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第6章 アーカウラの深き場所
第1話 束の間の休息
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7-1
『荒ぶる祖霊の社』攻略から一ヶ月が経ちました。
まだ古代竜レテレノが動く気配は無いという事でしたが、アリスとコスコルも含めて目的としていた迷宮の攻略が終わった私達は、屋敷のあるリムリアに帰って来ていました。
今は帰ってから三日目の、朝食の時間です。
「んーーーーっ……はぁ。やっぱり家は良いわね」
「だねぇ……。少ししたらゆっくり出来なくなるっぽいけど」
「うん……。古代竜、来る」
もう暫く時間はあるそうですが、それでも街中が普段より慌しいです。
それにしても、レテレノがいるのは樹海の最深部だというのに、どうやって情報を得てるんですかね? 情報を得るタイミングは早すぎますし、それになんだか、ハッキリし過ぎているように感じます。
まぁそれは良いでしょう。私たちの考えることではありません。
というわけで、今のうちに迷宮攻略以降の変化について整理しようと思います。
まずブランの変化。
スキル面で言えば、特に変化はありません。強いて言えば、権限レベルとやらの上昇で『理外のスキル』を修得できるようになった、という事くらいです。
ではどういった変化があったかというと、魔力を含めた“あらゆる力の流れ”が見える体質になったというモノです。
元々資質はありました。所謂アルビノであるはずのブランの眼が黒かったのはその証です。
以前にも話しましたが、ブランの眼が黒いのは誰にでも見える密度で魔力が集まっていたから。ブランの魔力は黒色です。
これは魔眼の類を体質として持つ存在に特徴的な事で、スキルの魔眼よりも上位の力を持ちます。その理由は、まぁそのうち。
この開眼があの黒い紳士からのプレゼントなのでしょう。
ブランの天使度は変わりません。初めからカンストしてますので。
続いてスズ。
まず、〈制魂解放〉がレベル五になった事でスズの種族が変わりました。その種族名は『英霊種』。本来は戦乙女が迎える側のやつですね。
この種族は半精神生命体というような分類になります。
精神生命体は霊系魔物などの、魂が本体で魔力を入れ物にしている種なのに対し、半精神生命体は物質的な肉体が器となる種です。
肉体が器なのは普通の生命体も同じですが、魂さえ無事なら首を切られても死なない位には依存度が低いです。代わりに、魂を留める核という弱点を持ちます。
とはいえ、普通よりかなり有利なのは間違いありません。
スキル面の変化で言えば、権限レベルの上昇に伴って〈神聖魔法〉が『理外のスキル』、〈世界を砕く輝き〉に進化しました。どうやらより戦闘に重きを置いたスキルなようですね。〈勇者〉に少し似ています。
そして黒い紳士からのプレゼント。
彼女のそれは、アカシックレコードとも言うべき『世界の記憶』へのアクセス権限。勿論、全ての情報を閲覧出来るわけではありませんが。
これで〈真実の瞳〉の能力は私の〈鑑定眼〉を超えましたね。
だいたいこんな所でしょう。
最後に私。
と言っても、迷宮を出てからの変化は殆どありません。スキルは早々上がるようなレベルではありませんし、権限レベルが上がってできるようになった事はよくわからないので。
唯一と言って良い変化は、これですかね……。
あれは、帰ってきた日の夜の事でした。
◆◇◆
ふぅ、今回の旅は長かった上に色々ありましたね。
……なんだかんだ、こちらに来てから二年が経っているんですね。ステータスの年齢が二十歳になっています。
つまり、ブランが十四、スズが十八ですか。あちらにいたなら、スズも高校卒業です。その晴れ舞台を逃したのは少し残念ですね。
…………色々考えてたら、眠気が消えましたね。そして、ここは屋敷。やるしか無いのでは?
えぇそうです。暇だから仕方なくです。
ここ一年ご無沙汰なんですから、ちょっとしたご褒美ですよ!
さて、服を脱いで……よし。やりま「お姉ちゃん、入る、よ……」
あ、結界……。
「ふーーーーん? まぁ、色々考えてたら眠れなくなったっていうのは、わかるけどぉ?」
くっ、スズめ、ニヤニヤして……!
「お姉ちゃんも女の子になっちゃったんだし? 私が女の子の先輩として色々教えてあ・げ・る!」
「え、ちょ、スズ? まっ………………」
「はぁはぁはぁ……す、凄かった」
「お姉ちゃんこそ……ふぅ」
チリンっ
【〈淫乱〉がレベルMaxになりました。
〈魅了〉がレベルMaxになりました。――】
なんか、上がっちゃいましたね……。
【条件を達成しました。
『ソード・オブ・ムーン=レンズ』が進化します。】
「…………はぇ!?」
「ん? お姉ちゃん、変な声だしてどうしたの?」
「……剣が、進化したわ」
スズの動きが止まります。
わかります。そしてこの後は絶叫ですよね。今のうちに服を着て、耳を塞いでおきましょう。
◆◇◆
とまぁ、こんな事があった訳です。
冷静に考えれば、この剣に関係の深いのはあの神なんですから、件の二つのスキルが進化条件になっている事はなんらおかしな事ではありません。あの時はタイミングがタイミングだったので、少々取り乱してしまいましたが。
ちなみに、新しい私の愛剣の銘は『Shub-Niggurath』。
万物の母の名を冠した、真っ黒で、異様なほどに美しい剣です。
『荒ぶる祖霊の社』攻略から一ヶ月が経ちました。
まだ古代竜レテレノが動く気配は無いという事でしたが、アリスとコスコルも含めて目的としていた迷宮の攻略が終わった私達は、屋敷のあるリムリアに帰って来ていました。
今は帰ってから三日目の、朝食の時間です。
「んーーーーっ……はぁ。やっぱり家は良いわね」
「だねぇ……。少ししたらゆっくり出来なくなるっぽいけど」
「うん……。古代竜、来る」
もう暫く時間はあるそうですが、それでも街中が普段より慌しいです。
それにしても、レテレノがいるのは樹海の最深部だというのに、どうやって情報を得てるんですかね? 情報を得るタイミングは早すぎますし、それになんだか、ハッキリし過ぎているように感じます。
まぁそれは良いでしょう。私たちの考えることではありません。
というわけで、今のうちに迷宮攻略以降の変化について整理しようと思います。
まずブランの変化。
スキル面で言えば、特に変化はありません。強いて言えば、権限レベルとやらの上昇で『理外のスキル』を修得できるようになった、という事くらいです。
ではどういった変化があったかというと、魔力を含めた“あらゆる力の流れ”が見える体質になったというモノです。
元々資質はありました。所謂アルビノであるはずのブランの眼が黒かったのはその証です。
以前にも話しましたが、ブランの眼が黒いのは誰にでも見える密度で魔力が集まっていたから。ブランの魔力は黒色です。
これは魔眼の類を体質として持つ存在に特徴的な事で、スキルの魔眼よりも上位の力を持ちます。その理由は、まぁそのうち。
この開眼があの黒い紳士からのプレゼントなのでしょう。
ブランの天使度は変わりません。初めからカンストしてますので。
続いてスズ。
まず、〈制魂解放〉がレベル五になった事でスズの種族が変わりました。その種族名は『英霊種』。本来は戦乙女が迎える側のやつですね。
この種族は半精神生命体というような分類になります。
精神生命体は霊系魔物などの、魂が本体で魔力を入れ物にしている種なのに対し、半精神生命体は物質的な肉体が器となる種です。
肉体が器なのは普通の生命体も同じですが、魂さえ無事なら首を切られても死なない位には依存度が低いです。代わりに、魂を留める核という弱点を持ちます。
とはいえ、普通よりかなり有利なのは間違いありません。
スキル面の変化で言えば、権限レベルの上昇に伴って〈神聖魔法〉が『理外のスキル』、〈世界を砕く輝き〉に進化しました。どうやらより戦闘に重きを置いたスキルなようですね。〈勇者〉に少し似ています。
そして黒い紳士からのプレゼント。
彼女のそれは、アカシックレコードとも言うべき『世界の記憶』へのアクセス権限。勿論、全ての情報を閲覧出来るわけではありませんが。
これで〈真実の瞳〉の能力は私の〈鑑定眼〉を超えましたね。
だいたいこんな所でしょう。
最後に私。
と言っても、迷宮を出てからの変化は殆どありません。スキルは早々上がるようなレベルではありませんし、権限レベルが上がってできるようになった事はよくわからないので。
唯一と言って良い変化は、これですかね……。
あれは、帰ってきた日の夜の事でした。
◆◇◆
ふぅ、今回の旅は長かった上に色々ありましたね。
……なんだかんだ、こちらに来てから二年が経っているんですね。ステータスの年齢が二十歳になっています。
つまり、ブランが十四、スズが十八ですか。あちらにいたなら、スズも高校卒業です。その晴れ舞台を逃したのは少し残念ですね。
…………色々考えてたら、眠気が消えましたね。そして、ここは屋敷。やるしか無いのでは?
えぇそうです。暇だから仕方なくです。
ここ一年ご無沙汰なんですから、ちょっとしたご褒美ですよ!
さて、服を脱いで……よし。やりま「お姉ちゃん、入る、よ……」
あ、結界……。
「ふーーーーん? まぁ、色々考えてたら眠れなくなったっていうのは、わかるけどぉ?」
くっ、スズめ、ニヤニヤして……!
「お姉ちゃんも女の子になっちゃったんだし? 私が女の子の先輩として色々教えてあ・げ・る!」
「え、ちょ、スズ? まっ………………」
「はぁはぁはぁ……す、凄かった」
「お姉ちゃんこそ……ふぅ」
チリンっ
【〈淫乱〉がレベルMaxになりました。
〈魅了〉がレベルMaxになりました。――】
なんか、上がっちゃいましたね……。
【条件を達成しました。
『ソード・オブ・ムーン=レンズ』が進化します。】
「…………はぇ!?」
「ん? お姉ちゃん、変な声だしてどうしたの?」
「……剣が、進化したわ」
スズの動きが止まります。
わかります。そしてこの後は絶叫ですよね。今のうちに服を着て、耳を塞いでおきましょう。
◆◇◆
とまぁ、こんな事があった訳です。
冷静に考えれば、この剣に関係の深いのはあの神なんですから、件の二つのスキルが進化条件になっている事はなんらおかしな事ではありません。あの時はタイミングがタイミングだったので、少々取り乱してしまいましたが。
ちなみに、新しい私の愛剣の銘は『Shub-Niggurath』。
万物の母の名を冠した、真っ黒で、異様なほどに美しい剣です。
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