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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
飼い主の責任
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「デイビッド先生!!お久シぶりです!!」
学園が始まってから一週間後、領地経営科の留学生、ノールがようやく顔を見せた。
「荷物多くて、来るのに時間がかかってシまいましタ。先生に渡すよう、父から預カって来たものがあって!」
ノールの住まう帝国とマリ砂漠の間の土地は、今干ばつ防止の事業に取り組んでいるそうだ。
砂漠の拡大を防ぎ、帝国の領土を守る重大な役目だ。
「コルクの苗がたくさん届いテ、帝国から支援もしてもらえることになりまシた!」
乾燥に強いコルク樫の木は土地の保水に役立ち、生態系を守るだけでなく、防砂林としても優秀だ。
更に、以前は源林を元に、細々と帝国に売るだけだったコルクを、大口のワイン醸造主が買い求めに来て、契約をして行ったらしい。
「あれ、話を通してくれタの、デイビッド先生なんですよね?!」
「いやぁ?俺は手紙を出しただけだよ。動いたのはウチの親父とマーロウ子爵と帝国のサラムのヤツだ。」
「でも、それに気がついて、砂漠の民のために手を差し伸べテくれたのはデイビッド先生が初めてでしタ!父が何としてもお礼をしたいと言って、僕に持タせてくれました!ゼヒ受け取って下さい!!」
「…ナニを…?」
外に置かれた3つの大きな籠が、さっきからなにやらガサゴソ動いている。
「オオスナドリ10羽です!!」
大砂鳥は家畜化に成功した魔物の一種で、肉も卵も高級食材だ。
鶏の2倍ほどの大きさで、寒さと乾燥に強く、やや喧嘩っ早いが肉が上等で、ラムダ王国でも人気がある。
帝国ではその昔、この鳥を贈ることは最大の感謝の印となったらしい。
その慣習は未だに、帝国の田舎の方では生きていると聞いたことがある。
「族長である父が自ら厳選しまシた!これからも良き隣人でありたいと父から言伝です!」
(これは断れないヤツ!!!)
ノールはニコニコしながら籠を指差した。
学園に遅れてしまっても、遠路遥々大切に運んで来たのであろう大砂鳥。
それも誇り高い砂の一族の長からの感謝と友好の印。
とても受け取り拒否は出来そうにない。
「砂族はこういう時、なんて言うんだっけか?…『 天地の友に月の導きのあらんことを 』…?あってるか?」
「その言葉だけで、父も喜びます!」
去って行くノールを見送り、籠を覗くと、真っ赤な鋭いクチバシと、獲物を探す黄色い目玉がギョロギョロしていた。
(結構凶暴そうだな…あ、でも卵…これでいつでも手に入るのか…小屋作ってやらねぇと…)
散々悩んでいた鶏の確保が、思わぬ所で叶ってしまった。
やる事が一気に増えて、これから更に忙しくなりそうだ。
今日の授業は領地経営科。
最前列にヴィオラが座っていて、背中がなんだか落ち着かないが、気にしていない振りをして、なるべくそっちを見ないように授業を進めていく。
「ーーとまぁ、孤児院なんかの慈善事業もある中でー」
ガリガリガリガリガリガリ
「領地民の育成という観点から、宗教施設に委ねずーー」
グルルグルルグルルグルル
「領民としての権利をーーー」
ガリガリガリガリガリガリガリガリ
「うるっせえーー!!!さっきから何の音だ!?」
謎の音にざわつく教室の窓を開けると、ファルコがひょっこり顔出した。
「キュルクルルル」
「ゲッ!!お前、なんでココに?!」
「え?!魔獣!?」
「どうしてこんなところに!?」
「先生っ!!危ない!!」
「全員落ち着け!!コイツは保護魔獣だ!危害は加えないから安心しろ!叫ぶと逆に興奮させて危険だ。静かにしてれば大人しくしてるよ。」
悲鳴が上がりかける教室を宥め、ファルコの首輪を捕まえると生徒に向き直る。
「触りたい奴、前に出て来い!」
「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」
勇気のある生徒が数名、ファルコに近づき、恐る恐る手を出した。
ヴィオラも興味津々で手を伸ばしている。
「頭には触れないように喉のあたりを逆立てるように撫でてやると喜ぶぞ。」
「クルルルルル……」
「わあっ!すごい…大きくてカッコイイ…」
「温かい…よく見ると可愛いですね!」
「ヒポグリフって事は乗れるんですか?」
「騎乗訓練はしてないからわからん。そもそもどっから来たのかもわかんねぇからな、人を乗せた経験があるかどうか…」
「名前は何ですか?」
「ファルコだ。と思う…たぶん」
ファルコの足の鎖は切れてしまっていたので、千切れた縄を窓下に繋ぎ直し、授業を再開すると、もうガリガリ音はしなくなり、ファルコも大人しくデイビッドの声を聞いていた。
昼休みの鐘が鳴り、授業が終わる。
「今日は邪魔が入って悪かった。次回は街道の整備と通行税について話す!それじゃ解散!」
ファルコを連れて馬房へ戻ろうとすると、ヴィオラがこっそりとついて来た。
「デイビッド先生!?」
「お?何の様だ?ミス・ヴィオラ?」
「えへへ…ヒポグリフ、見に来ました!…」
と言いつつ、ヴィオラはデイビッドの方しか見ていない。
建物の影に入り、人目がなくなると、ヴィオラがデイビッドの背中をつついた。
「なんでこんなすごい話、私にはしてくれなかったんですか…?」
「黙ってて悪かったよ…引き取り主がいるかも知れないから、なるべく周りに知らせてないんだ…」
「でも、私にくらい話して欲しかったです。隠し事は…なんか嫌…」
「う…次からちゃんと報告します…」
「心配なんです。デイビッド様が危ない目に遭ったら悲しいです…」
「これからはヴィオラにも相談するよ…」
「約束ですよ?」
「危ない事に生徒は巻き込みたくないんだけどなぁ。」
「私は…ただの生徒じゃないので…巻き込んで下さい!」
「できる範囲でな…じゃぁ先に研究室に行っててくれ。俺はコイツを繋いで来るから。」
「はいっ!」
ヴィオラと別れ、馬房の方へ向かうと、何やら様子がおかしい。
「なっ!これ…お前がやったのか?!」
屋根が吹き飛び、柱のへし折れたむき出しの馬房で、ムスタが寛いでいるのが外から見える。
半壊した馬房の奥では、馬たちが固まって怯えていた。
「あーなるほど!繋いでた鎖がなかったのは小屋ごとぶっ壊して引き千切って来たからか!いやーヒポグリフの馬力舐めてたなぁ!こりゃすげぇ力だ!兵器にされるのも頷けるわ!ははははは……………始末書かな……?」
デイビッド・デュロック殿
貴殿に、学園施設の損壊と、資格に基づく規定違反により、始末書の提出と減給3ヶ月の処分を下す。
教頭にしっかりこってり絞られて、教員室中の笑い者になったあげく、渡された紙にはそう書かれていた。
「気を落とさないで!もしこれが伯爵なら、間違い無く来て一月目には始末書ものでしたよ!」
「やらかし王の息子がこんなに大人しいのも驚きましたからなぁ!」
「むしろ他の所での評価は高いのだから、元気出して!」
慰めの言葉が余計に辛い。
今後はもう少し慎重に動こうと、珍しく反省するデイビッドだった。
学園が始まってから一週間後、領地経営科の留学生、ノールがようやく顔を見せた。
「荷物多くて、来るのに時間がかかってシまいましタ。先生に渡すよう、父から預カって来たものがあって!」
ノールの住まう帝国とマリ砂漠の間の土地は、今干ばつ防止の事業に取り組んでいるそうだ。
砂漠の拡大を防ぎ、帝国の領土を守る重大な役目だ。
「コルクの苗がたくさん届いテ、帝国から支援もしてもらえることになりまシた!」
乾燥に強いコルク樫の木は土地の保水に役立ち、生態系を守るだけでなく、防砂林としても優秀だ。
更に、以前は源林を元に、細々と帝国に売るだけだったコルクを、大口のワイン醸造主が買い求めに来て、契約をして行ったらしい。
「あれ、話を通してくれタの、デイビッド先生なんですよね?!」
「いやぁ?俺は手紙を出しただけだよ。動いたのはウチの親父とマーロウ子爵と帝国のサラムのヤツだ。」
「でも、それに気がついて、砂漠の民のために手を差し伸べテくれたのはデイビッド先生が初めてでしタ!父が何としてもお礼をしたいと言って、僕に持タせてくれました!ゼヒ受け取って下さい!!」
「…ナニを…?」
外に置かれた3つの大きな籠が、さっきからなにやらガサゴソ動いている。
「オオスナドリ10羽です!!」
大砂鳥は家畜化に成功した魔物の一種で、肉も卵も高級食材だ。
鶏の2倍ほどの大きさで、寒さと乾燥に強く、やや喧嘩っ早いが肉が上等で、ラムダ王国でも人気がある。
帝国ではその昔、この鳥を贈ることは最大の感謝の印となったらしい。
その慣習は未だに、帝国の田舎の方では生きていると聞いたことがある。
「族長である父が自ら厳選しまシた!これからも良き隣人でありたいと父から言伝です!」
(これは断れないヤツ!!!)
ノールはニコニコしながら籠を指差した。
学園に遅れてしまっても、遠路遥々大切に運んで来たのであろう大砂鳥。
それも誇り高い砂の一族の長からの感謝と友好の印。
とても受け取り拒否は出来そうにない。
「砂族はこういう時、なんて言うんだっけか?…『 天地の友に月の導きのあらんことを 』…?あってるか?」
「その言葉だけで、父も喜びます!」
去って行くノールを見送り、籠を覗くと、真っ赤な鋭いクチバシと、獲物を探す黄色い目玉がギョロギョロしていた。
(結構凶暴そうだな…あ、でも卵…これでいつでも手に入るのか…小屋作ってやらねぇと…)
散々悩んでいた鶏の確保が、思わぬ所で叶ってしまった。
やる事が一気に増えて、これから更に忙しくなりそうだ。
今日の授業は領地経営科。
最前列にヴィオラが座っていて、背中がなんだか落ち着かないが、気にしていない振りをして、なるべくそっちを見ないように授業を進めていく。
「ーーとまぁ、孤児院なんかの慈善事業もある中でー」
ガリガリガリガリガリガリ
「領地民の育成という観点から、宗教施設に委ねずーー」
グルルグルルグルルグルル
「領民としての権利をーーー」
ガリガリガリガリガリガリガリガリ
「うるっせえーー!!!さっきから何の音だ!?」
謎の音にざわつく教室の窓を開けると、ファルコがひょっこり顔出した。
「キュルクルルル」
「ゲッ!!お前、なんでココに?!」
「え?!魔獣!?」
「どうしてこんなところに!?」
「先生っ!!危ない!!」
「全員落ち着け!!コイツは保護魔獣だ!危害は加えないから安心しろ!叫ぶと逆に興奮させて危険だ。静かにしてれば大人しくしてるよ。」
悲鳴が上がりかける教室を宥め、ファルコの首輪を捕まえると生徒に向き直る。
「触りたい奴、前に出て来い!」
「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」
勇気のある生徒が数名、ファルコに近づき、恐る恐る手を出した。
ヴィオラも興味津々で手を伸ばしている。
「頭には触れないように喉のあたりを逆立てるように撫でてやると喜ぶぞ。」
「クルルルルル……」
「わあっ!すごい…大きくてカッコイイ…」
「温かい…よく見ると可愛いですね!」
「ヒポグリフって事は乗れるんですか?」
「騎乗訓練はしてないからわからん。そもそもどっから来たのかもわかんねぇからな、人を乗せた経験があるかどうか…」
「名前は何ですか?」
「ファルコだ。と思う…たぶん」
ファルコの足の鎖は切れてしまっていたので、千切れた縄を窓下に繋ぎ直し、授業を再開すると、もうガリガリ音はしなくなり、ファルコも大人しくデイビッドの声を聞いていた。
昼休みの鐘が鳴り、授業が終わる。
「今日は邪魔が入って悪かった。次回は街道の整備と通行税について話す!それじゃ解散!」
ファルコを連れて馬房へ戻ろうとすると、ヴィオラがこっそりとついて来た。
「デイビッド先生!?」
「お?何の様だ?ミス・ヴィオラ?」
「えへへ…ヒポグリフ、見に来ました!…」
と言いつつ、ヴィオラはデイビッドの方しか見ていない。
建物の影に入り、人目がなくなると、ヴィオラがデイビッドの背中をつついた。
「なんでこんなすごい話、私にはしてくれなかったんですか…?」
「黙ってて悪かったよ…引き取り主がいるかも知れないから、なるべく周りに知らせてないんだ…」
「でも、私にくらい話して欲しかったです。隠し事は…なんか嫌…」
「う…次からちゃんと報告します…」
「心配なんです。デイビッド様が危ない目に遭ったら悲しいです…」
「これからはヴィオラにも相談するよ…」
「約束ですよ?」
「危ない事に生徒は巻き込みたくないんだけどなぁ。」
「私は…ただの生徒じゃないので…巻き込んで下さい!」
「できる範囲でな…じゃぁ先に研究室に行っててくれ。俺はコイツを繋いで来るから。」
「はいっ!」
ヴィオラと別れ、馬房の方へ向かうと、何やら様子がおかしい。
「なっ!これ…お前がやったのか?!」
屋根が吹き飛び、柱のへし折れたむき出しの馬房で、ムスタが寛いでいるのが外から見える。
半壊した馬房の奥では、馬たちが固まって怯えていた。
「あーなるほど!繋いでた鎖がなかったのは小屋ごとぶっ壊して引き千切って来たからか!いやーヒポグリフの馬力舐めてたなぁ!こりゃすげぇ力だ!兵器にされるのも頷けるわ!ははははは……………始末書かな……?」
デイビッド・デュロック殿
貴殿に、学園施設の損壊と、資格に基づく規定違反により、始末書の提出と減給3ヶ月の処分を下す。
教頭にしっかりこってり絞られて、教員室中の笑い者になったあげく、渡された紙にはそう書かれていた。
「気を落とさないで!もしこれが伯爵なら、間違い無く来て一月目には始末書ものでしたよ!」
「やらかし王の息子がこんなに大人しいのも驚きましたからなぁ!」
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