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18話
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レオナード様の誕生会
その主役であるはずの彼はこちらを睨みながら酒を飲み、ただ1人でいる
そして、私とウィリアム様の周りには大勢の貴族達が集まっていた
この会の主役は完全に私達になっていた
「ウィリアム様!お話いいですか?」
「見違えたぞ!ウィリアム!どうしたんだ!」
「素敵になりましたね」「シャーロット…綺麗になりましたね」
話の中心はウィリアム様だった
女性達は彼がどうやって痩せたのか興味津々で、彼女たちもスタイルを維持するために聞きたいことが多いのだろう
男性貴族達は様々だ、彼を素直に称賛する者、幸せそうだなと羨む者
さらに、少し太ってきたと感じている男性貴族は話をメモにとっていた
「ウィリアム様!凄くやせてましたよね………良かったらお腹触らせてくださいよ」
1人の令嬢がウィリアム様に近づき、お腹を触ろうと手を伸ばす
私は咄嗟に手を掴んだ
「ダメ」
「え?」
驚いた令嬢だったが、私はそっとウィリアム様に寄り添う
「ダメです」と言うと彼女も色々察してくれたのか引いてくれた
「しかし、本当にお似合いの2人だな」
「そう、私ね2人が入ってきた時に泣きそうになっちゃったもん」
皆の称賛の声、それはウィリアム様の自信となり
彼が過去の集まりで見せていたぎこちない笑顔は消えて
自然に笑えるようになっていた
私もその姿に安心していると
「お姉様」
聞き覚えのある声、忘れるはずもない
ステラだ
私はウィリアム様に少し外すと声をかけて、少し離れた場所にいたステラの元へ向かう
「ステラ様!」「お姉様!」
嬉しそうな声をあげて駆け寄る彼女を抱きしめる
久々に会ったステラ、少し身長が伸びただろうか?
「大きくなりましたか?ステラ様」
「うん!」
私とステラは甘い果実水を手に話し合う、もちろん私の視界の中にはウィリアム様がいる
他の令嬢が近づけばすぐさま戻る予定だ
けど彼女たちも気を遣ってくれているのか、必要以上には近寄らないようにしてくれているみたいだ
「しかし、お姉様は幸せそうですね」
ステラは私の顔を見て呟く
「そう見えますか?ステラ様」
「うん、この会場に入ってきた時の笑顔はステラも見た事なかったよ?」
私が思うよりも笑っていたみたいだ
彼の姿を見たレオナード様の呆気に取られた顔には思わず吹いてしまいそうになったものだ
少し微笑んでいると、ステラは神妙な顔でこそりと呟く
「でも、お兄様にはお気を付けくださいね?」
「レオナード様に?」
「ええ……最近お父様の体調が悪くなってお兄様に注意できる人が誰もいないの、お姉様と婚約している時はお父様に言われて女遊びを控えていたみたいだけど、最近は女性の出入りが激しくて………」
「な、なるほど」
私と婚約していた時は女遊びを控えていたと………あれでか
つまり、今はもっと酷くなっているのだろう
ちらりと会場でただ一人不貞腐れているレオナード様を見る
視線がギラギラとしていて、確かに何処か危なっかしい雰囲気を感じる
「ありがとうございます、ステラ様………注意しておきます」
「うん…」
ステラ様と話していると、使用人が数人やってきた
夜も遅い、まだ幼いステラ様が寝る時間なのだろう
「ステラ、もっとお姉様と話したい!」
ぐずるステラを何とか説得する、また遊びに行くと約束をするとようやく納得してくれ
使用人達と共に寝室へと向かった
手を振るステラ様を見送っていると
「ふん…見せつけてくれるじゃない」
鼻に刺さるような香水の匂い………
頭の中に彼女の顔が浮かぶ
「ベネット………」
ベネット・デズモンド………
相も変わらず派手な衣服に大きな宝石類、貴族達は自身の力を誇示するために
高価な品を身につけるものだが、彼女はその量や派手さで
せっかくの宝石類が品のない石ころのように成り下がっている
「なにか用ですか?」
「あんたね、せめて目を見て話しなさいよ」
「あら?ごめんなさい…ステラ様を見送っていたので」
そう言って彼女に目を向けると、何故か勝ち誇ったような笑みを見せつけるベネット
「あなたに残念な報告があるわ、あなたの父親……グロウズ伯爵は民衆達の暴動で貴族としての地位を剝奪………あの領土はデズモンド伯爵家が統括することになったのよ」
「そうですか」
果実水を少し飲む
グロウズ伯爵が没落するのは思っていたより早かったみたいだ
ベネットは性格はアレだけど、父親であるデズモンド伯爵様は決して馬鹿ではない
あの領土の貴族への不信感をなくすために、また重税をかけるような愚行はしないだろう
少し安心した
「どうかしら?あなたの物になるはずだった領地は私の家がもらい受けたのよ?悔しいでしょう?」
「いいえ、むしろありがとう…」
「は?」
私のあっさりとした返事におかしな声をあげるベネット
言葉を続ける
「元より、領地は私の物ではありません…民のための土地です、それにあなたのお父様ならきっと良く導いてくれるでしょう…デズモンド伯爵は貴族のためではなく、民のために動いてくれる方です」
「………………」
「ベネット、あなたはデズモンド伯爵の一人娘です、いずれ家督を継ぐことになるかもしれません…しっかりデズモンド伯爵様を見て勉強してください…あの土地の民をお願いします。」
私は頭を下げ、その場を去る
後に残されたベネットはただ立ち尽くし………
「なによ…これじゃあ何も勝てないじゃない」
と小さく呟いていた
ウィリアム様の下に早足で向かう
早く彼の隣に立ちたい、寄り添っていたい
そんな気持ちでいると
突然、腕を掴まれた
「まて」
「…………レオナード様、なんですか?」
レオナード様は私の腕を掴み、強く握る
痛みを感じる力、そこに優しさなんて微塵もなかった
「ついてこい」
「いやです、離してください」
力を入れて彼の手を引きはがそうとするが
彼はさらに掴む力を込めて私を引き寄せて耳元で呟く
「ステラがどうなってもいいのか?」
「っ!?」
「あいつに手をだしてほしくなければ…大人しくついてこい…」
そう言って、私を連れて彼は歩く
私はステラを人質にとられ、ただ歩いてついていくことしかできなかった
「シャーロット………………」
貴族達に囲まれていたウィリアムの瞳に移るのは
レオナードに手を引かれて歩く
シャーロットの姿だった
その主役であるはずの彼はこちらを睨みながら酒を飲み、ただ1人でいる
そして、私とウィリアム様の周りには大勢の貴族達が集まっていた
この会の主役は完全に私達になっていた
「ウィリアム様!お話いいですか?」
「見違えたぞ!ウィリアム!どうしたんだ!」
「素敵になりましたね」「シャーロット…綺麗になりましたね」
話の中心はウィリアム様だった
女性達は彼がどうやって痩せたのか興味津々で、彼女たちもスタイルを維持するために聞きたいことが多いのだろう
男性貴族達は様々だ、彼を素直に称賛する者、幸せそうだなと羨む者
さらに、少し太ってきたと感じている男性貴族は話をメモにとっていた
「ウィリアム様!凄くやせてましたよね………良かったらお腹触らせてくださいよ」
1人の令嬢がウィリアム様に近づき、お腹を触ろうと手を伸ばす
私は咄嗟に手を掴んだ
「ダメ」
「え?」
驚いた令嬢だったが、私はそっとウィリアム様に寄り添う
「ダメです」と言うと彼女も色々察してくれたのか引いてくれた
「しかし、本当にお似合いの2人だな」
「そう、私ね2人が入ってきた時に泣きそうになっちゃったもん」
皆の称賛の声、それはウィリアム様の自信となり
彼が過去の集まりで見せていたぎこちない笑顔は消えて
自然に笑えるようになっていた
私もその姿に安心していると
「お姉様」
聞き覚えのある声、忘れるはずもない
ステラだ
私はウィリアム様に少し外すと声をかけて、少し離れた場所にいたステラの元へ向かう
「ステラ様!」「お姉様!」
嬉しそうな声をあげて駆け寄る彼女を抱きしめる
久々に会ったステラ、少し身長が伸びただろうか?
「大きくなりましたか?ステラ様」
「うん!」
私とステラは甘い果実水を手に話し合う、もちろん私の視界の中にはウィリアム様がいる
他の令嬢が近づけばすぐさま戻る予定だ
けど彼女たちも気を遣ってくれているのか、必要以上には近寄らないようにしてくれているみたいだ
「しかし、お姉様は幸せそうですね」
ステラは私の顔を見て呟く
「そう見えますか?ステラ様」
「うん、この会場に入ってきた時の笑顔はステラも見た事なかったよ?」
私が思うよりも笑っていたみたいだ
彼の姿を見たレオナード様の呆気に取られた顔には思わず吹いてしまいそうになったものだ
少し微笑んでいると、ステラは神妙な顔でこそりと呟く
「でも、お兄様にはお気を付けくださいね?」
「レオナード様に?」
「ええ……最近お父様の体調が悪くなってお兄様に注意できる人が誰もいないの、お姉様と婚約している時はお父様に言われて女遊びを控えていたみたいだけど、最近は女性の出入りが激しくて………」
「な、なるほど」
私と婚約していた時は女遊びを控えていたと………あれでか
つまり、今はもっと酷くなっているのだろう
ちらりと会場でただ一人不貞腐れているレオナード様を見る
視線がギラギラとしていて、確かに何処か危なっかしい雰囲気を感じる
「ありがとうございます、ステラ様………注意しておきます」
「うん…」
ステラ様と話していると、使用人が数人やってきた
夜も遅い、まだ幼いステラ様が寝る時間なのだろう
「ステラ、もっとお姉様と話したい!」
ぐずるステラを何とか説得する、また遊びに行くと約束をするとようやく納得してくれ
使用人達と共に寝室へと向かった
手を振るステラ様を見送っていると
「ふん…見せつけてくれるじゃない」
鼻に刺さるような香水の匂い………
頭の中に彼女の顔が浮かぶ
「ベネット………」
ベネット・デズモンド………
相も変わらず派手な衣服に大きな宝石類、貴族達は自身の力を誇示するために
高価な品を身につけるものだが、彼女はその量や派手さで
せっかくの宝石類が品のない石ころのように成り下がっている
「なにか用ですか?」
「あんたね、せめて目を見て話しなさいよ」
「あら?ごめんなさい…ステラ様を見送っていたので」
そう言って彼女に目を向けると、何故か勝ち誇ったような笑みを見せつけるベネット
「あなたに残念な報告があるわ、あなたの父親……グロウズ伯爵は民衆達の暴動で貴族としての地位を剝奪………あの領土はデズモンド伯爵家が統括することになったのよ」
「そうですか」
果実水を少し飲む
グロウズ伯爵が没落するのは思っていたより早かったみたいだ
ベネットは性格はアレだけど、父親であるデズモンド伯爵様は決して馬鹿ではない
あの領土の貴族への不信感をなくすために、また重税をかけるような愚行はしないだろう
少し安心した
「どうかしら?あなたの物になるはずだった領地は私の家がもらい受けたのよ?悔しいでしょう?」
「いいえ、むしろありがとう…」
「は?」
私のあっさりとした返事におかしな声をあげるベネット
言葉を続ける
「元より、領地は私の物ではありません…民のための土地です、それにあなたのお父様ならきっと良く導いてくれるでしょう…デズモンド伯爵は貴族のためではなく、民のために動いてくれる方です」
「………………」
「ベネット、あなたはデズモンド伯爵の一人娘です、いずれ家督を継ぐことになるかもしれません…しっかりデズモンド伯爵様を見て勉強してください…あの土地の民をお願いします。」
私は頭を下げ、その場を去る
後に残されたベネットはただ立ち尽くし………
「なによ…これじゃあ何も勝てないじゃない」
と小さく呟いていた
ウィリアム様の下に早足で向かう
早く彼の隣に立ちたい、寄り添っていたい
そんな気持ちでいると
突然、腕を掴まれた
「まて」
「…………レオナード様、なんですか?」
レオナード様は私の腕を掴み、強く握る
痛みを感じる力、そこに優しさなんて微塵もなかった
「ついてこい」
「いやです、離してください」
力を入れて彼の手を引きはがそうとするが
彼はさらに掴む力を込めて私を引き寄せて耳元で呟く
「ステラがどうなってもいいのか?」
「っ!?」
「あいつに手をだしてほしくなければ…大人しくついてこい…」
そう言って、私を連れて彼は歩く
私はステラを人質にとられ、ただ歩いてついていくことしかできなかった
「シャーロット………………」
貴族達に囲まれていたウィリアムの瞳に移るのは
レオナードに手を引かれて歩く
シャーロットの姿だった
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