12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

文字の大きさ
65 / 145
第3章 二つの輝き

閑話 第二王女

しおりを挟む

 え? なんで私がこんなにアルジェの事を気にかけるかって?
 そうね……、直接言うのは恥ずかしいし、私の話を聞いて感じ取ってちょうだい。



 初めて会ったのは、二ヶ月近く前になるかしら?

 あの日は、リリに会いにくるついでにリベリアに公務に来てたんだけど……普通逆? いいのよ!
 リリが拐われかけたって聞いた時点で犯人達をぶっ飛ばしに行ったから、レオンおじさまからの褒美の話には同席しなかったのよね。
 今思えば失敗だったかも? とは思うのだけれど、その後を考えれば大した問題じゃないわね。

 そう、これは種族的な関係だったのかもしれないけど、なんか、こう、ビビッと来たのよ。
 彼女なら、きっと……てね。

 それからリベリアを出るまでは、ほぼ毎日屋敷に遊びに行ったわ。もちろん、視察を終わらせた後よ?
 なんだかんだ、アルジェも歓迎してくれたし、まぁ、その、楽しかった。
 なんかだんだん、扱いが雑になっていったような気もするけど……。
 それはそれで新鮮だったから、いい……のよね?

 ギルドでアルジェがよくわからない事になったって聞いた時は肝を冷やしたけどね。最悪、アルジェを討たなきゃならないって話だったから。
 尽力してくれた二人には、キッチリお礼をしておいたわ。
 ブランちゃんには出来てないけど……。
 だ、だって、ブランちゃんにお礼したら、アルジェにも伝わるじゃない? それは、ちょっと恥ずかしかったから……。

 それから、アルジェ達が旅立つ少し前の日に王都に戻ったから、見送りは出来なかったけど。代わりに王都で出迎えられたからセーフね!

 それにしても、〈魔力視〉ってスキルには驚いたわね。
 リベリアにいる時に、ポロっとかなり上位権限の〈鑑定眼〉を持ってるってことは話してくれてたけど。
 そこで思ったの。もうこれ、アルジェに隠し事とか意味ないんじゃないの? って。

 それからはもう格段に気楽だったわ。
 ほら、私の役職上、かなり話せないことが多かったから。
 国のこととは言え、友達に隠し事ってなんか嫌だったし。

 アルジェを連れて王都を回るのも楽しかったわ。私のせいでアルジェが変な目で見られてたみたいだけど、しょうがないしょうがない。

 その後の王城でのアレコレでも驚かされたわね。
 アリエルとあそこまでやりあえるほど強いなんて思ってなかったし。
 魔力は馬鹿みたいに高かったし、制御も完璧だったから、初めて会った時から強いのは知ってたわよ?
 大剣が使えるのも、もちろん調査したから知ってるわ。
 刀については、レオンおじさまとの手合わせを見たから。
 本人以上に本人の評価を知ってる自信もある。調べまくったから。…………ストーカーじゃないからね?

 でも、だってアリエルよ?
 あの人間兵器。剣の神とまで呼ばれたあの子と、剣でやりあえるなんて、思うわけないじゃない。

 でも、それ以上に驚かされたことがあったわ。

 まさか、アルジェが【転生者】だったなんてね。

 アリエルとの試合の後に教えられたアレコレを考えれば、納得はできるんだけどね。
 それに今考えれば、副王様の加護を受けてるあの子なら、探知魔法から隠れられたとしても不思議ではないしね。

 それからしばらくは、ブランちゃんと迷宮に潜ってたみたい。
 どっかのバカがアルジェにブラッドサッカーをけしかけたみたいだけど、ホントにバカじゃないかしら?

 いくら【転生者】でも、そう言う種の根底にまで刻み込まれた本能からは逃れられないってのは有名な話。
 なら、そいつらがどうなったかなんて予想するまでもないわね。

 しばらくアルジェに会えなくて寂しかったから、スカッとしたわ。




 二週間前にアルジェたちが迷宮を踏破したって聞いた時は喜んだわね。
 Bランク以下の二人組としては、最速踏破みたいだからお祝いでもしようかなって色々考えてたんだけど……、アルジェったら、何故か一人で迷宮に潜り始めちゃったから……。

 さ、寂しかったわけじゃないのよ?
 もちろん、仕事だってしっかりやってたわ。

 怪しい三人組がいるって情報が入ったのが、一週間前ね。
 これはいい口実がで……じゃなくて、アルジェにも伝えておいた方がいいと思って『竜垂庵』に行ったんだけど、まだアルジェは帰ってなかったみたいなのよ……。

 とりあえず、ブランちゃんに伝言を頼んだわけだけど、おかしいのよ。
 ブランちゃんまで私の扱いが適当になってる気がしたの。

 そう思って、スプーファー――焼き鳥の屋台をやらせてたアイツよ――に聞いてみたんだけど、『気のせいじゃないですか?』って……。

 ま、まあいいわ。
 今回はアルジェに会う機会を逃しちゃったけど、まだ王都にいるみたいだし、次の機会を待つつもりだったわ。
 アルジェに気づかれないレベルの子がいればいいんだけど、お母様くらいだからね。
 それに、もし居てもそんな私的な事には使えないし。

 
 そして、一週間前だったわ。アルジェが酷く焦った様子で私のところへ来たのは。

 あんなに取り乱したアルジェなんて、初めて見た。
 短い付き合いだけど、そう言うのとは無縁に見えてたから。

 なら、私が力にならないわけがないよね?
 今日だって、あんなにボロボロになって帰ってきた。

 頼ってはくれる。

 でも、肝心な、一番危ないことは自分だけでやろうとするの。

 もっと、いくらでも頼ってくれていいのに。
  
 心配でたまらなかった。

 だって、王家の血筋に連らない人で、初めての対等の友達よ?
 親友だと思ってるくらい。
 特別扱いしちゃってもしょうがないじゃない……。

 ……て、結局言っちゃったじゃない!
 うぅ、恥ずかしい……。
 他にも色々口走ってた気がするわ……。

 いい!?
 今言ったこと、アルジェには内緒だからね! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...