山北は顔を青ざめさせると立ち上がり怒鳴り声を上げた。
「な、、、何がしたい!気味の悪いことはやめてくれ!」
「煩いですわ。お静かに。それで、一ノ瀬様は何故山北様の後ろにいますの?」
一ノ瀬は怨みのこもった瞳で山北を見つめると苦しそうに答えた。
『その男に殺されて、、、部屋に箱詰めされているの。お願い、、、もし本当に私の声が聞こえるなら、、私を家族の元へ返して。』
桜子は、その言葉に衝撃を受け、思わず震える手でお茶に手を伸ばすと一口口に含んだ。その瞬間、少しだけ平静を取り戻せる。
「良、警察の叔父様に連絡をして山北様の、お部屋を拝見してくださいな。一ノ瀬緑様が部屋の中に、閉じ込められているそうですわ。」
一ノ瀬は嬉しそうに笑みを浮かべ、それとは対象的に山北は青ざめた。
「そ、、そんな事が出来ると、、、」
「わたくしを誰だと思っているのです?」
「え?」
「わたくしは西園寺桜子でございます!山北産業には西園寺家も出資しておりますわ。まさか西園寺家に逆らうと?」
「え、、、いや、、、」
「良。急ぎ行動を起こして頂戴。」
「かしこまりました。」
その後、山北の部屋からコンクリートに詰められた一ノ瀬緑の死体が見つかる。
一ノ瀬緑は、嬉しそうに微笑み、光のもとへと進んでいった。
それから桜子は、自分にしか見えない者達について様々な検証を行ってきた。
その中でままならなかったのが、取り憑き先を変えるということだ。
迷える子羊(幽霊)は、一度取り憑いてしまうとずっとそれに取り憑いたままになってしまい自分の意思ではどうにもならないらしい。しかも、取り憑く瞬間はランダムらしく、殺されたの直後、殺された人に取り憑くこともあれば、しばらくしてから関係のない土地や無機物に憑くこともある。
だからこそ、桜子は奇跡だと思った。
学さえいれば、取り憑き変え放題である。
「あ、桜子お嬢様。そう言えば今日はどのようなご用事だったんですか?」
桜子の前で美味しそうにケーキを食べる学に、桜子は優雅にお茶を飲みながら答えた。
「迷える子羊を迎えに行こうと思いまして。付いてきて下さる?」
西園寺桜子は今日も優雅にお茶を飲む。
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