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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活
召喚状
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使い魔は、術者の魔力を糧に生み出され、魔力が尽きれば消えてしまう泡沫の命。
造形や性質は作り手のセンスに掛かっているため、自分に合った素材を選ぶ事も重要だ。
「私のは魔力土を本体のベースに、核になる魔石と水鳥の羽です。」
「羽の他に、動物の毛や鱗を使う場合もありますのよ。」
「この赤い実は?」
「マンドラゴラの実ですわ。これが生き物でいう臓器の代わりになりますの。仕上げに術者の髪を数本…」
「髪を使うのか。なんか魔女っぽいな!」
「貴方の魔女に対するイメージって謎ね?」
「えーと…思念の象徴、つまり人の一部を与える事で、意思を持たせる事ができるんです!」
「血の方が強力らしいですけれど、そこまで強いものは作れないから髪で十分よ。」
魔力を少しずつ加え、全体に馴染んだら練り上げるように、素材のひとつひとつを解き、組み替え、ひとまとめにしていく。
『汝、応えよ…我が下僕に、泡沫の命を与えん…』
詠唱を終えると、釜の中に光が吸い込まれ、術の完成を知らせる。
「上手くいったかな…?」
「開けてみましょ?!」
まずはヴィオラの使い魔が出来上がり、何かが釜から這い出てきた。
「プゥ~…」
「わぁ!!出来ました!!」
「これは…羽の生えた…ブタ??」
「私のディディです!!」
手のひらサイズの極小ブタが、テーブルの上をよちよち歩き回る。
「これはデイビッド様に頂いた、最初のプレゼントの人形なんです!そっくりに出来ました!!」
「…これを贈ったの?プレゼントに…?」
「他の物のついでのついでのオマケ程度のもんだよ!!つかまだいたのかコレ!?」
「ずっと持ってました!鞄の中に!宝物です!!」
「頼むからもう捨ててくれ!!」
「絶対イヤです!!」
「プゥ…プゥ…」
使い魔は、懸命に羽ばたこうとするが、体が重くて飛び上がれない。
「飛べないんじゃ、ただのブタですわね…」
「なんでこっち見ながら言うんだよ?!」
そのうち込めた魔力が尽きて、ポフンと煙を立てて消えてしまい、核である魔石だけが残る。
「私の力ではここまでのようですね。飛ばなくても、せめて5分持たせないと不合格なんです…」
「練習あるのみね!次は私よ?!」
シェルリアーナの釜の中には、ピンクの羽と、オレンジ色の実と、土の代わりに綿が入っている。
詠唱を終え、釜を開けると、中から何かが飛び出した。
「ギョ~~」
ピンク色のモシャモシャした塊がシャカシャカ走り回っている。
「これは…足の生えた肉団子…?」
「うっさいわ!!ちょっと造形ミスっただけよ!!」
「かわいいですね!?」
「この際、形なんていいの!さぁ、飛びなさい!!」
「ギョ~~~!!」
高速で羽を動かすピンクの謎生物。
しかし、テーブルから30センチ程しか浮き上がらない上に、端から端まで飛ぶ前に力尽きて落ちてしまった。
「ギョ……」
「息も絶え絶えだな…これに何か頼むのはちょっと気が引けると言うか…不憫な気がする…」
「ううぅ~~~…モモイロヒメカタドリの羽とケンタウロの実ならいけると思ったのにぃ~!!」
ピンクの生物も煙と共に消えてしまい、魔石だけが残された。
「ハァ…回収できる物が核だけだから、練習ではあまり高級素材は使えないのよ…」
「ふーん…羽と言えば、換毛期でファルコの羽がめちゃくちゃ抜けんだ。羽毛が枕いっぱい分くらいあってな、持ってくか?」
「使わせて!!!」
「私も欲しいです!」
その後シェルリアーナは、使い魔の製法とにらめっこしながら、ファルコの羽と残りの素材を使って、もう一度合成に挑戦する。
飛ぶ生き物をイメージするため、外の小鳥を見つめてから、錬成釜に材料を入れ、再び魔力を込めると、今度は燕のように鋭く空を切って飛ぶ使い魔の合成に成功した。
「流石です、シェル先輩!!」
「まぁ、ざっとこんなものですわね!?」
くるくる飛び回る使い魔は、やがて勢い良く壁に突っ込み、くちばしが突き刺さって抜けなくなり、ぐったりしてしまった。
「あっぶねぇな!使い魔っつうよりなんかの飛び道具みてぇ。殺傷能力高そうだ…」
「でも精度はすごく高いですよ!?」
「う~ん…あとはコントロールですわね。あれでは指示が通りませんわ…」
「やっぱそういうのは術者の影響なのか?」
「次は貴方に向けて飛ばしましょうか…?」
ヴィオラも明日、新しい素材を集めて練習するそうだ。
2人はファルコの羽毛とドライアドの小枝を手に、喜んで帰って行った。
「じゃ、俺はちょっと用があるんで出てくる。鍵は開けといてくれよ?!」
放課後、エリックに向かってそう言い残すと、デイビッドはムスタに乗って商会を目指した。
「まぁ!若旦那、お珍しい。こんな時間に何かありましたか?」
商会の裏口から残して置いた自室へ入ると、いくつか必要な物を探し出し、手の空いていそうな従業員に声を掛ける。
「城へ行かなきゃならなくなったんで…正装したくて…」
途端、何本も腕が伸びて来て、たちまち服飾室へ連れて行かれてしまう。
今回ばかりはどんなに嫌でも耐えるしかない。
堅苦しい服装に嫌気が差しても、我慢してジッとしているとフィズ夫人が現れた。
「ようやく観念したのかと思ったら、まさか召喚状だなんて…」
「貰った以上従うしかないでしょ?」
「…待ちなさい!せめて指輪はちゃんと指に着けて!」
「嫌なんですよね…何か言われそうで…」
「当たり前でしょ?!張り切り過ぎなのよ!帝国の王族ですら持ってないわよこんな逸品。それから、ちゃんと馬車で行きなさい!自信を持ちなさい!貴方はカッコイイんだから!」
複雑な気持ちで馬車に乗り込み、義叔母に見送られ城を目指す。
あの始まりの騒動から早半年。
慣れない馬車に揺られて、ついに王城の入り口までやって来た。
召喚状を見せると、直ぐに奥へ通され、応接室へ連れて行かれる。
持って来た資料を再度確認していると、ノックの音と共に宰相とアーネストが部屋に入って来た。
「デイビッド!!会いたかった!」
「よぉアーネスト、何か用か?」
「なんでそんな平然としてるんだ!!アリスがまた勝手な事をしたと聞いてる…ヒュリスの討伐だって?!なんで黙ってた!!」
「…相変わらず忙しい奴だなぁ。」
「他人事みたいに言うなよ!!」
騷ぐアーネストを他所に、宰相にヒュリスの資料と今後の方針についての検討書を渡すと、持って来た紙の束をアーネストの前に広げ始めた。
「帝国の輸入緩和で穀類の価格が低下して、穀倉地帯含め国内の穀類生産率がかなり落ちてる。代わりに林業に移行する農家が増えているらしいが、これはあまりいい傾向じゃない。いずれ破綻する前に農作物の生産を国で推し進めて行かないと、国の食料を帝国に握られちまう。向こうの思惑にハマりたくなけりゃ、ここらで国内産品の値を上げられるようテコ入れが必要だな。」
「少し待て!待ってくれよ!!」
「漁獲高は今のところ右肩上がりに見えるが、潮の流れは分からねぇもんだ。養殖の事業展開が今後のカギにならないかと俺は思ってる。それだとアデラ国がまだ海洋水産系の技術提供にそこまで注視してない今が狙い目だ。気付かれたら一気に釣り上げられちまうからな。」
「頼むよ…話ぐらいさせてくれてもいいだろう?!」
「だから今してるだろ?」
「そうじゃなくて……」
ズラズラと積み上げられる国の問題を、アーネストは王太子として、頭を抱えてでも聞くしかない。
やっと会えた友人と語らう時間すら惜しまれる、それが王太子というものだ。
造形や性質は作り手のセンスに掛かっているため、自分に合った素材を選ぶ事も重要だ。
「私のは魔力土を本体のベースに、核になる魔石と水鳥の羽です。」
「羽の他に、動物の毛や鱗を使う場合もありますのよ。」
「この赤い実は?」
「マンドラゴラの実ですわ。これが生き物でいう臓器の代わりになりますの。仕上げに術者の髪を数本…」
「髪を使うのか。なんか魔女っぽいな!」
「貴方の魔女に対するイメージって謎ね?」
「えーと…思念の象徴、つまり人の一部を与える事で、意思を持たせる事ができるんです!」
「血の方が強力らしいですけれど、そこまで強いものは作れないから髪で十分よ。」
魔力を少しずつ加え、全体に馴染んだら練り上げるように、素材のひとつひとつを解き、組み替え、ひとまとめにしていく。
『汝、応えよ…我が下僕に、泡沫の命を与えん…』
詠唱を終えると、釜の中に光が吸い込まれ、術の完成を知らせる。
「上手くいったかな…?」
「開けてみましょ?!」
まずはヴィオラの使い魔が出来上がり、何かが釜から這い出てきた。
「プゥ~…」
「わぁ!!出来ました!!」
「これは…羽の生えた…ブタ??」
「私のディディです!!」
手のひらサイズの極小ブタが、テーブルの上をよちよち歩き回る。
「これはデイビッド様に頂いた、最初のプレゼントの人形なんです!そっくりに出来ました!!」
「…これを贈ったの?プレゼントに…?」
「他の物のついでのついでのオマケ程度のもんだよ!!つかまだいたのかコレ!?」
「ずっと持ってました!鞄の中に!宝物です!!」
「頼むからもう捨ててくれ!!」
「絶対イヤです!!」
「プゥ…プゥ…」
使い魔は、懸命に羽ばたこうとするが、体が重くて飛び上がれない。
「飛べないんじゃ、ただのブタですわね…」
「なんでこっち見ながら言うんだよ?!」
そのうち込めた魔力が尽きて、ポフンと煙を立てて消えてしまい、核である魔石だけが残る。
「私の力ではここまでのようですね。飛ばなくても、せめて5分持たせないと不合格なんです…」
「練習あるのみね!次は私よ?!」
シェルリアーナの釜の中には、ピンクの羽と、オレンジ色の実と、土の代わりに綿が入っている。
詠唱を終え、釜を開けると、中から何かが飛び出した。
「ギョ~~」
ピンク色のモシャモシャした塊がシャカシャカ走り回っている。
「これは…足の生えた肉団子…?」
「うっさいわ!!ちょっと造形ミスっただけよ!!」
「かわいいですね!?」
「この際、形なんていいの!さぁ、飛びなさい!!」
「ギョ~~~!!」
高速で羽を動かすピンクの謎生物。
しかし、テーブルから30センチ程しか浮き上がらない上に、端から端まで飛ぶ前に力尽きて落ちてしまった。
「ギョ……」
「息も絶え絶えだな…これに何か頼むのはちょっと気が引けると言うか…不憫な気がする…」
「ううぅ~~~…モモイロヒメカタドリの羽とケンタウロの実ならいけると思ったのにぃ~!!」
ピンクの生物も煙と共に消えてしまい、魔石だけが残された。
「ハァ…回収できる物が核だけだから、練習ではあまり高級素材は使えないのよ…」
「ふーん…羽と言えば、換毛期でファルコの羽がめちゃくちゃ抜けんだ。羽毛が枕いっぱい分くらいあってな、持ってくか?」
「使わせて!!!」
「私も欲しいです!」
その後シェルリアーナは、使い魔の製法とにらめっこしながら、ファルコの羽と残りの素材を使って、もう一度合成に挑戦する。
飛ぶ生き物をイメージするため、外の小鳥を見つめてから、錬成釜に材料を入れ、再び魔力を込めると、今度は燕のように鋭く空を切って飛ぶ使い魔の合成に成功した。
「流石です、シェル先輩!!」
「まぁ、ざっとこんなものですわね!?」
くるくる飛び回る使い魔は、やがて勢い良く壁に突っ込み、くちばしが突き刺さって抜けなくなり、ぐったりしてしまった。
「あっぶねぇな!使い魔っつうよりなんかの飛び道具みてぇ。殺傷能力高そうだ…」
「でも精度はすごく高いですよ!?」
「う~ん…あとはコントロールですわね。あれでは指示が通りませんわ…」
「やっぱそういうのは術者の影響なのか?」
「次は貴方に向けて飛ばしましょうか…?」
ヴィオラも明日、新しい素材を集めて練習するそうだ。
2人はファルコの羽毛とドライアドの小枝を手に、喜んで帰って行った。
「じゃ、俺はちょっと用があるんで出てくる。鍵は開けといてくれよ?!」
放課後、エリックに向かってそう言い残すと、デイビッドはムスタに乗って商会を目指した。
「まぁ!若旦那、お珍しい。こんな時間に何かありましたか?」
商会の裏口から残して置いた自室へ入ると、いくつか必要な物を探し出し、手の空いていそうな従業員に声を掛ける。
「城へ行かなきゃならなくなったんで…正装したくて…」
途端、何本も腕が伸びて来て、たちまち服飾室へ連れて行かれてしまう。
今回ばかりはどんなに嫌でも耐えるしかない。
堅苦しい服装に嫌気が差しても、我慢してジッとしているとフィズ夫人が現れた。
「ようやく観念したのかと思ったら、まさか召喚状だなんて…」
「貰った以上従うしかないでしょ?」
「…待ちなさい!せめて指輪はちゃんと指に着けて!」
「嫌なんですよね…何か言われそうで…」
「当たり前でしょ?!張り切り過ぎなのよ!帝国の王族ですら持ってないわよこんな逸品。それから、ちゃんと馬車で行きなさい!自信を持ちなさい!貴方はカッコイイんだから!」
複雑な気持ちで馬車に乗り込み、義叔母に見送られ城を目指す。
あの始まりの騒動から早半年。
慣れない馬車に揺られて、ついに王城の入り口までやって来た。
召喚状を見せると、直ぐに奥へ通され、応接室へ連れて行かれる。
持って来た資料を再度確認していると、ノックの音と共に宰相とアーネストが部屋に入って来た。
「デイビッド!!会いたかった!」
「よぉアーネスト、何か用か?」
「なんでそんな平然としてるんだ!!アリスがまた勝手な事をしたと聞いてる…ヒュリスの討伐だって?!なんで黙ってた!!」
「…相変わらず忙しい奴だなぁ。」
「他人事みたいに言うなよ!!」
騷ぐアーネストを他所に、宰相にヒュリスの資料と今後の方針についての検討書を渡すと、持って来た紙の束をアーネストの前に広げ始めた。
「帝国の輸入緩和で穀類の価格が低下して、穀倉地帯含め国内の穀類生産率がかなり落ちてる。代わりに林業に移行する農家が増えているらしいが、これはあまりいい傾向じゃない。いずれ破綻する前に農作物の生産を国で推し進めて行かないと、国の食料を帝国に握られちまう。向こうの思惑にハマりたくなけりゃ、ここらで国内産品の値を上げられるようテコ入れが必要だな。」
「少し待て!待ってくれよ!!」
「漁獲高は今のところ右肩上がりに見えるが、潮の流れは分からねぇもんだ。養殖の事業展開が今後のカギにならないかと俺は思ってる。それだとアデラ国がまだ海洋水産系の技術提供にそこまで注視してない今が狙い目だ。気付かれたら一気に釣り上げられちまうからな。」
「頼むよ…話ぐらいさせてくれてもいいだろう?!」
「だから今してるだろ?」
「そうじゃなくて……」
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