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黒豚令息の領地開拓編
ライラと一緒
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あまり鏡の方を見ないようにしながら、デイビッドが妖魔に命令を下す。
「先方に日中の委託の許可を取るから、そしたら俺の代わりにお前が責任持って送り迎えしろよ?」
「あの…義妹って、そこに寝てる赤ん坊の事…?」
「ああ。」
「え…と…それだけ?」
「今のとこそんだけだな。」
「魔法学棟で培った100年分の知識とか、学園どころか王都中の情報収集とか、嫌いな奴の弱みを握って来いとか…」
「興味無い。」
「嘘だろ!?」
「で?契約だろ、何をどうしたらいいんだ?」
「名前だよ。」
「名前…またか。」
「俺に名前を付けてくれ、それで成立する。アンタに名前を呼ばれる度に、俺の存在はこの世でどんどん大きく、強くなる!妖精に取っちゃそれだけ意味のある事なんだ!」
(名前…名前かぁ…)
デイビッドはしばらく腕組みをして考え込むと、適当な紙にサラッとペンを走らせた。
「トムティット。それが今日からお前の名前だ。」
「待って、それ、なんかやらかした系の寓話に出てくる悪魔の名前じゃん?」
「丁度いいだろ?音の響きとか、呼びやすさもある。」
「トムティット、トムティット…まぁ悪くは無いか…」
「で?次はどうするんだ?」
「あとは…姿だけど、俺は元々人の目には映らない。鏡の中で人の姿を借りて動いてんだよ。だから、なんか形が欲しい。駄目ならこのままアンタの姿を借りても…わかった、そんな顔しないでくれよ…何でもいいよ、動物でも人形でも、絵だって構わないぜ?」
「鏡から出て来た途端トンズラとかねぇよな?」
「名前で縛られてる内は悪さはしねぇって!契約者の命令には逆らえない…それが妖魔ってモンなんだよ!」
「へぇ…なら大丈夫か。それじゃ…コレなんかどうだ?」
デイビッドが開いて見せたのは、ギディオン直筆の古い魔法薬のレシピに描かれた挿絵だった。
そこには緑のトンガリ帽子の小生意気そうな青年が笑っていた。
「ふ~ん、ずいぶんとらしい姿じゃねぇの!気に入った!契約成立!!これで俺様はここから出られる!!」
そう言うと鏡の妖魔“トムティット”は挿絵の姿に変わると、ぴょんと鏡から飛び出し踊り出した。
「ハハハハハハ!!本物だ!何もかも全部全部!出られた!やっと出て来られた!100年振りの鏡の外だぁー!!!」
「へぇ~これが鏡の悪魔の正体ですか?」
「気配はずっとしてたけど、初めて見たわ。アンタ良くこんなのと契約したわね。」
「生徒の間じゃタブーのひとつでしたものねぇ。」
「鏡に声を掛けられても返事はしない事…って、魔法学棟では有名だものね。」
後ろから現れたエリックとシェルリアーナに見下ろされ、トムティットの動きが止まる。
「あの…えと…」
「おイタが過ぎたら、どんなお仕置きをしましょうかね?」
「豚の丸焼きの予行練習なんて丁度いいんじゃない?」
「こわぁぁー!?」
「トムティット、呼びやすくて良いですね。」
「普通じゃ考えられないわよ?活動範囲の限られてる妖魔を外に出してやるなんて。」
「だいたい言うことを聞いたら出してやるって言って、そのままこき使った後に難癖つけてポイ、がセオリーですからねぇ?」
「ちょ!なんでそんな余計な事…いや!あの!別に騙したとかそう言うワケじゃ…」
「今なら契約者の権限で鏡に戻す事も出来るわよ?どうする?」
「待って待って待って!ねぇ、頼むから!そんな酷い事言わないで、お願いだからさぁ!」
「しねぇよべつに。一度は納得して結んだ契約だ。反故にはしない。」
「相変わらず甘いのねぇ。」
「流石ベルダ先生の奴隷誓約にサインしただけありますね。」
「誰が奴隷だ!ただの教員補佐の承諾書だろ!?」
(※トラウマ)
ヘビに睨まれたカエルの様に縮こまっていたトムティットは、デイビッドの一言に縋るように近づいて来る。
「ね、ね、ね、今のホント?本当にもう鏡に戻したりしない?」
「うっとうしいな…しねぇよ!その代わりちゃんと働けよ?!」
「わかってる!絶対役に立つからよ!迷惑も掛けない!約束する!」
「妖魔の口から出る約束なんて言葉、普通は信じませんよ?」
「信じた訳じゃねぇよ。」
そう言いながらデイビッドはまた書き物に集中してしまった。
トムティットは鏡の外に出られた事が嬉しくて嬉しくて、そこいら中を駆け回っていたが、やがて自分より一回り小さな妖精に声を掛けられた。
「君 新顔だね」
「あ?!」
「よろしく 僕はルーチェ この部屋に住んでる妖精さ」
「だからなんだよ?先輩面でもしようってのか?」
「ううん?ただ忠告しに来ただけだよ あんまり調子に乗ってると僕が許さないよって」
「わーってるよ!掟は守る。こう見えて律儀なもんでね。受けた恩くらいは忘れねぇよ!」
「そう…なら良かった もし忘れてそうなら 合わせ鏡の中に永遠に閉じ込めちゃうからね?」
「かわいい顔しておっかねぇ奴ばっかりか!?」
昼前に乳児院へ向かったデイビッドは、その日の内にライラの託児の話を院長へ通してしまった。
「あらあらまぁまぁ、そんな事が!大変でしたわねぇ。」
「はい、それで…申し訳ないのですがライラを昼の間だけお預けしたいのですが…」
「もちろん構いませんとも。」
「ありがとうございます院長先生!」
こうしてライラは乳児院と学園を行き来する生活を送ることになった。
「コイツガ シンガオ?」
「ルーチェサマガ ワルサシタラ オシエナサイッテ イッテタ」
「ライラニ ヒドイコトシタラ ユルサナイ」
「ボクタチ ミハッテルカラナ」
「こっちにもなんかツイてんのかよ!!」
ライラの守護妖精達も現れて、新たな使い魔に釘を差していく。
(クソッ!誓約はユルいクセに周りのガードガッチガチでなんもできねぇ!!ヤバい!契約は軽率だったか!?)
こうしてデイビッドもめでたく異形の契約者の一人となった。
(いや!これもう絶対契約相手間違っただろ!?)
夕方、足取りも重く戻って来たヴィオラは、ライラの顔を見て目を輝かせた。
「ライラちゃん!?乳児院に戻ったんじゃなかったの?!」
「あーう!」
「明日から昼間の内だけ乳児院に預けることになった。それなら学業とも両立できる。俺も仕事に専念できるし、この時間には戻って来るから顔も見られて安心だろ?」
「はいっ!ありがとうございますデイビッド様!!」
「その代わり成績は落とすなよ?」
「わかってますっ!!ライラちゃん!これからはずーっと一緒ね!良かった…良かったよぉぉ…」
「あだぁー!!」
ニコニコするライラを、涙を浮かべたヴィオラが抱きしめると、小さな手がぽんぽんと頭を撫でた。
「あー!あー!」
「ありがとうライラちゃん。いい子いい子してくれるの?」
「ネェネ…」
「え?!」
「ネェネ!」
「ライラちゃんがネェネって…私のこと!?お姉ちゃんって呼んでくれたの?!」
「ネェネー!!」
「嬉しい~~~!!じゃぁデイビッド様のことはなんて呼ぶかしら!」
「まま!」
「ブフッ!!」
横耳で聞いていたエリックが吹き出し、うずくまって震え出す。
「ちょ……アハハハ!ダメだ!我慢出来ない!」
「ライラちゃん!?ほらこの人よ?!この、男の人は、だぁれ?」
「まま!!」
「私は?!」
「ネェネ~!」
「なんで!?」
「こっちが聞きてぇよ!?」
「あーーーおっかし~~~!!ママだって!!」
「まぁ、一番ママらしい事してるのは事実かしらね…フフフッ…!」
「いや、おかしいだろ!そもそも母親って概念がねぇんだぞ?一体誰が…」
乳児院も養護院も親のいない子供しかおらず、基本的に母親を慕うという習慣が無い。
それなら誰がライラに“まま”と言う言葉を覚えさせたのだろうか?
「チガッタ?」
「“まま”ジャナインダッテ」
「コドモノ イルヒトガ “まま”ジャナイノ?」
「アノオナカ モウヒトリクライ ハイッテソウナノニ?」
「お前等かぁ!余計な事すんな!」
「アハハハハハ!ヒーーッ!もう勘弁してぇ!お腹痛いぃ!」
どうやら親や家族といった概念の無い妖精達が、中途半端な知識でライラに言葉を教えようとしたらしい。
思い切り間違っている上に、変な勘違いまでしていて、エリックは笑いが止まらず睨みつけられている。
この日からしばらくデイビッドの呼び名は“おいしい”から“まま”に変わってしまった。
「先方に日中の委託の許可を取るから、そしたら俺の代わりにお前が責任持って送り迎えしろよ?」
「あの…義妹って、そこに寝てる赤ん坊の事…?」
「ああ。」
「え…と…それだけ?」
「今のとこそんだけだな。」
「魔法学棟で培った100年分の知識とか、学園どころか王都中の情報収集とか、嫌いな奴の弱みを握って来いとか…」
「興味無い。」
「嘘だろ!?」
「で?契約だろ、何をどうしたらいいんだ?」
「名前だよ。」
「名前…またか。」
「俺に名前を付けてくれ、それで成立する。アンタに名前を呼ばれる度に、俺の存在はこの世でどんどん大きく、強くなる!妖精に取っちゃそれだけ意味のある事なんだ!」
(名前…名前かぁ…)
デイビッドはしばらく腕組みをして考え込むと、適当な紙にサラッとペンを走らせた。
「トムティット。それが今日からお前の名前だ。」
「待って、それ、なんかやらかした系の寓話に出てくる悪魔の名前じゃん?」
「丁度いいだろ?音の響きとか、呼びやすさもある。」
「トムティット、トムティット…まぁ悪くは無いか…」
「で?次はどうするんだ?」
「あとは…姿だけど、俺は元々人の目には映らない。鏡の中で人の姿を借りて動いてんだよ。だから、なんか形が欲しい。駄目ならこのままアンタの姿を借りても…わかった、そんな顔しないでくれよ…何でもいいよ、動物でも人形でも、絵だって構わないぜ?」
「鏡から出て来た途端トンズラとかねぇよな?」
「名前で縛られてる内は悪さはしねぇって!契約者の命令には逆らえない…それが妖魔ってモンなんだよ!」
「へぇ…なら大丈夫か。それじゃ…コレなんかどうだ?」
デイビッドが開いて見せたのは、ギディオン直筆の古い魔法薬のレシピに描かれた挿絵だった。
そこには緑のトンガリ帽子の小生意気そうな青年が笑っていた。
「ふ~ん、ずいぶんとらしい姿じゃねぇの!気に入った!契約成立!!これで俺様はここから出られる!!」
そう言うと鏡の妖魔“トムティット”は挿絵の姿に変わると、ぴょんと鏡から飛び出し踊り出した。
「ハハハハハハ!!本物だ!何もかも全部全部!出られた!やっと出て来られた!100年振りの鏡の外だぁー!!!」
「へぇ~これが鏡の悪魔の正体ですか?」
「気配はずっとしてたけど、初めて見たわ。アンタ良くこんなのと契約したわね。」
「生徒の間じゃタブーのひとつでしたものねぇ。」
「鏡に声を掛けられても返事はしない事…って、魔法学棟では有名だものね。」
後ろから現れたエリックとシェルリアーナに見下ろされ、トムティットの動きが止まる。
「あの…えと…」
「おイタが過ぎたら、どんなお仕置きをしましょうかね?」
「豚の丸焼きの予行練習なんて丁度いいんじゃない?」
「こわぁぁー!?」
「トムティット、呼びやすくて良いですね。」
「普通じゃ考えられないわよ?活動範囲の限られてる妖魔を外に出してやるなんて。」
「だいたい言うことを聞いたら出してやるって言って、そのままこき使った後に難癖つけてポイ、がセオリーですからねぇ?」
「ちょ!なんでそんな余計な事…いや!あの!別に騙したとかそう言うワケじゃ…」
「今なら契約者の権限で鏡に戻す事も出来るわよ?どうする?」
「待って待って待って!ねぇ、頼むから!そんな酷い事言わないで、お願いだからさぁ!」
「しねぇよべつに。一度は納得して結んだ契約だ。反故にはしない。」
「相変わらず甘いのねぇ。」
「流石ベルダ先生の奴隷誓約にサインしただけありますね。」
「誰が奴隷だ!ただの教員補佐の承諾書だろ!?」
(※トラウマ)
ヘビに睨まれたカエルの様に縮こまっていたトムティットは、デイビッドの一言に縋るように近づいて来る。
「ね、ね、ね、今のホント?本当にもう鏡に戻したりしない?」
「うっとうしいな…しねぇよ!その代わりちゃんと働けよ?!」
「わかってる!絶対役に立つからよ!迷惑も掛けない!約束する!」
「妖魔の口から出る約束なんて言葉、普通は信じませんよ?」
「信じた訳じゃねぇよ。」
そう言いながらデイビッドはまた書き物に集中してしまった。
トムティットは鏡の外に出られた事が嬉しくて嬉しくて、そこいら中を駆け回っていたが、やがて自分より一回り小さな妖精に声を掛けられた。
「君 新顔だね」
「あ?!」
「よろしく 僕はルーチェ この部屋に住んでる妖精さ」
「だからなんだよ?先輩面でもしようってのか?」
「ううん?ただ忠告しに来ただけだよ あんまり調子に乗ってると僕が許さないよって」
「わーってるよ!掟は守る。こう見えて律儀なもんでね。受けた恩くらいは忘れねぇよ!」
「そう…なら良かった もし忘れてそうなら 合わせ鏡の中に永遠に閉じ込めちゃうからね?」
「かわいい顔しておっかねぇ奴ばっかりか!?」
昼前に乳児院へ向かったデイビッドは、その日の内にライラの託児の話を院長へ通してしまった。
「あらあらまぁまぁ、そんな事が!大変でしたわねぇ。」
「はい、それで…申し訳ないのですがライラを昼の間だけお預けしたいのですが…」
「もちろん構いませんとも。」
「ありがとうございます院長先生!」
こうしてライラは乳児院と学園を行き来する生活を送ることになった。
「コイツガ シンガオ?」
「ルーチェサマガ ワルサシタラ オシエナサイッテ イッテタ」
「ライラニ ヒドイコトシタラ ユルサナイ」
「ボクタチ ミハッテルカラナ」
「こっちにもなんかツイてんのかよ!!」
ライラの守護妖精達も現れて、新たな使い魔に釘を差していく。
(クソッ!誓約はユルいクセに周りのガードガッチガチでなんもできねぇ!!ヤバい!契約は軽率だったか!?)
こうしてデイビッドもめでたく異形の契約者の一人となった。
(いや!これもう絶対契約相手間違っただろ!?)
夕方、足取りも重く戻って来たヴィオラは、ライラの顔を見て目を輝かせた。
「ライラちゃん!?乳児院に戻ったんじゃなかったの?!」
「あーう!」
「明日から昼間の内だけ乳児院に預けることになった。それなら学業とも両立できる。俺も仕事に専念できるし、この時間には戻って来るから顔も見られて安心だろ?」
「はいっ!ありがとうございますデイビッド様!!」
「その代わり成績は落とすなよ?」
「わかってますっ!!ライラちゃん!これからはずーっと一緒ね!良かった…良かったよぉぉ…」
「あだぁー!!」
ニコニコするライラを、涙を浮かべたヴィオラが抱きしめると、小さな手がぽんぽんと頭を撫でた。
「あー!あー!」
「ありがとうライラちゃん。いい子いい子してくれるの?」
「ネェネ…」
「え?!」
「ネェネ!」
「ライラちゃんがネェネって…私のこと!?お姉ちゃんって呼んでくれたの?!」
「ネェネー!!」
「嬉しい~~~!!じゃぁデイビッド様のことはなんて呼ぶかしら!」
「まま!」
「ブフッ!!」
横耳で聞いていたエリックが吹き出し、うずくまって震え出す。
「ちょ……アハハハ!ダメだ!我慢出来ない!」
「ライラちゃん!?ほらこの人よ?!この、男の人は、だぁれ?」
「まま!!」
「私は?!」
「ネェネ~!」
「なんで!?」
「こっちが聞きてぇよ!?」
「あーーーおっかし~~~!!ママだって!!」
「まぁ、一番ママらしい事してるのは事実かしらね…フフフッ…!」
「いや、おかしいだろ!そもそも母親って概念がねぇんだぞ?一体誰が…」
乳児院も養護院も親のいない子供しかおらず、基本的に母親を慕うという習慣が無い。
それなら誰がライラに“まま”と言う言葉を覚えさせたのだろうか?
「チガッタ?」
「“まま”ジャナインダッテ」
「コドモノ イルヒトガ “まま”ジャナイノ?」
「アノオナカ モウヒトリクライ ハイッテソウナノニ?」
「お前等かぁ!余計な事すんな!」
「アハハハハハ!ヒーーッ!もう勘弁してぇ!お腹痛いぃ!」
どうやら親や家族といった概念の無い妖精達が、中途半端な知識でライラに言葉を教えようとしたらしい。
思い切り間違っている上に、変な勘違いまでしていて、エリックは笑いが止まらず睨みつけられている。
この日からしばらくデイビッドの呼び名は“おいしい”から“まま”に変わってしまった。
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