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黒豚令息の領地開拓編
妖精騒動
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「天災はともかく、魔物や獣害は人間で対処すべきではないんですかね?」
「辺境ではそれが当たり前ですが、その経験すら無い者には難しいのでしょう。」
「それこそまずは国が動かないとか…」
新たな課題も山積みで、溜め息が出てしまう。
「あ、そうだ。来週から校外実習組みたいんですけど、許可書って出ます?」
「もちろん、直ぐに用意させましょう。」
「それから…出先でグランドシェーブルを引き取りまして…その飼育の許可も頂きたく…」
「ほっほっほ!よろしいでしょう。管理が出来るなら問題ありませんよ。しかし、相変わらずですなぁデイビッド先生は!」
「はい…申し訳ありません…」
学園長室を出る際、オンディーヌが顔の間近まで寄って来て穴の開くほどデイビッドを見つめていたが、なるべく気にしないようにしてドアを閉めた。
妖精や精霊に関しては実の所デイビッドはド素人だ。
知識も経験も無く、今まではただその場の雰囲気と相手の出方を見て対応し、なんとか無事にやり過ごせていただけに過ぎない。
図書室で専門書を探そうとしていると、頭の上をまたブンブンと飛び回る羽虫の様な妖精達が現れた。
追い払おうとしたが、どうやら他の生徒達には見えていないらしい。
怪しまれない内に直ぐに外へ出ると、女生徒が数人デイビッドを取り囲んだ。
「おいおい、なんだよ。通れねぇだろ?なんか用か?」
「失礼、貴方にお聞きしたい事がありますの。正直にお答え下さいまし。」
「あ?え?何を…?」
「貴方は妖精を不当に使役し、拘束しているのですか?」
「は?!」
「貴方に魔力が無いことは周知の事。しかし、先程も私の妖精が見えているご様子でしたわね?」
「まぁ…諸事情あって見るだけなら見えるんだよ。」
「妖精を目に映すことができるのは妖精と契約した者か、霊質を強く所有する特殊な血筋の者のみ!」
「しかし、妖精は魔力を持たない者とは決して契約など致しません!」
「故に貴方は禁術か違法な魔道具を使用し、妖精を使役しているか、または拘束し不当に恩恵を得ていると考えられます。」
「なんも使ってねぇよ。たまたま見えて話せただけだ!」
「そんな話が信じられるとでも?!」
すると頭の上からキンキン声が降ってくる。
「モッテル!コイツモッテル!」
「モッテル!ポケットノナカ!」
「うるせぇな…」
「貴方、一体何を所持しているのですか!?」
「さぁ!出しなさい!!」
「なんもねぇよ!」
そう言いながら思い当たる節がまたひとつ。
(笛…入れっぱなしだったな…)
そう、ルーチェにせがまれて吹いている内に出し忘れた“妖精の呼び笛”。
「ウソダ!」
「モッテル!」
「カクシテル!」
「チッ…わかったよ、見せりゃいいんだろ…?」
デイビッドが笛を取り出そうとした瞬間、今度は廊下の先から強い風が吹き抜けて来た。
妖精達は耐え切れず、ハラハラと木の葉のように飛ばされていく。
「「キャーーーッ!!」」
「これは…風魔法!?」
「大変!妖精達が!」
「待って!どこへ行くの!?」
勝手にやって来て勝手にいなくなった女生徒と妖精達の声が聞こえなくなると、デイビッドは反対側の廊下に目をやった。
空き教室の窓から手を振るエリックが、ニヤニヤしながらこちらへ近づいて来る。
「いやぁ見事に絡まれましたね!」
「エリック、助かった。」
「気をつけて下さいよ?あの笛はルーチェ達のお気に入りなんですから。取り上げられて壊されでもしたらみんな悲しみますよ?」
「わかってるよ…にしても、妖精ってのは本当に飼い主に似るんだな。あんな性格の悪そうなヤツ見たことねぇよ。」
「それはそうでしょう。妖精と契約ができるのは魔力が強くて、妖精に好かれた者達だけですから。本来ああはなりません。」
「なら、アイツ等も妖精の関係者か?」
「いいえ…ココだけの話、強力な妖精の加護を得た者達が、自分の支持者達に妖精と契約させてるんですって。」
「それってアリなのか?」
「力の弱い妖精を自分の契約した妖精に集めさせて人間と引き合わせてるそうです。契約自体は双方の同意がないと成立しませんから、ギリギリ有りなんでしょう…」
「なんか詐欺みてぇだな…」
ルーチェや他の妖精も精霊も、デイビッドが出会って来た者達は皆、清浄な空気をまとい、人とは違う異質な雰囲気を持っていた。
人間の魔力を得ると、あの様な人間の思考に染まり、言いなりになってしまうのだろうか。
なんだか哀れな話だ。
帰りがけ、温室に入るとアリーが天井を跳ね回っていた。
「コラッ!マテッ!コイツメ!」
「なにやってんだ?!」
「やぁデイビッド君にエリック君!今ね、温室に入り込んで来た妖精をアリーが捕まえようとして追いかけてるんだよ。」
「楽しそうですねぇ。」
「ニガスカッ!カンネンシロ!」
「どこで覚えるんだろうな、ああいうセリフ…」
「ツカマエタッ!!」
華麗に床に降りてきたアリーの手には、数匹カゲロウの様な翅の妖精がキーキー鳴きながら捕まっていた。
捕まえた妖精は、アリーが作ったツタの虫籠の中に入れ、出口を閉める。
「けっこういますね。」
「このところ一気に増えたよね。」
「どうすんだコイツ等?」
「それをエリック君に相談しようと思ってたトコ。離してもいいんだけど、それだとまた契約者とかに使役されちゃうんでしょ?元に戻せないのかな?」
「元に…というか、単純な魔力のやり取りで成立した契約なら、もっと強力な魔力があれば勝手にそっちへ行きますよ。妖精は好き嫌いがはっきりしてるので、もっといい条件出して今の契約者が近くにいない内に上書きしちゃえばいいんです。」
「どうやって?」
「僕、こう見えて妖精と“仮名の契約”を結んでるんですよ!妖精には妖精をってね。協力してもらって、まとめて住処へ返してしまおうと思います。」
「へぇ、凄いじゃないか!名付けの契約なんてそうそう結べないよ!やるねぇエリック君!」
「妖精になんか頼むのに…契約…必要なのか…」
「無契約でバンバンお願い事叶えてもらってるトンデモ強運持ちが隣にいるんで僕の存在霞みまくってますけどね!?普通は人間の言う事なんて聞きませんよ!妖精も精霊も!!」
その頃、ヴィオラは研究室で課題を終わらせ、教員室へ提出に向かっていた。
(あ…何か飛んでる…キラキラして…なにかしら?)
そこへも妖精が現れ、見惚れていると後ろから他の生徒達に声を掛けられた。
「ヴィオラ様!やっとお会いできましたわね!」
「え?あ、ご、ごきげんよう皆様…」
「聞きましたわ!王都の混乱の最中、民を救った聖女様!どうか私達の集まりにお越しくださいませ!」
「集まり…?」
「私共は“聖霊教”の教えの下、妖精達と契約を結び守護を得ておりますの。」
「契約…ですか?」
「ええ、難しい事などありませんわ。ほんの少し魔力を提供するだけで自分だけの妖精と契約ができますのよ?!」
「ヴィオラ様の魔力であればきっと妖精も喜びますわ!」
「あの…えと…」
一瞬しどろもどろになったヴィオラは、一呼吸置くとスッと微笑み淑女の顔を貼り付けた。
「とても素敵なお誘いありがとうございます。ですが、私は姫殿下の特別側近として霊獣の管理を一部任されておりますので、この上他の契約を結ぶ事は難しいのです。」
「まぁ!霊獣ですって?!」
「それは…まさか王家の…?」
「詳細をお話することはできませんの…どうかご理解下さいませ。」
「そんな事情があるとは知らず失礼致しました…」
「ヴィオラ様にも聖霊教の素晴らしさを知って頂きたかったのですが…」
「王家にお仕えする間は特定の宗教に傾倒してはならない事になっておりますの。皆様のお誘いは大変嬉しく思いますわ。ですが、こればかりは良いお返事が出来ず申し訳ありません…」
美しい礼と、儚げな雰囲気を最大限表に出し、ヴィオラは煩い誘いの手から離れて行った。
ーー「嘘をつく時は真実を2割程混ぜるといい。信憑性が増す上に裏を取られても全く嘘にならない事で相手を丸め込める。」ーー
(フフフ…今の私、ちょっとデイビッド様っぽかったかしら!)
また碌でもないことを婚約者から教わったものだ。
「辺境ではそれが当たり前ですが、その経験すら無い者には難しいのでしょう。」
「それこそまずは国が動かないとか…」
新たな課題も山積みで、溜め息が出てしまう。
「あ、そうだ。来週から校外実習組みたいんですけど、許可書って出ます?」
「もちろん、直ぐに用意させましょう。」
「それから…出先でグランドシェーブルを引き取りまして…その飼育の許可も頂きたく…」
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「はい…申し訳ありません…」
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妖精や精霊に関しては実の所デイビッドはド素人だ。
知識も経験も無く、今まではただその場の雰囲気と相手の出方を見て対応し、なんとか無事にやり過ごせていただけに過ぎない。
図書室で専門書を探そうとしていると、頭の上をまたブンブンと飛び回る羽虫の様な妖精達が現れた。
追い払おうとしたが、どうやら他の生徒達には見えていないらしい。
怪しまれない内に直ぐに外へ出ると、女生徒が数人デイビッドを取り囲んだ。
「おいおい、なんだよ。通れねぇだろ?なんか用か?」
「失礼、貴方にお聞きしたい事がありますの。正直にお答え下さいまし。」
「あ?え?何を…?」
「貴方は妖精を不当に使役し、拘束しているのですか?」
「は?!」
「貴方に魔力が無いことは周知の事。しかし、先程も私の妖精が見えているご様子でしたわね?」
「まぁ…諸事情あって見るだけなら見えるんだよ。」
「妖精を目に映すことができるのは妖精と契約した者か、霊質を強く所有する特殊な血筋の者のみ!」
「しかし、妖精は魔力を持たない者とは決して契約など致しません!」
「故に貴方は禁術か違法な魔道具を使用し、妖精を使役しているか、または拘束し不当に恩恵を得ていると考えられます。」
「なんも使ってねぇよ。たまたま見えて話せただけだ!」
「そんな話が信じられるとでも?!」
すると頭の上からキンキン声が降ってくる。
「モッテル!コイツモッテル!」
「モッテル!ポケットノナカ!」
「うるせぇな…」
「貴方、一体何を所持しているのですか!?」
「さぁ!出しなさい!!」
「なんもねぇよ!」
そう言いながら思い当たる節がまたひとつ。
(笛…入れっぱなしだったな…)
そう、ルーチェにせがまれて吹いている内に出し忘れた“妖精の呼び笛”。
「ウソダ!」
「モッテル!」
「カクシテル!」
「チッ…わかったよ、見せりゃいいんだろ…?」
デイビッドが笛を取り出そうとした瞬間、今度は廊下の先から強い風が吹き抜けて来た。
妖精達は耐え切れず、ハラハラと木の葉のように飛ばされていく。
「「キャーーーッ!!」」
「これは…風魔法!?」
「大変!妖精達が!」
「待って!どこへ行くの!?」
勝手にやって来て勝手にいなくなった女生徒と妖精達の声が聞こえなくなると、デイビッドは反対側の廊下に目をやった。
空き教室の窓から手を振るエリックが、ニヤニヤしながらこちらへ近づいて来る。
「いやぁ見事に絡まれましたね!」
「エリック、助かった。」
「気をつけて下さいよ?あの笛はルーチェ達のお気に入りなんですから。取り上げられて壊されでもしたらみんな悲しみますよ?」
「わかってるよ…にしても、妖精ってのは本当に飼い主に似るんだな。あんな性格の悪そうなヤツ見たことねぇよ。」
「それはそうでしょう。妖精と契約ができるのは魔力が強くて、妖精に好かれた者達だけですから。本来ああはなりません。」
「なら、アイツ等も妖精の関係者か?」
「いいえ…ココだけの話、強力な妖精の加護を得た者達が、自分の支持者達に妖精と契約させてるんですって。」
「それってアリなのか?」
「力の弱い妖精を自分の契約した妖精に集めさせて人間と引き合わせてるそうです。契約自体は双方の同意がないと成立しませんから、ギリギリ有りなんでしょう…」
「なんか詐欺みてぇだな…」
ルーチェや他の妖精も精霊も、デイビッドが出会って来た者達は皆、清浄な空気をまとい、人とは違う異質な雰囲気を持っていた。
人間の魔力を得ると、あの様な人間の思考に染まり、言いなりになってしまうのだろうか。
なんだか哀れな話だ。
帰りがけ、温室に入るとアリーが天井を跳ね回っていた。
「コラッ!マテッ!コイツメ!」
「なにやってんだ?!」
「やぁデイビッド君にエリック君!今ね、温室に入り込んで来た妖精をアリーが捕まえようとして追いかけてるんだよ。」
「楽しそうですねぇ。」
「ニガスカッ!カンネンシロ!」
「どこで覚えるんだろうな、ああいうセリフ…」
「ツカマエタッ!!」
華麗に床に降りてきたアリーの手には、数匹カゲロウの様な翅の妖精がキーキー鳴きながら捕まっていた。
捕まえた妖精は、アリーが作ったツタの虫籠の中に入れ、出口を閉める。
「けっこういますね。」
「このところ一気に増えたよね。」
「どうすんだコイツ等?」
「それをエリック君に相談しようと思ってたトコ。離してもいいんだけど、それだとまた契約者とかに使役されちゃうんでしょ?元に戻せないのかな?」
「元に…というか、単純な魔力のやり取りで成立した契約なら、もっと強力な魔力があれば勝手にそっちへ行きますよ。妖精は好き嫌いがはっきりしてるので、もっといい条件出して今の契約者が近くにいない内に上書きしちゃえばいいんです。」
「どうやって?」
「僕、こう見えて妖精と“仮名の契約”を結んでるんですよ!妖精には妖精をってね。協力してもらって、まとめて住処へ返してしまおうと思います。」
「へぇ、凄いじゃないか!名付けの契約なんてそうそう結べないよ!やるねぇエリック君!」
「妖精になんか頼むのに…契約…必要なのか…」
「無契約でバンバンお願い事叶えてもらってるトンデモ強運持ちが隣にいるんで僕の存在霞みまくってますけどね!?普通は人間の言う事なんて聞きませんよ!妖精も精霊も!!」
その頃、ヴィオラは研究室で課題を終わらせ、教員室へ提出に向かっていた。
(あ…何か飛んでる…キラキラして…なにかしら?)
そこへも妖精が現れ、見惚れていると後ろから他の生徒達に声を掛けられた。
「ヴィオラ様!やっとお会いできましたわね!」
「え?あ、ご、ごきげんよう皆様…」
「聞きましたわ!王都の混乱の最中、民を救った聖女様!どうか私達の集まりにお越しくださいませ!」
「集まり…?」
「私共は“聖霊教”の教えの下、妖精達と契約を結び守護を得ておりますの。」
「契約…ですか?」
「ええ、難しい事などありませんわ。ほんの少し魔力を提供するだけで自分だけの妖精と契約ができますのよ?!」
「ヴィオラ様の魔力であればきっと妖精も喜びますわ!」
「あの…えと…」
一瞬しどろもどろになったヴィオラは、一呼吸置くとスッと微笑み淑女の顔を貼り付けた。
「とても素敵なお誘いありがとうございます。ですが、私は姫殿下の特別側近として霊獣の管理を一部任されておりますので、この上他の契約を結ぶ事は難しいのです。」
「まぁ!霊獣ですって?!」
「それは…まさか王家の…?」
「詳細をお話することはできませんの…どうかご理解下さいませ。」
「そんな事情があるとは知らず失礼致しました…」
「ヴィオラ様にも聖霊教の素晴らしさを知って頂きたかったのですが…」
「王家にお仕えする間は特定の宗教に傾倒してはならない事になっておりますの。皆様のお誘いは大変嬉しく思いますわ。ですが、こればかりは良いお返事が出来ず申し訳ありません…」
美しい礼と、儚げな雰囲気を最大限表に出し、ヴィオラは煩い誘いの手から離れて行った。
ーー「嘘をつく時は真実を2割程混ぜるといい。信憑性が増す上に裏を取られても全く嘘にならない事で相手を丸め込める。」ーー
(フフフ…今の私、ちょっとデイビッド様っぽかったかしら!)
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