316 / 411
黒豚令息の領地開拓編
風向きの変わる音
しおりを挟む
3人が話をしながら図書室へ入り各々本を探し始めると、ヴィオラの前に同学年の男子生徒が現れた。
「やぁ、ミス・ヴィオラ、久しぶりだね。」
「まぁ、ごきげんよう…ルミオ様…?」
この政務科の男子生徒とは被る授業が多く、なんとなく顔見知りだった。控えめで穏やかな性格に童顔で女子の人気も高い。
「いきなり話しかけてごめんね。ちょっと聞きたいことがあって…」
「私に?なんでしょう…」
「君、何か悩みがあるんじゃない?」
「悩み?」
「授業中、ずっと上の空で、ぼんやりしているみたいだったし、休みの間に何かあったんじゃないかって、心配だったんだ。」
「そうなのですね。お気遣いありがとうございます。ですが私は…」
「こんな時に君の婚約者は何をしているんだろう。」
「え…?」
「自分の婚約者が苦しんでいるのに、平然としているなんて僕には考えられない!なのに毎日の様に君を自室に呼びつけて、そのくせ休みには街にすら出さないなんて、酷過ぎないかい?」
(そんな風に見えてたの…?)
酷いも何も、王都に入らないのはヴィオラの安全のためであり、つい先月までヴィオラは女神信教に王都追放を受け、学園でも後ろ指を差される存在だった事をこの男は忘れてしまっているのだろうか?
ヴィオラがあの研究室へ通うのも、2人して学園中の嫌われ者だったのだからしかたがない。
せめて隅の部屋で静かに過ごす事も許されないのだろうか。(この辺りは片方が嫌でも目立つので静かとは言い難いが…)
「束縛のきつい婚約者で苦労するね。君も気が休まらないだろう?どうかな、良ければ今度息抜きに舞台でも見に行かない?父が関係者で観覧チケットがあるんだ。」
(あ…これ、私、口説かれてるんだ…)
面と向かって誘いを掛けて来た男子生徒はテレンス以来だ。
「あ…あの、お誘いは嬉しいのですが、課題もありますし、休日には学外で活動もしておりますので…」
「勤勉だね、でもそれじゃ疲れてしまうよ?」
「学生の内にしか出来ないこともありますから…それに、私は毎日を楽しく過ごせておりますわ。友人も多く、とても充実しております。ご心配には及びません。」
「なんて健気なんだ。それに引き換え、あの教員気取りは身勝手過ぎるよ!生徒の立場もある婚約者に気遣いの一つもできないなんて、同じ男として許せないな。」
「講師としての立場もありますし、私達生徒には分からない苦労もあると思います…私共の事はどうかお気になさらないで下さい。」
「そうか…君がそう言うなら…でも、忘れないで!君の味方はたくさん居るからね!本当に嫌な時は逃げておいで!?」
そう言ってルミオは図書室を出て行った。
(味方なんて…ほとんどいなかったクセに。人の評価なんてちょっと目立ったらコロッと変わるのね。そっち方が信用ならないわ!)
ヴィオラが一人腹を立てていると、アリスティアとディアナが横の本棚から顔を出した。
「まさかヴィオラ様をお誘いする生徒がいるなんて…」
「何がどうしたらあの2人が不仲に見えるんでしょうね。人の目は本当に見たい物しか見えない様に出来ているものだ…」
「ですが、ヴィオラ様を悪し様に言う声はだいぶなくなりましたね。これで少しは外を歩きやすくなるのでは?」
「どうでしょう?ほとんど郊外を歩いていたので、王都の中でどんな噂が流れていたとか、分からないんですよ私…」
「婚約者を醜聞から庇うことも婚約者の務めです。人前でアピールするだけが愛情ではありませんもの。」
「そこんとこは完璧ですね…後は、贈り物とか…言うまでもないか…」
「上から下まで一切合切口にする物すら全て整えられて…」
「ちょっと怖くないですかそれ?!」
いつ城へ呼ばれても良いように、デイビッドは定期的にヴィオラにドレスを用意している。(注文が素直に通る事はほとんど無いが、ウイニー・メイの一角にはヴィオラのためのドレスが詰まった専用のクローゼットがあるらしい)
そもそもデイビッドが動かなくとも、商会の各部門から毎月の様にヴィオラの元へ贈られてくる新作の衣類にアクセサリー、靴に鞄に化粧品に日用品…
今やヴィオラが自分で買う物など、ほんの私物と使い魔の材料くらいしか無い。
後は社交だが、他国の王女と王子、更には王太子妃とも関わりを持ち、個人的な夜会にまで呼ばれるヴィオラに、これ以上何を望むと言うのだろうか。
その根っこにいるデイビッドも、国益という意味ではこの上無い存在だ。
(残る問題はヘタレの度が過ぎて人前に婚約者を連れて行かないという事くらいである)
「いつまでウジウジしてるつもりなんでしょうね?そろそろ進展してもらわないとつまらな…いえ、ヴィオラ様も待ちくたびれてしまいますよね?」
「なので、こちらから追い詰めてみようと思ってます。」
「逞しい…」
何はともあれ、ヴィオラを取り巻いていたどす黒い空気が変わって来ていることには違いない。
しかし、この風が良いものか悪いものか、それを決めるのは本人だ。
他人の評価に流されず立ち続けるのは難しい。
一見明るく皆に好かれているように見えても、それが本当に当人のためになるかは別の話だからだ。
(世間の評価だけ耳にすれば、ヴィオラ様は最低の婚約者に嫁がされた薄幸の貴族令嬢…そんなわけないと分かっているのは極一部の人間だけ…デイビッド様にはもう少し世間体というモノの底上げが必要ですね…)
アリスティアはヴィオラ達と分かれ、政務科へ向かいながらそんなことを考えていた。
昼前の授業でディアナとも別れたヴィオラは、魔法学棟の教室で魔術式のテストを受けた。
(すごいスラスラわかる…わかっちゃいけないとこまでわかる…)
一般公開されていない魔法式をうっかり使いそうになり、慌てて消して書き直している側で、試験監督に当たっていたベルダが肩を震わせて笑いを堪えていた。
筆記の次は実技試験。試験官の作る魔力のドームの中に雨を降らせたら合格となる。
席で順番を待っている間、ヴィオラは他の生徒達に話しかけられ、顔に笑みを貼り付けていた。
「ねぇ、ミス・ヴィオラ?貴女、婚約者に仕事を手伝わされてるってホント?」
「えぇ…?」
「休みの間まで呼び付けて仕事に同行させていたって聞いたわよ?大丈夫なの?」
「いえ、仕事をさせられいたわけでは…」
「粗末な服装で簡素な荷馬車にばかり乗せられていたとも聞いたわ!そんなにケチな人なの?」
「あの…えっと…」
「それに、この1年半近くどこの夜会にもお茶会にも出てないそうじゃない!ここまで自由を奪っておいて仕事までさせるなんて、貴族令嬢をなんだと思っているのかしら!」
「そんな人が仮にも教員だなんて、ゾッとするわ!」
(そんな風に見えてるんだなぁ…)
いつどこで誰に見られているかわからない…デイビッドはいつもヴィオラにそう言っていた。
デイビッドがヴィオラを呼ぶのは、学園内で他人の言動に傷つかないよう守ろうとしての事だ。
郊外で馬車を使わないのは、貴族の馬車など返って目立ってしまうから、服は屋外で活動するため地味で動きやすい物を着ていただけで、生地や仕立てはそこらの物とは全く違う。
夜会?お茶会?王都で追放者の烙印を押されたヴィオラには、招待状すら届く事は無かった。そんな事まるで無かったかのように進む話に、ヴィオラは逆に傷ついた。
人の眼は自分の見たい物しか映さない。真実など見る者の数だけあるという事だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、私は毎日とても充実した生活を送っておりますので、どうぞお気遣いなく。」
ルミオにも言った台詞をもう一度吐くと、周りの女生徒達は憐れみのような目をヴィオラに向けた。
健気に苦境に耐えているようにでも見えているのだろうか。
これは由々しき問題である。と、ヴィオラはこっそり唇を噛んだ。
「やぁ、ミス・ヴィオラ、久しぶりだね。」
「まぁ、ごきげんよう…ルミオ様…?」
この政務科の男子生徒とは被る授業が多く、なんとなく顔見知りだった。控えめで穏やかな性格に童顔で女子の人気も高い。
「いきなり話しかけてごめんね。ちょっと聞きたいことがあって…」
「私に?なんでしょう…」
「君、何か悩みがあるんじゃない?」
「悩み?」
「授業中、ずっと上の空で、ぼんやりしているみたいだったし、休みの間に何かあったんじゃないかって、心配だったんだ。」
「そうなのですね。お気遣いありがとうございます。ですが私は…」
「こんな時に君の婚約者は何をしているんだろう。」
「え…?」
「自分の婚約者が苦しんでいるのに、平然としているなんて僕には考えられない!なのに毎日の様に君を自室に呼びつけて、そのくせ休みには街にすら出さないなんて、酷過ぎないかい?」
(そんな風に見えてたの…?)
酷いも何も、王都に入らないのはヴィオラの安全のためであり、つい先月までヴィオラは女神信教に王都追放を受け、学園でも後ろ指を差される存在だった事をこの男は忘れてしまっているのだろうか?
ヴィオラがあの研究室へ通うのも、2人して学園中の嫌われ者だったのだからしかたがない。
せめて隅の部屋で静かに過ごす事も許されないのだろうか。(この辺りは片方が嫌でも目立つので静かとは言い難いが…)
「束縛のきつい婚約者で苦労するね。君も気が休まらないだろう?どうかな、良ければ今度息抜きに舞台でも見に行かない?父が関係者で観覧チケットがあるんだ。」
(あ…これ、私、口説かれてるんだ…)
面と向かって誘いを掛けて来た男子生徒はテレンス以来だ。
「あ…あの、お誘いは嬉しいのですが、課題もありますし、休日には学外で活動もしておりますので…」
「勤勉だね、でもそれじゃ疲れてしまうよ?」
「学生の内にしか出来ないこともありますから…それに、私は毎日を楽しく過ごせておりますわ。友人も多く、とても充実しております。ご心配には及びません。」
「なんて健気なんだ。それに引き換え、あの教員気取りは身勝手過ぎるよ!生徒の立場もある婚約者に気遣いの一つもできないなんて、同じ男として許せないな。」
「講師としての立場もありますし、私達生徒には分からない苦労もあると思います…私共の事はどうかお気になさらないで下さい。」
「そうか…君がそう言うなら…でも、忘れないで!君の味方はたくさん居るからね!本当に嫌な時は逃げておいで!?」
そう言ってルミオは図書室を出て行った。
(味方なんて…ほとんどいなかったクセに。人の評価なんてちょっと目立ったらコロッと変わるのね。そっち方が信用ならないわ!)
ヴィオラが一人腹を立てていると、アリスティアとディアナが横の本棚から顔を出した。
「まさかヴィオラ様をお誘いする生徒がいるなんて…」
「何がどうしたらあの2人が不仲に見えるんでしょうね。人の目は本当に見たい物しか見えない様に出来ているものだ…」
「ですが、ヴィオラ様を悪し様に言う声はだいぶなくなりましたね。これで少しは外を歩きやすくなるのでは?」
「どうでしょう?ほとんど郊外を歩いていたので、王都の中でどんな噂が流れていたとか、分からないんですよ私…」
「婚約者を醜聞から庇うことも婚約者の務めです。人前でアピールするだけが愛情ではありませんもの。」
「そこんとこは完璧ですね…後は、贈り物とか…言うまでもないか…」
「上から下まで一切合切口にする物すら全て整えられて…」
「ちょっと怖くないですかそれ?!」
いつ城へ呼ばれても良いように、デイビッドは定期的にヴィオラにドレスを用意している。(注文が素直に通る事はほとんど無いが、ウイニー・メイの一角にはヴィオラのためのドレスが詰まった専用のクローゼットがあるらしい)
そもそもデイビッドが動かなくとも、商会の各部門から毎月の様にヴィオラの元へ贈られてくる新作の衣類にアクセサリー、靴に鞄に化粧品に日用品…
今やヴィオラが自分で買う物など、ほんの私物と使い魔の材料くらいしか無い。
後は社交だが、他国の王女と王子、更には王太子妃とも関わりを持ち、個人的な夜会にまで呼ばれるヴィオラに、これ以上何を望むと言うのだろうか。
その根っこにいるデイビッドも、国益という意味ではこの上無い存在だ。
(残る問題はヘタレの度が過ぎて人前に婚約者を連れて行かないという事くらいである)
「いつまでウジウジしてるつもりなんでしょうね?そろそろ進展してもらわないとつまらな…いえ、ヴィオラ様も待ちくたびれてしまいますよね?」
「なので、こちらから追い詰めてみようと思ってます。」
「逞しい…」
何はともあれ、ヴィオラを取り巻いていたどす黒い空気が変わって来ていることには違いない。
しかし、この風が良いものか悪いものか、それを決めるのは本人だ。
他人の評価に流されず立ち続けるのは難しい。
一見明るく皆に好かれているように見えても、それが本当に当人のためになるかは別の話だからだ。
(世間の評価だけ耳にすれば、ヴィオラ様は最低の婚約者に嫁がされた薄幸の貴族令嬢…そんなわけないと分かっているのは極一部の人間だけ…デイビッド様にはもう少し世間体というモノの底上げが必要ですね…)
アリスティアはヴィオラ達と分かれ、政務科へ向かいながらそんなことを考えていた。
昼前の授業でディアナとも別れたヴィオラは、魔法学棟の教室で魔術式のテストを受けた。
(すごいスラスラわかる…わかっちゃいけないとこまでわかる…)
一般公開されていない魔法式をうっかり使いそうになり、慌てて消して書き直している側で、試験監督に当たっていたベルダが肩を震わせて笑いを堪えていた。
筆記の次は実技試験。試験官の作る魔力のドームの中に雨を降らせたら合格となる。
席で順番を待っている間、ヴィオラは他の生徒達に話しかけられ、顔に笑みを貼り付けていた。
「ねぇ、ミス・ヴィオラ?貴女、婚約者に仕事を手伝わされてるってホント?」
「えぇ…?」
「休みの間まで呼び付けて仕事に同行させていたって聞いたわよ?大丈夫なの?」
「いえ、仕事をさせられいたわけでは…」
「粗末な服装で簡素な荷馬車にばかり乗せられていたとも聞いたわ!そんなにケチな人なの?」
「あの…えっと…」
「それに、この1年半近くどこの夜会にもお茶会にも出てないそうじゃない!ここまで自由を奪っておいて仕事までさせるなんて、貴族令嬢をなんだと思っているのかしら!」
「そんな人が仮にも教員だなんて、ゾッとするわ!」
(そんな風に見えてるんだなぁ…)
いつどこで誰に見られているかわからない…デイビッドはいつもヴィオラにそう言っていた。
デイビッドがヴィオラを呼ぶのは、学園内で他人の言動に傷つかないよう守ろうとしての事だ。
郊外で馬車を使わないのは、貴族の馬車など返って目立ってしまうから、服は屋外で活動するため地味で動きやすい物を着ていただけで、生地や仕立てはそこらの物とは全く違う。
夜会?お茶会?王都で追放者の烙印を押されたヴィオラには、招待状すら届く事は無かった。そんな事まるで無かったかのように進む話に、ヴィオラは逆に傷ついた。
人の眼は自分の見たい物しか映さない。真実など見る者の数だけあるという事だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、私は毎日とても充実した生活を送っておりますので、どうぞお気遣いなく。」
ルミオにも言った台詞をもう一度吐くと、周りの女生徒達は憐れみのような目をヴィオラに向けた。
健気に苦境に耐えているようにでも見えているのだろうか。
これは由々しき問題である。と、ヴィオラはこっそり唇を噛んだ。
64
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる