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第4章 輝きは交わり繋がる
第1話 エルフの国へ
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4-1
「ここは……」
知らない天井。
そして、知らない布団です。
えっと、確か迷宮から出た後、ローズのところへ行って……――
「姉さま!」
記憶を掘り起こしていたら、白い何かが飛びついてきました。
「っ……ブラン?」
「よかった……」
ありゃりゃ、これは話ができそうにありませんね。
おなかに頭をぐりぐりしちゃって……幸せです!
「やっと起きたわね。寝坊助さん」
っと、この声はローズですね。とりあえず。
「ぐふっ。ちょ、ちょっと、いろいろしてあげたのに、酷いじゃない……!」
「……それもそうね。ごめんなさい」
重力を元に戻してあげながら、軽く頭を下げます。
「……なによ、いやに素直じゃない」
いや、そんなに身構えなくても……。
「あなたの言う通り、お世話になったみたいだから」
「……あなたホントにアルジェ? それとも頭でも打った?」
「失礼ね!」
「冗談よ。……どうやらちゃんと落ち着いたみたいね。いろいろ聞かせてほしいところだけど、それは全部終わってからにしましょうか」
「……ありがとう」
「貸し一つよ。あなたを眠らせてから二日たってる。身体も医者のお墨付きだし、準備はブランちゃんとしといてあげたから、さっさと行ってきなさい」
「ええ」
まったく、いい友人を持ちました。
さて、ローズの言う通り、体も魔力も大丈夫、どころか絶好調です。
あれだけ無茶をして、我ながらなんて回復の早い身体でしょう……。
猶予は二か月。それまでに、なんとしても方法を見つけなくてはなりませんね。
「ブラン、行くわよ」
「……うんっ」
紗のことで頭がいっぱいで、この子まで泣かせることになってしまいました。
もう、この子の涙もこれで最後にしてあげたいですね。
◆◇◆
リベルティアを出てから十一日が経ったころ、私たちは漸くセフィロティアの首都、セフィロトに到着しました。
竜車と呼ばれる劣飛竜が牽いて空を飛ぶ馬車をローズが手配してくれたおかげで、本来セフィロティアとの国境まで三週間以上かかる所を四日に短縮出来たんです。
……また素直にお礼を言うのも癪ですね。
その後、巨大な世界樹を眺めながらガタゴトと馬車に揺られたのが一週間。短いようで長かったです。
魔物が出る事も勉強に比べて少なく、出ても雑魚。時たま襲ってくる盗賊にはブランの経験値になって頂きました。
そのために運動不足になった体を伸ばし、街に入る順番を待ちます。
セフィロティアの首都、セフィロトですが、全体的に白や薄い青を基調として濃いめの青で彩りを加えている感じですね。
街中には木々が多く、世界樹も含めてその緑が良く映えます。
リベルティアの雑多な感じと違い、統一感がありますね。
なかなか美しい都市です。
待つ事暫し、割とサクサク進みましたね。
手続きはどこでも大して変わらないので省きます。
おっと、そういえば門で渡すよう言われてるものがありましたね。
「これ、よろしくね」
「? は、はぁ。……隊長、隊長!!」
エルフの門兵さん、大慌てです。
まあ、いきなり大国の王家からの手紙を渡されたらそうなりますよね?
「コレは……。失礼しました。少しお話を伺いたいので、こちらへきていただけますか?」
呼ばれて来た隊長さんは、手紙を見ても落ち着いたまま対応してくれました。
やはり隊長ともなればちがいますね。
「ええ」
例によって人見知り発揮中のブランの手を引き、隊長さんの後は続きます。
門兵さんは気になるのか、チラチラとこちらを見ていましたが業務続行のようで次の人の対応をしていました。
◆◇◆
「この者を捕らえよ!! 例え彼の国の使者であろうと、これ以上の大罪の血脈は立たねばならん!」
「ちょ、逃げるわよ!」
「う、うんっ」
「おい、 」
どーしてこうなった!?
さっきまで協力的だったのに、ジジイの所為です!
私は悪くありません! 今回は本当に!!
後方から飛んでくる多種多様な魔法に矢の雨霰を躱し、刀で弾き、大剣を盾にして城外へ向かって走ります。
「逃すな! 三番隊、回り込め!」
スピードはこちらが上ですが、何せここはあちらのホーム。地の利が、地の利が!!
各々の実力は平均してC+ランクくらい。
でもコレだけ数がいると、突破は容易ではないんです!
「ブラン、結界!」
私の声に反応してブランが前方位の結界を貼ります。
その瞬間、前後左右から飛来するのは高位の精霊魔法の嵐です。
どういう仕掛けか、魔法での城への被害はありません。
「こっち!」
道は分からなくなりますが、立ち止まるよりは進みましょう!
爆発が収まって視界が戻る前に道を逸れます。
複雑な城の中、ブランと走り回りますが、一向に振り切れません。
ああぁぁ!
今度会ったら、あのジジイ一発ぶん殴ってやる!
ていうか、ここはどこですか!?
「姉様、迷った?」
「う、いや、迷って、ない、わよ?」
「……」
沈黙が痛いです!
これもジジイの所為ですよ!
殴る回数三回追加で!
でも、本当どうしましょう?
兵を傷つける訳にはいきませんし、窓から逃げようにも無駄に強力な結界が張ってあります。
破れなくはないのですが、先程からどうも魔力を練りづらい。
ブランに至っては、外側に干渉する種類のスキルが一切発動できないようです。
私が一応使えているのは〈千古の魔導〉があるからですね。
どちらにせよ、[転移]が使えないのは変わりませんが。
「ハァハァハァ」
ブランが疲れて来ています。
私もいつもより体力の減りが早い。
そういう結界的なものが張られていますね、コレは。
「こっちよ!」
「!?」
今の声は……、いえ、迷ってる場合ではなさそうです。
声の方へ急転換します。
その際魔導で幻影を追っ手に見せるのは忘れずに。
「姉様……」
「大丈夫よ、ブラン。私の勘を信じなさい」
さて、鬼が出るか、蛇が出るか、ですね。
「ここは……」
知らない天井。
そして、知らない布団です。
えっと、確か迷宮から出た後、ローズのところへ行って……――
「姉さま!」
記憶を掘り起こしていたら、白い何かが飛びついてきました。
「っ……ブラン?」
「よかった……」
ありゃりゃ、これは話ができそうにありませんね。
おなかに頭をぐりぐりしちゃって……幸せです!
「やっと起きたわね。寝坊助さん」
っと、この声はローズですね。とりあえず。
「ぐふっ。ちょ、ちょっと、いろいろしてあげたのに、酷いじゃない……!」
「……それもそうね。ごめんなさい」
重力を元に戻してあげながら、軽く頭を下げます。
「……なによ、いやに素直じゃない」
いや、そんなに身構えなくても……。
「あなたの言う通り、お世話になったみたいだから」
「……あなたホントにアルジェ? それとも頭でも打った?」
「失礼ね!」
「冗談よ。……どうやらちゃんと落ち着いたみたいね。いろいろ聞かせてほしいところだけど、それは全部終わってからにしましょうか」
「……ありがとう」
「貸し一つよ。あなたを眠らせてから二日たってる。身体も医者のお墨付きだし、準備はブランちゃんとしといてあげたから、さっさと行ってきなさい」
「ええ」
まったく、いい友人を持ちました。
さて、ローズの言う通り、体も魔力も大丈夫、どころか絶好調です。
あれだけ無茶をして、我ながらなんて回復の早い身体でしょう……。
猶予は二か月。それまでに、なんとしても方法を見つけなくてはなりませんね。
「ブラン、行くわよ」
「……うんっ」
紗のことで頭がいっぱいで、この子まで泣かせることになってしまいました。
もう、この子の涙もこれで最後にしてあげたいですね。
◆◇◆
リベルティアを出てから十一日が経ったころ、私たちは漸くセフィロティアの首都、セフィロトに到着しました。
竜車と呼ばれる劣飛竜が牽いて空を飛ぶ馬車をローズが手配してくれたおかげで、本来セフィロティアとの国境まで三週間以上かかる所を四日に短縮出来たんです。
……また素直にお礼を言うのも癪ですね。
その後、巨大な世界樹を眺めながらガタゴトと馬車に揺られたのが一週間。短いようで長かったです。
魔物が出る事も勉強に比べて少なく、出ても雑魚。時たま襲ってくる盗賊にはブランの経験値になって頂きました。
そのために運動不足になった体を伸ばし、街に入る順番を待ちます。
セフィロティアの首都、セフィロトですが、全体的に白や薄い青を基調として濃いめの青で彩りを加えている感じですね。
街中には木々が多く、世界樹も含めてその緑が良く映えます。
リベルティアの雑多な感じと違い、統一感がありますね。
なかなか美しい都市です。
待つ事暫し、割とサクサク進みましたね。
手続きはどこでも大して変わらないので省きます。
おっと、そういえば門で渡すよう言われてるものがありましたね。
「これ、よろしくね」
「? は、はぁ。……隊長、隊長!!」
エルフの門兵さん、大慌てです。
まあ、いきなり大国の王家からの手紙を渡されたらそうなりますよね?
「コレは……。失礼しました。少しお話を伺いたいので、こちらへきていただけますか?」
呼ばれて来た隊長さんは、手紙を見ても落ち着いたまま対応してくれました。
やはり隊長ともなればちがいますね。
「ええ」
例によって人見知り発揮中のブランの手を引き、隊長さんの後は続きます。
門兵さんは気になるのか、チラチラとこちらを見ていましたが業務続行のようで次の人の対応をしていました。
◆◇◆
「この者を捕らえよ!! 例え彼の国の使者であろうと、これ以上の大罪の血脈は立たねばならん!」
「ちょ、逃げるわよ!」
「う、うんっ」
「おい、 」
どーしてこうなった!?
さっきまで協力的だったのに、ジジイの所為です!
私は悪くありません! 今回は本当に!!
後方から飛んでくる多種多様な魔法に矢の雨霰を躱し、刀で弾き、大剣を盾にして城外へ向かって走ります。
「逃すな! 三番隊、回り込め!」
スピードはこちらが上ですが、何せここはあちらのホーム。地の利が、地の利が!!
各々の実力は平均してC+ランクくらい。
でもコレだけ数がいると、突破は容易ではないんです!
「ブラン、結界!」
私の声に反応してブランが前方位の結界を貼ります。
その瞬間、前後左右から飛来するのは高位の精霊魔法の嵐です。
どういう仕掛けか、魔法での城への被害はありません。
「こっち!」
道は分からなくなりますが、立ち止まるよりは進みましょう!
爆発が収まって視界が戻る前に道を逸れます。
複雑な城の中、ブランと走り回りますが、一向に振り切れません。
ああぁぁ!
今度会ったら、あのジジイ一発ぶん殴ってやる!
ていうか、ここはどこですか!?
「姉様、迷った?」
「う、いや、迷って、ない、わよ?」
「……」
沈黙が痛いです!
これもジジイの所為ですよ!
殴る回数三回追加で!
でも、本当どうしましょう?
兵を傷つける訳にはいきませんし、窓から逃げようにも無駄に強力な結界が張ってあります。
破れなくはないのですが、先程からどうも魔力を練りづらい。
ブランに至っては、外側に干渉する種類のスキルが一切発動できないようです。
私が一応使えているのは〈千古の魔導〉があるからですね。
どちらにせよ、[転移]が使えないのは変わりませんが。
「ハァハァハァ」
ブランが疲れて来ています。
私もいつもより体力の減りが早い。
そういう結界的なものが張られていますね、コレは。
「こっちよ!」
「!?」
今の声は……、いえ、迷ってる場合ではなさそうです。
声の方へ急転換します。
その際魔導で幻影を追っ手に見せるのは忘れずに。
「姉様……」
「大丈夫よ、ブラン。私の勘を信じなさい」
さて、鬼が出るか、蛇が出るか、ですね。
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