12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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第3章 二つの輝き

閑話 第二王女

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 え? なんで私がこんなにアルジェの事を気にかけるかって?
 そうね……、直接言うのは恥ずかしいし、私の話を聞いて感じ取ってちょうだい。



 初めて会ったのは、二ヶ月近く前になるかしら?

 あの日は、リリに会いにくるついでにリベリアに公務に来てたんだけど……普通逆? いいのよ!
 リリが拐われかけたって聞いた時点で犯人達をぶっ飛ばしに行ったから、レオンおじさまからの褒美の話には同席しなかったのよね。
 今思えば失敗だったかも? とは思うのだけれど、その後を考えれば大した問題じゃないわね。

 そう、これは種族的な関係だったのかもしれないけど、なんか、こう、ビビッと来たのよ。
 彼女なら、きっと……てね。

 それからリベリアを出るまでは、ほぼ毎日屋敷に遊びに行ったわ。もちろん、視察を終わらせた後よ?
 なんだかんだ、アルジェも歓迎してくれたし、まぁ、その、楽しかった。
 なんかだんだん、扱いが雑になっていったような気もするけど……。
 それはそれで新鮮だったから、いい……のよね?

 ギルドでアルジェがよくわからない事になったって聞いた時は肝を冷やしたけどね。最悪、アルジェを討たなきゃならないって話だったから。
 尽力してくれた二人には、キッチリお礼をしておいたわ。
 ブランちゃんには出来てないけど……。
 だ、だって、ブランちゃんにお礼したら、アルジェにも伝わるじゃない? それは、ちょっと恥ずかしかったから……。

 それから、アルジェ達が旅立つ少し前の日に王都に戻ったから、見送りは出来なかったけど。代わりに王都で出迎えられたからセーフね!

 それにしても、〈魔力視〉ってスキルには驚いたわね。
 リベリアにいる時に、ポロっとかなり上位権限の〈鑑定眼〉を持ってるってことは話してくれてたけど。
 そこで思ったの。もうこれ、アルジェに隠し事とか意味ないんじゃないの? って。

 それからはもう格段に気楽だったわ。
 ほら、私の役職上、かなり話せないことが多かったから。
 国のこととは言え、友達に隠し事ってなんか嫌だったし。

 アルジェを連れて王都を回るのも楽しかったわ。私のせいでアルジェが変な目で見られてたみたいだけど、しょうがないしょうがない。

 その後の王城でのアレコレでも驚かされたわね。
 アリエルとあそこまでやりあえるほど強いなんて思ってなかったし。
 魔力は馬鹿みたいに高かったし、制御も完璧だったから、初めて会った時から強いのは知ってたわよ?
 大剣が使えるのも、もちろん調査したから知ってるわ。
 刀については、レオンおじさまとの手合わせを見たから。
 本人以上に本人の評価を知ってる自信もある。調べまくったから。…………ストーカーじゃないからね?

 でも、だってアリエルよ?
 あの人間兵器。剣の神とまで呼ばれたあの子と、剣でやりあえるなんて、思うわけないじゃない。

 でも、それ以上に驚かされたことがあったわ。

 まさか、アルジェが【転生者】だったなんてね。

 アリエルとの試合の後に教えられたアレコレを考えれば、納得はできるんだけどね。
 それに今考えれば、副王様の加護を受けてるあの子なら、探知魔法から隠れられたとしても不思議ではないしね。

 それからしばらくは、ブランちゃんと迷宮に潜ってたみたい。
 どっかのバカがアルジェにブラッドサッカーをけしかけたみたいだけど、ホントにバカじゃないかしら?

 いくら【転生者】でも、そう言う種の根底にまで刻み込まれた本能からは逃れられないってのは有名な話。
 なら、そいつらがどうなったかなんて予想するまでもないわね。

 しばらくアルジェに会えなくて寂しかったから、スカッとしたわ。




 二週間前にアルジェたちが迷宮を踏破したって聞いた時は喜んだわね。
 Bランク以下の二人組としては、最速踏破みたいだからお祝いでもしようかなって色々考えてたんだけど……、アルジェったら、何故か一人で迷宮に潜り始めちゃったから……。

 さ、寂しかったわけじゃないのよ?
 もちろん、仕事だってしっかりやってたわ。

 怪しい三人組がいるって情報が入ったのが、一週間前ね。
 これはいい口実がで……じゃなくて、アルジェにも伝えておいた方がいいと思って『竜垂庵』に行ったんだけど、まだアルジェは帰ってなかったみたいなのよ……。

 とりあえず、ブランちゃんに伝言を頼んだわけだけど、おかしいのよ。
 ブランちゃんまで私の扱いが適当になってる気がしたの。

 そう思って、スプーファー――焼き鳥の屋台をやらせてたアイツよ――に聞いてみたんだけど、『気のせいじゃないですか?』って……。

 ま、まあいいわ。
 今回はアルジェに会う機会を逃しちゃったけど、まだ王都にいるみたいだし、次の機会を待つつもりだったわ。
 アルジェに気づかれないレベルの子がいればいいんだけど、お母様くらいだからね。
 それに、もし居てもそんな私的な事には使えないし。

 
 そして、一週間前だったわ。アルジェが酷く焦った様子で私のところへ来たのは。

 あんなに取り乱したアルジェなんて、初めて見た。
 短い付き合いだけど、そう言うのとは無縁に見えてたから。

 なら、私が力にならないわけがないよね?
 今日だって、あんなにボロボロになって帰ってきた。

 頼ってはくれる。

 でも、肝心な、一番危ないことは自分だけでやろうとするの。

 もっと、いくらでも頼ってくれていいのに。
  
 心配でたまらなかった。

 だって、王家の血筋に連らない人で、初めての対等の友達よ?
 親友だと思ってるくらい。
 特別扱いしちゃってもしょうがないじゃない……。

 ……て、結局言っちゃったじゃない!
 うぅ、恥ずかしい……。
 他にも色々口走ってた気がするわ……。

 いい!?
 今言ったこと、アルジェには内緒だからね! 
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