【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか

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プロローグ

「ごめんなさい、セシーリア……」

 どうしたの、おかあさま。
 どうしてあやまるの?

「私は、貴方を娘だとは思えないの」

 おかあさま? どこにいくの?
 どうして、どうして私をおいていくの?
 ねぇ、おとうさま……おかあさまはどこにいったの。

「すまないセシーリア。母さんは……もう戻ってこない」

「どうして、おとうさま」

 かなしかった、なみだがとまらなかった。
 あんなにだいすきだったおかあさまが、私をおいていった。
 しんじたくなかった。

「どうして、どうして! うわぁぁ」

 いくらないても、もうおかあさまの手は私をなでてくれない。
 もうどこにもいない。
 かなしくて、くるしくて、こわかった。

「セシーリア、よく聞くんだ。お父様と約束してほしい事がある」

「おとうさま?」

「その力はこれから誰にも教えてはならない。絶対に秘密にしないといけないんだ」

 おとうさまは私の手をにぎる。
 そして頭をなでてくれた。

「いいね、セシーリアのためなんだ。もうお母様みたいに誰かに嫌われたくないだろう?」

「……うん。わかった」

「…………いい子だ」


––今でも思い出せる。
 私の幼少期、その記憶の中で鮮明に残っている……『母に捨てられた思い出』
 でも悲しくはない、父はその分を愛してくれた。
 充分だ、それだけで充分だった。

 ただ私は夫婦として過ごす親を知らず、その幸せを知らない。
 ゆえに結婚というものに一切の憧れを抱けなかった。

 そう、それよりも興味を引かれるものがあった。
 自分自身の『秘密』を堪能して、好きに生きる人生こそが私の憧れだった。
 だから……だからこそ。


 これから話す白い結婚の経緯に、むしろ喜びすら感じたのだ。

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