12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

文字の大きさ
67 / 145
第4章 輝きは交わり繋がる

第2話 会談

しおりを挟む
4-2

 時間を少し遡ります。



 門を抜け、隊長さんとお話しした後私たちは城まで案内されました。

 案内された、街と同じく白と青を基調とした豪華な部屋で待つことしばし。

「待たせたな。名は明かせぬ決まりでな。代わりに私のことはプリームスと呼ぶ事になっている」

 現れたのは三人のエルフです。
 今プリームムと名乗ったのは他の二人より少し長めの耳持つ男はハイエルフ。つまり王族でしょう。
 残りの二人は普通のエルフで、それぞれクァルトゥム、セプティムスと呼ばれているそうです。

 一番目プリームス四番目クァルトゥム七番目セプティムスなんてコードネームを持つ彼らは、この国に七人いるという元老です。

 彼らからしたら何処の馬の骨ともわからぬ輩ですからいきなり女王に会わせるわけにはいきません。かと言って大陸一の大国の王族の紹介状を持つような相手を無下にも出来ず、彼らが出張ってくることになったんでしょう。
 プリームスが出てくるのも大概ですけどね。

 本来なら私たちから挨拶すべきなんですが、まあリベルティアへの『関係を大事にしてます』ってポーズですね。

「本日はお時間を頂き、ありがとうございます。私はアルジュエロ・グラシアと申します。こちらはブラン・グラシア。本日はリベルティア王の助言と、第二王女ローズ=クロエ・ド=リベルティアの勧めにより、セフィロティアの女王陛下にとあるものについて伺いに参りました」

 面倒ですが、貴族的なやり取りも一応しときます。

 そしてブラン。頑張って!

「ああ、第二王女殿下からの手紙にも君に協力するよう書かれていた。できる限りのことはしよう」

 ああ、はいはい。わかってますよ。
『気にしてるのはお前のバックのリベルティア王国だからつけあがるなよ? 小娘が』的な感じです。

「して、その“あるもの”とは?」
神話級ミソロジーの、隷属用魔導具です」

 そう言った瞬間、空気が変わります。

「ふむ。聞いたことがないな。ただの興味本位ではあるが、それを聞いてどうするつもりか聞いてもよいかな?」

 なにが『興味本位ではあるが』、ですかね。本当に貴族って面倒です。

「……先日、知人に会いました。その知人は、その【称号】故に本来なら他の者に隷属させられることは無いのです」
「しかしされていたと?」

 彼らがどこまで知ってるかですよね。

「完全に隷属される前、知人は言っておりました。白いやつらに無理矢理呼び出され、騙されてつけさせられた、と」
「……それは大事だな。これは女王陛下に伺いを立てねばならぬか」

 どうやらご存知のようで。

「なっ!? リベルティアからの紹介状があるとはいえ、彼女を女王陛下に会わせるとおっしゃるのですか!?」

 セプティムスが声を荒げます。
 王族以外知らないんですかね?

 ……いえ、クァルトゥムは平然としてプリームスに賛同しているので、若手の彼が知らないだけみたいですね。

「セプティムス。後で説明します。今は抑えなさい」

 クァルトゥムが諌めてくれたので、とりあえずは抑えたようです。
 もっとも、ちょっとした衝撃で噴火してしまいそうですが。
 こちらを見る目が怖いんですけど?

「女王陛下をお呼びしろ」

 プリームスが指示をだし、控えていた騎士が動きます。少々待ちましょう。








◆◇◆
 さて、いきなりリベルティアの王族の紹介状を持った冒険者が現れたというから来てみたが。

 なるほど。

 冒険者とは思えぬ品性に、この回りくどいやり取りにも慣れを感じる様、そして何よりこの美貌……。
 
 まあまだまだ青い部分はあるがな。

 『隷属の神環』について聞いてきた時は驚いたが、その点で警戒する必要はなさそうだ。

 しかし聖国め。とうとう【勇者】を呼び出し、あまつさえ隷属までするとは。
 彼女は知人と言ったが、相当に親しい者だろう。親類かもしれぬな。
 素直に言わなかった点は評価できるが、心を隠し過ぎだな。暗に認めるようなものだ。

 まあ良い。我々としてもあれはどうにかせねばならん。
 詳しく知っているのは母上だけだから呼ばぬわけにはいかんだろう。


 ……だが、この者は何者なのだろうか。

 もはや長命種でもごく僅かしか知らない【勇者】の事をある程度詳しく知っているのは間違いない。
 それに、専門の兵でも〈鑑定〉が通らない者など母上以外で初めて見た。

 少し探ってみるか。

「陛下がいらっしゃるまで世間話でもしよう。君たちは、どうにもただのパーティには見えないな。そう、まるで家族のようだ」
「う、はい! 私と、姉様は姉妹、です……!」

 これは複雑な事情があるようだな。
 先程まで縮こまっていた少女が、なかなか嬉しそうに話す。

 不躾だが、あえて踏み込ませてもらおう。

「だが、どう見ても種族が異なるな。義姉妹の契りでも結んだのか?」
「ちがう……ます。姉様とは、もっと、深く繋がってるの……です」

 アルジュエロ、だったか。困った笑みを浮かべて否定する様子はない。
 もっと深い所な。
 だが『人族』や『獣人族』にそのようなものは……待て。私はいつから彼女が『人族』だと思っていた?
 深い所……魂を結びつける術………?

「君は……『吸血族』の真祖なのか?」

 他の元老たちが目を剥くが、気にするのはよそう。

「ええ、まあ」

 なるほど、いやしかし……。

 ああ、そういうことか。

「【転生者】、それも【勇者】の縁者、か」

 おっと、私としたことが。

「あっ、うぅ……。姉様、ごめんなさい」
「いいのよ。私が【転生者】って言うのはどのみち話さなきゃだったし、この方ならそれであの子との関係にも気づいてたでしょうから」

 不必要な気を遣わせてしまったか。
 いや、それよりも。

「な「プリームス様、あ、いや、失礼しました」」
「気にするな」

 セプティムスは優秀だが、まだまだ堪え性がなくていかんな。
 半分はウッカリ口に出してしまった私の責任であるが。

「プリームス様、私が説明しておきます。どうぞお続けください」

 まあ、その方が良かろう。

「ああ。それで、なぜ君が【転生者】という事を明かす必要があったか聞かせてほしい」
「はい。祖父から、と言っても前世のですが、女王陛下に伝言を預かっております。その際に告げるつもりでした」

 前世の祖父?

「君の祖父も転生していたとでもいうのか?」
「はい。どうも陛下とは旧知の仲のようでして」

 ……なにやら嫌な予感がするが、聞かぬわけにはいかんか。

「君の祖父の名を聞いてもよいか?」
「はい。此方でも彼方でも、『ゲンリュウサイ』を名乗っていたはずです」

 ああ、やはりか……。

「なっ!? 彼の大罪の血縁だと!?」

 聞こえぬ筈がないだろうな。

「この者を捕らえよ!! 例え彼の国の使者であろうと、これ以上の大罪の血脈は絶たねばならん!」

 クァルトゥムとセプティムスが血相を変えてしまった。

「ちょ、逃げるわよ!」
「う、うんっ」
「おい、 全く……

 あの方と直接の面識があるのはテルティウム三番目まで。
 詳しい事を知らないクァルトゥム達にとってはただの大罪人だからな。こうなるのは仕方ないか。

 さて、母上にはなんとお伝えするべきだろうか。はぁ……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...