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黒豚令息の領地開拓編
風向きの変わる音
3人が話をしながら図書室へ入り各々本を探し始めると、ヴィオラの前に同学年の男子生徒が現れた。
「やぁ、ミス・ヴィオラ、久しぶりだね。」
「まぁ、ごきげんよう…ルミオ様…?」
この政務科の男子生徒とは被る授業が多く、なんとなく顔見知りだった。控えめで穏やかな性格に童顔で女子の人気も高い。
「いきなり話しかけてごめんね。ちょっと聞きたいことがあって…」
「私に?なんでしょう…」
「君、何か悩みがあるんじゃない?」
「悩み?」
「授業中、ずっと上の空で、ぼんやりしているみたいだったし、休みの間に何かあったんじゃないかって、心配だったんだ。」
「そうなのですね。お気遣いありがとうございます。ですが私は…」
「こんな時に君の婚約者は何をしているんだろう。」
「え…?」
「自分の婚約者が苦しんでいるのに、平然としているなんて僕には考えられない!なのに毎日の様に君を自室に呼びつけて、そのくせ休みには街にすら出さないなんて、酷過ぎないかい?」
(そんな風に見えてたの…?)
酷いも何も、王都に入らないのはヴィオラの安全のためであり、つい先月までヴィオラは女神信教に王都追放を受け、学園でも後ろ指を差される存在だった事をこの男は忘れてしまっているのだろうか?
ヴィオラがあの研究室へ通うのも、2人して学園中の嫌われ者だったのだからしかたがない。
せめて隅の部屋で静かに過ごす事も許されないのだろうか。(この辺りは片方が嫌でも目立つので静かとは言い難いが…)
「束縛のきつい婚約者で苦労するね。君も気が休まらないだろう?どうかな、良ければ今度息抜きに舞台でも見に行かない?父が関係者で観覧チケットがあるんだ。」
(あ…これ、私、口説かれてるんだ…)
面と向かって誘いを掛けて来た男子生徒はテレンス以来だ。
「あ…あの、お誘いは嬉しいのですが、課題もありますし、休日には学外で活動もしておりますので…」
「勤勉だね、でもそれじゃ疲れてしまうよ?」
「学生の内にしか出来ないこともありますから…それに、私は毎日を楽しく過ごせておりますわ。友人も多く、とても充実しております。ご心配には及びません。」
「なんて健気なんだ。それに引き換え、あの教員気取りは身勝手過ぎるよ!生徒の立場もある婚約者に気遣いの一つもできないなんて、同じ男として許せないな。」
「講師としての立場もありますし、私達生徒には分からない苦労もあると思います…私共の事はどうかお気になさらないで下さい。」
「そうか…君がそう言うなら…でも、忘れないで!君の味方はたくさん居るからね!本当に嫌な時は逃げておいで!?」
そう言ってルミオは図書室を出て行った。
(味方なんて…ほとんどいなかったクセに。人の評価なんてちょっと目立ったらコロッと変わるのね。そっち方が信用ならないわ!)
ヴィオラが一人腹を立てていると、アリスティアとディアナが横の本棚から顔を出した。
「まさかヴィオラ様をお誘いする生徒がいるなんて…」
「何がどうしたらあの2人が不仲に見えるんでしょうね。人の目は本当に見たい物しか見えない様に出来ているものだ…」
「ですが、ヴィオラ様を悪し様に言う声はだいぶなくなりましたね。これで少しは外を歩きやすくなるのでは?」
「どうでしょう?ほとんど郊外を歩いていたので、王都の中でどんな噂が流れていたとか、分からないんですよ私…」
「婚約者を醜聞から庇うことも婚約者の務めです。人前でアピールするだけが愛情ではありませんもの。」
「そこんとこは完璧ですね…後は、贈り物とか…言うまでもないか…」
「上から下まで一切合切口にする物すら全て整えられて…」
「ちょっと怖くないですかそれ?!」
いつ城へ呼ばれても良いように、デイビッドは定期的にヴィオラにドレスを用意している。(注文が素直に通る事はほとんど無いが、ウイニー・メイの一角にはヴィオラのためのドレスが詰まった専用のクローゼットがあるらしい)
そもそもデイビッドが動かなくとも、商会の各部門から毎月の様にヴィオラの元へ贈られてくる新作の衣類にアクセサリー、靴に鞄に化粧品に日用品…
今やヴィオラが自分で買う物など、ほんの私物と使い魔の材料くらいしか無い。
後は社交だが、他国の王女と王子、更には王太子妃とも関わりを持ち、個人的な夜会にまで呼ばれるヴィオラに、これ以上何を望むと言うのだろうか。
その根っこにいるデイビッドも、国益という意味ではこの上無い存在だ。
(残る問題はヘタレの度が過ぎて人前に婚約者を連れて行かないという事くらいである)
「いつまでウジウジしてるつもりなんでしょうね?そろそろ進展してもらわないとつまらな…いえ、ヴィオラ様も待ちくたびれてしまいますよね?」
「なので、こちらから追い詰めてみようと思ってます。」
「逞しい…」
何はともあれ、ヴィオラを取り巻いていたどす黒い空気が変わって来ていることには違いない。
しかし、この風が良いものか悪いものか、それを決めるのは本人だ。
他人の評価に流されず立ち続けるのは難しい。
一見明るく皆に好かれているように見えても、それが本当に当人のためになるかは別の話だからだ。
(世間の評価だけ耳にすれば、ヴィオラ様は最低の婚約者に嫁がされた薄幸の貴族令嬢…そんなわけないと分かっているのは極一部の人間だけ…デイビッド様にはもう少し世間体というモノの底上げが必要ですね…)
アリスティアはヴィオラ達と分かれ、政務科へ向かいながらそんなことを考えていた。
昼前の授業でディアナとも別れたヴィオラは、魔法学棟の教室で魔術式のテストを受けた。
(すごいスラスラわかる…わかっちゃいけないとこまでわかる…)
一般公開されていない魔法式をうっかり使いそうになり、慌てて消して書き直している側で、試験監督に当たっていたベルダが肩を震わせて笑いを堪えていた。
筆記の次は実技試験。試験官の作る魔力のドームの中に雨を降らせたら合格となる。
席で順番を待っている間、ヴィオラは他の生徒達に話しかけられ、顔に笑みを貼り付けていた。
「ねぇ、ミス・ヴィオラ?貴女、婚約者に仕事を手伝わされてるってホント?」
「えぇ…?」
「休みの間まで呼び付けて仕事に同行させていたって聞いたわよ?大丈夫なの?」
「いえ、仕事をさせられいたわけでは…」
「粗末な服装で簡素な荷馬車にばかり乗せられていたとも聞いたわ!そんなにケチな人なの?」
「あの…えっと…」
「それに、この1年半近くどこの夜会にもお茶会にも出てないそうじゃない!ここまで自由を奪っておいて仕事までさせるなんて、貴族令嬢をなんだと思っているのかしら!」
「そんな人が仮にも教員だなんて、ゾッとするわ!」
(そんな風に見えてるんだなぁ…)
いつどこで誰に見られているかわからない…デイビッドはいつもヴィオラにそう言っていた。
デイビッドがヴィオラを呼ぶのは、学園内で他人の言動に傷つかないよう守ろうとしての事だ。
郊外で馬車を使わないのは、貴族の馬車など返って目立ってしまうから、服は屋外で活動するため地味で動きやすい物を着ていただけで、生地や仕立てはそこらの物とは全く違う。
夜会?お茶会?王都で追放者の烙印を押されたヴィオラには、招待状すら届く事は無かった。そんな事まるで無かったかのように進む話に、ヴィオラは逆に傷ついた。
人の眼は自分の見たい物しか映さない。真実など見る者の数だけあるという事だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、私は毎日とても充実した生活を送っておりますので、どうぞお気遣いなく。」
ルミオにも言った台詞をもう一度吐くと、周りの女生徒達は憐れみのような目をヴィオラに向けた。
健気に苦境に耐えているようにでも見えているのだろうか。
これは由々しき問題である。と、ヴィオラはこっそり唇を噛んだ。
「やぁ、ミス・ヴィオラ、久しぶりだね。」
「まぁ、ごきげんよう…ルミオ様…?」
この政務科の男子生徒とは被る授業が多く、なんとなく顔見知りだった。控えめで穏やかな性格に童顔で女子の人気も高い。
「いきなり話しかけてごめんね。ちょっと聞きたいことがあって…」
「私に?なんでしょう…」
「君、何か悩みがあるんじゃない?」
「悩み?」
「授業中、ずっと上の空で、ぼんやりしているみたいだったし、休みの間に何かあったんじゃないかって、心配だったんだ。」
「そうなのですね。お気遣いありがとうございます。ですが私は…」
「こんな時に君の婚約者は何をしているんだろう。」
「え…?」
「自分の婚約者が苦しんでいるのに、平然としているなんて僕には考えられない!なのに毎日の様に君を自室に呼びつけて、そのくせ休みには街にすら出さないなんて、酷過ぎないかい?」
(そんな風に見えてたの…?)
酷いも何も、王都に入らないのはヴィオラの安全のためであり、つい先月までヴィオラは女神信教に王都追放を受け、学園でも後ろ指を差される存在だった事をこの男は忘れてしまっているのだろうか?
ヴィオラがあの研究室へ通うのも、2人して学園中の嫌われ者だったのだからしかたがない。
せめて隅の部屋で静かに過ごす事も許されないのだろうか。(この辺りは片方が嫌でも目立つので静かとは言い難いが…)
「束縛のきつい婚約者で苦労するね。君も気が休まらないだろう?どうかな、良ければ今度息抜きに舞台でも見に行かない?父が関係者で観覧チケットがあるんだ。」
(あ…これ、私、口説かれてるんだ…)
面と向かって誘いを掛けて来た男子生徒はテレンス以来だ。
「あ…あの、お誘いは嬉しいのですが、課題もありますし、休日には学外で活動もしておりますので…」
「勤勉だね、でもそれじゃ疲れてしまうよ?」
「学生の内にしか出来ないこともありますから…それに、私は毎日を楽しく過ごせておりますわ。友人も多く、とても充実しております。ご心配には及びません。」
「なんて健気なんだ。それに引き換え、あの教員気取りは身勝手過ぎるよ!生徒の立場もある婚約者に気遣いの一つもできないなんて、同じ男として許せないな。」
「講師としての立場もありますし、私達生徒には分からない苦労もあると思います…私共の事はどうかお気になさらないで下さい。」
「そうか…君がそう言うなら…でも、忘れないで!君の味方はたくさん居るからね!本当に嫌な時は逃げておいで!?」
そう言ってルミオは図書室を出て行った。
(味方なんて…ほとんどいなかったクセに。人の評価なんてちょっと目立ったらコロッと変わるのね。そっち方が信用ならないわ!)
ヴィオラが一人腹を立てていると、アリスティアとディアナが横の本棚から顔を出した。
「まさかヴィオラ様をお誘いする生徒がいるなんて…」
「何がどうしたらあの2人が不仲に見えるんでしょうね。人の目は本当に見たい物しか見えない様に出来ているものだ…」
「ですが、ヴィオラ様を悪し様に言う声はだいぶなくなりましたね。これで少しは外を歩きやすくなるのでは?」
「どうでしょう?ほとんど郊外を歩いていたので、王都の中でどんな噂が流れていたとか、分からないんですよ私…」
「婚約者を醜聞から庇うことも婚約者の務めです。人前でアピールするだけが愛情ではありませんもの。」
「そこんとこは完璧ですね…後は、贈り物とか…言うまでもないか…」
「上から下まで一切合切口にする物すら全て整えられて…」
「ちょっと怖くないですかそれ?!」
いつ城へ呼ばれても良いように、デイビッドは定期的にヴィオラにドレスを用意している。(注文が素直に通る事はほとんど無いが、ウイニー・メイの一角にはヴィオラのためのドレスが詰まった専用のクローゼットがあるらしい)
そもそもデイビッドが動かなくとも、商会の各部門から毎月の様にヴィオラの元へ贈られてくる新作の衣類にアクセサリー、靴に鞄に化粧品に日用品…
今やヴィオラが自分で買う物など、ほんの私物と使い魔の材料くらいしか無い。
後は社交だが、他国の王女と王子、更には王太子妃とも関わりを持ち、個人的な夜会にまで呼ばれるヴィオラに、これ以上何を望むと言うのだろうか。
その根っこにいるデイビッドも、国益という意味ではこの上無い存在だ。
(残る問題はヘタレの度が過ぎて人前に婚約者を連れて行かないという事くらいである)
「いつまでウジウジしてるつもりなんでしょうね?そろそろ進展してもらわないとつまらな…いえ、ヴィオラ様も待ちくたびれてしまいますよね?」
「なので、こちらから追い詰めてみようと思ってます。」
「逞しい…」
何はともあれ、ヴィオラを取り巻いていたどす黒い空気が変わって来ていることには違いない。
しかし、この風が良いものか悪いものか、それを決めるのは本人だ。
他人の評価に流されず立ち続けるのは難しい。
一見明るく皆に好かれているように見えても、それが本当に当人のためになるかは別の話だからだ。
(世間の評価だけ耳にすれば、ヴィオラ様は最低の婚約者に嫁がされた薄幸の貴族令嬢…そんなわけないと分かっているのは極一部の人間だけ…デイビッド様にはもう少し世間体というモノの底上げが必要ですね…)
アリスティアはヴィオラ達と分かれ、政務科へ向かいながらそんなことを考えていた。
昼前の授業でディアナとも別れたヴィオラは、魔法学棟の教室で魔術式のテストを受けた。
(すごいスラスラわかる…わかっちゃいけないとこまでわかる…)
一般公開されていない魔法式をうっかり使いそうになり、慌てて消して書き直している側で、試験監督に当たっていたベルダが肩を震わせて笑いを堪えていた。
筆記の次は実技試験。試験官の作る魔力のドームの中に雨を降らせたら合格となる。
席で順番を待っている間、ヴィオラは他の生徒達に話しかけられ、顔に笑みを貼り付けていた。
「ねぇ、ミス・ヴィオラ?貴女、婚約者に仕事を手伝わされてるってホント?」
「えぇ…?」
「休みの間まで呼び付けて仕事に同行させていたって聞いたわよ?大丈夫なの?」
「いえ、仕事をさせられいたわけでは…」
「粗末な服装で簡素な荷馬車にばかり乗せられていたとも聞いたわ!そんなにケチな人なの?」
「あの…えっと…」
「それに、この1年半近くどこの夜会にもお茶会にも出てないそうじゃない!ここまで自由を奪っておいて仕事までさせるなんて、貴族令嬢をなんだと思っているのかしら!」
「そんな人が仮にも教員だなんて、ゾッとするわ!」
(そんな風に見えてるんだなぁ…)
いつどこで誰に見られているかわからない…デイビッドはいつもヴィオラにそう言っていた。
デイビッドがヴィオラを呼ぶのは、学園内で他人の言動に傷つかないよう守ろうとしての事だ。
郊外で馬車を使わないのは、貴族の馬車など返って目立ってしまうから、服は屋外で活動するため地味で動きやすい物を着ていただけで、生地や仕立てはそこらの物とは全く違う。
夜会?お茶会?王都で追放者の烙印を押されたヴィオラには、招待状すら届く事は無かった。そんな事まるで無かったかのように進む話に、ヴィオラは逆に傷ついた。
人の眼は自分の見たい物しか映さない。真実など見る者の数だけあるという事だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが、私は毎日とても充実した生活を送っておりますので、どうぞお気遣いなく。」
ルミオにも言った台詞をもう一度吐くと、周りの女生徒達は憐れみのような目をヴィオラに向けた。
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カクヨムで公開したものに手を入れたものです。