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第6章 アーカウラの深き場所
幕間⑥
しおりを挟む「約定違反なのはわかっていますね?」
薄暗いその広間の片隅で、空に出来た玉虫色の穴の向こうからそんな声が掛けられる。
「あれくらい見逃してもらいたい所ですがね。っと、わかってますよ。わかってますから、そんな物騒な物を向けないでください。ククク」
「…………暫くはそこで、本来の役目を果たしなさい。
それだけ残して穴は閉じる。
黒い紳士はそれを見届けると、視線を広間の中央へ向けた。
そこにあるのは、一つの玉座と、それに座るある存在。
その周りを数多の異形達が囲み、奇妙な動きを続けている。
「ふっ」
黒い紳士はまず異形の存在を鼻で笑い、そして視線を輪の中心の存在へと向けた。
その少し温かみを持った瞳に宿る感情は、嘲り。そして……。
◆◇◆
深い、深い樹海の奥。そのモノがゆっくりと目を開ける。
深緑色の鱗に覆われた巨体を震わせ、その九眼の頭部を二十メートルを超える木々の上に出した。
『集え』
大樹海を震わせたのは、金属どうしを擦り合わせたような甲高い咆哮。そのモノの同族にのみ伝わる、意思を乗せた叫びだ。
その声に従い、一体、また一体と最強種達が集まってくる。
翼のあるモノ。無いモノ。
分厚い岩のような鱗で覆われたモノ。薄い鋭利な鱗で覆われたモノ。
体の大きなモノ。小さなモノ。
姿形は様々にして、その数は両の手で数え切れないほどだ。
『時は来た』
そのモノの九つの眼が集まった其々を見る。
『今こそ、この世界の病原体たる人間達を滅ぼすのだ……! 行け、我が同胞らよ!!』
今、絶望が始まる。
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