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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
授業クラッシャー
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次の日の授業、いつも通り最後列の席に着こうとしたデイビッドは、ギョッとして入り口で止まってしまった。
「何してんのよ、早く座んなさいよ。」
「座るとこねぇだろ?!」
後ろは元々席数が少ない。
その席をまとめて5人分、かたまりにされてしまっている。
「真ん中空いてるよ?」
「ほら、早くおいでよ。」
「目立ちたくねぇんだけどよ…」
「もう手遅れだよ~。すごい噂流れてたよ?拷問されたのに全然平気だったとか、美形の女の子たくさん侍らしてるとか?」
「勘弁してくれよ…」
仕方なく空いている席に座ると、丁度ベルダが現れた。
「よーし!今日はトレントの授業だよ。種類別の採集方法から、注意点までやるからしっかりついてきてね?!」
トレントは別名を人面木、またはウーウッドと言い、深い森の奥地で繁殖し、大木になると声を上げて周囲の動物を襲う魔性植物の仲間だ。
移動して獲物を捕らえる物もいて、魔物の一種とされることもあり、分類が難しい。
「トレントの実は食べたことのある人もいるかな?採集にかなりの危険性が伴うから、皆は絶対に採りに行こうとしちゃダメだよ?」
前の方で数名が当てられテキストを朗読中、デイビッドはエリザベスに背中を突かれて振り向いた。
(ねぇ、君はさ、採りに行った事あるの?トレント。)
(あるけど…今授業中だろ!?後にしてくれよ!)
(まっじめー!ちゃんと授業受けてるんだ!)
(目立つと当てられるから嫌なんだよ!前向いてろ!)
「アハハ!そこ、残念だけどもう目立っちゃったね!?続きをミス・エリザベス、読んでくれたまえ。」
「えへへ~。えーと…“トレントの実は仮性実と真性実に別れ、主に樹木の枝に実るものは仮性の果実であり、種子が生じる事がないためーーー”」
トレントの仮性実は非常に美味で栄養価に優れ、貴族の間でも持て囃されているが、採集がとにかく危険で滅多に手に入らない。
お抱えの冒険者や、ギルドからの提供がなければ食べられない幻の果実だ。
(アリーに食わしたら生えてこないかな…?)
そんな事を考えていると、次に名前を呼ばれてしまう。
「続きをデイビッド君、お願いね?!」
「はい…“トレントの真性実に含まれる種子は万能薬の材料のひとつであるが、生命体に付着すると即座に反応し、発芽して神経系統を乗っ取るため、大変危険で対処が困難を極める事もあり命を落とす可能性が高くーー”」
読みながら、デイビッドはかつて同行した討伐隊の事を思い出していた。
(そういやあの時もトレントに出くわしたんだっけ…隊長の好物だったな…)
「“ーーそのため特殊な装備を要するー”質問いいですか?」
「お!熱心だねぇ?どんどん聞いて!?」
「種を埋め込まれたら直ぐに周囲の肉ごと抉れと教わったんですが、発芽までにどのくらいかかるもんですか?」
「……うん…発芽の速度は個体の持つ魔力量に寄るんだけど…いきなりすごい質問ぶっ込んできたねぇ?!」
「それで片目持ってかれた奴が知り合いにいるんで…」
「…そっかぁ…だいたい速くて数十秒から数分かな。若木の場合は1日以上かかることもあって、そこは遭遇した個体を見極めないとだから運次第だね…」
「あと、最長でどのくらい飼えますか?」
「はいストップ!!僕のキャパを軽く超えて行くの止めようか。今なんて言った?!飼うって?何を??」
「トレントの若木、2週間くらい紐付けて連れ歩いてたことがあって…」
「…うん、続けて…」
「吊るしとくの忘れたら根っこが生えたんで、そこで諦めて置いてったんですけど…本当ならどのくらい飼えたんかな…って…?」
「……はい、全員静かに!こうも毎回急ブレーキかけられると僕も流石に辛いなぁ!?ちょっと頭整理するから待っててね?」
ベルダは頭を掻きながら引きつった笑みを浮かべていた。
「えーー…と…皆にひとつ忠告ね。今聞いた話は絶対に真似しちゃ駄目だよ?!あと、デイビッド君この後居残りね?!」
「またぁ?!」
「寧ろ今の話で引き止められずに済むと思ってる所がすごいよ?トレント飼ってた人なんて聞いたことなんだけど?!」
「クロノスじゃ若木を見つけたら根っこが生えるまで連れ回して、毎朝果実食べてたけど…?」
「ハッハッハッハ!ちょっと何言ってんのか分かんないけど、なるほどね!?規格外の環境に慣れ過ぎちゃったのかぁ…はい、その話はまた後で!テキストの続きを誰か…ーー」
遠い目をしながらまた板書を書き出していくベルダに、同情の視線が集まった。
(おかしいな…)
(おかしいのはアンタよ!!)
(フフフフ…本当に面白いね君って…)
(前代未聞だよ?トレントを飼うなんて!)
(そうなのか…)
この日の授業もかなりの混乱を招いたが、なんとか終了し、デイビッドは再び温室へと連行されて行った、
デイビッドがトレントを「飼っていた」というのは嘘ではない。
クロノス部隊にくっついて国境を目指した際、下っ端の雑用係として色々させられた中に、トレントの管理というものがあった。
犬か狼に寄生して移動中のトレントを見つけ、果実を収穫するため、紐で繋ぎ最後尾を引いて歩いていたそうだ。
拠点で待機する際や夜間は、木に吊るしておかないと根が生えて動かなくなってしまうので気をつけるよう言われていたが、ある日うっかり吊るし忘れ、朝には木になってしまったので、隊長が切り払って焚き付けにしてしまった。
温室のテーブルでひたすらペンを動かすベルダは、目の前のデイビッドの事がもう見えていない。
そこへアリーがやって来てデイビッドの腕を引いた。
「コッチ ミテホシイノ」
「なんかあるのか?」
「アリー ガンバッタ オオキイノ デキタ!」
そう言ってアリーは立ち入り禁止の部屋のドアを開けた。
すると部屋いっぱいに巨大な植物が生えていた。
「何だこりゃ?!」
「ヒュリスノハナ」
「あー……こりゃ確かに、あの時見た巨大花だな…」
「アリーガ ガンバッテ オオキイノ サカセタ」
「一度取り込んだ植物は自由自在って事か…とんでもない能力だな…」
「デイビッドニ アゲル」
「核まで育ってるのか…これがあれば一気に研究も進むな…あんなに怖がってたのに、ありがとうアリー。」
「デイビッド ヨロコンデクレル アリーウレシイ」
ついに己に取り憑いていた憎きヒュリスを克服し、アリーは更に強く、逞しく育っているようだ。
その時、リディアがドアの方を気にし始め、ベルダを強引に立たせて引きずって行った。
「誰か来たのか?」
「オキャクサマ アリー カクレテル」
アリーとリディアはそのまま温室の草花の中へ気配を消していった。
一方で、デイビッドのいない部屋で退屈していたヴィオラは、食べかけのイチゴのブリオッシュサンドをじっと見つめていた。
「どうしたんでしょうね…?」
「ときめきが空になるとああなるんですって…」
「ときめき…この部屋にときめくモノなんてありました?」
「ときめいてたのね…毎日、アレで…」
ヴィオラはいきなり立ち上がると、食べかけのデザートをバスケットに詰め込んでドアの前に立った。
「私…ちょっと探してきます…」
「ときめきを?」
「行ってらっしゃい。寮の門限には帰るのよ?」
エリックとシェルリアーナは生温かい目でヴィオラを見送った。
バスケットを持ったヴィオラは、まず温室へ向かった。
しかし入り口には相変わらずクローズの札がかかっている。
諦めて他へ行こうとした時、戸が開いて誰かが顔を出した。
「おや、お客様かい?君は確か…デイビッド君の婚約者じゃなかったかな?」
「あ、あの…」
「そうかそうか!彼を探しに来たんだね。ごめんよいつも遅くさせてしまって。さぁどうぞ入って?」
ヴィオラが温室に足を踏み入れると、温かく湿った空気と共に、花の香りに包まれた。
中央のテーブルに向かうと反対側からデイビッドが歩いて来るのが見えた。
「何してんのよ、早く座んなさいよ。」
「座るとこねぇだろ?!」
後ろは元々席数が少ない。
その席をまとめて5人分、かたまりにされてしまっている。
「真ん中空いてるよ?」
「ほら、早くおいでよ。」
「目立ちたくねぇんだけどよ…」
「もう手遅れだよ~。すごい噂流れてたよ?拷問されたのに全然平気だったとか、美形の女の子たくさん侍らしてるとか?」
「勘弁してくれよ…」
仕方なく空いている席に座ると、丁度ベルダが現れた。
「よーし!今日はトレントの授業だよ。種類別の採集方法から、注意点までやるからしっかりついてきてね?!」
トレントは別名を人面木、またはウーウッドと言い、深い森の奥地で繁殖し、大木になると声を上げて周囲の動物を襲う魔性植物の仲間だ。
移動して獲物を捕らえる物もいて、魔物の一種とされることもあり、分類が難しい。
「トレントの実は食べたことのある人もいるかな?採集にかなりの危険性が伴うから、皆は絶対に採りに行こうとしちゃダメだよ?」
前の方で数名が当てられテキストを朗読中、デイビッドはエリザベスに背中を突かれて振り向いた。
(ねぇ、君はさ、採りに行った事あるの?トレント。)
(あるけど…今授業中だろ!?後にしてくれよ!)
(まっじめー!ちゃんと授業受けてるんだ!)
(目立つと当てられるから嫌なんだよ!前向いてろ!)
「アハハ!そこ、残念だけどもう目立っちゃったね!?続きをミス・エリザベス、読んでくれたまえ。」
「えへへ~。えーと…“トレントの実は仮性実と真性実に別れ、主に樹木の枝に実るものは仮性の果実であり、種子が生じる事がないためーーー”」
トレントの仮性実は非常に美味で栄養価に優れ、貴族の間でも持て囃されているが、採集がとにかく危険で滅多に手に入らない。
お抱えの冒険者や、ギルドからの提供がなければ食べられない幻の果実だ。
(アリーに食わしたら生えてこないかな…?)
そんな事を考えていると、次に名前を呼ばれてしまう。
「続きをデイビッド君、お願いね?!」
「はい…“トレントの真性実に含まれる種子は万能薬の材料のひとつであるが、生命体に付着すると即座に反応し、発芽して神経系統を乗っ取るため、大変危険で対処が困難を極める事もあり命を落とす可能性が高くーー”」
読みながら、デイビッドはかつて同行した討伐隊の事を思い出していた。
(そういやあの時もトレントに出くわしたんだっけ…隊長の好物だったな…)
「“ーーそのため特殊な装備を要するー”質問いいですか?」
「お!熱心だねぇ?どんどん聞いて!?」
「種を埋め込まれたら直ぐに周囲の肉ごと抉れと教わったんですが、発芽までにどのくらいかかるもんですか?」
「……うん…発芽の速度は個体の持つ魔力量に寄るんだけど…いきなりすごい質問ぶっ込んできたねぇ?!」
「それで片目持ってかれた奴が知り合いにいるんで…」
「…そっかぁ…だいたい速くて数十秒から数分かな。若木の場合は1日以上かかることもあって、そこは遭遇した個体を見極めないとだから運次第だね…」
「あと、最長でどのくらい飼えますか?」
「はいストップ!!僕のキャパを軽く超えて行くの止めようか。今なんて言った?!飼うって?何を??」
「トレントの若木、2週間くらい紐付けて連れ歩いてたことがあって…」
「…うん、続けて…」
「吊るしとくの忘れたら根っこが生えたんで、そこで諦めて置いてったんですけど…本当ならどのくらい飼えたんかな…って…?」
「……はい、全員静かに!こうも毎回急ブレーキかけられると僕も流石に辛いなぁ!?ちょっと頭整理するから待っててね?」
ベルダは頭を掻きながら引きつった笑みを浮かべていた。
「えーー…と…皆にひとつ忠告ね。今聞いた話は絶対に真似しちゃ駄目だよ?!あと、デイビッド君この後居残りね?!」
「またぁ?!」
「寧ろ今の話で引き止められずに済むと思ってる所がすごいよ?トレント飼ってた人なんて聞いたことなんだけど?!」
「クロノスじゃ若木を見つけたら根っこが生えるまで連れ回して、毎朝果実食べてたけど…?」
「ハッハッハッハ!ちょっと何言ってんのか分かんないけど、なるほどね!?規格外の環境に慣れ過ぎちゃったのかぁ…はい、その話はまた後で!テキストの続きを誰か…ーー」
遠い目をしながらまた板書を書き出していくベルダに、同情の視線が集まった。
(おかしいな…)
(おかしいのはアンタよ!!)
(フフフフ…本当に面白いね君って…)
(前代未聞だよ?トレントを飼うなんて!)
(そうなのか…)
この日の授業もかなりの混乱を招いたが、なんとか終了し、デイビッドは再び温室へと連行されて行った、
デイビッドがトレントを「飼っていた」というのは嘘ではない。
クロノス部隊にくっついて国境を目指した際、下っ端の雑用係として色々させられた中に、トレントの管理というものがあった。
犬か狼に寄生して移動中のトレントを見つけ、果実を収穫するため、紐で繋ぎ最後尾を引いて歩いていたそうだ。
拠点で待機する際や夜間は、木に吊るしておかないと根が生えて動かなくなってしまうので気をつけるよう言われていたが、ある日うっかり吊るし忘れ、朝には木になってしまったので、隊長が切り払って焚き付けにしてしまった。
温室のテーブルでひたすらペンを動かすベルダは、目の前のデイビッドの事がもう見えていない。
そこへアリーがやって来てデイビッドの腕を引いた。
「コッチ ミテホシイノ」
「なんかあるのか?」
「アリー ガンバッタ オオキイノ デキタ!」
そう言ってアリーは立ち入り禁止の部屋のドアを開けた。
すると部屋いっぱいに巨大な植物が生えていた。
「何だこりゃ?!」
「ヒュリスノハナ」
「あー……こりゃ確かに、あの時見た巨大花だな…」
「アリーガ ガンバッテ オオキイノ サカセタ」
「一度取り込んだ植物は自由自在って事か…とんでもない能力だな…」
「デイビッドニ アゲル」
「核まで育ってるのか…これがあれば一気に研究も進むな…あんなに怖がってたのに、ありがとうアリー。」
「デイビッド ヨロコンデクレル アリーウレシイ」
ついに己に取り憑いていた憎きヒュリスを克服し、アリーは更に強く、逞しく育っているようだ。
その時、リディアがドアの方を気にし始め、ベルダを強引に立たせて引きずって行った。
「誰か来たのか?」
「オキャクサマ アリー カクレテル」
アリーとリディアはそのまま温室の草花の中へ気配を消していった。
一方で、デイビッドのいない部屋で退屈していたヴィオラは、食べかけのイチゴのブリオッシュサンドをじっと見つめていた。
「どうしたんでしょうね…?」
「ときめきが空になるとああなるんですって…」
「ときめき…この部屋にときめくモノなんてありました?」
「ときめいてたのね…毎日、アレで…」
ヴィオラはいきなり立ち上がると、食べかけのデザートをバスケットに詰め込んでドアの前に立った。
「私…ちょっと探してきます…」
「ときめきを?」
「行ってらっしゃい。寮の門限には帰るのよ?」
エリックとシェルリアーナは生温かい目でヴィオラを見送った。
バスケットを持ったヴィオラは、まず温室へ向かった。
しかし入り口には相変わらずクローズの札がかかっている。
諦めて他へ行こうとした時、戸が開いて誰かが顔を出した。
「おや、お客様かい?君は確か…デイビッド君の婚約者じゃなかったかな?」
「あ、あの…」
「そうかそうか!彼を探しに来たんだね。ごめんよいつも遅くさせてしまって。さぁどうぞ入って?」
ヴィオラが温室に足を踏み入れると、温かく湿った空気と共に、花の香りに包まれた。
中央のテーブルに向かうと反対側からデイビッドが歩いて来るのが見えた。
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