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三章
91話 暖かな国
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次に向かうサスティ国。
その国に近づくにつれて、私達が身を寄せ合う距離は近くなる。
吐く息に白さが混じり、着込む服もどんどん増えた。
いよいよ、手袋をはめ込んだ時。
「皆さま、到着いたしました。サスティ王国です」
馬車の扉を開いたグレインが、明るい笑顔を向ける。
子供達は、彼の背に広がった光景を見て感嘆の声を上げた。
「お母様! あれが雪なの!?」
「えぇ、そうよ」
「凄い……本当に真っ白だぁ!」
私も見るのはグラナート王妃として立ち寄った時以来だろうか。
一面に広がっているのは、真っ白な光景。
白銀の世界が広がっており、他の色がまるで見えない。
「これが……サスティ国か……」
「シルウィオも初めて見るの?」
「あぁ」
サスティ王国は、年中雪が積もっている。
帝国は比較的に温暖なため、雪を見る機会はないが……この国ではむしろ雪が無い日がない。
「お母様、遊んできてもいい!?」
「リルも行きたい!」
リルレットやテアが目を輝かせ、直ぐに出て行こうとする。
それを何とか止めつつ、二人がしもやけしないように靴や手袋をしっかり着込んでもらう。
「ちゃんと防寒具を付けないと、あとで痛いから。遊ぶ前にちゃんと着てね」
「えー、でもグレインは、もう遊んでるよ?」
「ずるーい!」
「リルレット様、テア様! 見てください、雪とは凄いですよ! 固まります!」
誰よりも早く、雪を見てはしゃいでいるグレイン……
鍛えているからなのか、この寒さをものともせずに、いつもと変わらぬ服装で雪玉を作っている。
彼も雪が初めてなのだろう、カルセイン国の時と同様に目を輝かせていた。
「グレインは、特別なの」
「テアも、グレインみたいに特別になりたい」
「ふふ、今は……ならなくていいの」
防寒具を身に着けたリルレットやテアは、グレインに釣られるように遊び出す。
年相応にはしゃぐ子供達と、歳も気にせずに共に笑うグレイン。
その光景はまるで、歳の離れた兄妹のようで微笑ましい。
「さて……と。シルウィオとイヴァはいつまでそこにいるの?」
「俺はここでいい」
「イヴァ……そと、や!」
馬車の隅、イヴァを抱っこしたシルウィオが毛布にくるまって二人とも震えている。
意外なことに……なにも弱みなど無いシルウィオだと思っていたけど。
寒さはどうにも苦手らしい。
この国へ来る前から、暖まる名目で私に身を寄せて……着く前なんて抱きしめられていたぐらいだ。
「イヴァとシルウィオは遊ばないの?」
「さむい……」
「イヴァ……さむい」
イヴァの寒がりはどうやらシルウィオ譲りのようで、似た反応を返す二人に笑ってしまう。
「じゃあ、私は遊んできますからね。いいの?」
「……」
「……」
「私も一緒に遊んでくれる人がいたらいいのにな~、お母さん一人で遊ぶ事になっちゃう」
「……カティが行くならいく」
「おかたま……ひとり? イヴァもいっしょ」
私を一人だけにしないという想いも似ているようだ。
二人の微笑ましい答えに嬉しさも感じながら、イヴァにも防寒具を着せて外へ出る。
流石に、三歳のイヴァにはテア達と遊ぶのは厳しい。
だから積もった雪の浅い場所で、シルウィオと共に手を引いて歩く。
「おかたま、ゆきふわふわ。こーこみたい」
「ふふ、そうね。コッコちゃんを雪で作ってみようか」
「……寒い。カティ……もう少し寄っていいか」
「いいよ、シルウィオ」
シルウィオが私の傍に寄り、イヴァの手を持つ。
よほど寒がりなのか……それとも、私の傍にいる口実にしているのか分からないけど。
いつもと違うシルウィオは少し、可愛らしい。
そうして、家族で雪を堪能していた時。
雪の中を歩き、こちらへ向かってくる人物がいた。
「おやまぁ……サスティ王国のこんな田舎に、お客様が来ているなんてね……」
雪の中であるというのに、軽々と歩いてきたのは老齢の女性であった。
まるで歳を感じさせない足取りで、私達の前へとやって来て、わざわざ頭を下げて歓迎を示してくれる。
「サスティ王国へようこそ客人様。見ての通り、雪しかない国だけど、楽しんでくれているかい?」
「わざわざご丁寧に、感謝いたします。とても楽しませてもらっておりますよ」
「それは、とても嬉しいのう。ここから東に行けば、儂の住む村があるから……良ければ暖かい物でも食べにいらっしゃい」
「まぁ! とても嬉しいです! ぜひ食べさせてください!」
その方は自身の事をセナと自己紹介した。
セナばあ様に案内してもらい、村へと招待してもらう。
サスティ王国の辺境、田舎の寂しい村だとセナばあ様は卑下していたが……彼女の村は笑顔に富んでおり、私達を暖かく迎えてくれた。
「あれま、お客様だ。可愛いらしい子供もおるね?」
「はじめまして! リルレットです」
「テアです!」
「いヴぁ!」
子供達が暖かく迎えられる中。
村の人達はセナばあ様の紹介によって、瞬く間に私達を歓迎してくれた。
暖かな飲み物や、衣服などを持って来てくれるのだ。
宿にも案内してもらい、郷土料理を振る舞ってもらって暖まる。
さらには……
「ほら、凛々しい殿方のあんたには、これがお似合いだよ」
「セナばあ様、これは?」
セナばあ様がシルウィオへと手渡そうとして、何かを持って来る。
私が思わず問いかけると、彼女は笑いながら手に持つ物を見せてくれた。
「うちの夫の手袋だよ。そっちの殿方が偉く寒そうにしていたからね。良ければもらってよ」
そう呟き、カラカラと笑うセナばあ様だけど。
周囲の人々は、彼女へと困惑した表情を向ける。
「セナばあ、いいのかい? 形見なんだろう?」
「そうだよ、手袋なら他にもあるし……なにも形見をあげなくても」
形見……という言葉に、セナばあ様の夫は亡くなっているのだと分かる。
だが、そんな複雑な心境を意にも介さず、セナばあ様は大きく笑った。
「形見といっても……この手袋は私が贈ったのに、あの人はありがたがって一度も着けてないからね。それなら凛々しい殿方に使ってもらった方がいいじゃない」
セナばあ様は笑いながら、シルウィオへ恐れる事なく手渡す。
シルウィオも素直に受け取りつつ、小さな声で彼女へと尋ねた。
「いいのか?」
「あぁ、良ければ使っておくれ。あったかいはずだよ……」
「……あぁ、有難く頂く」
シルウィオも寒さに弱いため、貰った手袋を身に着ける。
本当に暖かかったのだろう、少し驚いたような表情を見せた。
「ふふ、良い毛を使ってるからね。暖かいのは当たり前だよ」
「お父様、いいなぁ」
「テアもほしいー!」
「テア達は、来る前に買ったでしょう?」
リルレットやテア達がうらやましそうに声を上げ、そんな二人に村の人達も暖かく笑う。
グレインも平民出身なだけあり、彼らと話が合うのだろう。偉く盛り上がっていた。
イヴァも暖かい部屋でよく寝てくれている。
「カティ……」
「シルウィオ、良かったね」
「あぁ……これで、カティを暖められる」
そう言って、彼は手袋で私の頬を包み込む。
ほんのりと微笑み、優しい表情は私だけに向けてくれるものだ。
「ふふ、ありがとう」
「あぁ……カティが喜んでくれて、よかった」
外はとても寒いけれど、村の人々はとても暖かい人達ばかり。
彼らのおかげで、心がほっこりと暖かな気持ちで一日を過ごした。
◇◇◇
次の日。
村の宿で一晩を過ごした私達は、再び出立する用意を整える。
出迎えてくれた村の人達も大勢が集まってくれて、別れを惜しんでくれた。
一晩しか過ごしていないのに、寂しく思えるのは彼らの人情のおかげだ。
だが……一つだけ気になる事があった。
「あの……セナばあ様はどこに?」
私達を連れて来てくれた彼女が不在な事へ疑問を投げかければ。
村の人達は一様に、困惑した表情で私達を見つめた。
「セナばあ様は……亡くなった夫の所に、墓参りに行っているんだよ」
「もう歳なのに……無理してね」
「無理をして?」
聞けば、昨日セナばあ様が私達と出会う前に歩いてきた方向に、この村の墓地だった所があるようだ。
だがその墓地は、五年前の大雪による雪崩によって雪の中に沈んでしまった。
村の人達で掘り起こそうとしたが……墓地はいまだ埋まったままらしい。
「セナばあは、いまでも墓参りだなんて言って……掘り起こそうとしてるんだよ」
「んだな。セナばあは、夫と同じお墓に入るって約束したからよ。今は死ねないって……ずっと言ってんだ」
「墓は丈夫じゃねぇから。きっと雪ん中で朽ちてるって言っても。諦めねんだから」
村の人達は、心配の言葉と共に、どうしようもない無力感で沈黙する。
だが……その沈黙を破ったのは意外にも、シルウィオであった。
「ちょうどいい」
「え?」
「付いてこい、子供達を出迎えてくれた礼をしよう」
「な……なにを?」
突然、意味深な言葉を発したシルウィオに村の人達は困惑したけれど。
私達家族は、シルウィオがなにをするのか、その意図が分かった。
「リル達のお父様は凄いから! 一緒にきて!」
「うん、テアの大好きなお父様の凄い所、見て見て!」
子供達の言葉に、村の人も言われた通りに付いて行く。
そんな彼らが意見を求めるように、大人である私とグレインを見つめるが、私達の答えも決まっていた。
「シルウィオを信じてください。きっと……皆様のために行動してくれますから」
「ま、まぁ。今はよくわかんねけど。とりあえずは着いて行くべ」
シルウィオと共に、村の人達の案内もあって目的地へと着く。
そこには、墓地が埋まっているであろう大雪……いや、もはや人の手ではどうにもならない雪山を、かき分けて進もうとするセナばあ様がいた。
「セナばあ様、無理なさならいでください。お身体に障りますよ」
「おばあちゃん、無理しないで……」
私とリルレットがセナばあ様へと声をかけると、彼女は私達が来た事に驚きの表情を見せつつも、小さく笑う。
「嫌だねぇ、みっともない所を見せちまったね」
そう言って笑うセナばあ様の笑みは、昨日と違い。
とても……悲しそうにすら見えた。
「どうして……そこまでして……」
「約束したんだよ……死ぬ前のあの人と、一緒のお墓で眠ろうってね」
「セナばあ様……」
「あの人、先に天国に行かず、私が来るまでずっと待ってるなんて言うんだよ。ずっと……待ってるって……なのに、こんな雪の中じゃ可哀想だろう? あの人……寒がりだから」
「……」
「それに……約束は守らないとね」
笑っているけど、その笑みにはやはり悲しさが混ざる。
愛した人が眠る場所が、凍てつく雪の中で埋まっている。
そこで待つと言われていれば、セナばあ様の心情がどれだけ苦しいか、よく分かる。
私だって、もしシルウィオがそこで眠っているなら……同じことをしているかもしれない。
「セナばあ、もう墓は朽ちてるよ。諦めよう」
村の人が声を出せば、セナばあ様は首を横に振る。
「いや、あの人はきっと待ってるさ。そういう人だからね」
セナばあ様は諦めておらず、村の人達も止めるに止められないのだろう。
複雑な表情で沈黙する。
だが、その沈黙を再びシルウィオが崩すように、セナばあ様へと喋りかけた。
「セナ……といったか」
「え?」
「もらった手袋の礼が、まだだったな」
「何言ってるんだい? あんな手袋の礼なんて……」
「村の歓迎に子供達も喜び、カティも喜んでくれた。相応の礼をしたい」
「なにを……?」
シルウィオが呟きつつ、指先に光を灯した。
ほんのりと燃えるような炎が指先に宿っており、それを大雪へと向ければ……
「っ!!」
「そんな……うそ……」
村の人達が驚く声と共に、積もっていた雪が静かに蒸発していく。
あっという間に、雪だけが消えていくのだ。
やがて、雪が消えた先……そこには……木製で出来たお墓が幾つも並んでいた。
朽ちかけてもなお、斜めになっても、お墓は無事だったのだ。
「っ!!」
「セナばあ!」
村の人達の制止の声も聞かず、セナばあ様はお墓へと走り出す。
そのまま、まるで最愛の人を抱きしめるように……彼女はお墓を抱きしめた。
朽ちかけていたお墓の中で、一際立派に建っていたお墓だ。
「久しぶりだね。あんた……やっぱり、待っててくれたのかい?」
再会を喜ぶように、セナばあ様はお墓へと話しかける。
瞳には涙を浮かべ……慈しむようにお墓を撫でた。
朽ちかけていながらも、立派に建つお墓は未だにしっかりと彼女を支える。
まるで本当に、セナばあ様を待っていたかのように。
「馬鹿だよあんたは、昔っから……言っても聞かなくて。寒がりなんだから、諦めちまえばいいのに」
そう言いながらも、お墓をセナばあ様は嬉しそうに撫でる。
待ってくれていた事を、喜ぶように。
「ありがとうね……あんたは、約束は絶対に守るもんね。私ももうすぐそっち行くから、もう少しだけ待っててな」
大粒の涙を流しながら、セナばあ様はお墓へとそう告げる。
村の人達も同様に、諦めていた亡き人々の再会を喜び……涙を流して駆け寄っていた。
「礼になるだろうか」
「シルウィオ……きっと、充分だよ」
「そうか……」
シルウィオからのお礼。
それを受け取った村の人達は、感謝の言葉をくれた。
皆が涙を流しながらお礼を伝える。
子供達は礼を受ける父親の姿を見て……なにを思っているのだろうか。
きっと……次に帝国を支えるべき子供達にとって、良い影響となっただろう。
リルレットもテアも、シルウィオの姿に尊敬の眼差しを送っていたのだから。
「本当に……ありがとうね」
涙を流して頭を下げたセナばあ様の言葉を最後に、馬車が走り出す。
村の人達の感謝と見送りを受けて……私達は再び進みだすのだ。
「リルレット……お父様みたいになりたい」
「テアも……帝国の皆に、ああして感謝されるような人になる!」
子供達が憧れのようにシルウィオを見つめて言葉をかければ、彼はほのかに微笑んで子供達の頭を撫でた。
「二人も、イヴァも含めて……俺などより帝国を良く導けるはずだ。俺と、カティの子供なのだから」
「「うん!!!!」」
喜ぶ子供達を見ながら、彼は私の隣へと座る。
私の腕の中で眠るイヴァの頭を撫でた後、私の肩を抱くようにして身を寄せた。
「カティ……」
「シルウィオ?」
「手袋を貰えて手は暖かいが……完全には寒さは消えない……だから」
言いよどむような彼に、思わず笑ってしまう。
相変わらず、素直に甘えるのは苦手なのだから、可愛らしい。
「じゃあ、暖めてあげますよ」
「……嬉しい」
「ふふ」
私が身を寄せれば、嬉しそうに彼は微笑む。
ほわほわとして雰囲気になるのは、ずっと変わらない……彼の可愛いところだ。
身を寄せ合っていると、彼が呟いた。
「次は、ジェラルド達も来る予定だ」
「転移魔法でジェラルド様に来てもらうのですよね? 確か……奥様達も来られると聞きましたが」
「あぁ、その予定だ」
ジェラルド様の奥様。
あまりしっかりと話した事がないため、会う事が今から楽しみでもある。
「一体……どのような人のなのでしょうか?」
思わず溢れた疑問に、答えたのは意外な人だった。
馬車を走らせていたグレインが話を聞いていたのだろう、車内へと視線を向けて笑った。
「カーティア様と、ある意味で似ている方ですよ。きっと……気が合うと思います」
私と似ている。
そんなグレインの言葉に、ますます膨らむ期待と共に。
私達は、新たな国へと向かった。
◇◇お知らせ◇◇
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
本日、ジェラルド様の過去偏でもある『では、さっさと離婚しましょうか』について、完結を迎える事が出来ました。
そちらの主人公でもあるレティシアも、本作に登場予定となります。
ただ、そちらを読んでいなくとも大丈夫なよう進めていきますので、ご安心してお読みください!
また、新たなスピンオフでもあるグレインの物語についても書く予定をしております。
長編となりそうですので、まだ先ですが……もしよろしければお待ちくださると嬉しいです。
旅行編。
引き続き自由にお話を書いてまいります!
いつも読んでくださる皆様のおかげで、本作を続けられております。
ありがとうございます!
その国に近づくにつれて、私達が身を寄せ合う距離は近くなる。
吐く息に白さが混じり、着込む服もどんどん増えた。
いよいよ、手袋をはめ込んだ時。
「皆さま、到着いたしました。サスティ王国です」
馬車の扉を開いたグレインが、明るい笑顔を向ける。
子供達は、彼の背に広がった光景を見て感嘆の声を上げた。
「お母様! あれが雪なの!?」
「えぇ、そうよ」
「凄い……本当に真っ白だぁ!」
私も見るのはグラナート王妃として立ち寄った時以来だろうか。
一面に広がっているのは、真っ白な光景。
白銀の世界が広がっており、他の色がまるで見えない。
「これが……サスティ国か……」
「シルウィオも初めて見るの?」
「あぁ」
サスティ王国は、年中雪が積もっている。
帝国は比較的に温暖なため、雪を見る機会はないが……この国ではむしろ雪が無い日がない。
「お母様、遊んできてもいい!?」
「リルも行きたい!」
リルレットやテアが目を輝かせ、直ぐに出て行こうとする。
それを何とか止めつつ、二人がしもやけしないように靴や手袋をしっかり着込んでもらう。
「ちゃんと防寒具を付けないと、あとで痛いから。遊ぶ前にちゃんと着てね」
「えー、でもグレインは、もう遊んでるよ?」
「ずるーい!」
「リルレット様、テア様! 見てください、雪とは凄いですよ! 固まります!」
誰よりも早く、雪を見てはしゃいでいるグレイン……
鍛えているからなのか、この寒さをものともせずに、いつもと変わらぬ服装で雪玉を作っている。
彼も雪が初めてなのだろう、カルセイン国の時と同様に目を輝かせていた。
「グレインは、特別なの」
「テアも、グレインみたいに特別になりたい」
「ふふ、今は……ならなくていいの」
防寒具を身に着けたリルレットやテアは、グレインに釣られるように遊び出す。
年相応にはしゃぐ子供達と、歳も気にせずに共に笑うグレイン。
その光景はまるで、歳の離れた兄妹のようで微笑ましい。
「さて……と。シルウィオとイヴァはいつまでそこにいるの?」
「俺はここでいい」
「イヴァ……そと、や!」
馬車の隅、イヴァを抱っこしたシルウィオが毛布にくるまって二人とも震えている。
意外なことに……なにも弱みなど無いシルウィオだと思っていたけど。
寒さはどうにも苦手らしい。
この国へ来る前から、暖まる名目で私に身を寄せて……着く前なんて抱きしめられていたぐらいだ。
「イヴァとシルウィオは遊ばないの?」
「さむい……」
「イヴァ……さむい」
イヴァの寒がりはどうやらシルウィオ譲りのようで、似た反応を返す二人に笑ってしまう。
「じゃあ、私は遊んできますからね。いいの?」
「……」
「……」
「私も一緒に遊んでくれる人がいたらいいのにな~、お母さん一人で遊ぶ事になっちゃう」
「……カティが行くならいく」
「おかたま……ひとり? イヴァもいっしょ」
私を一人だけにしないという想いも似ているようだ。
二人の微笑ましい答えに嬉しさも感じながら、イヴァにも防寒具を着せて外へ出る。
流石に、三歳のイヴァにはテア達と遊ぶのは厳しい。
だから積もった雪の浅い場所で、シルウィオと共に手を引いて歩く。
「おかたま、ゆきふわふわ。こーこみたい」
「ふふ、そうね。コッコちゃんを雪で作ってみようか」
「……寒い。カティ……もう少し寄っていいか」
「いいよ、シルウィオ」
シルウィオが私の傍に寄り、イヴァの手を持つ。
よほど寒がりなのか……それとも、私の傍にいる口実にしているのか分からないけど。
いつもと違うシルウィオは少し、可愛らしい。
そうして、家族で雪を堪能していた時。
雪の中を歩き、こちらへ向かってくる人物がいた。
「おやまぁ……サスティ王国のこんな田舎に、お客様が来ているなんてね……」
雪の中であるというのに、軽々と歩いてきたのは老齢の女性であった。
まるで歳を感じさせない足取りで、私達の前へとやって来て、わざわざ頭を下げて歓迎を示してくれる。
「サスティ王国へようこそ客人様。見ての通り、雪しかない国だけど、楽しんでくれているかい?」
「わざわざご丁寧に、感謝いたします。とても楽しませてもらっておりますよ」
「それは、とても嬉しいのう。ここから東に行けば、儂の住む村があるから……良ければ暖かい物でも食べにいらっしゃい」
「まぁ! とても嬉しいです! ぜひ食べさせてください!」
その方は自身の事をセナと自己紹介した。
セナばあ様に案内してもらい、村へと招待してもらう。
サスティ王国の辺境、田舎の寂しい村だとセナばあ様は卑下していたが……彼女の村は笑顔に富んでおり、私達を暖かく迎えてくれた。
「あれま、お客様だ。可愛いらしい子供もおるね?」
「はじめまして! リルレットです」
「テアです!」
「いヴぁ!」
子供達が暖かく迎えられる中。
村の人達はセナばあ様の紹介によって、瞬く間に私達を歓迎してくれた。
暖かな飲み物や、衣服などを持って来てくれるのだ。
宿にも案内してもらい、郷土料理を振る舞ってもらって暖まる。
さらには……
「ほら、凛々しい殿方のあんたには、これがお似合いだよ」
「セナばあ様、これは?」
セナばあ様がシルウィオへと手渡そうとして、何かを持って来る。
私が思わず問いかけると、彼女は笑いながら手に持つ物を見せてくれた。
「うちの夫の手袋だよ。そっちの殿方が偉く寒そうにしていたからね。良ければもらってよ」
そう呟き、カラカラと笑うセナばあ様だけど。
周囲の人々は、彼女へと困惑した表情を向ける。
「セナばあ、いいのかい? 形見なんだろう?」
「そうだよ、手袋なら他にもあるし……なにも形見をあげなくても」
形見……という言葉に、セナばあ様の夫は亡くなっているのだと分かる。
だが、そんな複雑な心境を意にも介さず、セナばあ様は大きく笑った。
「形見といっても……この手袋は私が贈ったのに、あの人はありがたがって一度も着けてないからね。それなら凛々しい殿方に使ってもらった方がいいじゃない」
セナばあ様は笑いながら、シルウィオへ恐れる事なく手渡す。
シルウィオも素直に受け取りつつ、小さな声で彼女へと尋ねた。
「いいのか?」
「あぁ、良ければ使っておくれ。あったかいはずだよ……」
「……あぁ、有難く頂く」
シルウィオも寒さに弱いため、貰った手袋を身に着ける。
本当に暖かかったのだろう、少し驚いたような表情を見せた。
「ふふ、良い毛を使ってるからね。暖かいのは当たり前だよ」
「お父様、いいなぁ」
「テアもほしいー!」
「テア達は、来る前に買ったでしょう?」
リルレットやテア達がうらやましそうに声を上げ、そんな二人に村の人達も暖かく笑う。
グレインも平民出身なだけあり、彼らと話が合うのだろう。偉く盛り上がっていた。
イヴァも暖かい部屋でよく寝てくれている。
「カティ……」
「シルウィオ、良かったね」
「あぁ……これで、カティを暖められる」
そう言って、彼は手袋で私の頬を包み込む。
ほんのりと微笑み、優しい表情は私だけに向けてくれるものだ。
「ふふ、ありがとう」
「あぁ……カティが喜んでくれて、よかった」
外はとても寒いけれど、村の人々はとても暖かい人達ばかり。
彼らのおかげで、心がほっこりと暖かな気持ちで一日を過ごした。
◇◇◇
次の日。
村の宿で一晩を過ごした私達は、再び出立する用意を整える。
出迎えてくれた村の人達も大勢が集まってくれて、別れを惜しんでくれた。
一晩しか過ごしていないのに、寂しく思えるのは彼らの人情のおかげだ。
だが……一つだけ気になる事があった。
「あの……セナばあ様はどこに?」
私達を連れて来てくれた彼女が不在な事へ疑問を投げかければ。
村の人達は一様に、困惑した表情で私達を見つめた。
「セナばあ様は……亡くなった夫の所に、墓参りに行っているんだよ」
「もう歳なのに……無理してね」
「無理をして?」
聞けば、昨日セナばあ様が私達と出会う前に歩いてきた方向に、この村の墓地だった所があるようだ。
だがその墓地は、五年前の大雪による雪崩によって雪の中に沈んでしまった。
村の人達で掘り起こそうとしたが……墓地はいまだ埋まったままらしい。
「セナばあは、いまでも墓参りだなんて言って……掘り起こそうとしてるんだよ」
「んだな。セナばあは、夫と同じお墓に入るって約束したからよ。今は死ねないって……ずっと言ってんだ」
「墓は丈夫じゃねぇから。きっと雪ん中で朽ちてるって言っても。諦めねんだから」
村の人達は、心配の言葉と共に、どうしようもない無力感で沈黙する。
だが……その沈黙を破ったのは意外にも、シルウィオであった。
「ちょうどいい」
「え?」
「付いてこい、子供達を出迎えてくれた礼をしよう」
「な……なにを?」
突然、意味深な言葉を発したシルウィオに村の人達は困惑したけれど。
私達家族は、シルウィオがなにをするのか、その意図が分かった。
「リル達のお父様は凄いから! 一緒にきて!」
「うん、テアの大好きなお父様の凄い所、見て見て!」
子供達の言葉に、村の人も言われた通りに付いて行く。
そんな彼らが意見を求めるように、大人である私とグレインを見つめるが、私達の答えも決まっていた。
「シルウィオを信じてください。きっと……皆様のために行動してくれますから」
「ま、まぁ。今はよくわかんねけど。とりあえずは着いて行くべ」
シルウィオと共に、村の人達の案内もあって目的地へと着く。
そこには、墓地が埋まっているであろう大雪……いや、もはや人の手ではどうにもならない雪山を、かき分けて進もうとするセナばあ様がいた。
「セナばあ様、無理なさならいでください。お身体に障りますよ」
「おばあちゃん、無理しないで……」
私とリルレットがセナばあ様へと声をかけると、彼女は私達が来た事に驚きの表情を見せつつも、小さく笑う。
「嫌だねぇ、みっともない所を見せちまったね」
そう言って笑うセナばあ様の笑みは、昨日と違い。
とても……悲しそうにすら見えた。
「どうして……そこまでして……」
「約束したんだよ……死ぬ前のあの人と、一緒のお墓で眠ろうってね」
「セナばあ様……」
「あの人、先に天国に行かず、私が来るまでずっと待ってるなんて言うんだよ。ずっと……待ってるって……なのに、こんな雪の中じゃ可哀想だろう? あの人……寒がりだから」
「……」
「それに……約束は守らないとね」
笑っているけど、その笑みにはやはり悲しさが混ざる。
愛した人が眠る場所が、凍てつく雪の中で埋まっている。
そこで待つと言われていれば、セナばあ様の心情がどれだけ苦しいか、よく分かる。
私だって、もしシルウィオがそこで眠っているなら……同じことをしているかもしれない。
「セナばあ、もう墓は朽ちてるよ。諦めよう」
村の人が声を出せば、セナばあ様は首を横に振る。
「いや、あの人はきっと待ってるさ。そういう人だからね」
セナばあ様は諦めておらず、村の人達も止めるに止められないのだろう。
複雑な表情で沈黙する。
だが、その沈黙を再びシルウィオが崩すように、セナばあ様へと喋りかけた。
「セナ……といったか」
「え?」
「もらった手袋の礼が、まだだったな」
「何言ってるんだい? あんな手袋の礼なんて……」
「村の歓迎に子供達も喜び、カティも喜んでくれた。相応の礼をしたい」
「なにを……?」
シルウィオが呟きつつ、指先に光を灯した。
ほんのりと燃えるような炎が指先に宿っており、それを大雪へと向ければ……
「っ!!」
「そんな……うそ……」
村の人達が驚く声と共に、積もっていた雪が静かに蒸発していく。
あっという間に、雪だけが消えていくのだ。
やがて、雪が消えた先……そこには……木製で出来たお墓が幾つも並んでいた。
朽ちかけてもなお、斜めになっても、お墓は無事だったのだ。
「っ!!」
「セナばあ!」
村の人達の制止の声も聞かず、セナばあ様はお墓へと走り出す。
そのまま、まるで最愛の人を抱きしめるように……彼女はお墓を抱きしめた。
朽ちかけていたお墓の中で、一際立派に建っていたお墓だ。
「久しぶりだね。あんた……やっぱり、待っててくれたのかい?」
再会を喜ぶように、セナばあ様はお墓へと話しかける。
瞳には涙を浮かべ……慈しむようにお墓を撫でた。
朽ちかけていながらも、立派に建つお墓は未だにしっかりと彼女を支える。
まるで本当に、セナばあ様を待っていたかのように。
「馬鹿だよあんたは、昔っから……言っても聞かなくて。寒がりなんだから、諦めちまえばいいのに」
そう言いながらも、お墓をセナばあ様は嬉しそうに撫でる。
待ってくれていた事を、喜ぶように。
「ありがとうね……あんたは、約束は絶対に守るもんね。私ももうすぐそっち行くから、もう少しだけ待っててな」
大粒の涙を流しながら、セナばあ様はお墓へとそう告げる。
村の人達も同様に、諦めていた亡き人々の再会を喜び……涙を流して駆け寄っていた。
「礼になるだろうか」
「シルウィオ……きっと、充分だよ」
「そうか……」
シルウィオからのお礼。
それを受け取った村の人達は、感謝の言葉をくれた。
皆が涙を流しながらお礼を伝える。
子供達は礼を受ける父親の姿を見て……なにを思っているのだろうか。
きっと……次に帝国を支えるべき子供達にとって、良い影響となっただろう。
リルレットもテアも、シルウィオの姿に尊敬の眼差しを送っていたのだから。
「本当に……ありがとうね」
涙を流して頭を下げたセナばあ様の言葉を最後に、馬車が走り出す。
村の人達の感謝と見送りを受けて……私達は再び進みだすのだ。
「リルレット……お父様みたいになりたい」
「テアも……帝国の皆に、ああして感謝されるような人になる!」
子供達が憧れのようにシルウィオを見つめて言葉をかければ、彼はほのかに微笑んで子供達の頭を撫でた。
「二人も、イヴァも含めて……俺などより帝国を良く導けるはずだ。俺と、カティの子供なのだから」
「「うん!!!!」」
喜ぶ子供達を見ながら、彼は私の隣へと座る。
私の腕の中で眠るイヴァの頭を撫でた後、私の肩を抱くようにして身を寄せた。
「カティ……」
「シルウィオ?」
「手袋を貰えて手は暖かいが……完全には寒さは消えない……だから」
言いよどむような彼に、思わず笑ってしまう。
相変わらず、素直に甘えるのは苦手なのだから、可愛らしい。
「じゃあ、暖めてあげますよ」
「……嬉しい」
「ふふ」
私が身を寄せれば、嬉しそうに彼は微笑む。
ほわほわとして雰囲気になるのは、ずっと変わらない……彼の可愛いところだ。
身を寄せ合っていると、彼が呟いた。
「次は、ジェラルド達も来る予定だ」
「転移魔法でジェラルド様に来てもらうのですよね? 確か……奥様達も来られると聞きましたが」
「あぁ、その予定だ」
ジェラルド様の奥様。
あまりしっかりと話した事がないため、会う事が今から楽しみでもある。
「一体……どのような人のなのでしょうか?」
思わず溢れた疑問に、答えたのは意外な人だった。
馬車を走らせていたグレインが話を聞いていたのだろう、車内へと視線を向けて笑った。
「カーティア様と、ある意味で似ている方ですよ。きっと……気が合うと思います」
私と似ている。
そんなグレインの言葉に、ますます膨らむ期待と共に。
私達は、新たな国へと向かった。
◇◇お知らせ◇◇
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
本日、ジェラルド様の過去偏でもある『では、さっさと離婚しましょうか』について、完結を迎える事が出来ました。
そちらの主人公でもあるレティシアも、本作に登場予定となります。
ただ、そちらを読んでいなくとも大丈夫なよう進めていきますので、ご安心してお読みください!
また、新たなスピンオフでもあるグレインの物語についても書く予定をしております。
長編となりそうですので、まだ先ですが……もしよろしければお待ちくださると嬉しいです。
旅行編。
引き続き自由にお話を書いてまいります!
いつも読んでくださる皆様のおかげで、本作を続けられております。
ありがとうございます!
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