289 / 411
黒豚令息の領地開拓編
山海の恵み
しおりを挟む
「わぁーー!こっちも雨だったんだね!?向こうより振りが強いや。にしても、なんで転移門がこんなギリギリ濡れる所にあるんだい?」
「エリックに言えよ。」
転移の魔法陣がマロニエの木陰が丁度終わる所に固定されているため、門を抜けてきたベルダの肩が濡れてしまった。
持って来たノートを拭きながらベルダがベンチに座ると、すぐに香ばしいコーヒーの香りが漂って来る。
「リディアに怒られちゃったよ。あんまりデイビッド君に迷惑かけないようにって。」
「魔物にそこまで心配されてんのか…」
「それから、彼女にも移住の話をしてみたんだ。そしたら、僕の行きたい所なら何処へでもついて行くから安心するようにって諭されちゃった。」
「良く出来た助手だな!」
「…今度、ここへ連れて来ようと思う。そうしたら彼女に掛けた束縛を解いて、本当の気持ちを聞いてみるんだ…」
「悪いが俺は一切共感できねぇぞ?!」
「もしそれでリディアが僕から離れて行ってしまっても、受け入れる覚悟ができたよ…そしたら僕は、生涯リディアの居るこの森で暮らす事にする。」
「勝手に野放しにすんなよ?!」
野生に還すにしてもここはデイビッドの領内だ。
魔物との異種間恋愛はせめて他所でやって欲しい。
デイビッドは、まだ人肌程の温もりが残る瓶と果実酒をカゴに詰めると、コーヒーとベルダを木陰に残し、空樽を担いで雨足の落ち着いて来た草原へ傘をさして出て行った。
雨に烟る森の中は銀色に輝き、川の水位が少し上がっている。
湖に着くと、靄のかかった湖面に雲が降りてきていて、その隙間から虹が見え、なんとも幻想的な光景が広がっていた。
(ヴィオラにも見せたかったな…)
水辺の岩にカゴを下ろし、仕掛け罠を見に行くとワイヤーが絶えず震えて、何かが掛かっているのが一目でわかった。
引き上げた罠カゴには、大きなウナギと亀、そして再びロブスターが何匹もかかっていた。
陸に引き揚げて獲物を樽に移し、亀だけ水に戻してやると、仕掛けを陸に置いたまま樽を背負い直して立ち上がった。
(カゴがなくなってら…気に入ってもらえるといいな)
いつの間にか岩に置いたカゴが消えていて、ジーナが持って行ったことがわかり、少しだけ嬉しくなって湖水に軽く手を振るとまた来た道を傘を手に帰って行く。
雨に濡れる森の香りが心地良く、少し道を逸れるとあちこちの木の幹にたくさんのキノコが生えていた。
(お!ジロールだ!ヤマドリタケも生えてる!)
キノコは見分けが難しいが、デイビッドはいつもその場でかじって可食の有無を確認している。
(これは間違いなさそうだ!少し採ってくかな…)
常備の縄で小枝を編み、簡易の容れ物を作ると早速キノコ狩りを始め、そのままつい夢中になり気づけば昼近くになっていた。
エビにウナギにキノコと山菜も手に入り、デイビッドはのんびりとひとりの時間を満喫してキャンプへ戻った。
「お帰りなさい。ずいぶん遅かったですね?」
「悪い、途中寄り道してた。今から昼の支度するから、少し待ってくれ。」
「当然のように食事の係になってるんだね。君ホントに貴族なのかい?」
「年中ボロ白衣で魔物にべったりな科学者には言われたくねぇよ!」
「お二人共ですよ!ご自身が高位伯爵家の子息なの忘れないで下さいね?!」
「アハハハ!僕はもう除籍されてないだけの幽霊親族だよ~!」
笑うベルダの横で、嫌なことを思い出したという様な顔のデイビッドが大鍋に湯を沸かし始めた。
竈門の火を強める横でエビの水を替えて汚れを吐かせ、ぬらぬらうごめくウナギを掴む。
「よくつかめますね、そんなの。」
「コツはいるけどな、あとはこうして…」
ウナギをまな板に叩き付けると、動かなくなった瞬間に頭を切り落とし、ヒレと尾を削いで3枚に下ろして良く洗い、キレイに開いてから油を塗った網に挟んで蒸し焼きにしていく。
大鍋の湯は半分を取り分けて採ってきたままのキノコを放り込み、ゴミや汚れを熱い湯で洗い流し、ザルに開ける。
こうする事で繊細なキノコの身崩れを防ぎ、旨味を閉じ込めることができる。
冷水に取ったキノコは改めて流水で洗いながら、ゴミや石付きやヒダを取り除き、分別して水気を切っておく。
清水で洗ったロブスターは塩をたっぷり入れた湯でガラガラ湯掻き、今日捕れた分は全て茹で上げてしまうと、殻はまた出汁用に取り分け、今日はトマトベースのスープに仕立てる。
昼は竈門の火だけで作るのでメニューにはピザをチョイス。
薄切りのキノコにロブスターもたっぷり乗せて焼き上げる。
他のキノコと山菜をバターで炒めたら茹で上げたパスタと和え、これまた森の旨味を閉じ込めた一品が出来上がった。
「わぁ、豪華だね!」
「獲物がある時は使わねぇとだからな。ヴィオラ…まだ寝てんのか。目ぇ覚ますかな…?おーい、昼メシできたぞ?」
窓辺で軽い寝息を立てているヴィオラを起こそうと、窓枠をコンコンと叩いてみると、飛び起きたヴィオラが弾みで後ろへひっくり返ってしまった。
「うわぁっ!あぁぁ!!」
「びっくりした…こっちも。」
「もっと優しく起こして下さい!」
「これ以上ない程優しく声掛けたんだけどな…?」
「もっと耳元とかで囁いてキスとかして!!」
「しないし、こっからじゃ届かねぇよ?」
馬車の中と外でやいやいやっていると、騒ぎでシェルリアーナも目を覚ます。
「もう…うるさいわねぇ、何時だと思…って今何時よぉ!起こしてよぉぉー!もぉーー!!」
「大丈夫、寝起きの顔もかわい、ア゙ッ!!」
顔面に肘を食らい、ロフトから落ちるエリックを無視して、猛スピードで身支度を整えたシェルリアーナは馬車の窓から外へ飛び出した。
「お腹減ったわ!」
「私も!お勉強したのでペコペコです!」
「(ほとんど寝てたのに…?)丁度並べるとこだ、手伝ってくれるか?」
「はぁーいっ!!」
エビを山程使ったサラダに、ピザにも丸まった大振りのエビが乗っているのを見て、ヴィオラはウキウキと食器の用意をしている。
「あ、キノコですか?見分けとか大丈夫なんです?」
「選別できる種類しか採らねぇよ。毒見もしてきたし、補償する。」
「まぁ、僕達なら自分の解毒くらいならできますからね。」
「当たる時は俺ひとりって事か…」
「大丈夫ですよ!私はデイビッド様を信じてますから!」
「そう言いながらアミガサタケははじいてる…」
「これ食感がモニョモニョするので嫌いなんです!」
「高級食材なんですけどねぇ?」
(なによ、心配して損したわ…)
シェルリアーナは目覚ましのハーブティーを飲みながら、婚約者の隣でニヤけているデイビッドを眺めていた。
(幸せそうにして…間違っても別れようなんて考え起こすんじゃないわよ、まったく!!)
余計な事を考えている時のシェルリアーナは、絶えず口が動いて良く食べる。
キノコのパスタを余程気に入ったらしく、大皿の半分も平らげて更にピザに手が伸びていた。
ヴィオラは昨日の今日で再び出会えたエビ料理を、じっくり味わって食べている。
「デイビッド様の食べてるのは何ですか?」
「ウナギだよ。開いて蒸し焼きにしてから軽く炙って塩振ってあるんだ。」
「ゼリー寄せとかしか知りませんでした!その方がさっぱりして食べやすそうですね!」
「そっちの…うねうねしてるのは…?」
「ウナギの内臓。消化管の部分をよく洗って湯通ししてあるんだ。まぁ、珍味だな。」
「君は本当に変なものばっかり食べるんだね!」
「これが普通に流通してる所で覚えたんだよ!悪ぃか!」
賑やかな昼食の後に、マロウの花茶と取り分けておいたスモモのワイン煮を楽しんでいると、日が差して雨が止んだ。
「わぁぁぁ!!デイビッド様、虹です!おっきな虹が出ましたよ!?」
「あら、素敵ね!色もはっきり見えるわ!」
「キレイですねぇ!ヴィオラ様、せっかくですので写真撮りませんか?」
皆が虹に夢中になっている後ろで、デイビッドは再び馬車の跳ね戸を開き、風を通してキッチンを展開していた。
その時、転移門が光ってまた誰かが現れた。
「ずいぶん素敵な隠れ家だねぇ、シェリー…」
やって来たのはエリザベス。しかしいつもと様子が違う。
薄汚れた作業着の上半身を腰に縛り、髪はボサボサで疲れ切った顔には煤汚れまでついている。
いつもはにこやかなタレ目が、今日は鋭くシェルリアーナを捕えて睨みつけていた。
「エリックに言えよ。」
転移の魔法陣がマロニエの木陰が丁度終わる所に固定されているため、門を抜けてきたベルダの肩が濡れてしまった。
持って来たノートを拭きながらベルダがベンチに座ると、すぐに香ばしいコーヒーの香りが漂って来る。
「リディアに怒られちゃったよ。あんまりデイビッド君に迷惑かけないようにって。」
「魔物にそこまで心配されてんのか…」
「それから、彼女にも移住の話をしてみたんだ。そしたら、僕の行きたい所なら何処へでもついて行くから安心するようにって諭されちゃった。」
「良く出来た助手だな!」
「…今度、ここへ連れて来ようと思う。そうしたら彼女に掛けた束縛を解いて、本当の気持ちを聞いてみるんだ…」
「悪いが俺は一切共感できねぇぞ?!」
「もしそれでリディアが僕から離れて行ってしまっても、受け入れる覚悟ができたよ…そしたら僕は、生涯リディアの居るこの森で暮らす事にする。」
「勝手に野放しにすんなよ?!」
野生に還すにしてもここはデイビッドの領内だ。
魔物との異種間恋愛はせめて他所でやって欲しい。
デイビッドは、まだ人肌程の温もりが残る瓶と果実酒をカゴに詰めると、コーヒーとベルダを木陰に残し、空樽を担いで雨足の落ち着いて来た草原へ傘をさして出て行った。
雨に烟る森の中は銀色に輝き、川の水位が少し上がっている。
湖に着くと、靄のかかった湖面に雲が降りてきていて、その隙間から虹が見え、なんとも幻想的な光景が広がっていた。
(ヴィオラにも見せたかったな…)
水辺の岩にカゴを下ろし、仕掛け罠を見に行くとワイヤーが絶えず震えて、何かが掛かっているのが一目でわかった。
引き上げた罠カゴには、大きなウナギと亀、そして再びロブスターが何匹もかかっていた。
陸に引き揚げて獲物を樽に移し、亀だけ水に戻してやると、仕掛けを陸に置いたまま樽を背負い直して立ち上がった。
(カゴがなくなってら…気に入ってもらえるといいな)
いつの間にか岩に置いたカゴが消えていて、ジーナが持って行ったことがわかり、少しだけ嬉しくなって湖水に軽く手を振るとまた来た道を傘を手に帰って行く。
雨に濡れる森の香りが心地良く、少し道を逸れるとあちこちの木の幹にたくさんのキノコが生えていた。
(お!ジロールだ!ヤマドリタケも生えてる!)
キノコは見分けが難しいが、デイビッドはいつもその場でかじって可食の有無を確認している。
(これは間違いなさそうだ!少し採ってくかな…)
常備の縄で小枝を編み、簡易の容れ物を作ると早速キノコ狩りを始め、そのままつい夢中になり気づけば昼近くになっていた。
エビにウナギにキノコと山菜も手に入り、デイビッドはのんびりとひとりの時間を満喫してキャンプへ戻った。
「お帰りなさい。ずいぶん遅かったですね?」
「悪い、途中寄り道してた。今から昼の支度するから、少し待ってくれ。」
「当然のように食事の係になってるんだね。君ホントに貴族なのかい?」
「年中ボロ白衣で魔物にべったりな科学者には言われたくねぇよ!」
「お二人共ですよ!ご自身が高位伯爵家の子息なの忘れないで下さいね?!」
「アハハハ!僕はもう除籍されてないだけの幽霊親族だよ~!」
笑うベルダの横で、嫌なことを思い出したという様な顔のデイビッドが大鍋に湯を沸かし始めた。
竈門の火を強める横でエビの水を替えて汚れを吐かせ、ぬらぬらうごめくウナギを掴む。
「よくつかめますね、そんなの。」
「コツはいるけどな、あとはこうして…」
ウナギをまな板に叩き付けると、動かなくなった瞬間に頭を切り落とし、ヒレと尾を削いで3枚に下ろして良く洗い、キレイに開いてから油を塗った網に挟んで蒸し焼きにしていく。
大鍋の湯は半分を取り分けて採ってきたままのキノコを放り込み、ゴミや汚れを熱い湯で洗い流し、ザルに開ける。
こうする事で繊細なキノコの身崩れを防ぎ、旨味を閉じ込めることができる。
冷水に取ったキノコは改めて流水で洗いながら、ゴミや石付きやヒダを取り除き、分別して水気を切っておく。
清水で洗ったロブスターは塩をたっぷり入れた湯でガラガラ湯掻き、今日捕れた分は全て茹で上げてしまうと、殻はまた出汁用に取り分け、今日はトマトベースのスープに仕立てる。
昼は竈門の火だけで作るのでメニューにはピザをチョイス。
薄切りのキノコにロブスターもたっぷり乗せて焼き上げる。
他のキノコと山菜をバターで炒めたら茹で上げたパスタと和え、これまた森の旨味を閉じ込めた一品が出来上がった。
「わぁ、豪華だね!」
「獲物がある時は使わねぇとだからな。ヴィオラ…まだ寝てんのか。目ぇ覚ますかな…?おーい、昼メシできたぞ?」
窓辺で軽い寝息を立てているヴィオラを起こそうと、窓枠をコンコンと叩いてみると、飛び起きたヴィオラが弾みで後ろへひっくり返ってしまった。
「うわぁっ!あぁぁ!!」
「びっくりした…こっちも。」
「もっと優しく起こして下さい!」
「これ以上ない程優しく声掛けたんだけどな…?」
「もっと耳元とかで囁いてキスとかして!!」
「しないし、こっからじゃ届かねぇよ?」
馬車の中と外でやいやいやっていると、騒ぎでシェルリアーナも目を覚ます。
「もう…うるさいわねぇ、何時だと思…って今何時よぉ!起こしてよぉぉー!もぉーー!!」
「大丈夫、寝起きの顔もかわい、ア゙ッ!!」
顔面に肘を食らい、ロフトから落ちるエリックを無視して、猛スピードで身支度を整えたシェルリアーナは馬車の窓から外へ飛び出した。
「お腹減ったわ!」
「私も!お勉強したのでペコペコです!」
「(ほとんど寝てたのに…?)丁度並べるとこだ、手伝ってくれるか?」
「はぁーいっ!!」
エビを山程使ったサラダに、ピザにも丸まった大振りのエビが乗っているのを見て、ヴィオラはウキウキと食器の用意をしている。
「あ、キノコですか?見分けとか大丈夫なんです?」
「選別できる種類しか採らねぇよ。毒見もしてきたし、補償する。」
「まぁ、僕達なら自分の解毒くらいならできますからね。」
「当たる時は俺ひとりって事か…」
「大丈夫ですよ!私はデイビッド様を信じてますから!」
「そう言いながらアミガサタケははじいてる…」
「これ食感がモニョモニョするので嫌いなんです!」
「高級食材なんですけどねぇ?」
(なによ、心配して損したわ…)
シェルリアーナは目覚ましのハーブティーを飲みながら、婚約者の隣でニヤけているデイビッドを眺めていた。
(幸せそうにして…間違っても別れようなんて考え起こすんじゃないわよ、まったく!!)
余計な事を考えている時のシェルリアーナは、絶えず口が動いて良く食べる。
キノコのパスタを余程気に入ったらしく、大皿の半分も平らげて更にピザに手が伸びていた。
ヴィオラは昨日の今日で再び出会えたエビ料理を、じっくり味わって食べている。
「デイビッド様の食べてるのは何ですか?」
「ウナギだよ。開いて蒸し焼きにしてから軽く炙って塩振ってあるんだ。」
「ゼリー寄せとかしか知りませんでした!その方がさっぱりして食べやすそうですね!」
「そっちの…うねうねしてるのは…?」
「ウナギの内臓。消化管の部分をよく洗って湯通ししてあるんだ。まぁ、珍味だな。」
「君は本当に変なものばっかり食べるんだね!」
「これが普通に流通してる所で覚えたんだよ!悪ぃか!」
賑やかな昼食の後に、マロウの花茶と取り分けておいたスモモのワイン煮を楽しんでいると、日が差して雨が止んだ。
「わぁぁぁ!!デイビッド様、虹です!おっきな虹が出ましたよ!?」
「あら、素敵ね!色もはっきり見えるわ!」
「キレイですねぇ!ヴィオラ様、せっかくですので写真撮りませんか?」
皆が虹に夢中になっている後ろで、デイビッドは再び馬車の跳ね戸を開き、風を通してキッチンを展開していた。
その時、転移門が光ってまた誰かが現れた。
「ずいぶん素敵な隠れ家だねぇ、シェリー…」
やって来たのはエリザベス。しかしいつもと様子が違う。
薄汚れた作業着の上半身を腰に縛り、髪はボサボサで疲れ切った顔には煤汚れまでついている。
いつもはにこやかなタレ目が、今日は鋭くシェルリアーナを捕えて睨みつけていた。
65
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる