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黒豚令息の領地開拓編
精霊樹の枝
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食べて飲んで騒いだ後はお決まりのあの時間。
「「「ウタッテ!!!」」」
ここにいる妖精達は、どうやらデイビッドの領地から来たもの達だけでなく、魔法学棟の聖域出身も多く混じっているようだ。
「やっぱそう来たか。」
「キョウハ トビキリ タノシイノガイイ!」
「楽しいの…か…仕方ねぇな…」
初夏の匂いが吹き抜ける夜の中を、軽快な笛の音が鳴り響くと、渦を巻くように妖精達が踊り出す。
するといつからいたのか、イヴェットも猫のまま踊りの輪の中で妖精達と跳ね回っている。更に時間が経つと二本足で立ち上がり、皆と手を繋いで踊り回っていた。
(なんだかんだ言っても、やっぱ妖精の仲間なんだな…)
月の光が一番明るく差す時分、大トリのルーチェが華麗なダンスを披露すると、金属製の楽器の様な音と共に光の粉が降り注いだ。
「タノシカッタ」
「オナカイッパイ」
「マタクルヨ」
「バイバイ マタネ」
あれだけ作ったケーキはひとつ残らず綺麗になくなり、瓶も皿も空っぽだ。
一緒に騒いでいたアリーとルーチェが各々の塒へ帰って行く妖精達に手を振っている。
「ハァーーー…流石にくたびれたな!ずっと笛吹きっぱなしで唇がボケちまった。」
「アリー スッゴク タノシカッタ!!」
「ぼくも たのしかった なかまがたくさん きてくれて」
テーブルを片付け、洗い物をしようと流しへ皿を下げに行くと、今度はカウチの上で布団を被り丸まっているエリックが目に付いた。
小刻みに震える布団から、ボソボソと何か言う声が聞こえている。
「なにも見てない…僕はなにも見てない…みてないみてないみてない……」
「なんだ、お前まだ寝てなかったのか。」
「こんな状況で寝られっか!ふざけんな!!」
「アイツ等ならもう帰ったよ。あと片付けて俺も寝る。」
「アリーモ ネルー!」
「エリク どうしたの? ぼくのトモダチいっぱいで びっくりしたの?」
「ヨワッチィナ」
「え…?ホントに?本気で!?ケーキで妖精と取引して無事に成功したのかコイツ…」
「ケーキ おいしかったよ? エリクも たべたかった?」
「クッキーノ カケラナラ ノコッテル」
「中身が人間じゃなくなってるとかないですよね…?」
「ねぇよ!?何言ってんだお前!」
「いや…普通あり得ませんよ…アルラウネにお使い頼んで、ケーキと引き換えに世界樹の木の枝を手に入れるとか…世界樹の…木の…枝ぁぁぁっ!!?」
今度は誰の耳にも届く絶叫が、夜の学園内に響いていく。
庭先に無造作に山と積まれた仄かに光る木の枝を見て、再びエリックが発狂する。
「使い切れない分は薪にでもするか。」
「おぉぉぉい!!全魔法使いと魔術師に喧嘩売ってんのかこのスットコドッコイ!」
「聞き慣れない罵倒だな。」
「世界樹の枝ですよ!?幻の樹木の一部ですよ!果実に次いで貴重極まる希少アイテムですよ!?こんなん集めてナニするつもりだったんですか!!」
「イヴェットの家がうるさいらしいから、なんか黙らせる方法ねぇかなと思って。本で読んだんだよ、精霊遣いとか妖精を使役する時に精霊樹の木の杖を使って力を蓄えるって。イヴェットもこれでなんか強いのと契約したら家も出られるんじゃねぇかと思って…」
「今!この国一番の妖精遣いって誰だか分かります?」
「さぁ…そういうのはさっぱり…」
「テメーだよ!!さっさと寝ちまえこの規格外!!」
「人外みたいな言い方すんなよ…」
「アリーモ ネルー!」
「おやすみ エリク」
ルーチェを頭に乗せたアリーが外の家畜小屋の上にツタの寝床を作ると、直ぐに2人の気配が消える。
妖精が訪れた後はいつも空気が軽く心地良い。
デイビッドも片付けを終えると直ぐに眠る事ができた。
次の朝、外の枝の山を見に行くと、一晩経ったというのに葉先までツヤツヤの小枝の山が光っていた。
(このままじゃ流石にまずいな…)
デイビッドがズタ袋に枝を拾い集めていると、枝のひとつに小さな芋虫がついているのが見えた。
(一緒にくっついてきちまったのか。悪い事したな。)
葉付きの小枝を数本瓶に挿し、そこへ芋虫を移してやると直ぐに葉っぱの端を食べ始める。
コショコショと葉をかじる小さな音がして、生き物の気配がすると、デイビッドは少し嬉しそうに部屋のデスクの上に瓶を置いた。
見つけた芋虫は全部で3匹。
鮮やかな緑色と、黒々とした身体に赤い斑点があるものと、フサフサの毛が生えた青と黄緑色の派手な個体。
(ヴィオラ達は嫌がるかな…女子は虫が苦手だから…)
なるべく見えない位置に置いてやり、葉が少なくなるとまた袋から新しい物を出してやる。
こうしてデイビッドは芋虫も飼うことになった。
昨夜は簡素な食事だったので、今朝は少し豪華。
ソーセージたっぷりのポトフ、分厚いフレンチトースト、きのこソースのオムレツ、ベーコンとジャガイモのガレット、フルーツサラダにクロワッサン。
そこへ寝癖がついたままの髪を整える間も惜しんだヴィオラが駆けてきた。
しかし、飛び込んだいつもの研究室に何か違和感を感じ、少しばかりうろたえ出した。
「どうした?」
「おはようございますデイビッド様…な…なんだろう…何かいつもと違うような気がして…」
キョロキョロと辺りを見回すヴィオラの後ろで昨夜の事が原因ではないかと、エリックがデイビッドを睨んでいたが、ヴィオラは全く別のことに気が付き、デイビッドに飛び付いた。
「デイビッド様!痩せました!?」
「それは、冗談か…?」
「いいえ!!そこに立った時のデイビッドの後ろに見える壁の木目がいつもより多いです!」
「人の腹の肉量を木目で測るんじゃない!!」
「ヤダァァ!痩せちゃヤダァァ!!」
「そこは痩せて喜ぶところじゃないんですね…」
「俺も思った…普通痩せたらいいんじゃねぇのか?」
「デイビッド様が減っちゃう!!」
「あ、そーゆー考え…」
「肉は減っても俺は減らねぇから安心しろ…」
「しかも、痩せてたとしても微々たる量過ぎて全く変化がありませんしね。」
何かあまり嬉しくない様子のデイビッドを見て、エリックはどこが痩せたのか分からず目を細めていた。
今の今まで何をしても僅かも減らなかったデイビッドの身体に、変化が起きている。
果たしてこの減量は喜ばしいモノなのか、はたまた何かの前触れなのか…
ヴィオラが焼き立てのクロワッサンにオムレツを挟んで丸かじりしていると、何かの気配を感じて思わず振り向いた。
「あ、毛虫!」
「え?!どこに!?ぅわぁ!なんでこんなもんが部屋の中に…まさか飼う気じゃ…って待てよ?!この木、夕べの!?」
言葉を詰まらせるエリックの横で、食べる手は止めずヴィオラが枝の芋虫達に近づいて行った。
「見たことない子達ですね。」
「ああ、アリーが取ってきた木の枝についてたんだ。」
「この木…なんの木ですか?」
「さぁ…アリーが取ってきた木だからな…」
「一生懸命葉っぱ食べてますね。サナギになったら教えて下さい!なんのチョウになるか見てみたいです。」
「チョウじゃなくてもがっかりすんなよ?」
「ガだってキレイですよ?地味なのもいますけど。」
「うぇ~ヴィオラ様、朝から気持ち悪い話しないで下さいよぉ…。」
なんとか世界樹の木ということはごまかしたが、ヴィオラのことだ、何か疑ってはいそうな気もする。
虫が苦手なエリックは、遠巻きに派手な芋虫たちを見ておぞましげな顔をしていた。
昨夜は踊り疲れたのか、イヴェットは朝からずっと戸棚の上のカゴの中で丸まって眠っていた。
イヴェットを起こさないよう、デイビッドはいつもより静かに戸棚を開け閉めしながら、食材や調味料の在庫を確認している。
今日はエリックもヴィオラも1日授業だ。
昼休みには戻ってくるだろうが、あまり長居はできないだろう。
外の竈門で豚肉の大きな塊を弱火でじっくり蒸しながら、ついでに大砂鳥の卵も鍋に入れてみる。
新しいパン用の酵母も試し、色々考察していると、外からデイビッドの名前を呼ぶ声がした。
「若…じゃなかった、デイビッド先生!商会にお客様がいらしていますよ!直ぐ来て下さい!」
「よぉ、テッドか。わかった、先に行っててくれ。」
テッドは商会のアルバイトで自転車を乗り回し、専属のメッセンジャーとして街でも有名になっていた。
愛嬌のある顔立ちに巧みな話術と人懐こい性格が人を寄せ、手紙や小包を届ける先々で色んな情報を拾って来ては商会の役に立てているそうだ。
「「「ウタッテ!!!」」」
ここにいる妖精達は、どうやらデイビッドの領地から来たもの達だけでなく、魔法学棟の聖域出身も多く混じっているようだ。
「やっぱそう来たか。」
「キョウハ トビキリ タノシイノガイイ!」
「楽しいの…か…仕方ねぇな…」
初夏の匂いが吹き抜ける夜の中を、軽快な笛の音が鳴り響くと、渦を巻くように妖精達が踊り出す。
するといつからいたのか、イヴェットも猫のまま踊りの輪の中で妖精達と跳ね回っている。更に時間が経つと二本足で立ち上がり、皆と手を繋いで踊り回っていた。
(なんだかんだ言っても、やっぱ妖精の仲間なんだな…)
月の光が一番明るく差す時分、大トリのルーチェが華麗なダンスを披露すると、金属製の楽器の様な音と共に光の粉が降り注いだ。
「タノシカッタ」
「オナカイッパイ」
「マタクルヨ」
「バイバイ マタネ」
あれだけ作ったケーキはひとつ残らず綺麗になくなり、瓶も皿も空っぽだ。
一緒に騒いでいたアリーとルーチェが各々の塒へ帰って行く妖精達に手を振っている。
「ハァーーー…流石にくたびれたな!ずっと笛吹きっぱなしで唇がボケちまった。」
「アリー スッゴク タノシカッタ!!」
「ぼくも たのしかった なかまがたくさん きてくれて」
テーブルを片付け、洗い物をしようと流しへ皿を下げに行くと、今度はカウチの上で布団を被り丸まっているエリックが目に付いた。
小刻みに震える布団から、ボソボソと何か言う声が聞こえている。
「なにも見てない…僕はなにも見てない…みてないみてないみてない……」
「なんだ、お前まだ寝てなかったのか。」
「こんな状況で寝られっか!ふざけんな!!」
「アイツ等ならもう帰ったよ。あと片付けて俺も寝る。」
「アリーモ ネルー!」
「エリク どうしたの? ぼくのトモダチいっぱいで びっくりしたの?」
「ヨワッチィナ」
「え…?ホントに?本気で!?ケーキで妖精と取引して無事に成功したのかコイツ…」
「ケーキ おいしかったよ? エリクも たべたかった?」
「クッキーノ カケラナラ ノコッテル」
「中身が人間じゃなくなってるとかないですよね…?」
「ねぇよ!?何言ってんだお前!」
「いや…普通あり得ませんよ…アルラウネにお使い頼んで、ケーキと引き換えに世界樹の木の枝を手に入れるとか…世界樹の…木の…枝ぁぁぁっ!!?」
今度は誰の耳にも届く絶叫が、夜の学園内に響いていく。
庭先に無造作に山と積まれた仄かに光る木の枝を見て、再びエリックが発狂する。
「使い切れない分は薪にでもするか。」
「おぉぉぉい!!全魔法使いと魔術師に喧嘩売ってんのかこのスットコドッコイ!」
「聞き慣れない罵倒だな。」
「世界樹の枝ですよ!?幻の樹木の一部ですよ!果実に次いで貴重極まる希少アイテムですよ!?こんなん集めてナニするつもりだったんですか!!」
「イヴェットの家がうるさいらしいから、なんか黙らせる方法ねぇかなと思って。本で読んだんだよ、精霊遣いとか妖精を使役する時に精霊樹の木の杖を使って力を蓄えるって。イヴェットもこれでなんか強いのと契約したら家も出られるんじゃねぇかと思って…」
「今!この国一番の妖精遣いって誰だか分かります?」
「さぁ…そういうのはさっぱり…」
「テメーだよ!!さっさと寝ちまえこの規格外!!」
「人外みたいな言い方すんなよ…」
「アリーモ ネルー!」
「おやすみ エリク」
ルーチェを頭に乗せたアリーが外の家畜小屋の上にツタの寝床を作ると、直ぐに2人の気配が消える。
妖精が訪れた後はいつも空気が軽く心地良い。
デイビッドも片付けを終えると直ぐに眠る事ができた。
次の朝、外の枝の山を見に行くと、一晩経ったというのに葉先までツヤツヤの小枝の山が光っていた。
(このままじゃ流石にまずいな…)
デイビッドがズタ袋に枝を拾い集めていると、枝のひとつに小さな芋虫がついているのが見えた。
(一緒にくっついてきちまったのか。悪い事したな。)
葉付きの小枝を数本瓶に挿し、そこへ芋虫を移してやると直ぐに葉っぱの端を食べ始める。
コショコショと葉をかじる小さな音がして、生き物の気配がすると、デイビッドは少し嬉しそうに部屋のデスクの上に瓶を置いた。
見つけた芋虫は全部で3匹。
鮮やかな緑色と、黒々とした身体に赤い斑点があるものと、フサフサの毛が生えた青と黄緑色の派手な個体。
(ヴィオラ達は嫌がるかな…女子は虫が苦手だから…)
なるべく見えない位置に置いてやり、葉が少なくなるとまた袋から新しい物を出してやる。
こうしてデイビッドは芋虫も飼うことになった。
昨夜は簡素な食事だったので、今朝は少し豪華。
ソーセージたっぷりのポトフ、分厚いフレンチトースト、きのこソースのオムレツ、ベーコンとジャガイモのガレット、フルーツサラダにクロワッサン。
そこへ寝癖がついたままの髪を整える間も惜しんだヴィオラが駆けてきた。
しかし、飛び込んだいつもの研究室に何か違和感を感じ、少しばかりうろたえ出した。
「どうした?」
「おはようございますデイビッド様…な…なんだろう…何かいつもと違うような気がして…」
キョロキョロと辺りを見回すヴィオラの後ろで昨夜の事が原因ではないかと、エリックがデイビッドを睨んでいたが、ヴィオラは全く別のことに気が付き、デイビッドに飛び付いた。
「デイビッド様!痩せました!?」
「それは、冗談か…?」
「いいえ!!そこに立った時のデイビッドの後ろに見える壁の木目がいつもより多いです!」
「人の腹の肉量を木目で測るんじゃない!!」
「ヤダァァ!痩せちゃヤダァァ!!」
「そこは痩せて喜ぶところじゃないんですね…」
「俺も思った…普通痩せたらいいんじゃねぇのか?」
「デイビッド様が減っちゃう!!」
「あ、そーゆー考え…」
「肉は減っても俺は減らねぇから安心しろ…」
「しかも、痩せてたとしても微々たる量過ぎて全く変化がありませんしね。」
何かあまり嬉しくない様子のデイビッドを見て、エリックはどこが痩せたのか分からず目を細めていた。
今の今まで何をしても僅かも減らなかったデイビッドの身体に、変化が起きている。
果たしてこの減量は喜ばしいモノなのか、はたまた何かの前触れなのか…
ヴィオラが焼き立てのクロワッサンにオムレツを挟んで丸かじりしていると、何かの気配を感じて思わず振り向いた。
「あ、毛虫!」
「え?!どこに!?ぅわぁ!なんでこんなもんが部屋の中に…まさか飼う気じゃ…って待てよ?!この木、夕べの!?」
言葉を詰まらせるエリックの横で、食べる手は止めずヴィオラが枝の芋虫達に近づいて行った。
「見たことない子達ですね。」
「ああ、アリーが取ってきた木の枝についてたんだ。」
「この木…なんの木ですか?」
「さぁ…アリーが取ってきた木だからな…」
「一生懸命葉っぱ食べてますね。サナギになったら教えて下さい!なんのチョウになるか見てみたいです。」
「チョウじゃなくてもがっかりすんなよ?」
「ガだってキレイですよ?地味なのもいますけど。」
「うぇ~ヴィオラ様、朝から気持ち悪い話しないで下さいよぉ…。」
なんとか世界樹の木ということはごまかしたが、ヴィオラのことだ、何か疑ってはいそうな気もする。
虫が苦手なエリックは、遠巻きに派手な芋虫たちを見ておぞましげな顔をしていた。
昨夜は踊り疲れたのか、イヴェットは朝からずっと戸棚の上のカゴの中で丸まって眠っていた。
イヴェットを起こさないよう、デイビッドはいつもより静かに戸棚を開け閉めしながら、食材や調味料の在庫を確認している。
今日はエリックもヴィオラも1日授業だ。
昼休みには戻ってくるだろうが、あまり長居はできないだろう。
外の竈門で豚肉の大きな塊を弱火でじっくり蒸しながら、ついでに大砂鳥の卵も鍋に入れてみる。
新しいパン用の酵母も試し、色々考察していると、外からデイビッドの名前を呼ぶ声がした。
「若…じゃなかった、デイビッド先生!商会にお客様がいらしていますよ!直ぐ来て下さい!」
「よぉ、テッドか。わかった、先に行っててくれ。」
テッドは商会のアルバイトで自転車を乗り回し、専属のメッセンジャーとして街でも有名になっていた。
愛嬌のある顔立ちに巧みな話術と人懐こい性格が人を寄せ、手紙や小包を届ける先々で色んな情報を拾って来ては商会の役に立てているそうだ。
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