12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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第2章 千の時を共に

第8話 戦乙女

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2-8
「ふへぇ、気持ちいい」
「体が冷えてるから、しっかりあったまりなさい」
「ぅん」

 蕩けきってますね。非常に可愛いです……!

 お風呂の用意が出来たと聞いて早速連れてきました。
 しっかり体は洗いましたよ? 〈物質錬成〉で柑橘系の香りがする石鹸を作って。
 まだ発達しきっていない慎ましい胸部も、真っ白な肢体も、綺麗に、隅々まで洗ってあげました。二つの出っ張りの辺りを洗った時、顔を赤らめ身をよじる姿は、なんと言いますか。天上よりもたらされた祝福を私に与えてくれました。ほぉ……。まだ頬が上気しているのを感じます。

 …………何を告白してるんでしょう?
 それはともかく、石鹸を作った時にわかったことがあります。
完成品をイメージをすればいいと、先ほど言いましたが正確ではありませんでした。
 いえ、出来ることはできます。ただ、質が悪いのです。香りはしっかりイメージ通りになったのですが、泡立ちがすこぶる悪かったんです。
 なので、今度はブランの服を作った時同様組成から意識してみました。香料はよくわからないので結果のイメージのみですが、先ほど問題ないことは分かっています。
 試すこと二回。そしてできたのがついさっきまで使っていたもの。
 一回目のものはイメージのみの物よりはマシでしたが、まだ理想には届いていませんでした。しかしもう少しでしたので、二回目はそこに完成品の泡立ちのイメージも加えてみた結果うまくいったんです。

 そこから推測したのはイメージで補完できる限界があること。おそらくレベル依存でしょう。
 まだ私の魔力量では『ユニークスキル』レベルの詳細は分かりません。解体の時よりは増えてるんですがね……。

 まあいいでしょう。そのうち見れるようになるはずです。
 今はこの天使の裸体をしっかり目に焼き付けなければ!


◆◇◆
 次の日、私たちは衛兵の詰所に向かっていました。
 ……はい。忘れてました。
 あの衛兵さんには一晩余計な心配をかけたことになります。ですので、しっかりお詫びの品も持参して移動中というわけです。
 ちなみに品物はこの間のハイオークの使わなかった部位の一部と、どうやら既婚者のようだったので、奥様に石鹸です。(このリベリア王国では既婚者は夫が右耳、妻が左耳に相手の誕生石か、それと同色の石の耳飾りをつける風習があります)
 ハイオークの使わなかった部位の大部分は宿で買い取りたいと言われてベアルさんに売りました。


「こんにちは」
「あっ!『狂戦姫』殿! 例の少女は……て、見つかったんですね。はぁ、よかったぁ」

 かなり心配してくれていたようです。
 本当に悪いことをしました。

「ごめんなさい。本当は昨日すぐスラムで見つけたんだけど、ここに来るのすっかり忘れてて……」
「いえ、しょうがありません。他にも連絡回しておきますね」
「それで、これ、お詫びに。みんなで食べて。あとこれは奥さんに」
「わざわざありがとうございます……ってこれ! ハイオークじゃないですか! 貰えませんよこんな高価なもの! 私たちは仕事をしただけです」
「それでも余計な心配をかけてしまったから。それに私だけじゃ食べきれないわ。勿体無いからぜひ貰ってくれない?」
「……はぁ。わかりました。ありがたく頂きます。それで、これは?」
「それは自作の石鹸よ」
「せ、石鹸!? さらに高いじゃないですか!」
「だから自作と言ったでしょう。ただよ、ただ」
「これを、あなたが? まあそういうことなら」

 ちゃんと受け取って貰えてよかったです。まあエゴと言われたら反論できませんがね。

「姉様、誰?」
「あなたを探す時に色々手を回してくれた人よ。始めブランがここを出た時も居たでしょう? 心配もかけたし、お礼を言っておきなさい」
「うーん? 覚えて、ない……。でも、ありがと」

 ブランはそういって素直に礼を言い、ペコリと頭を下げました。獣人にもそういう風習はあるんですね。

「いや、いいよ。仕事でもあるからね。それより無事でよかった。彼女の家族になったのかな? 幸せにして貰いなさい」
「うん」

 もちろん幸せにしますよ。管理者さんに誓いましょう。あの契約を司る神に。
 衛兵さんに見送られて詰所を後にします。そういえば名前聞いてませんね。まあまた会った時でいいですね。

◆◇◆
 次に向かったのは冒険者ギルド。
 今は家族ですが、元々同じ街に住んでいたわけでも血の繋がりがあったわけでもない上にまだCランク(合格は確信してます)の私では保証人として微妙です。審査にも時間はかかりますし。
 しかし冒険者になれば手っ取り早く身分を証明できる(つまりはギルドが保証人になってくれる)のですから、さっさとそうしておくことにしました。

 今はもう暫く待てば四の鐘、天頂の鐘とも呼ばれる正午の鐘が鳴るという時間。私が初めて来た時同様ギルド内には殆ど冒険者の姿は見られません。

「こんにちは、リオラさん」
「おはようございます。今日はどうなさいました?」
「この子の登録に来たの」
「その子は……もしかしてこの間の?」
「ええそうよ。書類は本人が書かないとダメかしら?」
「いえ、大丈夫ですよ。今出しますね」

 リオラさんから受け取った例の用紙に本人と相談しつつ必要事項を記入していきます。二回目ともなれば慣れたものです。

 まずは必須の太枠から。
 登録名は“ブラン”とだけ書いておきます。
 登録経験は無し。あとで聞いた話ですが、この“登録経験の有無”という欄は一種の審査用との事です。
 この欄にだけ[真偽判定]の魔法がかけられているとか。
 冒険者の手はいくらあっても足りないので登録自体はどちらでも可能ですけど、信用はされない。そういう事ですね。
 実力以外でも信頼できる人にしか斡旋出来ないような依頼もありますし。

 次に使用魔法欄ですが、リオラさん曰く『〈結界魔法〉は所持者が少なく、あれば優遇される』そうなので書いておきます。
 まあこの後色々増えるでしょうが。

 使用武器は、まだ未定。
 里にいた頃は魔物と戦う機会も少なく、外で襲われた時は〈結界魔法〉で逃げ回ってたそうです。
 〈結界魔法〉が使える事は何となくわかっていた(スキルとはそういうもの)とは本人の談です。
 もし、里の中、人前で使う事があったなら、ブランはきっと。……いえ、たらればを言っても仕方ありません。

 最後にブランの血で情報を登録して終わりです。
 それにしてもブラン、あなた思い切りよくいきましたね……。

「はい、これで大丈夫です。規約の方は……」
「私が説明しておくわ。リオラさんは立場上いえない事もあるし、二度手間になるしね」
「ありがとうございます。パーティは組んでいかれますか?」

 パーティを組んだ場合、ギルドに登録する事でそれが正式なものとなります。処理上の都合もありますし。
 個人と別にパーティにもランクはあり、基本的にはメンバーの平均です。
 基本的に、というのは連携によってより高い能力を発揮するパーティはさらに上のランクとなる事があるからです。その辺の判断はサブマス以上の判断になります。リオラさんはサブマスなのでもちろんその辺の権限を持っています。つまり、

「わかりました。ブランさんは〈結界魔法〉が使えるようですし、アルジェさんも実力的にはBランク上位ですから…、Cランクパーティとして登録しておきますね」
「ありがとう」
「それで、パーティ名はつけますか?」

 パーティ名をつければパーティとして名を売れるようになるので、色々メリットはあります。もちろんデメリットはありますが、問題ないでしょう。

「そうね、つけましょうか。ブラン、どんなのがいい?」
「姉様が決めたなら、何でもいい。姉様と一緒なだけで満足」

 っ~~~~!! 可愛いデスワ!
 しかし、少々主体性に欠けているようにも見えます。これは改善すべきですね。

「あなたもその一員になるのだから、ちょっと考えてみて?」

 ここは自分で考えることにも慣れておいてもらわなくては。

「それを元に決めることにするわ」

 といいつつ結局決定は私。甘やかすなというのは無理です!! 天使ですもの!

「う~ん?」

 コテンっと首を傾げて考えるブラン。ちょっと息が荒くなり動悸が激しくなってきた私。
 リオラさんに苦笑いされてますけどどうしようもないんです!

「……姉様が剣を構えてるの、かっこよかった。あと、はねが綺麗だった」
「はねと、剣ですか?」
「うん」
 
 剣を持ってて翼がある。戦う女性。
 (ちらっ)……そして天使。

「そう、ね。『戦乙女ヴァルキリア』はどうかしら? 私の故郷の神話で、神様に仕え、戦う女性たちのことなんだけど」
「うん、いい。姉様にぴったり」

 いいえ、可愛い天使なブランにこそピッタリです!
 本当はブランを戦わせたくはないのですが、この世界でそんな事は言っていられません。今の私では守りきれませんし。

「それじゃあ『戦乙女』で登録しておきますね」
「ええ、ありがとう」

 それにしても、フィオに暫くソロでやると断った翌日にパーティ結成ですか……。
 まあ仕方ないです。今度会った時の言い訳でも考えておきましょう。

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