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黒豚特別非常勤講師
学園生活開始
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次の日、デイビッドはついに教員として働くことになった。
といってもこの日は他の授業の見学と、生徒達との顔合わせだけ。
そのため全校生徒の前で挨拶をする事になってしまい、しかたなく一張羅を着込んで、教員室で他の教師達と一緒に席に着いた。
「おはようございます、皆さん!」
きつい視線がデイビッドに集まってくる。
「本日より、こちらのデュロック令息が、特別講師として入ります。」
学園の学科は、主に5つ。
騎士科、淑女科、政務科、商業科、そして領地経営科。
魔力を持っている者は、一般教養とそれぞれの学科の授業に加え、魔力の使い方を学ぶ。
騎士科と淑女科は男女別だが、他の学科は共学だ。
貴族子女だけでなく、裕福な商家や、奨学制度を受けて入学してくる平民も多くいる。
教師は常に足りない程だ。
「領地経営学のパウロ先生が、今週から王立の研究室を兼任されるため、空いた授業の枠を担当して頂きます。基本的に他学科には関わりが無いので、ここでご紹介しておきます。皆様も生徒と間違えないよう、ご注意下さいませ。」
(あからさまだなぁ…おい…)
見るからに王都貴族を教える教師、という出で立ちの女性教師から雑な紹介を受けたデイビッドは、教師陣に向かって頭を下げた。
「デイビッド・デュロックです。父に代わり教壇に上がらせて頂くことになりました。よろしくお願い致します…」
「では皆様、生徒が講堂で待っておりますので、速やかに移動して下さい。」
パラパラとまばらな拍手さえ、この女教師は気に入らないらしい。
他にも、淑女科と政務科のバッジを付けた教師からは、しっかり睨みつけられた。
講堂には既に生徒達が並んでいて、学園長の話を聞いていた。
「~と言う訳で、本日より加わった新しい職員方を紹介しよう!まずは保険医のシモンズ先生。王城で新薬の開発と研究をされており、縁あってこの学園にお越し頂いた。」
「シモンズです。皆様の心身の健康を守るため尽力致します。」
(シモンズ先生?!なんで??)
アーネストの主治医だったはずのシモンズ女医が、壇上で挨拶をしている。
驚いていると、今度はエリックが現れた。
「続いてエリック・ラルスル先生。彼はこの学園を飛び級で卒業された大変優秀な生徒でした。この度ダンスと音楽の臨時講師として来て下さいました。」
「エリックです!皆さんと素敵な時間が過ごせることを、心より楽しみにしています。」
(エリックぅぅーー???)
爽やかな笑みを浮かべ、いつもより洒落た服装の侍従の登場に、デイビッドは開いた口が塞がらなかった。
(アイツ…そういやぁいないと思ったら…)
持ち前の甘い顔立ちに、女生徒達がざわめきが聞こえる。
「エリック先生は普段は領地経営科の補佐も務められるので、話がある時は東側の研究棟を訪ねるように。」
その一言で、ざわめきが気を落としたものに変わる。
(そんなにイヤか…)
王都の人間にとって、あの緑の空間は、相当嫌なものらしい。
「そして最後に、領地経営科の特別講師、デイビッド・デュロック先生!」
デイビッドがゆっくり壇上へ上がると、あきらかに生徒達が動揺していた。
「彼は18歳という若さで、豊富な留学経験に実践と実績を積まれ、陛下と王太子殿下の勧めより、この学園の講師として参られた。この貴重な機会を無駄にすること無く、多くの学びを彼から受け取って欲しい!」
学園長の演説も虚しく、拍手も歓声もない静まり返った、なんともいたたまれない空間に、今デイビッドは立たされている。
「あー…皆さんこんにちは……えーー…ご存知の方も多いでしょうが、先日の夜会で大暴れした黒豚こと、デイビッド・デュロックです…」
(久々だなぁこの感じ…)
醜い物を馬鹿にし、嫌悪し、蔑すむ目。
(……ちょっと、カマしとくか?!)
「えー…俺がここへ来たのは、王命に近い研究の完成を後押された上での事だ。その邪魔さえしなけりゃ大人しく研究室にこもっているつもりでいる。用があるなら気軽に来てくれて構わない。ただし、仕事の邪魔をするヤツは生徒でも容赦しないから、心しておくように!授業は受けたいヤツだけ来ればいい。黒豚から教わることなど何も無いと言う奴には、こちらからも関わる気は無い。以上だ。」
やや喧嘩腰のスピーチに、生徒も教員も唖然としていたが、そんなこと気にもせず、デイビッドは壇上から降りた。
そして降りて直ぐ、シモンズ女医から無言で蹴りをもらい、説教モードのエリックに捕まった。
「何やってんですか?!いきなり喧嘩売ってどうするんですか!?あんなでっかい態度で!しかも生徒相手に関わる気は無いとか言っちゃって!あいつ等どうせすぐ親に言いつけますよ?自分の立場考えましょうよ!こんなんじゃあっという間にクビですよ?!」
「言ったろ?王命に近いって。王弟閣下と王太子の推薦状付き講師だぞ俺は。それに嘘は言ってない。来たい奴だけ来ればいい。教わる姿勢の無い奴に、指南してやる程お人好しじゃ無いだけだよ。」
「こっちは初っ端から胃薬が必要になりそうですけどね!?」
コソコソ話していると、学園長が話し終わり、皆が講堂から引き上げ始めた。
そこへさっきの女性教師が近づいて来た。
「エリック先生とシモンズ先生はこちらへ、生徒会へ案内します。」
「俺は?」
「…デュロック氏は研究に忙しい様ですので、ここまでで結構です。これ以上生徒を刺激されてはこちらも困りますので!」
ピシャリと言い放つと、エリックだけ連れてスタスタ行ってしまう。
(…とりあえず学園長には謝っとくか…)
教員室の隣の学園長室に向かい、声を掛けようとすると、中からは既に人の声がした。
「…ですから、あのような人物を…」
「我々からもお願いしたい…」
「なんなら本人に…デュロックの…」
どうやらデイビッドの事で何か揉めているらしい。
(ちょっとやり過ぎたか?流石に初日でクビはマズイんだが…)
ちゃんと謝っとくか、と思い、デイビッドはドアをノックした。
「失礼致します。デイビッド・デュロックです。お話中申し訳…」
「丁度いいところへ。今、貴方のことについて話しておりました。」
学園長に促され、中に入ると教師達が群がってきた。
「デイビッド殿!商業科の講義を担当するつもりはないかね?!」
「へ?あの、俺は領地経営の話をしろと言う事で…」
「あれだけ手広い商売を手掛けるデュロックの、それも最先端の話が聞ける機会など滅多にありません!特にデイビッド殿の諸外国における評価と信頼は非常に厚い!是非とも商業科の講義を受け持ってもらいたい!!」
「落ち着きなさいサイモン先生。デイビッド先生、こちらは商業科の学科長サイモン先生だ。聞いての通り、君の講義を希望しているそうだが、どうか受けてもらえないかね?」
「えーと…俺でよければ…少しなら…」
「ありがとう!早速、週末の最終枠をデイビッド殿の授業としよう!!よろしいですね学園長!?」
「承認しよう。デイビッド先生、いきなりですまないが、そういう事になったのでよろしく頼みたい。」
「い、いえ!こちらこそ…先ほどは生徒を前にすみませんでした…」
「ははは、まぁ程々にの!」
こうしてデイビッドの教員生活が始まった。
といってもこの日は他の授業の見学と、生徒達との顔合わせだけ。
そのため全校生徒の前で挨拶をする事になってしまい、しかたなく一張羅を着込んで、教員室で他の教師達と一緒に席に着いた。
「おはようございます、皆さん!」
きつい視線がデイビッドに集まってくる。
「本日より、こちらのデュロック令息が、特別講師として入ります。」
学園の学科は、主に5つ。
騎士科、淑女科、政務科、商業科、そして領地経営科。
魔力を持っている者は、一般教養とそれぞれの学科の授業に加え、魔力の使い方を学ぶ。
騎士科と淑女科は男女別だが、他の学科は共学だ。
貴族子女だけでなく、裕福な商家や、奨学制度を受けて入学してくる平民も多くいる。
教師は常に足りない程だ。
「領地経営学のパウロ先生が、今週から王立の研究室を兼任されるため、空いた授業の枠を担当して頂きます。基本的に他学科には関わりが無いので、ここでご紹介しておきます。皆様も生徒と間違えないよう、ご注意下さいませ。」
(あからさまだなぁ…おい…)
見るからに王都貴族を教える教師、という出で立ちの女性教師から雑な紹介を受けたデイビッドは、教師陣に向かって頭を下げた。
「デイビッド・デュロックです。父に代わり教壇に上がらせて頂くことになりました。よろしくお願い致します…」
「では皆様、生徒が講堂で待っておりますので、速やかに移動して下さい。」
パラパラとまばらな拍手さえ、この女教師は気に入らないらしい。
他にも、淑女科と政務科のバッジを付けた教師からは、しっかり睨みつけられた。
講堂には既に生徒達が並んでいて、学園長の話を聞いていた。
「~と言う訳で、本日より加わった新しい職員方を紹介しよう!まずは保険医のシモンズ先生。王城で新薬の開発と研究をされており、縁あってこの学園にお越し頂いた。」
「シモンズです。皆様の心身の健康を守るため尽力致します。」
(シモンズ先生?!なんで??)
アーネストの主治医だったはずのシモンズ女医が、壇上で挨拶をしている。
驚いていると、今度はエリックが現れた。
「続いてエリック・ラルスル先生。彼はこの学園を飛び級で卒業された大変優秀な生徒でした。この度ダンスと音楽の臨時講師として来て下さいました。」
「エリックです!皆さんと素敵な時間が過ごせることを、心より楽しみにしています。」
(エリックぅぅーー???)
爽やかな笑みを浮かべ、いつもより洒落た服装の侍従の登場に、デイビッドは開いた口が塞がらなかった。
(アイツ…そういやぁいないと思ったら…)
持ち前の甘い顔立ちに、女生徒達がざわめきが聞こえる。
「エリック先生は普段は領地経営科の補佐も務められるので、話がある時は東側の研究棟を訪ねるように。」
その一言で、ざわめきが気を落としたものに変わる。
(そんなにイヤか…)
王都の人間にとって、あの緑の空間は、相当嫌なものらしい。
「そして最後に、領地経営科の特別講師、デイビッド・デュロック先生!」
デイビッドがゆっくり壇上へ上がると、あきらかに生徒達が動揺していた。
「彼は18歳という若さで、豊富な留学経験に実践と実績を積まれ、陛下と王太子殿下の勧めより、この学園の講師として参られた。この貴重な機会を無駄にすること無く、多くの学びを彼から受け取って欲しい!」
学園長の演説も虚しく、拍手も歓声もない静まり返った、なんともいたたまれない空間に、今デイビッドは立たされている。
「あー…皆さんこんにちは……えーー…ご存知の方も多いでしょうが、先日の夜会で大暴れした黒豚こと、デイビッド・デュロックです…」
(久々だなぁこの感じ…)
醜い物を馬鹿にし、嫌悪し、蔑すむ目。
(……ちょっと、カマしとくか?!)
「えー…俺がここへ来たのは、王命に近い研究の完成を後押された上での事だ。その邪魔さえしなけりゃ大人しく研究室にこもっているつもりでいる。用があるなら気軽に来てくれて構わない。ただし、仕事の邪魔をするヤツは生徒でも容赦しないから、心しておくように!授業は受けたいヤツだけ来ればいい。黒豚から教わることなど何も無いと言う奴には、こちらからも関わる気は無い。以上だ。」
やや喧嘩腰のスピーチに、生徒も教員も唖然としていたが、そんなこと気にもせず、デイビッドは壇上から降りた。
そして降りて直ぐ、シモンズ女医から無言で蹴りをもらい、説教モードのエリックに捕まった。
「何やってんですか?!いきなり喧嘩売ってどうするんですか!?あんなでっかい態度で!しかも生徒相手に関わる気は無いとか言っちゃって!あいつ等どうせすぐ親に言いつけますよ?自分の立場考えましょうよ!こんなんじゃあっという間にクビですよ?!」
「言ったろ?王命に近いって。王弟閣下と王太子の推薦状付き講師だぞ俺は。それに嘘は言ってない。来たい奴だけ来ればいい。教わる姿勢の無い奴に、指南してやる程お人好しじゃ無いだけだよ。」
「こっちは初っ端から胃薬が必要になりそうですけどね!?」
コソコソ話していると、学園長が話し終わり、皆が講堂から引き上げ始めた。
そこへさっきの女性教師が近づいて来た。
「エリック先生とシモンズ先生はこちらへ、生徒会へ案内します。」
「俺は?」
「…デュロック氏は研究に忙しい様ですので、ここまでで結構です。これ以上生徒を刺激されてはこちらも困りますので!」
ピシャリと言い放つと、エリックだけ連れてスタスタ行ってしまう。
(…とりあえず学園長には謝っとくか…)
教員室の隣の学園長室に向かい、声を掛けようとすると、中からは既に人の声がした。
「…ですから、あのような人物を…」
「我々からもお願いしたい…」
「なんなら本人に…デュロックの…」
どうやらデイビッドの事で何か揉めているらしい。
(ちょっとやり過ぎたか?流石に初日でクビはマズイんだが…)
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「失礼致します。デイビッド・デュロックです。お話中申し訳…」
「丁度いいところへ。今、貴方のことについて話しておりました。」
学園長に促され、中に入ると教師達が群がってきた。
「デイビッド殿!商業科の講義を担当するつもりはないかね?!」
「へ?あの、俺は領地経営の話をしろと言う事で…」
「あれだけ手広い商売を手掛けるデュロックの、それも最先端の話が聞ける機会など滅多にありません!特にデイビッド殿の諸外国における評価と信頼は非常に厚い!是非とも商業科の講義を受け持ってもらいたい!!」
「落ち着きなさいサイモン先生。デイビッド先生、こちらは商業科の学科長サイモン先生だ。聞いての通り、君の講義を希望しているそうだが、どうか受けてもらえないかね?」
「えーと…俺でよければ…少しなら…」
「ありがとう!早速、週末の最終枠をデイビッド殿の授業としよう!!よろしいですね学園長!?」
「承認しよう。デイビッド先生、いきなりですまないが、そういう事になったのでよろしく頼みたい。」
「い、いえ!こちらこそ…先ほどは生徒を前にすみませんでした…」
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