153 / 411
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
第七研究室の仲間達
しおりを挟む
そしてまた魔の水曜日。
デイビッドは手順の洗い直しから始め、手際良く下準備の下準備を終わらせると、新しい作業に取り掛かった。
薬草から抽出した成分を種類毎に結晶化させる作業で、これがなかなか集中力がいる。
1つ目のシャーレに抽出液を落とし、中の結晶を確認していると、後ろのドアが開くと共に、ガシャンと何かがひっくり返る音がした。
音に気を取られた拍子にシャーレが揺れて中の結晶化が上手くいかなくなってしまう。
「あ、やっちまった!!なんだよ一体…」
少しイラつきながら後ろを向くと、床にテキストをぶちまけたシェルリアーナと目が合った。
「な、な、何してんのよアンタ!!」
「こっちのセリフだよ!静かにしてくれよ頼むから!またやり直しだ…」
「なんで?なんでここにいるの?!」
「研究室の補佐人員にされちまったからな。お前こそ、今日も授業か?」
「卒業論文書きに来たのよ!」
「ここで?」
「研究生だからに決まってんでしょ!?私、魔法薬学で論文書くつもりでベルダ先生のとこに入ったのよ。まさか…アンタがこないだ言ってた上司って…」
「ベルダ…」
「ウッソでしょ?!やめてよ!じゃあ何?三学期ずっとアンタと一緒にここに来なきゃいけないの?」
「我慢しろよ、俺は水曜日だけだからよ。」
「私も水曜日よ!!」
「…これで明日も顔合わすのかぁ…ヤダなぁ…」
「はっきり言うんじゃないわよ!塩漬けにして厚切りベーコンにするわよ?!」
怒鳴り散らしてから、シェルリアーナははたと気が付き周りを見渡した。
同じ研究員のクラスメイト達が珍しそうにシェルリアーナを見つめている。
「化けの皮めっちゃ剥がれたな。」
「黙れ!その面の皮引っ剥がして湯引きするわよ?!」
「怖ぁ…」
第七研究室に入った生徒は4人。
シェルリアーナとあと2人は恐ろしいことに女性だ。
残る1人はまだ来ていない。
しかし幸いな事に作業内容は全く違うため、デイビッドはなるべく離れた机でまた地道な業務を繰り返す。
少しでも距離を置き、関わらないように過ごしたい。
問題はその意図を誰も汲んではくれないということだ。
「ねぇ君、確かデイビッド君だよね?アナが他人を気にするなんて珍しいから気になってたんだけど…ああ、急に話しかけてゴメンよ?僕はイヴェット。淑女科の魔法学専攻でシェルリアーナのクラスメイトなんだ。よろしくね。」
「…どうも…」
夜の様に深い青の髪に流れ星色のように明るいスリットが入った妖艶な美人が、デイビッドの隣にいきなり座った。
「頼むからシャーレにだけは触んないでくれよ…?」
「真面目な人なんだね。同じ研究員同士仲良くして欲しいなぁ。君、領地経営科で講師してるんだよね?すごいね、同年代でそこまで先に行ってる奴、他に居ないよ?」
「イヴェット、貴女も自分の事をなさい!?」
「アナは厳しいな。そんな所も素敵だよ?!」
「ねぇ、アタシのコトも覚えて欲しいわ!シェリーと同じ淑女科のエリザベス!リズって呼んで!?」
今度は明るいオレンジ色の髪を編み込んだティールブルーの瞳の生徒がイヴェットの反対側に座り、デイビッドが新しく薬草を捌く手元をじっと見つめる。
「貴方、ナイフの使い方上手ね!他の男子は役に立たなくって。隣の研究室の奴なんて自分の指切って大騒ぎしてたわよ?!刃物の扱いが上手い男ってアタシ好きなのよねぇ。」
「…ソウデスカ…」
「ふーん…普通男子はこういう時、照れたりするのに。君、顔色分かりづらいけど血の気引いてない?大丈夫?」
イヴェットの言う通り、デイビッドは今真っ青な顔をしてシャーレだけを見ている。
ヴィオラにこれ以上心配かけまいと誓った手前、この環境はあまりにもよろしくない。
第三者目線に立てば顔面偏差値爆高ハーレムにしか見えないこの空間、最後の一人が男であることを祈るしかない。
「やぁ、遅くなったね。お待たせ、早速ベルダ先生から出た課題を始めようか!」
人形が歩いているのかと錯覚する程顔立ちの整った生徒が最後に入ってくる。
金髪碧眼で儚げな雰囲気、華奢で小柄だが、声も骨格も間違いなく男性だ。
デイビッドはこの時だけ賭けに勝った気がした。
4人の生徒は薬草の束を手に取ると、短い呪文を唱え、製薬に取り掛かった。
加熱、冷却、抽出、分離、凝縮、混合…数多の手順を全て魔法で補い、それこそあっという間に瓶の中は透明な薬で満たされていく。
デイビッドが地道に行っている作業は、1日以上経っても全体のまだ半分も進んでいない。
この光景を目の当たりにさせられながらの作業は、存外精神的に苦しいものだ。
やっと1つ目のシャーレの結晶化に成功し、次の薬を手にしようとした瞬間、シェルリアーナがひょいとシャーレに触れてしまい、結晶が急成長してしまう。
「あ゙ぁーーっ!!」
「何、これ?魔素の結晶?どんどん広がっていくわ。模様みたいでキレイね!」
「なにすんだよ!?触るなって言っただろ?余計な魔素が入ると自然な結晶化ができなくなるんだよ!」
その瞬間シャーレ1枚分の苦労が水の泡となる。
「ははぁん…これはアナの魔素を吸収して成長した結晶だよ。これはアナだけの形だ。まるで雪の結晶の様だね。」
「おもしろーい!私もやってみたい!」
「その培養地作るだけでも半日かかるんだよ!オモチャにすんな!!」
「えー?大丈夫、こんなのちゃちゃっと出来ちゃうよ?!」
「…魔素の影響を遮断した状態で作らなきゃ意味がねぇんだよ…魔力持ちが触ったらその瞬間で全部おジャンだ!魔力無しでも触れたら魔素が混じるから手は出さないでくれ…」
「でも君だって遮断性のグローブも無しに触れてるじゃない?」
「俺は魔力も魔素も持ってない。本来ここには居ないはずの人員だ。頼むからこれ以上…」
関わるなと言いかけて視線を上げるとシェルリアーナ除く4人がギラギラした目でこちらを見ていた。
金髪男子が特に熱い視線を向けてくる。
「じゃ…じゃあ、君ってまさかネクターなのかい?!」
「ネクター?」
「果物じゃないわよ?!魔力に晒されていない特殊な物質の総称よ。」
「せめて人限定の名称が良かった…」
「ホントのホントに?!信じられない!ああどうしよう!卒業論文のテーマ、魔法薬学は止めてネクターの魔力伝導実験に出来ないかなぁ…?!」
「コイツ今、なんかおっかねぇこと口走らなかったか…?」
「僕、エドワード・セオドアっていうんだ。な…仲良くしてもらえると嬉しいな…?」
「仲良くしたくなくなる発言の後に言われてもなぁ!?」
他の2人の視線もデイビッドへの興味が別次元になっていた。
猫が獲物を見つけた時の目によく似ている。
「スゴイ!天然の生きてるネクターなんて初めて見たわ!」
「早くも珍生物扱い!!」
「酷いじゃないかアナ、こんな逸材をずっと独り占めしてたの?ズルいよ!」
「私は専攻が違いますもの、興味ありませんわ。」
(興味あったらどうなってたんだ…?)
そう言えばシェルリアーナも魔女なのだと改めて思い出し、背筋が凍る。
じりじり近づいて来る3人からどう逃れようか考えていると、ようやくベルダが現れた。
「コラコラ!彼を虐めるのはそのぐらいにしなさい。君達課題は進んだのかな?」
助かったと思ったのも束の間、ベルダもデイビッドのそばに寄って来るとニコッ
と笑って手を差し出した。
「ねぇデイビッド君、ちょっとだけ血採らせてくれない?」
「俺モルモット!!??」
絶望しているとベルダがまた笑い出す。
「アハハハ!そんなに怖がらないでよ!大丈夫だって。君、魔法薬の拒絶反応スゴイでしょ?“例の薬”のチェックに使いたいんだよ。」
そう言われてしまうと従わないわけにもいかず、恐る恐る腕を出すと針を通って血液が管を流れていくのが見える。
多くないか?と心配になってもそもそもの適正量すら分からないので口も出せず、黙って自分の血が抜かれていくのを見ているしかなかった。
「よし、こんなもんかな。大丈夫?気分悪くなったりしてない?」
「気分なら結構前から既に悪い…」
「新しい仲間ってのもいいものだよ?それじゃ僕は一旦道具とサンプルを片付けてくるね?!」
「今サンプルって言ったよな?!」
早くも実験動物にされた気分になり、デイビッドは恐怖から後はただ何も考えないようにしながら手元のシャーレに集中し続けた。
デイビッドは手順の洗い直しから始め、手際良く下準備の下準備を終わらせると、新しい作業に取り掛かった。
薬草から抽出した成分を種類毎に結晶化させる作業で、これがなかなか集中力がいる。
1つ目のシャーレに抽出液を落とし、中の結晶を確認していると、後ろのドアが開くと共に、ガシャンと何かがひっくり返る音がした。
音に気を取られた拍子にシャーレが揺れて中の結晶化が上手くいかなくなってしまう。
「あ、やっちまった!!なんだよ一体…」
少しイラつきながら後ろを向くと、床にテキストをぶちまけたシェルリアーナと目が合った。
「な、な、何してんのよアンタ!!」
「こっちのセリフだよ!静かにしてくれよ頼むから!またやり直しだ…」
「なんで?なんでここにいるの?!」
「研究室の補佐人員にされちまったからな。お前こそ、今日も授業か?」
「卒業論文書きに来たのよ!」
「ここで?」
「研究生だからに決まってんでしょ!?私、魔法薬学で論文書くつもりでベルダ先生のとこに入ったのよ。まさか…アンタがこないだ言ってた上司って…」
「ベルダ…」
「ウッソでしょ?!やめてよ!じゃあ何?三学期ずっとアンタと一緒にここに来なきゃいけないの?」
「我慢しろよ、俺は水曜日だけだからよ。」
「私も水曜日よ!!」
「…これで明日も顔合わすのかぁ…ヤダなぁ…」
「はっきり言うんじゃないわよ!塩漬けにして厚切りベーコンにするわよ?!」
怒鳴り散らしてから、シェルリアーナははたと気が付き周りを見渡した。
同じ研究員のクラスメイト達が珍しそうにシェルリアーナを見つめている。
「化けの皮めっちゃ剥がれたな。」
「黙れ!その面の皮引っ剥がして湯引きするわよ?!」
「怖ぁ…」
第七研究室に入った生徒は4人。
シェルリアーナとあと2人は恐ろしいことに女性だ。
残る1人はまだ来ていない。
しかし幸いな事に作業内容は全く違うため、デイビッドはなるべく離れた机でまた地道な業務を繰り返す。
少しでも距離を置き、関わらないように過ごしたい。
問題はその意図を誰も汲んではくれないということだ。
「ねぇ君、確かデイビッド君だよね?アナが他人を気にするなんて珍しいから気になってたんだけど…ああ、急に話しかけてゴメンよ?僕はイヴェット。淑女科の魔法学専攻でシェルリアーナのクラスメイトなんだ。よろしくね。」
「…どうも…」
夜の様に深い青の髪に流れ星色のように明るいスリットが入った妖艶な美人が、デイビッドの隣にいきなり座った。
「頼むからシャーレにだけは触んないでくれよ…?」
「真面目な人なんだね。同じ研究員同士仲良くして欲しいなぁ。君、領地経営科で講師してるんだよね?すごいね、同年代でそこまで先に行ってる奴、他に居ないよ?」
「イヴェット、貴女も自分の事をなさい!?」
「アナは厳しいな。そんな所も素敵だよ?!」
「ねぇ、アタシのコトも覚えて欲しいわ!シェリーと同じ淑女科のエリザベス!リズって呼んで!?」
今度は明るいオレンジ色の髪を編み込んだティールブルーの瞳の生徒がイヴェットの反対側に座り、デイビッドが新しく薬草を捌く手元をじっと見つめる。
「貴方、ナイフの使い方上手ね!他の男子は役に立たなくって。隣の研究室の奴なんて自分の指切って大騒ぎしてたわよ?!刃物の扱いが上手い男ってアタシ好きなのよねぇ。」
「…ソウデスカ…」
「ふーん…普通男子はこういう時、照れたりするのに。君、顔色分かりづらいけど血の気引いてない?大丈夫?」
イヴェットの言う通り、デイビッドは今真っ青な顔をしてシャーレだけを見ている。
ヴィオラにこれ以上心配かけまいと誓った手前、この環境はあまりにもよろしくない。
第三者目線に立てば顔面偏差値爆高ハーレムにしか見えないこの空間、最後の一人が男であることを祈るしかない。
「やぁ、遅くなったね。お待たせ、早速ベルダ先生から出た課題を始めようか!」
人形が歩いているのかと錯覚する程顔立ちの整った生徒が最後に入ってくる。
金髪碧眼で儚げな雰囲気、華奢で小柄だが、声も骨格も間違いなく男性だ。
デイビッドはこの時だけ賭けに勝った気がした。
4人の生徒は薬草の束を手に取ると、短い呪文を唱え、製薬に取り掛かった。
加熱、冷却、抽出、分離、凝縮、混合…数多の手順を全て魔法で補い、それこそあっという間に瓶の中は透明な薬で満たされていく。
デイビッドが地道に行っている作業は、1日以上経っても全体のまだ半分も進んでいない。
この光景を目の当たりにさせられながらの作業は、存外精神的に苦しいものだ。
やっと1つ目のシャーレの結晶化に成功し、次の薬を手にしようとした瞬間、シェルリアーナがひょいとシャーレに触れてしまい、結晶が急成長してしまう。
「あ゙ぁーーっ!!」
「何、これ?魔素の結晶?どんどん広がっていくわ。模様みたいでキレイね!」
「なにすんだよ!?触るなって言っただろ?余計な魔素が入ると自然な結晶化ができなくなるんだよ!」
その瞬間シャーレ1枚分の苦労が水の泡となる。
「ははぁん…これはアナの魔素を吸収して成長した結晶だよ。これはアナだけの形だ。まるで雪の結晶の様だね。」
「おもしろーい!私もやってみたい!」
「その培養地作るだけでも半日かかるんだよ!オモチャにすんな!!」
「えー?大丈夫、こんなのちゃちゃっと出来ちゃうよ?!」
「…魔素の影響を遮断した状態で作らなきゃ意味がねぇんだよ…魔力持ちが触ったらその瞬間で全部おジャンだ!魔力無しでも触れたら魔素が混じるから手は出さないでくれ…」
「でも君だって遮断性のグローブも無しに触れてるじゃない?」
「俺は魔力も魔素も持ってない。本来ここには居ないはずの人員だ。頼むからこれ以上…」
関わるなと言いかけて視線を上げるとシェルリアーナ除く4人がギラギラした目でこちらを見ていた。
金髪男子が特に熱い視線を向けてくる。
「じゃ…じゃあ、君ってまさかネクターなのかい?!」
「ネクター?」
「果物じゃないわよ?!魔力に晒されていない特殊な物質の総称よ。」
「せめて人限定の名称が良かった…」
「ホントのホントに?!信じられない!ああどうしよう!卒業論文のテーマ、魔法薬学は止めてネクターの魔力伝導実験に出来ないかなぁ…?!」
「コイツ今、なんかおっかねぇこと口走らなかったか…?」
「僕、エドワード・セオドアっていうんだ。な…仲良くしてもらえると嬉しいな…?」
「仲良くしたくなくなる発言の後に言われてもなぁ!?」
他の2人の視線もデイビッドへの興味が別次元になっていた。
猫が獲物を見つけた時の目によく似ている。
「スゴイ!天然の生きてるネクターなんて初めて見たわ!」
「早くも珍生物扱い!!」
「酷いじゃないかアナ、こんな逸材をずっと独り占めしてたの?ズルいよ!」
「私は専攻が違いますもの、興味ありませんわ。」
(興味あったらどうなってたんだ…?)
そう言えばシェルリアーナも魔女なのだと改めて思い出し、背筋が凍る。
じりじり近づいて来る3人からどう逃れようか考えていると、ようやくベルダが現れた。
「コラコラ!彼を虐めるのはそのぐらいにしなさい。君達課題は進んだのかな?」
助かったと思ったのも束の間、ベルダもデイビッドのそばに寄って来るとニコッ
と笑って手を差し出した。
「ねぇデイビッド君、ちょっとだけ血採らせてくれない?」
「俺モルモット!!??」
絶望しているとベルダがまた笑い出す。
「アハハハ!そんなに怖がらないでよ!大丈夫だって。君、魔法薬の拒絶反応スゴイでしょ?“例の薬”のチェックに使いたいんだよ。」
そう言われてしまうと従わないわけにもいかず、恐る恐る腕を出すと針を通って血液が管を流れていくのが見える。
多くないか?と心配になってもそもそもの適正量すら分からないので口も出せず、黙って自分の血が抜かれていくのを見ているしかなかった。
「よし、こんなもんかな。大丈夫?気分悪くなったりしてない?」
「気分なら結構前から既に悪い…」
「新しい仲間ってのもいいものだよ?それじゃ僕は一旦道具とサンプルを片付けてくるね?!」
「今サンプルって言ったよな?!」
早くも実験動物にされた気分になり、デイビッドは恐怖から後はただ何も考えないようにしながら手元のシャーレに集中し続けた。
60
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる