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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
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「邪魔するぞ?すまぬが急ぎなのでな。」
「これはこれはアザーレア殿下、良くおいで下さいました。」
いきなり現れた隣国の王女にも驚くことなく、学園長が敬々しく挨拶する。
「生徒を数名借り受けたい。許可頂けるだろうか?!」
「それは構いませんが…何の御用か伺っても?」
「なに、大したことではない。滞在中の話し相手に連れて行くだけだ。」
するとやはり、他の教師達から高位貴族の生徒を紹介されそうになったが、バッサリ切り捨てて学園長に向き直る。
「この学園は身分の垣根がないのは良いが、身の程を弁え無い連中が多いな。最低限の習慣はつけさせんと、後々困ることになるぞ?」
「いやはや仰る通り、大変なご迷惑をお掛けしました。」
アザーレアはサラサラと書類を書き上げ、それを学園長が承認すると、もうここに用はないとばかりに来た道を戻って行く。
「すまないなヴィオラ、少々目立ってしまったようだ。」
「あ、いいえ、大丈夫です!」
アリスティアとシェルリアーナを大使館まで寄越すよう言伝を残すと、アザーレアは馬車までヴィオラをエスコートし、大勢の目線を奪いながら表の門から出て行った。
「ヴィオラ…良く耐えたな。奴の隣は温かいだろうが、外からの風は冷たいだろう。辛くはないか?」
馬車の中でまた俯いてしまったヴィオラにアザーレアが優しく声を掛ける、
「私より、デイビッド様は?何にもしてないのに連れて行かれて、酷い事されていたら?牢屋に入れられちゃったらどうしようって考えてしまって…不安で心配で…」
「耳が痛いな…大丈夫だ!他国ならいざ知らず、常に布石と備えは万全だからな。奴め、今回は台風の目になるつもりだ。こちらも少し動かねばなるまい。」
大使館に着くと、一番広くて豪華な部屋に通され、すかさず現れたメイド達がヴィオラの制服を部屋着に着替えさせてしまう。
「夕食はヴィオラが気に入る物を用意するから、それまで一休みしよう。疲れただろう?」
天蓋付きのベッドに寝かされ、アザーレアに頭を撫でられている内に、ヴィオラは泣きながら眠ってしまった。
日が落ちて辺りが暗くなる頃、アリスティアとシェルリアーナの乗った馬車が大使館に到着した。
「アザーレア様、お久しぶりですね。それにしても驚きました…まさかここまでする者がいるとは…」
「お呼び頂きありがとうございます。あのまま学園に留まっていても良いことなどなかったでしょうから、助かりましたわ。」
「2人共良く来てくれた!急に呼び出して済まなかったな。」
「緊急事態ですもの、仕方がありません。今頃お兄様も慌てふためいている頃でしょうね…」
「ハハハハ!後で挨拶にでも行こうか。ところで、2人はヴィオラの好みを何か知らないだろうか?」
「好み…ですか?」
「少しでも気持ちを晴らしてやりたいと思ったのだが、うっかり聞きそびれてしまってな。」
「……ヴィオラの好きな物…」
「山程ありますが、ひとつしかないですね…」
「なんだそれは?謎掛けか?!」
2人からヴィオラの好みを聞いたアザーレアは、にんまり笑って使用人を呼び、外へ使いを送り出した。
しばらくしてまだ顔色の悪いヴィオラが目覚めると、アザーレアがすかさず冷たいジュースを差し出した。
「調子はどうだ?今夜はヴィオラの好きな物を用意しようと思って色々取り寄せたんだ。シェルもアリスもこれならきっと気に入ると言っていた。」
「お心遣いありがとうございますアザーレア様…でも私、食欲があまり無くて…」
「無理はしない方が良いだろうが、少しだけ見に行ってみないか?」
ヴィオラは誘われるがまま、何故か食堂ではなく厨房へと連れて行かれ、扉を開けるとシェルリアーナとアリスティアが誰かと話しているのが見えた。
「まだ焼けないの?」
「他所の厨房だと使い勝手がわかんねぇんだよ!火加減見ながらやってんだから黙ってろ!」
「シェル様はエビのお料理を食べたと言ってましたね。」
「無いだろ!ここに!エビ!!」
「お肉はたくさんありますのに…あ、そう言えば!ガッツリというのがとても美味しかったと聞きました!できませんか?」
「王族滞在中の大使館で作ったら一番ダメな料理だから却下!!」
「ねぇまだ?」
「うるせぇーー!!」
やいのやいの言いながら厨房を動いていた顔と不意に目が合い、ヴィオラは堪らず飛びついた。
「デイビッド様ぁっ!無事で良かったぁぁ!!」
「ヴィオラ!気持ちはわかったから!包丁持ってる時は止めてくれ!!」
デイビッドは腕に包帯を巻き、額や顔などあちこちに細かい傷を作っていた。
「すごく心配しました…もう会えないんじゃないかって…」
「連絡できなくて悪かった。行動範囲に制限が掛かってて帰れなかったんだ…エリックにも知らせてやらないとな。」
「連れて行かれて酷い目に遭わされたんですか…?」
「あ、いや…これはシモンズ先生にどつかれて…腕は新式の装具が合わなくて魔力焼けしたんだ。」
包帯の反対の腕には金属の腕輪がつけられている。
「探知具付きだと?まだ釈放にならんとは、この国の騎士団も大したことはないな。」
「被害者の口から俺の名前が出た以上、こんなに早く解放はされねぇよ。容疑者から重要参考人になっただけ良い方だ。」
この腕輪は取り調べ中の事件の関係者に付けられる物で、指定範囲から逃走したり異常な魔力を施行すると騎士が捕らえに来るという物だ。
最近は目に見えない物が主流だが、魔力を常に帯びているため、装着した瞬間激痛と共にまた腕がミミズ腫れの様になってしまい、仕方なく旧型の物を着けているそうだ。
「いつまでこんな茶番に付き合うつもりだ?」
「明日“真実の眼”を受ける事になったから、俺の方だけなら片が付くはずだ。」
「“真実の眼”ですって?!」
それを聞いたシェルリアーナが驚いて声を上げた。
「王族の許可がいるはずよ?!良く申請が通ったわね。」
「ダメ元で出したら直ぐ返事が来たんでこっちも驚いたよ。」
“真実の眼”は特殊な能力を持った魔術師による尋問のひとつで、如何なる嘘も見抜かれ、些細な一言からでもその真意を覗かれてしまうというものだ。
受けたら最後、そこで出された答えが全てとなり、以降どのような意見も反論も受け付けられなくなるため、余程のことがなければ施行される事はない。
「デイビッド様を悪人扱いするなんて間違ってます!こんなに優しくて素敵な方なのに…」
「見た目じゃない?!」
「悪かったな!どうせ悪人面だよ!!」
鶏肉の香草焼きに、ジャガイモをパリパリに仕上げたガレット、スキレットに乗った野菜とキノコのオリーブ焼き、ミモザサラダ、数種類の野菜のポタージュ。
デザートにはティラミスが冷えている。
元気になったヴィオラは、久々にデイビッドの隣を占領し、食事の席に着いた。
「ヴィオラすっかり顔色が良くなったわね。」
「それにしても、捜査中の事件の関係者を大使館に呼ぶなんて、良く許可が降りましたね。」
「降りそうにないのでな、何も言わず騎士団から出てきた所をさらって来た!」
「…良く大人しく捕まりましたね…」
「大使館の馬車が見えたし、見覚えのある使用人だったからな。こっちも王都から出られねぇんで。宿でも取らなきゃかと思ってたから、助かりはしたよ。」
夕食は毒味も給仕も無く、部屋着のまま気楽に摂る事になり、王族2人は少しわくわくしていた。
「わぁ、この鶏肉美味しいですね!」
「流石いい食材入れてるな。芋一つとっても高級品だ。」
アザーレアは出された料理を食べながらアリスティアに話しかけた。
「なぁ、アリス。もし冤罪が通ってコイツが罪人になったら牢ではなく厨房に繋いだ方が良くないか?!」
「裏から手を回して身柄を囲ってしまうのも手ですね。そうしたらずっと美味しい物が食べられますよ?!」
「それはいい考えだな!」
「王族がその発言はマズイだろ!!」
本気を出したらやりかねないアザーレアの一言に、デイビッドはほんの少し寒気を感じていた。
「これはこれはアザーレア殿下、良くおいで下さいました。」
いきなり現れた隣国の王女にも驚くことなく、学園長が敬々しく挨拶する。
「生徒を数名借り受けたい。許可頂けるだろうか?!」
「それは構いませんが…何の御用か伺っても?」
「なに、大したことではない。滞在中の話し相手に連れて行くだけだ。」
するとやはり、他の教師達から高位貴族の生徒を紹介されそうになったが、バッサリ切り捨てて学園長に向き直る。
「この学園は身分の垣根がないのは良いが、身の程を弁え無い連中が多いな。最低限の習慣はつけさせんと、後々困ることになるぞ?」
「いやはや仰る通り、大変なご迷惑をお掛けしました。」
アザーレアはサラサラと書類を書き上げ、それを学園長が承認すると、もうここに用はないとばかりに来た道を戻って行く。
「すまないなヴィオラ、少々目立ってしまったようだ。」
「あ、いいえ、大丈夫です!」
アリスティアとシェルリアーナを大使館まで寄越すよう言伝を残すと、アザーレアは馬車までヴィオラをエスコートし、大勢の目線を奪いながら表の門から出て行った。
「ヴィオラ…良く耐えたな。奴の隣は温かいだろうが、外からの風は冷たいだろう。辛くはないか?」
馬車の中でまた俯いてしまったヴィオラにアザーレアが優しく声を掛ける、
「私より、デイビッド様は?何にもしてないのに連れて行かれて、酷い事されていたら?牢屋に入れられちゃったらどうしようって考えてしまって…不安で心配で…」
「耳が痛いな…大丈夫だ!他国ならいざ知らず、常に布石と備えは万全だからな。奴め、今回は台風の目になるつもりだ。こちらも少し動かねばなるまい。」
大使館に着くと、一番広くて豪華な部屋に通され、すかさず現れたメイド達がヴィオラの制服を部屋着に着替えさせてしまう。
「夕食はヴィオラが気に入る物を用意するから、それまで一休みしよう。疲れただろう?」
天蓋付きのベッドに寝かされ、アザーレアに頭を撫でられている内に、ヴィオラは泣きながら眠ってしまった。
日が落ちて辺りが暗くなる頃、アリスティアとシェルリアーナの乗った馬車が大使館に到着した。
「アザーレア様、お久しぶりですね。それにしても驚きました…まさかここまでする者がいるとは…」
「お呼び頂きありがとうございます。あのまま学園に留まっていても良いことなどなかったでしょうから、助かりましたわ。」
「2人共良く来てくれた!急に呼び出して済まなかったな。」
「緊急事態ですもの、仕方がありません。今頃お兄様も慌てふためいている頃でしょうね…」
「ハハハハ!後で挨拶にでも行こうか。ところで、2人はヴィオラの好みを何か知らないだろうか?」
「好み…ですか?」
「少しでも気持ちを晴らしてやりたいと思ったのだが、うっかり聞きそびれてしまってな。」
「……ヴィオラの好きな物…」
「山程ありますが、ひとつしかないですね…」
「なんだそれは?謎掛けか?!」
2人からヴィオラの好みを聞いたアザーレアは、にんまり笑って使用人を呼び、外へ使いを送り出した。
しばらくしてまだ顔色の悪いヴィオラが目覚めると、アザーレアがすかさず冷たいジュースを差し出した。
「調子はどうだ?今夜はヴィオラの好きな物を用意しようと思って色々取り寄せたんだ。シェルもアリスもこれならきっと気に入ると言っていた。」
「お心遣いありがとうございますアザーレア様…でも私、食欲があまり無くて…」
「無理はしない方が良いだろうが、少しだけ見に行ってみないか?」
ヴィオラは誘われるがまま、何故か食堂ではなく厨房へと連れて行かれ、扉を開けるとシェルリアーナとアリスティアが誰かと話しているのが見えた。
「まだ焼けないの?」
「他所の厨房だと使い勝手がわかんねぇんだよ!火加減見ながらやってんだから黙ってろ!」
「シェル様はエビのお料理を食べたと言ってましたね。」
「無いだろ!ここに!エビ!!」
「お肉はたくさんありますのに…あ、そう言えば!ガッツリというのがとても美味しかったと聞きました!できませんか?」
「王族滞在中の大使館で作ったら一番ダメな料理だから却下!!」
「ねぇまだ?」
「うるせぇーー!!」
やいのやいの言いながら厨房を動いていた顔と不意に目が合い、ヴィオラは堪らず飛びついた。
「デイビッド様ぁっ!無事で良かったぁぁ!!」
「ヴィオラ!気持ちはわかったから!包丁持ってる時は止めてくれ!!」
デイビッドは腕に包帯を巻き、額や顔などあちこちに細かい傷を作っていた。
「すごく心配しました…もう会えないんじゃないかって…」
「連絡できなくて悪かった。行動範囲に制限が掛かってて帰れなかったんだ…エリックにも知らせてやらないとな。」
「連れて行かれて酷い目に遭わされたんですか…?」
「あ、いや…これはシモンズ先生にどつかれて…腕は新式の装具が合わなくて魔力焼けしたんだ。」
包帯の反対の腕には金属の腕輪がつけられている。
「探知具付きだと?まだ釈放にならんとは、この国の騎士団も大したことはないな。」
「被害者の口から俺の名前が出た以上、こんなに早く解放はされねぇよ。容疑者から重要参考人になっただけ良い方だ。」
この腕輪は取り調べ中の事件の関係者に付けられる物で、指定範囲から逃走したり異常な魔力を施行すると騎士が捕らえに来るという物だ。
最近は目に見えない物が主流だが、魔力を常に帯びているため、装着した瞬間激痛と共にまた腕がミミズ腫れの様になってしまい、仕方なく旧型の物を着けているそうだ。
「いつまでこんな茶番に付き合うつもりだ?」
「明日“真実の眼”を受ける事になったから、俺の方だけなら片が付くはずだ。」
「“真実の眼”ですって?!」
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「ダメ元で出したら直ぐ返事が来たんでこっちも驚いたよ。」
“真実の眼”は特殊な能力を持った魔術師による尋問のひとつで、如何なる嘘も見抜かれ、些細な一言からでもその真意を覗かれてしまうというものだ。
受けたら最後、そこで出された答えが全てとなり、以降どのような意見も反論も受け付けられなくなるため、余程のことがなければ施行される事はない。
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「見た目じゃない?!」
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鶏肉の香草焼きに、ジャガイモをパリパリに仕上げたガレット、スキレットに乗った野菜とキノコのオリーブ焼き、ミモザサラダ、数種類の野菜のポタージュ。
デザートにはティラミスが冷えている。
元気になったヴィオラは、久々にデイビッドの隣を占領し、食事の席に着いた。
「ヴィオラすっかり顔色が良くなったわね。」
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「大使館の馬車が見えたし、見覚えのある使用人だったからな。こっちも王都から出られねぇんで。宿でも取らなきゃかと思ってたから、助かりはしたよ。」
夕食は毒味も給仕も無く、部屋着のまま気楽に摂る事になり、王族2人は少しわくわくしていた。
「わぁ、この鶏肉美味しいですね!」
「流石いい食材入れてるな。芋一つとっても高級品だ。」
アザーレアは出された料理を食べながらアリスティアに話しかけた。
「なぁ、アリス。もし冤罪が通ってコイツが罪人になったら牢ではなく厨房に繋いだ方が良くないか?!」
「裏から手を回して身柄を囲ってしまうのも手ですね。そうしたらずっと美味しい物が食べられますよ?!」
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