12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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第3章 二つの輝き

第24話 焦燥

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3-24

 頭痛を無視し、私の持つ全ての索敵手段を用い、その男を探します。
 認識さえすれば[短距離転移]が使えるので。

 ……いた。[短距離転移]。

「うぉっ!? アルジェの嬢ちゃんじゃねえか。一体どうした? 今のはい――「ローズに会わせなさい」」

 問答も、符号も無用です。

「……こっちだ」

 男が屋台を収納する一瞬の時間すら、今の私には惜しい。

 急いでください。できるだけ。



 やや駆け足で移動した先には一軒屋がありました。ここにいる気配はないので、隠し通路でもあるのでしょう。

 吹き飛ばしてさっさと行きたいところですが、ここは我慢。

 案の定の隠し通路を通った先に、ローズの気配を感じました。

「ん? あら、アルジェじゃない。一体どうしたの?」
「このあいだの件。もっと詳しい情報が欲しいわ。あと、神聖王国についても」
「急ぎ?」
「急ぎよ。……あと、幻そファンタz神話級ミソロジーの隷属用魔道具についても」
「……二、いえ、一週間でどうにかするわ」

 一週間………。

「お願いね」
「あとでちゃんと聞かせてもらうからね」
「ええ」

 これでここにはもう用はないですね。

「……迷宮にいってくるわ。宿にいるブランに伝えておいてもらえる?」

 何にしても、あの子を抑えなければアレを外せません。
 それには今の力では足りない。

 もっと、もっと強くならなければ。

 あそこなら、限界を超えられる。

 それに、あの最下層には、何かあるはず……。

 
◆◇◆
 六十一階層。

 ここなら……。

 行きましょう。

 
♰♰♰

 目につく魔物は全て斬っていく。

 〈限界突破〉も発動したままに。

 骨皇帝スケルトンエンペラーの持つ槍が肩を貫くが、すぐ治る。
 そのまま踏み込み、斬る。





 六十四階層。

 吸血鬼ヴァンパイア、邪魔。
 殴り殺す。

 劣化レツサースケルトン骨竜ドラゴン(A+)?
 邪魔よ。
 大剣で頭と体を四つずつに切り分ける。

 劣化レツサードラ屍竜ゴンゾンビ(S-)も邪魔!
 刀で細切れにする。

 邪魔よ。
 邪魔! 邪魔!! 邪魔っ!!




 六十六階層。

 ここは、階段……。

 意識が飛んでいた。

 時間を無駄にした。

 一週間で戻らないといけないのに。
 
 行かなければ。

 すず、紗……っ!!




 六十七階層。

 劣化骨竜が三体。
 魔法で燃やし尽くす。

 尻尾の骨が残った。
 火がついてる。

 奥からは、邪魔者アンデツドの群れ。

 ……吹き飛べっっ!

 骨の炎鞭で薙ぎ払う。

 まだまだいる。

 魔法が飛んでくるけど、知らない。

 急がないと。



 六十八階層。

 血を流しすぎた。

 フラフラする。

 でも、行かなければ。

 力を。

 紗を……!




 六十九階層。

 あらゆる邪魔者アンデツドが、邪魔してくる。

 邪魔だっていってるのに。

 もう、そこなのよ。





 密度がこれまでと段違い。

 左腕を噛み砕かれた。
 だから何? 斬る。

 あばらが数本折れた。
 それが? 斬る。

 右膝を切り飛ばされた。
 すぐ治せるけど? 斬る。


斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る……。



 ……あった。
 七十層への階段……。

 私は、その先に用があるの。

 だから……邪魔、しないでくれる?







 七十層

 魔力は、半分。
 回復はしてる。

 でも、足りないかもしれない。

 持っているマナポーションを三本飲み干す。

 もう、他のことは何も考えなくていい。

 この先の守護者を倒すだけ。

 紗の為に。


 それだけを考えて私は、扉に手を添えた。

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